条件の種類と効力(停止条件・解除条件・既成条件・不能条件・不法条件・随意条件・条件に親しまない行為)とは
じょうけんのしゅるいとこうりょく
条件とは、法律行為の効力の発生又は消滅を、将来発生するかどうか不確実な事実にかからせる定めのことで、成就によって効力が生じる停止条件と、成就によって効力が失われる解除条件があります(127条)。既成条件・不法条件・不能条件・随意条件は、条文により法律行為が無効又は無条件となります(131条〜134条)。
「大学に合格したらこの車をあげる」という約束は、合格するかどうか分からない将来の出来事に贈与の効力をかからせています。このように、法律行為の効力の発生や消滅を、起こるかどうか不確実な将来の事実にかからせる定めを条件といいます。条件は当事者が自由に付けられますが、初めから成否が決まっている条件、違法な条件、実現できない条件、債務者の気分しだいの条件を付けると、約束全体が無効になったり、条件のない約束として扱われたりします。相手方の立場を不安定にする単独行為にも、原則として条件は付けられません。
停止条件付法律行為は条件が成就した時から効力を生じ、解除条件付法律行為は成就した時から効力を失い、当事者の意思で効果を遡らせることもできます
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生じ(127条1項)、解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失います(同条2項)。効果は成就の時から生じるのが原則ですが、当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従います(同条3項)。「停止条件付法律行為は,当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したとしても,条件が成就した時からその効果が生ずる」という肢と、「解除条件付きの契約は、当事者の合意によって、条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせることができない」という肢は誤りです。遺言も単独行為ですが停止条件を付けることができ、遺言者の死亡後に条件が成就したときは、遺言は条件が成就した時から効力を生じます(985条2項)。「遺言は遺言者の死亡の時からその効力を生ずるものであり,停止条件を付した遺言をすることはできない」という肢は誤り、「遺贈に停止条件を付した場合において,その条件が遺言者の死亡後に成就したときは,遺贈は,条件が成就した時からその効力を生ずる」という肢は正しく、「遺言は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる」という肢は誤りです。
法律行為の時に条件の成否が既に決まっていた既成条件と、成就が不能な不能条件は、停止条件なら無効、条件の内容しだいで無条件となります
条件が法律行為の時に既に成就していた場合、停止条件ならその法律行為は無条件となり、解除条件なら無効となります(131条1項)。条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合は逆に、停止条件なら無効、解除条件なら無条件となります(同条2項)。停止条件の不成就が確定していれば効力が生じる見込みがなく、解除条件の不成就が確定していれば効力が失われる見込みがないからです。「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合,その条件が解除条件であるときは無条件の法律行為となり,その条件が停止条件であるときは無効な法律行為となる」という肢と、「停止条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していたときは、その法律行為は、無効である」という肢は正しいです。成就が不能な条件も同じ考え方で、不能の停止条件を付した法律行為は無効、不能の解除条件を付した法律行為は無条件となります(133条)。「不能の解除条件を付した法律行為は,無効となる」という肢は誤りで、「不能の解除条件が付された法律行為は、無条件となる」という肢は正しいです。
不法な条件を付した法律行為は全体が無効となり、不法な行為をしないことを条件とするものも同じです
不法な条件を付した法律行為は無効とされ、不法な行為をしないことを条件とするものも同様です(132条)。もともとしてはならないことをしないことに対価を約束すると、約束全体が不法な色を帯びるからです。無効になるのは条件だけではなく、法律行為全体です。「不法な条件を付した法律行為は無効であるが,不法な行為をしないことを条件とする法律行為は有効である」という肢は誤りです。Bが一定期間窃盗をしなかったら10万円を与える贈与は132条後段により無効なので、「Aは、これを拒むことができる」という肢は正しいです。また、現在の配偶者との離婚を条件として他人との間でした婚姻の予約は、判例上、公序良俗に反するとされ(大判大正9年5月28日)、条件だけが無効になって無条件の婚姻予約が残るのではなく、予約全体が無効となります。「この条件は無効であるから,無条件で婚姻の予約が行われたものとみなされる」という肢は誤りです。
停止条件が単に債務者の意思のみにかかるときは無効ですが、解除条件が債務者の意思にかかるだけなら有効です
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とされます(134条)。「気が向いたらあげる」という約束では、債務者はいつでも義務を負わないことを選べるので、法的に拘束する意味がないからです。「停止条件付法律行為は,その条件が単に債務者の意思のみに係るときは,無条件となる」という肢は誤りで、「停止条件付の法律行為は,その条件が単に債務者の意思のみに係るときは,無効である」という肢は正しいです。「将来気が向いたら,私が所有する甲自動車を贈与する」という贈与契約は無効なので、「その贈与契約は無効である」という肢は正しく、Aの気が向いたら10万円を与える贈与で「Aは、これを拒むことができない」という肢は誤りです。これに対し、「今すぐ車をあげるが、私が返してほしくなったら返してほしい」という解除条件が債務者の意思にかかるだけの場合は、いったん効力が生じているので有効と解されています。
- 既成条件・成就済み(131条1項)停止条件なら無条件、解除条件なら無効
- 既成条件・不成就確定(131条2項)停止条件なら無効、解除条件なら無条件
- 不能条件(133条)不能の停止条件なら無効、不能の解除条件なら無条件
- 不法条件(132条)法律行為全体が無効。不法な行為をしないことを条件とするものも無効
- 随意条件(134条)停止条件が単に債務者の意思のみにかかれば無効。解除条件なら有効
相手方を不安定にする単独行為には原則として条件を付けられず、相殺には条件も期限も付けられませんが、相手方を害しない解除や免除には条件を付けられます
単独行為に条件を付けると、相手方は自分の関与できない事情で法律関係が変わるのを待たされるので、原則として許されないと解されています。相殺については明文があり、相殺の意思表示には条件又は期限を付することができません(506条1項後段)。相殺の効力は相殺に適するようになった時にさかのぼるので(同条2項)、期限を付けても意味がないからです。「相殺の意思表示には,期限を付することはできるが,条件を付することはできない」という肢、「相殺の意思表示には、条件を付することはできないが、期限を付することはできる」という肢、「相殺の意思表示には,条件を付することができる」という肢は、いずれも誤りです。もっとも、これは一方的な意思表示に条件を付けることの禁止なので、当事者の合意で一定の事由が生じれば当然に相殺の効力が生じるとする停止条件付相殺契約は有効です。「相殺の効力は、その事由の発生によって当然には生じない」という肢は誤りです。また、相手方の地位を不安定にしない単独行為には条件を付けられます。催告期間内に履行がなければ解除するという解除の意思表示は、相手方が履行すれば解除を避けられるので有効とされています(大判明治43年12月9日)。「その催告期間内に履行がなければ,改めて解除の意思表示をしなくても,解除の効果は発生する」という肢と、滞納賃料を期限までに支払わなければ解除するという意思表示は「単独行為に条件を付することになっても許される」という肢は正しく、「その解除は無効である」とする肢と「解除の効力は生じない」とする肢は誤りです。債務の免除も債務者に利益を与えるだけなので条件を付けることができ、「債務の免除の意思表示には、条件を付することができない」という肢は誤りです。要件事実の面では、相殺の意思表示に条件を付けたことは相殺の抗弁に対する再抗弁になるので、「Bが相殺の意思表示に条件を付したことをAが再抗弁で主張しても,主張自体失当となる」という肢は誤りです。
条件を法律行為の成立要件と切り離せる附款とみる見解からは、売買代金の請求で停止条件の存在は被告の抗弁となり、その成就は原告の再抗弁となります
売買代金を請求する訴訟で、売買契約に停止条件が付いていたことを誰が主張立証するかは、条件をどう位置づけるかで変わります。条件を法律行為の成立要件とは区別される可分な附款と考える見解からは、原告は条件の付かない売買契約の成立を主張すれば足り、停止条件が付いていることは効果の発生を妨げる事由として被告が抗弁で主張し、条件が成就したことは原告が再抗弁で主張することになります。「法律行為の附款である条件をそれが付された法律行為の成立要件とは区別される可分なものと考える見解に立った場合,売買契約に停止条件が付されているときは,停止条件が成就したことが再抗弁となる」という肢は、その見解からの帰結として正しいです。これに対し、条件は法律行為の内容と一体で切り離せないとみる見解からは、原告が請求原因で条件付きの契約と条件の成就を主張することになります。実務は前者の考え方(抗弁説)で整理しています。
民法127条1項
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
民法127条3項
当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。
民法131条2項
条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。
民法132条
不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。
民法133条2項
不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。
民法134条
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
民法506条1項
相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。
論文ではこう使う
論文では、契約に「〜したら」「〜しなければ」という定めがあるときに、それが条件か期限かを性質決定し、条件なら停止条件か解除条件かを確定して、効力の発生・消滅の時期を127条で示します。条件が成就しなかった・成就したと評価してよいかが争われる事例では、条件の成就の妨害(130条)の語の規範につなげます。単独行為に条件が付いている場合は、相手方の地位を不安定にしないかどうかを基準に有効性を判断します。
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。