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用語集 / 民法 / 集合動産・集合債権の譲渡担保

集合動産・集合債権の譲渡担保とは

しゅうごうどうさんしゅうごうさいけんのじょうとたんぽ

民法 担保物権

集合動産・集合債権の譲渡担保とは、倉庫の在庫商品のように構成部分が入れ替わる動産の集まりを種類・所在場所・量的範囲などで特定して一個の集合物として、又は将来発生するものを含む多数の債権をまとめて、譲渡担保の目的とすることです。

魚の養殖業者や鉄鋼の問屋は、生け簀の魚や倉庫の在庫を日々売っては仕入れています。こうした在庫をまとめて担保にできれば、店を続けながらお金を借りられます。そこで判例は、中身が入れ替わる在庫を「この倉庫の中の棒鋼全部」のように一個の物と見て、譲渡担保の目的にすることを認めました。ただし、在庫を売ることが前提の担保なので、普通の商売として売る分には買主は担保の拘束を受けません。売掛金のような債権も、まとめて担保にすることができます。

倉庫の場面。倉庫の入口に看板「第1倉庫 棒鋼 一切の在庫」、中に棒鋼の束が積まれ、トラックが新しい束を運び込み、別のトラックが束を運び出している。先生が問屋役(札「設定者」)で、銀行員の男性(札「譲渡担保権者」)に倉庫全体を指し示している。

構成部分が変動する集合動産も、種類・所在場所・量的範囲を指定するなどして範囲が特定されれば、一個の集合物として譲渡担保の目的にできます

判例は、構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的となりうるとしています(最判昭和54年2月15日、最判昭和62年11月10日)。範囲が特定されていれば、ほかの債権者も担保が及ぶ物を見分けられるからです。その旨の肢は正しく、法律や判例には物の集合体に一個の物権を認めるものがあるという肢も正しいです。対抗要件は動産の引渡し(178条)で、設定の時に集合物について占有改定をすれば、その後に新たに加わった動産にも対抗力が及び、そのつど占有改定をする必要はありません(最判昭和62年11月10日)。同じ判決は、集合物に加わった動産について動産売買の先取特権を持つ売主に対し、特段の事情のない限り333条により先取特権を行使できなくなるとしています(動産の先取特権の語で扱います)。

設定者は通常の営業の範囲内で構成動産を処分でき、その相手方は譲渡担保の拘束を受けずに所有権を取得しますが、範囲を超える処分では集合物から離脱しない限り承継取得できません

判例は、構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保では、集合物の内容が設定者の営業活動を通じて当然に変動することが予定されているので、設定者には通常の営業の範囲内で構成動産を処分する権限が付与されており、この権限内でされた処分の相手方は、譲渡担保の拘束を受けることなく確定的に所有権を取得するとしました(最判平成18年7月20日)。相手方が譲渡担保の設定を知っていても同じなので、悪意の買主が承継取得する所有権は譲渡担保の拘束を受けるとする肢は誤りです。反対に、通常の営業の範囲を超える売却処分は権限に基づかないので、保管場所から搬出されるなどして集合物から離脱したと認められる場合でない限り、相手方は所有権を承継取得できません。占有改定では即時取得もできないので、範囲を超える処分で占有改定の引渡しを受けた買主が所有権を取得できるとする肢は誤りです。

養殖場の生け簀の場面。生け簀に札「譲渡担保の目的(養殖魚全部)」。先生が養殖業者役(札「設定者」)で、魚市場の仲買人(札「買主」)にいつもどおり魚を売っている。先生の吹き出し「通常の営業の範囲内で売った魚は、買主が担保のことを知っていても、

集合動産の譲渡担保の効力は滅失による保険金請求権にも及びますが、設定者が通常の営業を続けている間は、特段の事情がない限り物上代位できません

判例は、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において目的動産の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために設定者に支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶとしました(最決平成22年12月2日)。そのうえで、この契約は設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするので、設定者が通常の営業を継続している場合には、直ちに物上代位権を行使できる旨の合意があるなどの特段の事情がない限り、物上代位権を行使することは許されないとしています。営業を継続しているか否かにかかわらず保険金請求権に物上代位できるとする肢や、通常の営業を継続している場合でも物上代位できるとする肢は誤りです。個別の動産の譲渡担保では、この制限はありません。

売主が代金完済まで所有権を留保した動産は、集合物に加わっても、譲渡担保権者は譲渡担保の効力を主張できません

判例は、売主が代金の完済まで目的物の所有権を留保する特約をして買主に売った動産が、買主の在庫として集合動産譲渡担保の目的である集合物に加わった場合、動産の所有権は代金が完済されるまで売主から買主に移転しないので、集合動産の譲渡担保権者はその動産について譲渡担保権を主張できないとしました(最判平成30年12月7日)。設定者が所有権を取得していない動産には、設定者から担保を取った者も権利を主張できないからです。代金が完済されていなくても譲渡担保の効力を主張できるとする肢は誤りです。所有権留保の全体は所有権留保の語で扱います。

集合債権の譲渡担保では、設定の時に目的債権が譲受人に確定的に移転し、取立権限を設定者に残していても、その旨の通知で第三者対抗要件を備えます

将来発生する債権も譲渡でき(466条の6)、その有効性と特定の要件は将来債権の譲渡の語で扱います。判例は、債権者と債務者との継続的取引から生ずる現在及び将来の債権を一括して譲渡担保に供し、担保権の実行として通知をするまでは設定者が取り立ててよいとした契約について、目的債権は設定の時に譲受人に確定的に譲渡されており、設定者に取立てを許すのは譲受人と設定者の間の合意にすぎないとしました(最判平成13年11月22日)。そのため、この契約について確定日付のある証書で第三債務者に通知すれば、467条2項の第三者対抗要件を備えます。法人が債権を譲渡担保に供するときは、債権譲渡登記ファイルへの登記で確定日付のある通知があったものとみなされる方法もあります。

  • 目的物の特定種類・所在場所・量的範囲の指定などで範囲が特定されれば一個の集合物になります
  • 対抗要件設定の時の占有改定で、後から加わった動産にも及びます
  • 通常の営業の範囲内の処分相手方は悪意でも拘束を受けずに所有権を取得します
  • 通常の営業の範囲を超える処分集合物から離脱しない限り、相手方は承継取得できません
  • 滅失による保険金請求権効力は及びますが、通常の営業の継続中は特段の事情がない限り物上代位できません
  • 所有権留保付きの動産代金完済まで設定者の物でないので、譲渡担保の効力を主張できません
  • 集合債権設定時に確定的に移転し、取立権限を留保していても確定日付のある通知で対抗できます
板書の図解。黒板の左に倉庫の絵「集合動産の譲渡担保」、右上から矢印で動産の箱「所有権留保付きで仕入れた動産(代金未払い)」が倉庫に入っている。箱の上に「売主の所有権」の札。先生が教師役(札「先生」)で箱を指し、吹き出し「代金が払われるまでは

最判平成18年7月20日

構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保においては、集合物の内容が譲渡担保設定者の営業活動を通じて当然に変動することが予定されているのであるから、譲渡担保設定者には、その通常の営業の範囲内で、譲渡担保の目的を構成する動産を処分する権限が付与されており、この権限内でされた処分の相手方は、当該動産について、譲渡担保の拘束を受けることなく確定的に所有権を取得することができる。

論文ではこう使う

論文では、集合動産の譲渡担保について、集合物を一個の物と見る集合物論に立ち、目的物の特定(種類・所在場所・量的範囲)と設定時の占有改定による対抗要件を確認します。構成動産の処分が争われる事案では、通常の営業の範囲内かどうかを、処分の量・価格・相手方・従前の取引との比較などの事実で当てはめ、範囲外なら集合物からの離脱の有無を検討します。保険金への物上代位では、設定者が通常の営業を継続しているかを認定します。

試験ではこう問われる

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