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用語集 / 民法 / 条件付権利の保護

条件付権利の保護(128条・129条)とは

じょうけんつきけんりのほご

民法 無効・取消し、条件・期限・期間、時効

条件付権利とは、条件が成就すれば権利を取得し又は義務を免れるという、条件の成否未定の間の当事者の法的地位のことです。各当事者は条件の成否未定の間も相手方の利益を害することができず(128条)、条件付きの権利義務は一般の規定に従って処分・相続・保存・担保供与ができます(129条)。

「卒業試験に合格したら車をあげる」と約束された学生は、まだ車をもらってはいませんが、合格すればもらえるという期待を持っています。もし合格発表の前に約束した人が車を他人に売ってしまったら、合格しても車は手に入りません。そこで民法は、条件の成否が決まっていない間でも、相手方の期待を害してはならないとし、害せば損害賠償の責任を負うとしました。また、この期待は財産として扱われ、譲ったり相続したり、担保に入れたりすることもできます。

中古車販売店の前の場面。店先に自動車(札「甲自動車」)があり、男性(札「買い手C」)が鍵を受け取っている。その手前で、先生が助言役(札「先生」)で、医学生の男性(札「受贈者B」)の肩に手を置いている。店の中に男性(札「贈与者A」)が小さく見

条件付法律行為の当事者は、条件の成否が未定の間も、条件が成就したら相手方が受けるはずの利益を害してはならず、害せば損害賠償の責任を負います

条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができません(128条)。条件が成就すれば権利を取得できるという地位は、単なる事実上の期待ではなく、法的に保護される権利(期待権)だからです。これに違反して目的物を壊したり他人に売ったりした当事者は、条件が成就したときに、債務不履行又は不法行為による損害賠償責任を負います。「停止条件付売買契約において,条件の成否が確定する前に故意に目的物を毀損した売主は,期待権を侵害された買主に対して損害賠償責任を負う」という肢は正しいです。卒業試験に合格したら車を贈与すると約束した者が、試験の前にその車を第三者に売った場合も、「Bは,Aに対し,それにより生じた損害の賠償を請求することができる」という肢は正しいです。故意でなく過失で目的物を傷つけた場合も同じで、特定物を引き渡すことになる者は条件成就までその物を善良な管理者の注意をもって保存すべきなので、「Bが甲大学に合格しても、Aは、Bに対し、損害賠償義務を負わない」という肢は誤りです。

条件の成否が未定の間の権利義務も、一般の規定に従って処分・相続・保存し、そのために担保を供することができます

条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができます(129条)。条件付きの権利も一つの財産権として、普通の権利と同じように取引や相続の対象になるということです。「条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は,一般の規定に従い,処分し,相続し,若しくは保存し,又はそのために担保を供することができる」という肢は正しく、「条件の付された権利は,その条件の成否が未定である間は,相続することができない」という肢は誤りです。BがCと婚姻したら甲土地を贈与するという契約のBの権利も、条件の成否未定の間に第三者に譲渡できるので、「Bは、その条件の成否が未定である間は、AB間の契約に基づくBの権利を第三者に譲渡することができない」という肢は誤りです。不動産の停止条件付の権利なら、仮登記をして順位を保全すること(保存)もできます。

教室の場面。先生が教師役(札「先生」)で黒板の前に立つ。黒板の中央に円「条件付きの権利(成否未定)」があり、そこから四方へ矢印が伸びて、それぞれ「譲渡できる(処分)」「相続できる」「仮登記できる(保存)」「担保に入れられる」と書かれている。

条件付権利の目的物を第三者が占有していれば、条件の成否が未定の間もその第三者のための取得時効は進行します

停止条件付の権利は、条件が成就するまで行使できないので、その権利の消滅時効は条件が成就するまで進みません。しかし、その目的物を第三者が占有している場合には、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することは妨げられません(166条3項本文)。権利者は、時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができます(同項ただし書)。条件付権利者は条件成就まで目的物を取り戻せないので、承認を求める手段で時効の完成を防げるようにしたのです。また、法律行為の時に条件の成否が既に決まっていたのに当事者がそれを知らない間は、128条と129条が準用されます(131条3項)。

  • 侵害の禁止(128条)条件の成否未定の間に相手方の利益を害すれば、条件成就のとき損害賠償責任を負います
  • 処分・相続・保存・担保(129条)条件付きの権利義務も一般の規定に従って譲渡・相続・仮登記・担保の対象になります
  • 目的物の第三者占有(166条3項)占有開始の時から第三者のための取得時効が進み、権利者は承認を求めて更新できます
  • 既成条件を知らない間(131条3項)128条・129条が準用されます

民法128条

条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。

民法129条

条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。

民法166条3項

前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

試験ではこう問われる

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