行政事件訴訟については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
この法律において「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟をいう。
この条文の過去問 1問
正しい。取消訴訟の原告適格は法律上の利益を有する者に限られ(行政事件訴訟法9条1項)、審査請求の不服申立適格も判例上同じ基準で解されているから、双方に当てはまる(C)。
取消訴訟については、行政事件訴訟法9条1項が、処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限って提起できると明定し、平成16年改正で新設された同条2項が、処分の相手方以外の第三者について、根拠法令の文言だけでなくその趣旨・目的や害される利益の内容・性質を考慮して判断すべきことを定めている。これに対し行政不服審査法は不服申立適格について明文を置かず、出題当時の4条1項も現行の2条も、行政庁の処分に不服がある者と定めるにとどまる。しかし最判昭53.3.14(主婦連ジュース事件)は、この不服がある者とは当該処分について不服申立てをする法律上の利益がある者、すなわち当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと判示し、単なる事実上の利益や一般消費者としての反射的利益しか持たない者を除外した。この判決は不服申立適格を取消訴訟の原告適格と実質的に同一の基準で捉えるものであり、本肢は審査請求と取消訴訟の双方に当てはまる。この分類は現行法でも変わらない。

不服申立をすることができる「行政庁の処分に不服がある者」とは、当該処分について不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。
| 審査請求(行政不服審査法) | 取消訴訟(行政事件訴訟法) | |
|---|---|---|
| 取り消せる理由 | 違法だけでなく不当も(1条1項・45条・46条) | 違法のみ。裁量処分は逸脱・濫用に限る(30条) |
| 申立て・出訴期間 | 処分があったことを知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年。正当な理由があれば例外(18条) | 処分があったことを知った日から6か月、処分の日から1年。正当な理由があれば例外(14条) |
| 適格 | 処分に不服がある者=法律上の利益を有する者(最判昭53.3.14 主婦連ジュース事件) | 処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(9条) |
| 前置 | 再調査の請求・再審査請求は法律に定めがあるときだけで、審査請求の前に他の不服申立てを経る義務はない(旧法の異議申立て前置は廃止) | 法律に定めがあれば審査請求前置(8条1項ただし書)。3か月経過などで解除(8条2項) |
| 審理 | 書面審理が原則、審理員と第三者機関の関与、職権探知 | 口頭弁論、弁論主義を基本に職権証拠調べ(24条) |
| 不利益変更 | 禁止(48条) | 不告不理により問題にならない |
1この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
1 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
2 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
この条文の過去問 26問
正しい。申請型義務付けの訴えと併合提起された取消しの訴えの弁論及び裁判は分離しないでしなければならないが、審理の状況その他の事情を考慮して迅速な解決に資すると認めるときは、取消しの訴えについてのみ終局判決をすることができる。
申請型義務付けの訴えは、行政事件訴訟法37条の3第3項により、申請に対する不作為の場合は不作為の違法確認の訴えを、拒否処分がされた場合は取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合して提起しなければならない。義務付けの判断は先行する拒否処分や不作為の違法と表裏の関係にあるから、同条4項は併合された訴えの弁論及び裁判は分離しないでしなければならないと定め、判断の食い違いを防いでいる。しかし義務付けの本案では処分をすべきことが根拠法令から明らかかどうか(同条5項)まで審理する必要があり、取消しの訴えだけなら早く結論が出せる場合がある。そこで同条6項は、4項の規定にかかわらず、裁判所が審理の状況その他の事情を考慮して、取消しの訴え等についてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、その訴えについてのみ終局判決をすることができるとし、その場合には当事者の意見を聴いて、義務付けの訴えの訴訟手続を中止することができるとした。本肢は分離禁止の原則と先行判決の例外をそのまま述べている。

第四項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、第三項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。この場合において、裁判所は、当該訴えについてのみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴いて、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することができる。
- 提起できる者: 法令に基づく申請又は審査請求をした者に限る(2項)。重大な損害・補充性は要件でない
- 併合提起: 不作為の場合は不作為の違法確認の訴え、拒否処分の場合は取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合しなければならない(3項)
- 分離禁止: 併合された訴えの弁論及び裁判は分離しないでする(4項)
- 本案勝訴要件: 併合した訴えに理由があり、かつ処分をすべきことが根拠法令から明らか、又はしないことが裁量権の逸脱・濫用(5項)
- 先行判決: 迅速な解決に資するときは取消しの訴え等についてのみ終局判決ができ、当事者の意見を聴いて義務付けの訴えの手続を中止できる(6項)
- 認容判決の効力: 処分を命ずるだけで処分そのものを作り出さない。拘束力(33条)で行政庁が処分をする
正しい。非申請型義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り提起することができる(行訴法37条の2第3項)。
行政事件訴訟法37条の2第3項は、3条6項1号の義務付けの訴え(非申請型義務付けの訴え)について、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り提起することができると定め、原告適格を法律上の利益を有する者に限っている。非申請型義務付けの訴えは、処分の相手方ではない第三者が行政庁に規制権限の発動を求める場面で用いられることが多く、申請権を前提としないため、そのままでは出訴し得る者の範囲が限りなく広がりかねない。そこで法は取消訴訟の原告適格(9条)と同じ絞りをかけ、同条4項で9条2項を準用して、処分の根拠法令が当該利益を一般的公益に吸収解消させるにとどめず個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むかによって判断させることにした。非申請型ではこれに加えて、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないことが要件になる(同条1項)。本肢は原告適格に関する37条の2第3項の文言どおりである。

第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
| 非申請型(3条6項1号・37条の2) | 申請型(3条6項2号・37条の3) | |
|---|---|---|
| 場面 | 申請を前提とせず、第三者への規制権限の発動などを求める | 法令に基づく申請又は審査請求をした者が、その応答を求める |
| 原告適格 | 処分を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者(9条2項を準用) | 申請又は審査請求をした者 |
| 損害要件・補充性 | 重大な損害を生ずるおそれ、かつ他に適当な方法がないこと | 不要 |
| 併合提起 | 不要(単独で提起できる) | 不作為の違法確認の訴え、又は取消訴訟・無効等確認の訴えを併合しなければならない |
| 本案勝訴要件 | 処分をすべきことが根拠法令から明らか、又はしないことが裁量権の逸脱・濫用 | 併合した訴えに理由があり、かつ同左 |
誤り。違うのは「重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り」の部分である。これは非申請型義務付けの訴えの要件であり、申請型義務付けの訴えの要件ではない。
一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないことを要件とするのは、行政事件訴訟法3条6項1号の義務付けの訴え(非申請型)についての37条の2第1項である。同項2号の義務付けの訴え(申請型)の要件は37条の3が定めており、法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと(1項1号)、又は申請若しくは審査請求を却下し若しくは棄却する処分若しくは裁決がされ、それが取り消されるべきものであり若しくは無効若しくは不存在であること(1項2号)を要件とし、提起できる者を当該申請又は審査請求をした者に限り(2項)、1号の場合は不作為の違法確認の訴えを、2号の場合は取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合して提起することを求めている(3項)。申請型では、法令上の申請権を持つ者が自ら申請をしている以上、出訴し得る者の範囲は申請者に限られており、非申請型のように重大な損害や補充性で訴えを絞る必要がないからである。本肢は非申請型の要件を申請型の要件として述べている。

前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。
| 非申請型(3条6項1号・37条の2) | 申請型(3条6項2号・37条の3) | |
|---|---|---|
| 場面 | 申請を前提とせず、第三者への規制権限の発動などを求める | 法令に基づく申請又は審査請求をした者が、その応答を求める |
| 原告適格 | 処分を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者(9条2項を準用) | 申請又は審査請求をした者 |
| 損害要件・補充性 | 重大な損害を生ずるおそれ、かつ他に適当な方法がないこと | 不要 |
| 併合提起 | 不要(単独で提起できる) | 不作為の違法確認の訴え、又は取消訴訟・無効等確認の訴えを併合しなければならない |
| 本案勝訴要件 | 処分をすべきことが根拠法令から明らか、又はしないことが裁量権の逸脱・濫用 | 併合した訴えに理由があり、かつ同左 |
誤り。違うのは「「一定の処分」を観念することができないから…同項の差止めの訴えとしては不適法である」の部分である。判例は自衛隊機の運航に関する防衛大臣の権限の行使を処分と捉え、その差止めを法定の差止めの訴えとして扱っている。
差止めの訴えは行政庁が一定の処分をしてはならない旨を命ずることを求める訴えであるから(行政事件訴訟法3条7項・37条の4)、対象となる処分を観念できるかが入口の問題になる。厚木基地第4次訴訟の第1審は自衛隊機の運航は法定の差止めの訴えになじまないとして無名抗告訴訟として適法とする構成をとったが、控訴審(東京高判平27.7.30)は、自衛隊機の運航は性質上必然的に騒音等の発生を伴い、防衛大臣の運航統括権限の行使は周辺住民にその騒音等の受忍を義務付けることになるから、周辺住民との関係では公権力の行使に当たる行為であるとし、この権限行使(自衛隊機運航処分)の事前差止めを求める訴えは37条の4所定の差止めの訴えに該当するとした。上告審(最判平28.12.8)もこれを前提に、重大な損害を生ずるおそれの要件を認めて訴えを適法としつつ、本案では運航の高度の公共性・公益性等を考慮して権限行使が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くとはいえないとして請求を棄却した。本肢は判例が処分と捉えた行為について処分を観念できないとしている。

防衛大臣の上記権限の行使は、自衛隊機の運航に必然的に伴う騒音等について周辺住民の受忍を義務付けることとなるので、これら周辺住民との関係において、公権力の行使に当たる行為ということになる。…本件自衛隊機差止めの訴えは、…自衛隊機の運航という事実行為に係る権限行使(自衛隊機運航処分)がその根拠法規に照らして違法であることを主張してこれを事前に差し止めることを求めるものであり、抗告訴訟の類型としては行訴法三条七項、三七条の四所定の差止めの訴えに該当する。
- 訴訟要件: ①一定の処分がされる蓋然性 ②重大な損害を生ずるおそれ(回復の困難の程度を考慮) ③他に適当な方法がないこと(補充性) ④法律上の利益(9条2項を準用)
- 本案勝訴要件: 処分をすべきでないことが根拠法令から明らか、又は処分をすることが裁量権の逸脱・濫用(37条の4第5項)
- 自衛隊機の運航: 防衛大臣の運航統括権限の行使を処分と捉え、法定の差止めの訴えとして適法(最判平28.12.8)。本案は棄却
- 無名抗告訴訟との関係: 処分の予防を目的とする公的義務の不存在確認の無名抗告訴訟は、差止めの訴えより緩やかな要件では許されない(最判平24.2.9)。処分の蓋然性を欠けば不適法(最判令1.7.22)
- 当事者訴訟: 公法上の法律関係に関する確認の訴え(4条後段)は、紛争の成熟性等を満たせば別途適法になりうる(最判平24.2.9)
正しい。不作為の違法確認の訴えは現在も続く不作為状態の違法を確認するものであるから、違法性の判断は事実審の口頭弁論終結時を基準にする。
不作為の違法確認の訴えは、行政庁が法令に基づく申請に対し相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるのにこれをしないことについて、違法の確認を求める訴訟である(行訴法3条5項)。取消訴訟の違法判断は、裁判所が行政庁の第一次的判断を事後的に審査する立場にあることから処分時を基準にするのが判例・通説である。これに対し、不作為の違法確認の訴えは過去の処分の適否を問うのではなく、申請に何の応答もしないという現在なお継続している状態そのものの違法を確認するものであるから、その違法性は判決をする時点、すなわち事実審の口頭弁論終結時を基準に判断される。行訴法に基準時の規定はなく、この点を正面から判示した最高裁判例も見当たらないが、同法7条を介した民事訴訟の一般的な理解に従い口頭弁論終結時が基準となる。出訴時や相当の期間が経過した時を基準とする見解もあるが、口頭弁論終結時とする見解が多数である。この帰結として、口頭弁論終結時までに申請に対する何らかの処分がされれば不作為状態は解消し、訴えの利益を失って却下される。

この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
| 訴訟 | 基準時 | 理由 |
|---|---|---|
| 取消訴訟 | 処分時 | 行政庁の第一次的判断を事後的に審査する。処分後の法改正や事情の変化は考慮しない |
| 不作為の違法確認訴訟 | 判決時(事実審の口頭弁論終結時) | 現在も続く不作為状態の違法を確認する。終結時までに応答があれば訴えの利益を失う |
| 義務付け訴訟・差止訴訟 | 判決時(事実審の口頭弁論終結時) | これから行政庁がすべきこと・すべきでないことを命じる |
| 原子炉設置許可の取消訴訟 | 現在の科学技術水準(最判平4.10.29) | 安全審査の合理性は現在の知見に照らして判断する |
誤り。違うのは「懲戒処分の予防を目的として、当該職務命令に基づく公的義務が存在しないことの確認を求める訴訟がこれに当たります」の部分である。
最判平24.2.9は、公立学校の教職員が国歌斉唱の際の起立斉唱を命ずる職務命令に基づく公的義務の不存在の確認を求めた訴えについて、その目的によって訴訟の性質を分けた。職務命令違反を理由とする懲戒処分の予防を目的とする場合、この訴えは実質的には懲戒処分の差止めの訴えを公的義務の存否に係る確認の訴えの形式に引き直したものであり、行政処分に関する不服を内容とする訴訟として、将来の不利益処分である懲戒処分の予防を目的とする無名抗告訴訟として位置付けられる。法定の差止めの訴え(3条7項、37条の4)がある以上、これと同様の訴訟要件を満たさなければならず、公法上の当事者訴訟にはならない。これに対し、職務命令違反が懲戒処分の処分事由と評価されることに伴い、勤務成績の評価を通じた昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする場合には、公法上の当事者訴訟の一類型である公法上の法律関係に関する確認の訴え(4条)として位置付けることができるとした。本肢は懲戒処分の予防を目的とする場合を挙げているから、実質的当事者訴訟には当たらない。

本件職務命令に基づく公的義務の不存在の確認を求める訴えは、…行政処分に関する不服を内容とする訴訟として構成する場合には、将来の不利益処分たる懲戒処分の予防を目的とする無名抗告訴訟として位置付けられるべきものであるが、…行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする訴訟として構成する場合には、公法上の当事者訴訟の一類型である公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条)として位置付けることができる。
| 予防したい不利益 | 訴訟の性質 | 扱い |
|---|---|---|
| 懲戒処分 | 差止めの訴えを確認の形に引き直した無名抗告訴訟 | 法定の差止めの訴えがあるので、それと同じ訴訟要件を要する(補充性を欠けば不適法) |
| 昇給等の処遇上の不利益(行政処分でないもの) | 公法上の法律関係に関する確認の訴え(実質的当事者訴訟) | 確認の利益があれば適法 |
正しい。即時強制は行訴法3条2項のその他公権力の行使に当たる行為に含まれる権力的事実行為であるから、差止めの訴え(同条7項)の対象となる。
行政事件訴訟法3条7項は、差止めの訴えを、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合に、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟と定める。ここでの「処分」は同条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」を指し、行政行為のほか、公権力の行使としてされる権力的事実行為を含む。即時強制は、義務を課すことなく国民の身体や財産に直接実力を加える権力的事実行為であり、抗告訴訟の対象となる公権力の行使に当たる。行政不服審査法が事実上の行為に対する審査請求を認めていること(同法46条1項、47条)も、こうした事実行為が不服申立てや抗告訴訟の枠に乗ることを前提にしている。即時強制は行われてしまえば短時間で完了し、事後の取消訴訟では救済にならないことが多いから、事前に差止めの訴えを起こし、重大な損害を生ずるおそれ(37条の4第1項)などの要件を満たせば、実力行使を止める判決を得ることができる。本肢は抗告訴訟による事前の救済手段として差止めの訴えを挙げており、正しい。

この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
- 処分の蓋然性: 一定の処分がされようとしていること
- 重大な損害: 処分により重大な損害を生ずるおそれがあること(1項本文)。損害の回復の困難の程度を考慮する(2項)
- 補充性: 損害を避けるため他に適当な方法があるときは提起できない(1項ただし書)
- 原告適格: 処分がされることにより法律上の利益を有する者(3項)
- 対象: 行政行為に限らず、即時強制のような権力的事実行為も含む(3条2項の「その他公権力の行使に当たる行為」)
誤り。違うのは「申請拒否処分がされたことが前提となるので、申請に対する応答がない段階では提起することができず」の部分である。申請に対し相当の期間内に何らの処分がされないときも申請型義務付け訴訟を提起できる(行訴法37条の3第1項1号)。
行政事件訴訟法3条6項2号は、申請型義務付けの訴えを、法令に基づく申請がされた場合において、行政庁がその処分をすべきであるにかかわらずこれがされないときに、処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟と定める。「されないとき」には拒否処分がされた場合だけでなく応答がない場合も含まれ、37条の3第1項は、1号で申請に対し相当の期間内に何らの処分がされないこと、2号で申請を却下し又は棄却する処分がされ、それが取り消されるべきもの又は無効若しくは不存在であることを、それぞれ提起できる場合として並べている。応答がない段階では、同条3項1号により不作為の違法確認の訴えを義務付けの訴えに併合して提起しなければならず、拒否処分がされた段階では同項2号により取消訴訟又は無効等確認訴訟を併合する。不作為の違法確認の訴えだけでは、勝訴しても行政庁に応答義務が生じるにとどまり処分の内容は決まらないから、処分そのものを得たい申請者のために応答がない段階から義務付けの訴えを認めたのである。本肢は応答がない段階では不作為の違法確認の訴えしか使えないとしている点が誤りである。

第三条第六項第二号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。一 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。二 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。
| 応答がない場合 | 拒否処分がされた場合 | |
|---|---|---|
| 要件 | 相当の期間内に何らの処分もされない(37条の3第1項1号) | 却下・棄却処分が取り消されるべきもの、又は無効・不存在(同項2号) |
| 併合提起する訴え | 不作為の違法確認の訴え(同条3項1号) | 取消訴訟又は無効等確認訴訟(同項2号) |
| 本案勝訴要件 | 併合した訴えに理由があり、かつ処分をすべきことが法令の規定から明らか又は処分をしないことが裁量権の逸脱濫用(同条5項) | 同左 |
誤り。違うのは「後続の仮換地指定や換地処分の取消訴訟によって権利救済の目的が十分達成でき、事件の成熟性が欠けることから、処分性は認められません」の部分である。最大判平20.9.10は事業計画の決定に処分性を認め、青写真判決を変更した。
最大判平20.9.10は、土地区画整理事業の事業計画の決定が公告されると、施行地区内では土地の形質の変更や建築物の新築などが知事等の許可にかかり、違反には原状回復命令や罰則が用意され、しかも事業は計画に沿って進んで宅地所有者等は換地処分を受けるべき地位に立たされるから、その法的地位に直接的な影響が生じ、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないとはいえないとした。さらに、換地処分の段階で事業計画の違法を争っても、工事が進んだ後では公共の福祉を理由に事情判決がされる可能性が高く、宅地所有者等の救済が十分に果たされないから、実効的な権利救済を図るためには事業計画の決定の段階で取消訴訟の提起を認めるのが合理的であると述べ、決定を行政事件訴訟法3条2項の処分に当たるとした。かつて最大判昭41.2.23は、事業計画は事業の青写真にすぎず、後続の処分を待って争えば足りるとして処分性を否定していたが、本判決はこれを変更した。本肢は変更前の判例の理屈を述べており、現在の判例と逆である。

施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきであり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 供託官による供託物取戻請求の却下 | 最大判昭45.7.15 | 処分性あり。寄託契約の当事者にとどまらず行政機関として判断する権限が与えられている |
| 道路交通法の反則金の納付の通告 | 最判昭57.7.15 | 処分性なし。通告で納付義務は生じず、反則行為の不成立は刑事手続の中で争う |
| 土地区画整理事業の事業計画の決定 | 最大判平20.9.10 | 処分性あり。宅地所有者は換地処分を受けるべき地位に立たされ、この段階で争わせることが実効的な救済になる |
| 都市計画法の用途地域の指定 | 最判昭57.4.22 | 処分性なし。効果は法令の制定と同じく不特定多数への一般的抽象的なものにとどまる |
正しい。差止めの訴えは処分がされようとしている場合に提起できるものであり(行政事件訴訟法3条7項)、「一定の処分がされようとしていること」、すなわち処分がされる蓋然性があることが救済の必要性を基礎付ける前提となる訴訟要件である。
行政事件訴訟法3条7項は、差止めの訴えを、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟と定義する。「されようとしている場合」という文言は、その処分が現実にされる蓋然性があることを求める趣旨であり、差止訴訟の訴訟要件として位置づけられる。差止訴訟は処分前に行政庁の作為を事前に禁ずる例外的な救済方法であるから、処分がされる現実的な可能性が認められない抽象的な段階では、具体的な紛争が成熟しておらず、救済の必要性を論じる前提を欠く。37条の4第1項が重大な損害を生ずるおそれを求めるのも、処分がされる蓋然性があることを当然の前提にしている。最判平24.2.9は、卒業式などでの起立斉唱を命じる職務命令の違反を理由とする懲戒処分の差止めについて、同種の職務命令と処分が反復継続的にされてきた実績などから処分がされる蓋然性を認めた上で、重大な損害の有無を判断した。蓋然性、重大な損害、補充性の順に検討する構造である。

この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
- 処分の蓋然性:一定の処分がされようとしていること。行政庁が処分をする蓋然性が救済の必要性を基礎づける前提となる
- 重大な損害:処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあること(37条の4第1項本文)。損害の回復の困難の程度を考慮する(同条2項)
- 補充性:その損害を避けるため他に適当な方法があるときでないこと(同項ただし書)
- 原告適格:処分をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者(同条3項・4項)
誤り。違うのは「当該処分がされたのと同様の効果が生ずる」の部分である。義務付け判決は行政庁に処分をすべきことを命じるだけで、処分の効果は行政庁が現実に処分をして初めて生じる。
義務付け訴訟(行政事件訴訟法3条6項)の認容判決は、行政庁が一定の処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決であり(37条の2第5項、37条の3第5項)、行政庁に作為を命じる給付判決の性質を持つ。判決が確定しても、それによって直ちに当該処分がされたのと同じ法的効果が発生するわけではなく、行政庁が判決に従って現実に処分をしたときに初めて処分の効果が生じる。判決の効力としては、38条1項が33条を準用する結果、その事件について処分をすべき行政庁その他の関係行政庁が判決の趣旨に従って処分をすべき義務、すなわち拘束力を負うにとどまり、取消判決の形成力や第三者効(32条)は準用されていない。判決自体に処分と同じ効果を認めれば、裁判所が行政庁に代わって処分をしたことになり、行政庁の第一次的判断権を前提とする構造と整合しない。本肢は判決の命令と処分の効果を同一視している点で誤りである。

義務付けの訴えが第一項から第三項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。
| 既判力 | 形成力・第三者効 | 拘束力 | |
|---|---|---|---|
| 生じる判決 | 認容判決にも棄却判決にも | 取消しの認容判決のみ | 認容判決のみ |
| 内容 | 処分の違法性の有無について当事者と裁判所を拘束する | 処分は初めからなかったことになり、行政庁の取消しを要しない。効力は第三者にも及ぶ(32条1項) | 処分庁その他の関係行政庁を判決の趣旨に従わせる(33条1項)。同一理由での再処分の禁止、改めて処分をする義務(同条2項・3項)、前提を失った関連処分を取り消す義務 |
| 義務付け訴訟への準用 | あり | なし(38条1項は32条を準用しない) | あり(38条1項) |
誤り。違うのは「隣地所有者は…不作為の違法確認の訴えを適法に提起することができる」の部分である。不作為の違法確認の訴えは処分についての申請をした者に限り提起でき(行政事件訴訟法37条)、是正措置を求める法令上の申請権のない隣地所有者は提起できない。
不作為の違法確認の訴え(行政事件訴訟法3条5項)の原告について37条は、処分又は裁決についての申請をした者に限り提起することができると定める。ここでの申請は法令に基づく申請、すなわち申請権が法令上認められている申請をいい、申請権のない第三者が職権の発動を促す事実上の要望をしただけの場合は含まれない。建築基準法9条1項に基づく違反建築物の是正措置は特定行政庁の職権で行われるものであり、隣地所有者その他の第三者に是正処分を求める法令上の申請権を与えた規定はない。したがって隣地所有者は37条の申請をした者に当たらず、不作為の違法確認の訴えを適法に提起することはできない。このような第三者の救済として用意されているのは非申請型の義務付け訴訟(3条6項1号)であり、重大な損害と補充性(37条の2第1項)と法律上の利益(同条3項)を満たせば是正措置の義務付けを求めることができる。

不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。
| 訴訟 | 原告 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 不作為の違法確認の訴え(3条5項・37条) | 処分又は裁決についての申請をした者に限る | 法令に基づく申請、相当の期間の経過、応答がないこと |
| 申請型義務付けの訴え(3条6項2号・37条の3) | 法令に基づく申請又は審査請求をした者に限る | 不作為の違法確認の訴え又は取消訴訟等の併合提起。重大な損害は要件でない |
| 非申請型義務付けの訴え(3条6項1号・37条の2) | 処分がされないことにより法律上の利益を害される者 | 重大な損害、補充性。単独で提起できる |
| 差止めの訴え(3条7項・37条の4) | 処分をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者 | 処分の蓋然性、重大な損害、補充性。原告適格には9条2項を準用 |
誤り。違うのは「当該処分がされたのと同様の効果が生ずる」の部分である。義務付け判決は行政庁に処分を命ずるにとどまり、行政庁が判決に従って処分をして初めて処分の効果が生じる。
義務付け訴訟の認容判決は、行政庁に対し一定の処分をすべき旨を命ずる判決であり(非申請型につき行政事件訴訟法37条の2第5項、申請型につき37条の3第5項)、形成訴訟ではなく給付訴訟に属する。したがって判決の確定によって当該処分がされたのと同様の効果が生じるものではなく、行政庁が判決に従って現実に処分を行って初めて、許可や給付決定といった法効果が発生する。取消判決に認められる形成力は義務付け判決にはない。もっとも38条1項により33条が準用されるから、認容判決は関係行政庁を拘束し、行政庁は判決の趣旨に従って命じられた処分をする法的義務を負う。判決自体に処分と同一の効果を認めることは、裁判所が行政庁の第一次的判断権を全面的に代替することになり、権力分立の観点から相当でない。認容要件が限定されているのも、裁判所の役割が処分義務の判断と命令にとどまることの表れである。

第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。
- ["形成力・第三者効(32条1項)", "取消しの認容判決にのみ生じる。処分は行政庁の取消しを待たずに初めからなかったことになり、効力は第三者にも及ぶ"]
- ["拘束力(33条)", "認容判決にのみ生じる。処分庁その他の関係行政庁を判決の趣旨に従わせ、同じ理由での再処分を封じ、申請拒否処分の取消しなら改めて申請に対する処分をさせる(2項)。前提を失った後続処分を取り消して原状回復する義務も導かれる"]
- ["既判力", "認容判決にも棄却判決にも生じる。処分の違法性の有無について当事者と裁判所を拘束する"]
- ["義務付け判決", "行政庁に処分を命ずる給付判決であり、形成力はない。38条1項で33条が準用され、行政庁が拘束力に従って処分をして初めて効果が生じる"]
誤り。違うのは「不作為の違法確認の訴えを適法に提起することができる」の部分である。この訴えは処分についての申請をした者に限り提起でき(行政事件訴訟法37条)、隣地所有者に是正命令を求める申請権はない。
不作為の違法確認の訴えは、法令に基づく申請に対し相当の期間内に処分がされないことの違法の確認を求める訴訟であり(行政事件訴訟法3条5項)、申請の存在を前提とする。37条は、この訴えは処分又は裁決についての申請をした者に限り提起することができると定め、ここでの申請とは、法令上行政庁に応答義務を生じさせる申請権に基づくものでなければならない。建築基準法9条1項の違反是正措置は特定行政庁が職権で発動するものであり、隣地所有者に是正命令の発動を求める申請権を認めた規定はないから、隣地所有者が是正を求める申出をしても職権発動を促す事実上の端緒にすぎない。したがって隣地所有者は申請をした者に当たらず、不作為の違法確認の訴えを適法に提起することはできない。この場合に採るべきなのは37条の2の非申請型義務付け訴訟であり、重大な損害を生ずるおそれと補充性を満たし、処分の義務付けを求めるにつき法律上の利益を有する者が提起できる。倒壊で生命・身体が害されるおそれのある隣地所有者はこれに当たり得る。

不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。
| 訴訟 | 原告 | 固有の要件 |
|---|---|---|
| 不作為の違法確認(3条5項・37条) | 法令に基づく申請をした者に限る | 相当の期間の経過、応答がないこと |
| 申請型義務付け(3条6項2号・37条の3) | 法令に基づく申請をした者 | 不作為の違法確認の訴え又は取消訴訟等の併合提起が必要。弁論・裁判は分離しないが、取消訴訟等のみ先に終局判決できる(4項・6項) |
| 非申請型義務付け(3条6項1号・37条の2) | 処分の義務付けを求めるにつき法律上の利益を有する者 | 重大な損害を生ずるおそれ、他に適当な方法がないこと |
| 差止め(3条7項・37条の4) | 処分をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者(9条2項を準用) | 処分がされる蓋然性、重大な損害を生ずるおそれ、他に適当な方法がないこと |
誤り。違うのは「不作為の違法確認の訴えを提起して同処分の違法を主張することができる」の部分である。認可を拒否する処分が出た時点で不作為は存在しない。
不作為の違法確認の訴えは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟である(行訴法3条5項)。審判の対象は、行政庁が諾否の応答をしないという不作為状態そのものの違法であるから、申請に対して認容であれ拒否であれ応答がされれば不作為状態は解消し、この訴えは訴えの利益を欠いて不適法となる。Aは認可を拒否する処分という応答を受けているのであって、知事にはもはや不作為がなく、不作為の違法確認の訴えの中で拒否処分の内容の違法を主張する余地もない。拒否処分の違法を争うには、その拒否処分の取消訴訟(3条2項)又は無効等確認の訴え(3条4項)を提起すべきであり、認可そのものを得たいのであれば、申請型義務付け訴訟(3条6項2号)をこれらと併合して提起することになる(37条の3第3項2号)。本肢は、応答がないときの訴訟類型と、拒否の応答があったときの訴訟類型を取り違えている。

この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
| 行政庁の状態 | 使う訴訟 |
|---|---|
| 相当の期間を過ぎても応答がない | 不作為の違法確認の訴え(3条5項)+申請型義務付け訴訟(3条6項2号、37条の3第3項1号) |
| 拒否処分がされた | 拒否処分の取消訴訟(3条2項)又は無効等確認の訴え(3条4項)+申請型義務付け訴訟(37条の3第3項2号) |
| 不作為の違法確認の原告 | 処分又は裁決についての申請をした者に限る(37条) |
正しい。水俣病の認定申請は法令に基づく申請であり、相当の期間内に何らの応答処分も受けていない申請者は、行訴法3条5項・37条により不作為の違法確認の訴えを提起できる。
不作為の違法確認の訴えは、行政庁が法令に基づく申請に対し相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟であり(行訴法3条5項)、処分又は裁決についての申請をした者に限り提起できる(37条)。公害健康被害の補償等に関する法律(本肢当時は公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法を含む)に基づく水俣病の認定は、申請者が補償給付を受け得る法的地位を取得するかどうかを個別具体的に決定する処分であり、その申請は法令に基づく申請である。したがって、知事に認定申請をした者が、相当の期間内に認定又は棄却のいずれの応答処分も受けていなければ、不作為の違法確認の訴えの要件はそろう。相当の期間かどうかは、行政手続法6条の標準処理期間や当該処分に必要な調査・審査の内容を考慮して判断されるが、審査に長期間を要する事情があるからといって訴えが不適法になるわけではなく、その事情は本案で不作為が違法かどうかの判断に影響するにとどまる。

この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
- 申請をしたこと: 処分又は裁決についての申請をした者に限り提起できる(37条)。法令に基づく申請権が前提で、職権発動を促すだけの申出では足りない
- 相当の期間の経過: 申請から社会通念上相当と認められる期間が過ぎていること。標準処理期間(行政手続法6条)は目安になる
- 応答がないこと: 何らの処分又は裁決もされていないこと。拒否処分がされれば不作為ではなくなり、取消訴訟で争う
- 併合: 申請型義務付け訴訟(37条の3第3項1号)と併合すれば、応答だけでなく認容処分そのものを求められる
正しい。水俣病の認定申請は法令に基づく申請であり、知事は相当の期間内に認定又は棄却の応答をすべき義務を負うから、応答がないときは申請者が不作為の違法確認の訴えを提起できる。
不作為の違法確認の訴えは、行政庁が法令に基づく申請に対し相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるのにこれをしないことについての違法の確認を求める訴訟であり(行政事件訴訟法3条5項)、原告適格は処分又は裁決についての申請をした者に認められる(37条)。公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法と公害健康被害の補償等に関する法律は、水俣病などの指定疾病にかかっている旨の都道府県知事の認定を申請する権利を被害者に与えており、認定を受けることで医療費や補償給付を受ける法的地位が付与される。したがって知事への水俣病認定の申請は法令に基づく申請に当たり、知事は相当の期間内に認定又は棄却のいずれかの応答処分をすべき法律上の義務を負う。申請から相当の期間が経過してもなお何らの応答処分がされなければ、申請者は不作為の違法確認の訴えを適法に提起でき、実際に水俣病認定申請の遅延について不作為の違法を確認した裁判例が積み重ねられている。現行法では申請型義務付けの訴えを併合して認定処分を求めることもできる。

この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
- 対象:行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるのにこれをしないこと
- 原告適格:処分又は裁決についての申請をした者に限られる(37条)。申請権のない者(違反建築物の是正を求める隣人など)は使えない
- 相当の期間:標準処理期間(行政手続法6条)は目安であり、超えただけで直ちに違法とはならない
- 判決の効力:不作為が違法であることの確認にとどまり、行政庁は拘束力により何らかの応答をすべきことになる。認容処分を求めるには申請型義務付けの訴えを併合する(37条の3第3項1号)
- 国家賠償との関係:遅延が通常必要な期間を超えて長期にわたり正当な理由がなければ国家賠償法上も違法になり得る(最判平3.4.26)
正しい。最判平4.11.26が第二種市街地再開発事業の事業計画決定について土地所有者等の法的地位への直接的な影響を理由に処分性を認めたのと同じく、本判決も施行地区内の宅地所有者等の法的地位に直接的な影響が生ずることを理由に処分性を認めた。
最判平4.11.26は、都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の事業計画が公告されると、施行地区内の土地の所有者等は特段の事情のない限り自己の所有地等が収用されるべき地位に立たされ、また一定期間内に譲受け希望の申出をしなければ権利変換の途が閉ざされるという不利益を受けるとして、公告された事業計画の決定は土地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものであり抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした。最大判平20.9.10も、土地区画整理事業の事業計画の決定によって施行地区内の宅地所有者等が建築行為等の制限を伴う手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされ、その法的地位に直接的な影響が生ずると述べ、これを処分性を肯定する中心的な理由とした。第二種市街地再開発事業では収用されるべき地位、土地区画整理事業では換地処分を受けるべき地位という違いはあるが、事業計画の決定が後続の権利変動に向けた手続に土地所有者等を組み込むという構造が共通し、両判決の理由づけは同じ型に属する。本肢は両者の対応を正しく述べている。

公告された再開発事業計画の決定は、施行地区内の土地の所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものであって、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 土地区画整理事業の事業計画決定 | 最大判昭41.2.23 → 最大判平20.9.10で変更 | 肯定。換地処分を受けるべき地位に立たされ法的地位に直接影響。実効的な権利救済からも合理的 |
| 用途地域(工業地域)の指定 | 最判昭57.4.22 | 否定。法令の制定と同様の不特定多数者に対する一般的抽象的な効果にとどまる |
| 第二種市街地再開発事業の事業計画決定 | 最判平4.11.26 | 肯定。土地所有者等は特段の事情がない限り収用されるべき地位に立たされる |
| 市町村営土地改良事業の施行認可 | 最判昭61.2.13 | 肯定。土地改良法87条が事業計画決定を不服申立て・取消訴訟の対象と前提していることも根拠 |
誤り。違うのは「これを提起しないで開発許可処分の義務付けの訴えを提起することもできる」の部分である。
Xは都市計画法29条に基づく法令上の申請をしているから、Xが求める開発許可処分の義務付けの訴えは、行政事件訴訟法3条6項2号の申請型義務付け訴訟である。同法37条の3第1項は、申請型義務付け訴訟を提起できる場合を、法令に基づく申請に対し相当の期間内に何らの処分がされないこと(1号)と、申請を却下・棄却する処分がされたがそれが取り消されるべきものであること(2号)に限り、同条3項は、1号の場合には不作為の違法確認の訴えを、2号の場合には取消訴訟又は無効等確認訴訟を、それぞれ義務付けの訴えに併合して提起しなければならないと定める。申請に対する処分の権限が行政庁にある以上、まず不作為の違法や拒否処分の違法を確定させたうえで、それと一体の判断として処分を命ずるのが処分権限の配分に適合するからであり、併合提起は義務付けの訴えの適法要件である。したがって、不作為の違法確認の訴えを提起しないで義務付けの訴えだけを提起することはできず、本肢は法令とずれている。

第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、当該他の法律の定めにかかわらず、その定めに従う。一 第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え 二 第一項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え
| 非申請型(3条6項1号、37条の2) | 申請型(3条6項2号、37条の3) | |
|---|---|---|
| 場面 | 申請権のない者が処分を求める(第三者への規制権限の発動など) | 法令に基づく申請をした者が、不作為又は拒否処分を受けた |
| 訴訟要件 | 重大な損害を生ずるおそれ、他に適当な方法がないこと、法律上の利益 | 申請をした者であること。不作為型は不作為の違法確認、拒否型は取消訴訟等を併合提起 |
| 本案勝訴要件 | 処分をすべきことが法令の規定から明らか、又は処分をしないことが裁量権の逸脱・濫用 | 併合した訴えに理由があり、かつ処分をすべきことが明らか、又は処分をしないことが裁量権の逸脱・濫用 |
| 仮の救済 | 仮の義務付け(37条の5第1項) | 同左 |
誤り。違うのは「権限行使の不作為の違法確認訴訟を併合提起した上で」の部分である。隣地所有者が提起する除却命令の義務付け訴訟は非申請型(行訴法3条6項1号)であり、他の訴訟の併合提起は要件とされていない。
義務付けの訴えには、法令に基づく申請をした者が申請に対する処分を求めるもの(行訴法3条6項2号、申請型)と、申請権を前提としないもの(同項1号、非申請型)の二つがある。申請型は、行訴法37条の3第3項により、不作為の違法確認の訴え、又は申請を却下・棄却した処分の取消訴訟若しくは無効等確認の訴えを併合して提起しなければならない。これに対し、建築基準法9条1項に基づく除却命令は特定行政庁が職権で発するものであり、隣地所有者に命令を求める申請権はないから、隣地所有者がその発動を求める義務付け訴訟は非申請型に当たる。その訴訟要件は行訴法37条の2が定めており、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつその損害を避けるため他に適当な方法がないこと、及び法律上の利益を有することであって、他の訴訟の併合提起は求められていない。申請権がない者には不作為の違法確認の訴えの原告適格もないから、併合提起を要件にすること自体が成り立たない。本案で裁量権の逸脱・濫用の主張を要する点(37条の2第5項)は正しいが、本肢は訴訟要件の部分が誤っている。

第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
| 非申請型(3条6項1号) | 申請型(3条6項2号) | |
|---|---|---|
| 原告 | 処分を求める申請権のない者(例: 隣地所有者) | 法令に基づく申請をした者 |
| 訴訟要件 | 重大な損害を生ずるおそれ+他に適当な方法がないこと+法律上の利益(37条の2第1項・3項) | 不作為の違法確認、又は却下・棄却処分の取消し・無効等確認との併合提起(37条の3第3項) |
| 本案勝訴要件 | 処分をすべきことが法令上明らか、又は不作為が裁量権の逸脱・濫用(37条の2第5項) | 併合した訴えに理由があり、かつ処分をすべきことが法令上明らか、又は裁量権の逸脱・濫用(37条の3第5項) |
誤り。違うのは「抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されることはない」の部分である。医療法上は行政指導として定められた病院開設中止の勧告について、判例は処分性を肯定した(最判平17.7.15)。
最判平17.7.15は、医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には相当程度の確実さをもって病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものであり、保険医療機関の指定を受けられなければ実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになるから、行訴法3条2項にいう行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たると判示した。処分性は、法律が当該行為に付けた名称や形式ではなく、当該行為が国民の権利義務にどのような法効果を及ぼすかを実質的にみて判断されるものであり、勧告に法律上の拘束力がなくても、健康保険法の運用と結びついて相当程度の確実さで重大な不利益が生ずるなら、その段階で取消訴訟による救済を認めるのが実効的だという理屈である。したがって、法律が行政指導として定めていることは処分性を否定する決定的な理由にはならない。本肢は誤りである。

医療法三〇条の七の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。(中略)この勧告は、行政事件訴訟法三条二項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。
誤り。違うのは「国又は地方公共団体に属する機関がする行為でなければならない」の部分である。
最判昭39.10.29(大田区ごみ焼却場事件)は、行政事件訴訟法3条2項の処分とは、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうとした。ここで公権力の主体とされるのは、法律により公権力の行使の権限を与えられている者であり、国や地方公共団体の組織に属する機関に限られない。行政事件訴訟法11条2項自身が、処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には当該行政庁を被告とすると定め、国や公共団体の外にある行政庁の存在を前提にしている。最大判昭42.9.27は、弁護士会や日本弁護士連合会が弁護士に対してする懲戒を広い意味での行政処分に属するとしており、法律によって公権力の行使を委ねられた私法人や団体の行為も処分になりうる。本肢は処分をする主体を国・地方公共団体の機関に限っている点が誤りである。

処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。
- ["主体", "法律により公権力の行使を委ねられた者であればよく、国・公共団体の機関に限らない(行訴法11条2項、最大判昭42.9.27)"]
- ["内容", "権利義務を形成しまたはその範囲を確定する行為であればよく、権利制限・義務賦課に限らない(授益処分の拒否も含む)"]
- ["行政手続法との関係", "行手法の申請に対する処分・不利益処分でなくても処分になりうる(輸入禁制品該当の通知、最判昭54.12.25)"]
- ["名宛人", "国・地方公共団体を名宛人とする行為でも処分になりうる(都市計画事業認可、最大判平17.12.7)"]
誤り。違うのは「抗告訴訟として許容されるものをこの6類型に限定する趣旨である」の部分である。
行政事件訴訟法3条1項は、抗告訴訟とは行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいうと包括的に定義し、同条2項から7項までで処分の取消しの訴え、裁決の取消しの訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差止めの訴えの6類型を定めている。しかし同法は、抗告訴訟をこの6類型に限定する旨の規定を置いておらず、1項の包括的な定義は、公権力の行使に関する不服の訴訟であれば列挙された類型に当たらないものも抗告訴訟として認める余地を残したものと解されている。列挙された類型はあくまで典型例を法定したものであり、法定外の抗告訴訟、いわゆる無名抗告訴訟は、判例や学説の発展に応じて許容されうる。平成16年改正前は義務付けの訴えと差止めの訴えが法定されておらず、これらが無名抗告訴訟として議論され、判例も一定の要件のもとで認める余地を示していたという経緯そのものが、列挙が限定列挙でないことを示している。本肢は列挙を限定列挙と解している点が誤りである。

この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
| 類型 | 定義 | 原告 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟。法定6類型のほか無名抗告訴訟の余地がある | 法律上の利益を有する者(9条) |
| 当事者訴訟(4条) | 形式的当事者訴訟(法令により法律関係の一方を被告とする)と実質的当事者訴訟(公法上の法律関係に関する確認・給付訴訟) | 法律関係の当事者 |
| 民衆訴訟(5条) | 国・公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの | 法律に定める者に限る(42条)。9条は準用されない(43条1項) |
| 機関訴訟(6条) | 国・公共団体の機関相互間の権限の存否・行使に関する紛争の訴訟 | 法律に定める者に限る(42条) |
正しい。入学不許可処分は申請を拒否する処分であるから、その取消訴訟と併合して申請型の義務付けの訴えを提起し、行政事件訴訟法37条の5第1項により仮の義務付けを申し立てることができる。
公立高校への入学の申請に対して入学を拒否する処分がされた場合、申請者が入学許可処分を求めるには、行政事件訴訟法3条6項2号の申請型義務付けの訴えを用いる。37条の3第1項2号は、申請を却下し又は棄却する処分がされた場合に、その処分が取り消されるべきものであり又は無効若しくは不存在であることを訴訟要件とし、同条3項2号は、その処分の取消訴訟又は無効等確認の訴えを義務付けの訴えに併合して提起することを求めている。義務付けの訴えを提起すれば、37条の5第1項により、その義務付けの訴えに係る処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ本案について理由があるとみえるときは、裁判所は申立てにより決定をもって、仮に行政庁がその処分をすべき旨を命ずる仮の義務付けをすることができる。入学の時期を逸すれば当該年度の就学の機会は事後に回復できないから、償うことのできない損害の要件を満たしうる典型的な場面であり、入学不許可処分の取消訴訟と入学許可の義務付け訴訟を提起して、仮の入学許可を求める申立てをすることができる。

義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
| 執行停止(25条) | 仮の義務付け(37条の5第1項) | 仮の差止め(37条の5第2項) | |
|---|---|---|---|
| 前提となる本案 | 取消訴訟・無効等確認訴訟 | 義務付けの訴え | 差止めの訴え |
| 損害の要件 | 重大な損害を避けるため緊急の必要 | 償うことのできない損害を避けるため緊急の必要 | 償うことのできない損害を避けるため緊急の必要 |
| 本案の見込み | 理由がないとみえるときは不可(消極要件) | 理由があるとみえること(積極要件) | 理由があるとみえること(積極要件) |
| 公共の福祉 | 重大な影響を及ぼすおそれがあるときは不可 | 同左(37条の5第3項) | 同左(37条の5第3項) |
| 内閣総理大臣の異議 | あり(27条) | あり(37条の5第4項で準用) | あり(同) |
正しい。申請を拒否された者が義務付けの訴えを提起するときは、拒否処分の取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合して提起しなければならない。
行政事件訴訟法37条の3第1項2号は、法令に基づく申請を却下し又は棄却する旨の処分がされた場合において、当該処分が取り消されるべきものであり又は無効若しくは不存在であるときに、申請型の義務付けの訴えを提起できると定め、同条3項2号は、この場合の義務付けの訴えは、処分に係る取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合して提起しなければならないと定める。申請に対して拒否処分がされている以上、その処分の効力を残したまま義務付けだけを認めれば、拒否処分と義務付け判決が矛盾して法律関係が混乱するから、拒否処分の取消し又は無効確認の判断を同じ手続で得ることを義務づけたものである。併合提起は義務付けの訴えの適法要件であり、これを欠く義務付けの訴えは不適法として却下される。また同条4項により両訴えの弁論及び裁判は分離せずにしなければならず、5項により、取消訴訟等の請求に理由があり、かつ処分をすべきことが法令から明らかであるか、しないことが裁量権の逸脱・濫用となるときに義務付け判決がされる。本肢は37条の3第3項2号の内容を正しく述べている。

第一項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え(を併合して提起しなければならない)
正しい。行政事件訴訟法には差止めの訴えの規定があるが、行政不服審査法には不服申立てによって処分の差止めを求める規定がない。
行政事件訴訟法は3条7項で、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟を差止めの訴えと定義し、37条の4でその要件を定め、37条の5第2項で仮の差止めも設けている。これに対し行政不服審査法は、審査請求の対象を行政庁の処分(2条)と法令に基づく申請に対する不作為(3条)に限っており、まだされていない処分をあらかじめ止めることを求める不服申立ての類型を置いていない。行政不服審査は既にされた処分の見直しと申請に対する応答の督促のための制度であり、処分前の段階で行政庁の判断を拘束する手続は行政内部の統制になじまないと考えられているためである。処分後の救済としては執行停止(25条)があり、審査庁は処分の効力や執行を止めることができるが、これは処分がされた後の措置であって差止めとは異なる。本肢は両法の規定の有無を正しく述べている。

この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
| 事項 | 行政不服審査法 | 行政事件訴訟法 |
|---|---|---|
| 申立て・訴えの適格 | 明文なし(判例は法律上の利益がある者に限る) | 原告適格の規定あり(9条) |
| 処分の差止め | 規定なし | 差止めの訴え(3条7項・37条の4) |
| 期間(知った日基準) | 3か月(18条1項) | 6か月(14条1項) |
| 期間(処分の日基準) | 1年(18条2項) | 1年(14条2項) |
| 教示 | 処分の際の教示義務(82条)、誤った教示の救済(22条・55条・83条) | 教示義務あり(46条)。誤った教示の救済規定はなし |
| 審理の対象 | 違法・不当 | 違法のみ |
この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。
この条文の過去問 11問
誤り。違うのは「法第4条の当事者訴訟のうち、「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」である」の部分である。裁決の無効を前提に私法上の所有権の確認を求める訴えは、行訴法45条の争点訴訟に当たる民事訴訟である。
行訴法4条前段の形式的当事者訴訟は、本来なら処分・裁決の効力を争う抗告訴訟によるべき紛争について、法令が特に当該法律関係の当事者間で争わせることとした類型であり、当事者の一方を被告とする旨の法令上の明文の根拠があることが不可欠である。その典型が土地収用法133条2項・3項の損失補償に関する訴えで、収用委員会の裁決のうち補償額に不服がある者は、裁決の取消訴訟ではなく起業者又は土地所有者等を被告として補償額の増減を求める。これに対し本肢の訴えは、権利取得裁決が無効であることを前提に、私法上の権利である土地所有権が自己に帰属することの確認を求めるものである。処分の効力の有無が私法上の法律関係に関する訴訟の先決問題として争われる場合であり、行訴法45条が規律する争点訴訟に当たる。争点訴訟は民事訴訟であって当事者訴訟ではなく、土地収用法にも所有権確認の訴えを起業者を被告として提起すべき旨の規定はない。争われる法律関係が公法上のものなら当事者訴訟、私法上のものなら争点訴訟であり、本肢は所有権という私法上の関係を当事者訴訟に分類している点が誤りである。

私法上の法律関係に関する訴訟において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われている場合には、第二十三条第一項及び第二項並びに第三十九条の規定を準用する。
| 類型 | 争う対象 | 例 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 公権力の行使に関する不服 | 取消訴訟、無効等確認、不作為の違法確認、義務付け、差止め |
| 形式的当事者訴訟(4条前段) | 処分・裁決に関する法律関係で、法令が当事者の一方を被告と定めるもの | 土地収用法133条の損失補償の訴え(被告は起業者) |
| 実質的当事者訴訟(4条後段) | 公法上の法律関係の確認その他 | 在外国民の選挙権行使の地位確認(最大判平17.9.14)、職務命令に基づく義務の不存在確認(最判平24.2.9) |
| 争点訴訟(45条) | 私法上の法律関係で、処分の効力が前提問題 | 収用裁決の無効を前提とする所有権確認(民事訴訟) |
| 民衆訴訟(5条)・機関訴訟(6条) | 自己の法律上の利益にかかわらない是正/機関相互の権限争い | 選挙無効訴訟・住民訴訟/地方自治法251条の5の訴え。法律の定めがある場合だけ(42条) |
正しい。職務命令に基づく義務の不存在確認の訴えは、行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする場合、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして位置づけられる(最判平24.2.9)。
行訴法4条後段の実質的当事者訴訟は、平成16年改正で確認の訴えが明記され、処分性のない公権力的な作用に対する救済手段として活用が期待されている。公立学校の校長が教職員に発する職務命令は、行政組織内部の上司の指示という性質を持ち、国民の権利義務を直接形成する行為ではないから処分に当たらず、取消訴訟では争えない。最判平24.2.9は、国歌斉唱に係る職務命令に基づく義務の不存在確認を求める訴えについて、懲戒処分の予防を目的とする部分は無名抗告訴訟である差止めの訴えと解すべきものとしつつ、職務命令違反が懲戒処分の処分事由と評価されることに伴い、勤務成績の評価を通じた昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益が発生する危険が教職員の法的地位に現実の危険を及ぼし得るとして、そのような不利益の予防を目的とする訴訟として構成する場合には、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして位置づけることができるとした。処分の予防が目的なら差止訴訟が先に立ち、処分以外の不利益の予防なら確認の訴えになる。本肢は後者をそのまま述べており、正しい。

本件職務命令に基づく公的義務の存在は、その違反が懲戒処分の処分事由との評価を受けることに伴い、勤務成績の評価を通じた昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益が発生する危険の観点からも、都立学校の教職員の法的地位に現実の危険を及ぼし得るものといえるので、このような行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする訴訟として構成する場合には、…公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条)として位置付けることができる。
| 類型 | 争う対象 | 例 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 公権力の行使に関する不服 | 取消訴訟、無効等確認、不作為の違法確認、義務付け、差止め |
| 形式的当事者訴訟(4条前段) | 処分・裁決に関する法律関係で、法令が当事者の一方を被告と定めるもの | 土地収用法133条の損失補償の訴え(被告は起業者) |
| 実質的当事者訴訟(4条後段) | 公法上の法律関係の確認その他 | 在外国民の選挙権行使の地位確認(最大判平17.9.14)、職務命令に基づく義務の不存在確認(最判平24.2.9) |
| 争点訴訟(45条) | 私法上の法律関係で、処分の効力が前提問題 | 収用裁決の無効を前提とする所有権確認(民事訴訟) |
| 民衆訴訟(5条)・機関訴訟(6条) | 自己の法律上の利益にかかわらない是正/機関相互の権限争い | 選挙無効訴訟・住民訴訟/地方自治法251条の5の訴え。法律の定めがある場合だけ(42条) |
正しい。収用裁決の損失補償額を争う訴えは、土地収用法133条3項により起業者と土地所有者の一方が他方を被告として提起する訴訟であり、行訴法4条前段の形式的当事者訴訟に当たる。
行訴法4条前段の形式的当事者訴訟は、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で、法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものである。土地収用法133条2項は、収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えを裁決書正本の送達から6か月以内に提起すべきものとし、同条3項は、この訴えを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならないと定める。実質は収用委員会の裁決のうち補償に関する部分への不服であるが、補償額をめぐる争いは起業者と被収用者の間の財産上の利害の対立であるから、法は裁決をした収用委員会ではなく相手方当事者を被告とさせた。最判平9.1.28も、この訴訟は裁決のうち損失補償に関する部分に対する不服を実質的な内容としつつ、究極的には起業者と被収用者との間で裁決時における正当な補償額を確定し、正当な補償の実現を図ることを目的とすると述べている。起業者が補償額を過大だとして土地所有者を被告に提起する本肢の訴訟は、その代表例に当たる。

前項の規定による訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならない。
| 形式的当事者訴訟(4条前段) | 実質的当事者訴訟(4条後段) | |
|---|---|---|
| 内容 | 処分・裁決に関する訴訟だが、法令の規定で法律関係の当事者の一方を被告とするもの | 公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟 |
| 例 | 土地収用法133条の損失補償に関する訴え(起業者と土地所有者が当事者) | 在外国民の選挙権確認(最大判平17.9.14)、薬事法施行規則による郵便等販売規制と地位確認(最判平25.1.11)、処遇上の不利益予防のための義務不存在確認(最判平24.2.9) |
| 行政庁への通知 | 提起されたとき裁判所が処分・裁決をした行政庁に通知(39条) | なし |
| 準用 | 23条・24条・33条1項・35条、資料提出について23条の2(41条1項)。第三者効(32条1項)と執行停止は準用なし | 同左 |
誤り。違うのは「懲戒処分の予防を目的として、当該職務命令に基づく公的義務が存在しないことの確認を求める訴訟がこれに当たります」の部分である。
最判平24.2.9は、公立学校の教職員が国歌斉唱の際の起立斉唱を命ずる職務命令に基づく公的義務の不存在の確認を求めた訴えについて、その目的によって訴訟の性質を分けた。職務命令違反を理由とする懲戒処分の予防を目的とする場合、この訴えは実質的には懲戒処分の差止めの訴えを公的義務の存否に係る確認の訴えの形式に引き直したものであり、行政処分に関する不服を内容とする訴訟として、将来の不利益処分である懲戒処分の予防を目的とする無名抗告訴訟として位置付けられる。法定の差止めの訴え(3条7項、37条の4)がある以上、これと同様の訴訟要件を満たさなければならず、公法上の当事者訴訟にはならない。これに対し、職務命令違反が懲戒処分の処分事由と評価されることに伴い、勤務成績の評価を通じた昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする場合には、公法上の当事者訴訟の一類型である公法上の法律関係に関する確認の訴え(4条)として位置付けることができるとした。本肢は懲戒処分の予防を目的とする場合を挙げているから、実質的当事者訴訟には当たらない。

本件職務命令に基づく公的義務の不存在の確認を求める訴えは、…行政処分に関する不服を内容とする訴訟として構成する場合には、将来の不利益処分たる懲戒処分の予防を目的とする無名抗告訴訟として位置付けられるべきものであるが、…行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする訴訟として構成する場合には、公法上の当事者訴訟の一類型である公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条)として位置付けることができる。
| 予防したい不利益 | 訴訟の性質 | 扱い |
|---|---|---|
| 懲戒処分 | 差止めの訴えを確認の形に引き直した無名抗告訴訟 | 法定の差止めの訴えがあるので、それと同じ訴訟要件を要する(補充性を欠けば不適法) |
| 昇給等の処遇上の不利益(行政処分でないもの) | 公法上の法律関係に関する確認の訴え(実質的当事者訴訟) | 確認の利益があれば適法 |
本肢の訴訟は、行政事件訴訟法4条後段の実質的当事者訴訟に当たる。同条後段は「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」と規定しており、平成16年改正により「公法上の法律関係に関する確認の訴え」が例示として明記され、確認訴訟の活用が立法上も後押しされた。選挙権は公法上の権利であるから、次回の衆議院議員総選挙の小選挙区選出議員の選挙において在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えそのものである。最大判平成17年9月14日(在外国民選挙権訴訟)は、国外に居住する日本国民に小選挙区選出議員の選挙における投票を認めない公職選挙法の規定を違憲とした上で、次回の選挙において投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えを公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法と認め、請求を認容した。この訴えは行政庁の処分その他公権力の行使を対象とするものではないから抗告訴訟ではなく、また法令が被告適格を特に定めた形式的当事者訴訟(法4条前段)でもない。よって本肢は乙群3に当たる。
本肢の訴訟は、行政事件訴訟法4条前段の形式的当事者訴訟に当たる。同条前段は「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」と定める。収用委員会のする裁決は行政処分であり、その効力を争うのであれば本来は取消訴訟等の抗告訴訟によるべきである。しかし裁決のうち損失の補償の額に関する部分は、起業者と土地所有者・関係人との間の財産的利害の調整にすぎず、裁決庁たる収用委員会を被告として争わせる実益に乏しい。そこで土地収用法133条2項は、損失の補償に関する訴えを裁決書正本の送達を受けた日から6月以内に提起すべきものとし、同条3項は、その訴えを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を被告としなければならないと定めている。このように、実質は処分の内容を争いながら、法令の規定により当該法律関係の当事者の一方を被告とする訴訟形態が形式的当事者訴訟であり、本肢の補償額に係る債務不存在確認訴訟はその典型例である。よって本肢は乙群2に当たる。
本肢の訴訟は、行政事件訴訟法4条後段の実質的当事者訴訟に当たる。校長の職務命令は教職員に対し個別具体的な職務上の義務を課すものではあるが、本肢の訴訟が予防の対象としているのは行政処分以外の処遇上の不利益であって、懲戒処分等の行政処分の差止めを求めるものではない。最判平成24年2月9日は、公立学校の教職員が国歌斉唱等に係る校長の職務命令に基づく義務の不存在確認を求めた事案において、当該確認の訴えが将来の懲戒処分の予防を目的とするものである限りは、抗告訴訟としての差止めの訴え(法3条7項)によるべきであって無名抗告訴訟としての確認訴訟は不適法であるとする一方、行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする場合には、公法上の法律関係に関する確認の訴え、すなわち実質的当事者訴訟として位置付けられるとし、その上で確認の利益の有無を検討した。本肢は「行政処分以外の処遇上の不利益を予防する目的で」義務の不存在確認を求めるものであると明示されているから、まさに後者の場面に当たる。よって本肢は乙群3に当たる。
正しい。同判決は、義務不存在確認の訴えを、懲戒処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条)として構成すれば、不利益が反復継続的かつ累積加重的に拡大する事情のもとで確認の利益があるとした。
行訴法4条後段は、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟を当事者訴訟として定めており、処分に当たらない行為や処分以外の不利益をめぐる紛争は、確認の利益があればこの訴えで争える。最判平24.2.9は、義務不存在確認の訴えを懲戒処分の予防を目的とする無名抗告訴訟としては不適法としつつ、同じ訴えを別の角度から捉え直した。職務命令に基づく公的義務が存在するとされること自体が、その違反が懲戒処分の処分事由と評価される関係を通じて、昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益を生む危険をもたらし、教職員の法的地位に現実の危険を及ぼし得る。そこで、この訴えを処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする訴訟として構成するなら、公法上の当事者訴訟の一類型である公法上の法律関係に関する確認の訴えとして位置づけることができる。そして、その処遇上の不利益が毎年度の式典を契機に反復継続的かつ累積加重的に拡大すれば事後的な損害の回復が著しく困難になることを考慮し、目的に即した有効適切な争訟方法であるとして確認の利益を肯定した。

本件通達を踏まえた本件職務命令に基づく公的義務の存在は、その違反が懲戒処分の処分事由との評価を受けることに伴い、勤務成績の評価を通じた昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益が発生する危険の観点からも、都立学校の教職員の法的地位に現実の危険を及ぼし得るものといえるので、このような行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする訴訟として構成する場合には、公法上の当事者訴訟の一類型である公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条)として位置付けることができる。
- 通達・職務命令: いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない
- 差止めの訴えの重大な損害: 処分後の取消訴訟等と執行停止で容易に救済できるものではなく、事前の差止めでなければ救済が困難な損害であることを要する。懲戒処分が反復継続的かつ累積加重的にされる危険があれば肯定(免職の差止めは蓋然性を欠き不適法)
- 義務不存在確認の訴え(無名抗告訴訟として): 差止めの訴えを適法に提起でき、その本案で義務の存否が判断される以上、補充性を欠き不適法
- 義務不存在確認の訴え(公法上の当事者訴訟として): 昇給等の処遇上の不利益の予防を目的とする公法上の法律関係に関する確認の訴えとして確認の利益あり。適法(本案では職務命令は憲法19条に違反せず請求棄却)
正しい。職務命令に基づく義務の不存在確認の訴えは、行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする限りで公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条)に当たり、本件の事情の下では確認の利益がある。
同じ義務不存在確認の訴えでも、何を防ぐための訴えかによって位置づけが変わる。最判平24.2.9は、職務命令違反が懲戒処分の処分事由と評価されることに伴い、勤務成績の評価を通じた昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益が発生する危険があり、職務命令に基づく公的義務の存在はこの観点からも教職員の法的地位に現実の危険を及ぼし得るとした。処遇上の不利益は処分によって直接生じるものではないから、その予防を目的とする訴えは処分を攻撃する抗告訴訟ではなく、公法上の当事者訴訟に属する公法上の法律関係に関する確認の訴えとして位置づけられる。そして、毎年度2回以上の式典を契機に処遇上の不利益が反復継続的かつ累積加重的に発生し拡大していくと事後的な損害の回復が著しく困難になることを考慮すると、この確認の訴えはその目的に即した有効適切な争訟方法であるとして、確認の利益を肯定した。差止めの訴えとの関係で補充性を欠くとされた無名抗告訴訟としての側面とは、目的が異なるため結論も分かれる。本肢はこの判示のとおりである。

本件職務命令に基づく公的義務の不存在の確認を求める本件確認の訴えは、行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする公法上の法律関係に関する確認の訴えとしては、その目的に即した有効適切な争訟方法であるということができ、確認の利益を肯定することができる。
- 重大な損害:処分後の取消訴訟と執行停止で容易に救済できず、事前の差止めでなければ救済が困難であること。処分が反復継続的・累積加重的にされる危険があれば肯定
- 補充性(37条の4第1項ただし書):差止めの訴えの対象となる懲戒処分の予防を目的とする義務不存在確認の訴えは、無名抗告訴訟として補充性を欠き不適法
- 当事者訴訟:処分以外の処遇上の不利益(昇給等)の予防を目的とする義務不存在確認の訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴え(4条)として確認の利益あり
- 本案:職務命令は思想・良心の自由を侵害せず適法。差止め請求は棄却、確認請求も棄却
誤り。「特許権者を被告として提起する,同審決の取消しを求める訴訟」は、特許法179条ただし書により法律関係の当事者の一方を被告とする形式的当事者訴訟(行訴法4条前段)であって、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟(同条後段)には分類されない。
行訴法4条は当事者訴訟を二つに分けており、前段は当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの(形式的当事者訴訟)、後段は公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟(実質的当事者訴訟)である。特許無効審判の審決は特許庁という行政機関がする裁決であり、その取消しを求める訴えは実質的には裁決を争うものであるが、特許法179条ただし書は、特許無効審判の審決に対する訴えでは審判の請求人又は被請求人を被告としなければならないと定めている。無効審判は特許権者と請求人という私人間の対立構造で進められるため、審決の取消しについても利害の対立する当事者どうしに争わせるのが適切だからである。この訴えは、法令の規定によって法律関係の当事者の一方を被告とする点で形式的当事者訴訟に当たり、本問の設問が問う4条後段の訴訟には該当しない。同じ当事者訴訟でも、公法上の法律関係を直接の訴訟物とする後段の訴えとは区別される。本肢は誤りである。

前条第一項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。ただし、特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審の審決に対するものにあつては、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告としなければならない。
正しい。公務員の俸給請求訴訟は公法上の給付訴訟、国籍確認訴訟は公法上の確認訴訟であり、いずれも行政事件訴訟法4条後段の実質的当事者訴訟に分類される。
行政事件訴訟法4条は、当事者訴訟として、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの(形式的当事者訴訟)と、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟(実質的当事者訴訟)を定めている。公務員の俸給は、任用という公法上の関係に基づき給与法令によって発生する請求権であり、その支払を求める訴えは公法上の法律関係に関する給付訴訟として実質的当事者訴訟に当たる。国籍の有無は、国籍法の定める要件に基づいて国との間に成立する公法上の地位であり、その確認を求める訴えは公法上の法律関係に関する確認の訴えとして同じく実質的当事者訴訟に当たる。最大判平20.6.4(国籍法違憲判決)が国籍確認訴訟を適法な訴えとして本案判断をしたのはこの理解による。いずれも処分の効力を争う抗告訴訟ではなく、対等な当事者間で法律関係の存否を争う訴訟である点で、当事者訴訟に分類されるという本肢の説明は正確である。

この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。
| 形式的当事者訴訟 | 実質的当事者訴訟 | |
|---|---|---|
| 定義 | 処分・裁決に関する訴訟で、法令により法律関係の当事者の一方を被告とするもの | 公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟 |
| 例 | 土地収用法133条の損失補償に関する訴え(起業者と土地所有者が争う) | 公務員の俸給請求、国籍確認、在外国民の選挙権確認(最大判平17.9.14)、薬事法上の地位確認(最判平24.2.9) |
| 性質 | 実質は処分の内容を争うが、行政庁ではなく相手方当事者を被告とする | 行政庁の処分を介さずに公法上の法律関係を直接争う |
この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
この条文の過去問 6問
正しい。最決平26.7.9は、公職選挙法204条の選挙無効訴訟において選挙人らが他者の選挙権の制限に係る規定の違憲を主張して争うことは法律上予定されていないとした。
公職選挙法204条の選挙無効訴訟は、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する民衆訴訟であり、法律に定める場合において法律に定める者に限り提起できる(行政事件訴訟法42条)。その無効原因は同法205条1項の選挙の規定に違反することがあるとき、すなわち選挙の管理執行に関する規定への違反と解されている。最決平26.7.9は、一定の者の選挙権を制限する公職選挙法の規定について選挙人が選挙無効訴訟の中でその違憲を主張した事案で、204条の訴訟は、選挙権を有するとされている選挙人らによる投票の結果としての選挙の効力を上記の無効原因の存在を主張して争う争訟方法であるとした上で、制限を受ける者自身が自己の選挙権の侵害を理由に提起する訴訟で争うことの可否はおくとしても、選挙無効訴訟において選挙人らが他者の選挙権の制限に係る当該規定の違憲を主張して争うことは法律上予定されていないとした。法定の争訟方法の性質と射程から、他者の選挙権制限の違憲主張は同訴訟の枠外に置かれる。定数配分規定を同条の訴訟で争えることとは区別される。

公職選挙法の規定において一定の者につき選挙権を制限していることの憲法適合性については、当該者が自己の選挙権の侵害を理由にその救済を求めて提起する訴訟においてこれを争うことの可否はおくとしても、同法204条の選挙無効訴訟において選挙人らが他者の選挙権の制限に係る当該規定の違憲を主張してこれを争うことは法律上予定されていない。
- 警察予備隊違憲訴訟(最大判昭27.10.8)は、現行の制度の下では具体的事件を離れた抽象的な違憲審査の権限に憲法上も法令上も根拠がないとして訴えを却下した。付随的審査制の宣明と読むか、法律による制度創設の余地を残したと読むかで見解が分かれる
- 選挙無効訴訟のような客観訴訟でも、法律が裁判所の権限とした具体的な事件であれば、その解決に必要な限りで違憲審査をする(最大判昭51.4.14)
- 第三者所有物没収事件(最大判昭37.11.28)は、没収が被告人への附加刑であり被告人自身も不利益を受けることから、被告人が第三者の権利を援用して違憲を主張することを認めた
- 選挙無効訴訟で選挙人らが他者の選挙権の制限に係る規定の違憲を主張して争うことは法律上予定されていない(最決平26.7.9)
誤り。違うのは「公職選挙法上の選挙訴訟であって、法第5条の民衆訴訟である」の部分である。自己の選挙権を行使する地位の確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えである(最大判平17.9.14)。
行訴法5条の民衆訴訟は、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいい、客観訴訟であるから法律に定める場合に法律に定める者に限り提起できる(42条)。公職選挙法203条・204条の選挙の効力に関する訴訟はその典型で、選挙全体の効力を客観的に争わせる制度である。これに対し本肢の訴えは、在外国民である原告自身が次回の選挙で選挙権を行使できる地位にあることの確認を求めるものであり、自己の法律上の利益にかかわる地位の確認である。したがって、自己の利益にかかわらない資格で提起する民衆訴訟には当たらず、公職選挙法が定める選挙訴訟の類型にも当たらない。最大判平17.9.14は、この訴えを公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法と認めた上で、在外選挙制度の対象を比例代表選出議員の選挙に限っていた公職選挙法の規定を違憲と判断した。選挙に関する訴えであっても、自分の権利を争うものは主観訴訟であり、選挙という題材だけで民衆訴訟に振り分けることはできない。

本件確認請求に係る訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、上記の内容の公法上の当事者訴訟のうち公法上の法律関係に関する確認の訴えと解することができるところ、その内容をみると、公職選挙法附則8項につき所要の改正がされないと、在外国民である上告人らが、今後直近に実施されることになる衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができず、選挙権を行使する権利を侵害されることになるので、そのような事態になることを防止するために、同上告人らが、同項が違憲無効であるとして、当該各選挙につき選挙権を行使する権利を有することの確認をあらかじめ求める訴えであると解することができる。
| 類型 | 争う対象 | 例 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 公権力の行使に関する不服 | 取消訴訟、無効等確認、不作為の違法確認、義務付け、差止め |
| 形式的当事者訴訟(4条前段) | 処分・裁決に関する法律関係で、法令が当事者の一方を被告と定めるもの | 土地収用法133条の損失補償の訴え(被告は起業者) |
| 実質的当事者訴訟(4条後段) | 公法上の法律関係の確認その他 | 在外国民の選挙権行使の地位確認(最大判平17.9.14)、職務命令に基づく義務の不存在確認(最判平24.2.9) |
| 争点訴訟(45条) | 私法上の法律関係で、処分の効力が前提問題 | 収用裁決の無効を前提とする所有権確認(民事訴訟) |
| 民衆訴訟(5条)・機関訴訟(6条) | 自己の法律上の利益にかかわらない是正/機関相互の権限争い | 選挙無効訴訟・住民訴訟/地方自治法251条の5の訴え。法律の定めがある場合だけ(42条) |
正しい。bは、選挙権を制限された本人が自己の選挙権侵害を理由とする訴訟で違憲を主張できると述べており、他者に違憲主張を認める必要性を否定する方向に働くから、選挙無効訴訟で他者の選挙権制限の違憲を争えないとするaの根拠となっている。
付随的違憲審査制(76条1項、81条)の下では、違憲の主張は原則として自己の憲法上の権利が侵害されたことを理由とするものに限られ、第三者の権利を援用して法令の違憲を主張することは原則として許されない。例外が認められるのは、権利を制限されている当人が自ら訴訟で争うことが困難で、第三者に援用を許さなければその権利が救済されないままとなるといった事情がある場合である。裏返せば、制限を受けている本人が自己の権利侵害を理由に救済を求める訴訟の中で当該規定の違憲を主張できるのであれば、無関係な他者にその主張を代弁させる必要性は乏しい。bはまさに選挙権の制限を受ける者本人が自己の選挙権侵害を理由とする訴訟で違憲主張をなし得ることを述べており、他者による援用の必要性を否定する方向に働くから、aを支える理由となる。加えて公職選挙法203条・204条の選挙無効訴訟は自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する民衆訴訟であり、最決平26.7.9も、選挙人らがこの訴訟で他者の選挙権の制限に係る規定の違憲を主張して争うことは法律上予定されていないとしている。

同法の規定において一定の者につき選挙権を制限していることの憲法適合性については、当該者が自己の選挙権の侵害を理由にその救済を求めて提起する訴訟においてこれを争うことの可否はおくとしても、同条の選挙無効訴訟において選挙人らが他者の選挙権の制限に係る当該規定の違憲を主張してこれを争うことは法律上予定されていない。
- 違憲主張適格:付随的審査制の下では自己の権利侵害を理由とする違憲主張が原則で、第三者の権利の援用は、本人が自ら争うことが困難で援用を許さなければ救済されない場合などに限って例外的に認められる(第三者所有物没収事件 最大判昭37.11.28)。選挙無効訴訟で他者の選挙権制限の違憲を主張することは法律上予定されていない(最決平26.7.9)
- 合憲限定解釈:過度に広範な疑いのある規定の意味を絞って合憲的に読み、法令違憲の判断を回避する。立法府への干渉の最小化と人権保障の両立が根拠だが、一般人が規制対象を読み取れる明確さが限界となる(税関検査事件 最大判昭59.12.12)
- 違憲判決の効力:通説の個別的効力説は、付随的審査制、41条(一般的失効は消極的立法)、一般的効力を定めた規定の不存在を根拠とする。効力の及ぶ範囲を最高裁が制限できるという考えは効力が事件を超えることを前提とするから、個別的効力説の根拠にはならない
本肢の訴訟は、行政事件訴訟法5条の民衆訴訟に当たる。同条は民衆訴訟を「国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの」と定義する。公職選挙法204条の選挙無効訴訟は、選挙区の選挙人が、自己の個別的な権利利益の侵害を主張するのではなく、選挙人たる資格において選挙の効力を争い、選挙の適正な執行という一般的利益の実現を目的とするものであるから、まさにこの定義に該当する。すなわち本肢の訴訟は主観訴訟ではなく客観訴訟であり、行政事件訴訟法42条により、法律に定める場合において法律に定める者に限り提起することができるものである。議員定数配分規定が憲法14条に違反すると主張して選挙の効力を争う場合も同様であり、最大判昭和51年4月14日は、公職選挙法204条の訴訟において定数配分規定の違憲を主張して選挙の効力を争うことができるとしており、実務上もこの訴訟形態が用いられている。選挙管理委員会を被告とする点をとらえて抗告訴訟(法3条1項)と解すべきではなく、また法4条の当事者訴訟でもない。よって本肢は乙群4(法5条の民衆訴訟)に当たる。
正しい。住民訴訟は民衆訴訟であり、2号の取消請求について行政事件訴訟法9条は準用されないから(同法43条1項)、Xは処分の取消しを求める法律上の利益の有無にかかわらず提起できる。
住民訴訟は、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)であり、地方公共団体の財務行政の適正な運営を確保するという公益の実現を目的とする客観訴訟である。原告となる資格は、当該普通地方公共団体の住民であって適法な住民監査請求を経たこと(地方自治法242条の2第1項柱書)によって基礎づけられ、当該行為によって自己の権利利益が害されたことを要しない。この点は実定法上も明確で、行政事件訴訟法43条1項は、民衆訴訟のうち処分又は裁決の取消しを求めるものについて、9条及び10条1項を除いて取消訴訟に関する規定を準用すると定める。原告適格を法律上の利益を有する者に限る9条の準用が明文で排除されている以上、2号に基づき行政処分たる財務会計上の行為の取消しを求める住民は、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たる必要はない。10条1項も準用されないから、Xは自己の権利利益とのかかわりを離れて、当該支出処分が政教分離原則に反する旨を主張することもできる。

民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の取消しを求めるものについては、第九条及び第十条第一項の規定を除き、取消訴訟に関する規定を準用する。
- ["1号 差止め", "執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求。行為が相当の確実さをもって予測されることが必要。生命・身体への重大な危害の防止など公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは不可(6項)"]
- ["2号 取消し・無効確認", "行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求。民衆訴訟なので原告に法律上の利益は不要(行政事件訴訟法43条1項は9条・10条1項を準用しない)"]
- ["3号 怠る事実の違法確認", "執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求。公金の徴収や財産の管理を怠る事実が対象"]
- ["4号 損害賠償等の請求を求める", "当該職員又は相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを執行機関又は職員に対して求める請求。契約上の債務の履行請求は含まれない"]
- ["共通の入口", "住民であること、住民監査請求を経ていること(242条)、対象は財務会計上の行為又は怠る事実に限られること"]
正しい。行政事件訴訟法43条1項は、処分の取消しを求める民衆訴訟について、取消訴訟の規定を準用するが原告適格を定める9条を除いている。
行政事件訴訟法5条は、民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいうと定義する。民衆訴訟は原告の個人的な権利利益の救済を目的とする主観訴訟ではなく、行政の適法性を確保するために法律が特に認めた客観訴訟であるから、42条により法律に定める場合において法律に定める者に限り提起することができ、原告となれる者は個別法が定める。したがって、処分の取消しを求める民衆訴訟について、43条1項が取消訴訟に関する規定を準用する際にも、法律上の利益を有する者に原告適格を限る9条と、自己の法律上の利益に関係のない違法の主張を制限する10条1項は準用の対象から除かれている。選挙の効力を争う選挙訴訟や、住民が財務会計行為の違法を争う住民訴訟がその例であり、選挙人や住民という資格があれば自己の権利利益が侵害されていなくても提起できる。本肢は民衆訴訟の性質と43条1項の準用関係を正確に述べている。

民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の取消しを求めるものについては、第九条及び第十条第一項の規定を除き、取消訴訟に関する規定を準用する。
| 類型 | 定義 | 原告 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟。法定6類型のほか無名抗告訴訟の余地がある | 法律上の利益を有する者(9条) |
| 当事者訴訟(4条) | 形式的当事者訴訟(法令により法律関係の一方を被告とする)と実質的当事者訴訟(公法上の法律関係に関する確認・給付訴訟) | 法律関係の当事者 |
| 民衆訴訟(5条) | 国・公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの | 法律に定める者に限る(42条)。9条は準用されない(43条1項) |
| 機関訴訟(6条) | 国・公共団体の機関相互間の権限の存否・行使に関する紛争の訴訟 | 法律に定める者に限る(42条) |
この法律において「機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。
この条文の過去問 4問
誤り。違うのは「行政主体間の権限の行使に関する紛争に該当し、法第6条の機関訴訟である」の部分である。建物の所有者として固有の利益の侵害を主張する国の訴えは法律上の争訟であり、機関訴訟ではない(最判平13.7.13)。
行訴法6条の機関訴訟は、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟であり、民衆訴訟と同じく客観訴訟として、法律に定める場合に法律に定める者に限り提起できる(42条)。しかし、国や地方公共団体が訴訟当事者であっても、その紛争が公権力の主体としての権限の行使をめぐるものではなく、財産権の主体として自己の権利利益の保護救済を求めるものであるときは、当事者間の具体的な権利義務の存否に関する紛争であって、裁判所法3条1項の法律上の争訟に当たり、通常の抗告訴訟によることができる。本肢の訴えは、地方公共団体の長がした設計図面の公開決定によって、国が庁舎の所有者として持つ固有の利益が侵害されることを理由とするものであり、行政主体間の権限の行使をめぐる争いではない。最判平13.7.13も、この訴えは建物の所有者としての固有の利益の侵害を理由とするものであるから法律上の争訟に当たるとし、国の原告適格を認めた。国が原告であるという形ではなく、何を守るために訴えているかで訴訟の類型は決まる。

本件訴訟は、国が、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由として、本件公開決定の取消しを求めるものであるから、法律上の争訟に当たり、国は本件公開決定の取消しを求める原告適格を有する。
| 類型 | 争う対象 | 例 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 公権力の行使に関する不服 | 取消訴訟、無効等確認、不作為の違法確認、義務付け、差止め |
| 形式的当事者訴訟(4条前段) | 処分・裁決に関する法律関係で、法令が当事者の一方を被告と定めるもの | 土地収用法133条の損失補償の訴え(被告は起業者) |
| 実質的当事者訴訟(4条後段) | 公法上の法律関係の確認その他 | 在外国民の選挙権行使の地位確認(最大判平17.9.14)、職務命令に基づく義務の不存在確認(最判平24.2.9) |
| 争点訴訟(45条) | 私法上の法律関係で、処分の効力が前提問題 | 収用裁決の無効を前提とする所有権確認(民事訴訟) |
| 民衆訴訟(5条)・機関訴訟(6条) | 自己の法律上の利益にかかわらない是正/機関相互の権限争い | 選挙無効訴訟・住民訴訟/地方自治法251条の5の訴え。法律の定めがある場合だけ(42条) |
誤り。違うのは末尾の「下級行政機関は、その不承認の取消しを求めて抗告訴訟を提起することができる」の部分である。
取消訴訟の対象となる処分とは、公権力の主体たる国又は公共団体の行為のうち、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最判昭39.10.29)。上級行政機関が指揮監督権の一環として下級行政機関の事務処理について行う承認・不承認は、行政主体の内部における意思形成過程の行為であり、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼさないから処分性を欠く。最判昭53.12.8(成田新幹線事件)も、運輸大臣が日本鉄道建設公団に対してした工事実施計画の認可を、行政機関相互の行為と同視すべきものであって外部に対する効力を有する行政行為ではないとし、抗告訴訟は提起できないとした。加えて、行政機関は権利義務の帰属主体ではなく、上級行政機関と下級行政機関の争いは組織内部の権限分配の争いにとどまるから、法律上の争訟(裁判所法3条1項)にも当たらない。この種の紛争は機関相互間の権限の存否又はその行使に関する紛争として機関訴訟(行訴法6条)に当たり、法律に定める場合に法律に定める者に限り提起できる(42条)。

本件認可は、いわば上級行政機関としての運輸大臣が下級行政機関としての日本鉄道建設公団に対しその作成した本件工事実施計画の整備計画との整合性等を審査してなす監督手段としての承認の性質を有するもので、行政機関相互の行為と同視すべきものであり、行政行為として外部に対する効力を有するものではなく、また、これによつて直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定する効果を伴うものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。
- 上級行政機関の承認・不承認・認可は内部行為で処分性がない(最判昭53.12.8 成田新幹線事件)
- 行政機関には権利義務の帰属主体としての法人格がなく、権限の争いは法律上の争訟(裁判所法3条1項)に当たらない
- 機関相互間の権限の存否・行使に関する紛争は機関訴訟(行訴法6条)で、法律に定める場合に法律に定める者だけが提起できる(42条)
- 例: 国の関与に関する訴え(地方自治法251条の5)、地方公共団体の長と議会の間の訴え(同法176条7項)
誤り。違うのは「それぞれの行政機関は裁判所に提訴することができる」の部分であり、行政機関相互の権限の争いは機関訴訟として法律に定める場合に法律に定める者に限って提起できるところ(行政事件訴訟法42条)、各省間の所掌事務の争いを裁判所に持ち込む法律の定めはない。
裁判所法3条1項の法律上の争訟は、当事者間の具体的な権利義務又は法律関係の存否に関する紛争で、法令の適用により終局的に解決できるものをいう。A省とB省はいずれも国という同一の法人格の内部の機関であり、所掌事務の範囲をめぐる争いは、機関相互間の権限の存否又はその行使に関する紛争であって、法人格を持つ者どうしの権利義務の争いではない。行政事件訴訟法6条はこれを機関訴訟と定義し、42条は、民衆訴訟及び機関訴訟は法律に定める場合において法律に定める者に限り提起することができると定める。機関訴訟は法律上の争訟に当たらず、法律が個別に認めたときだけ裁判所が審理できるからである。国の行政機関相互の権限の争いは、内閣法7条により内閣総理大臣が閣議にかけて裁定する仕組みが用意されており、これを裁判所に提訴できるとする法律の定めはない。事務配分が各省設置法で法定されているから法的紛争だという理由では、出訴を認める法律の明文に代えることはできない。判例も、機関相互の争いは法律が特に認めた場合を除き訴訟の対象にならないとしている(最判昭28.6.12)。

民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。
- 民衆訴訟(5条):国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの。選挙無効訴訟と住民訴訟
- 機関訴訟(6条):国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟。地方自治法251条の5の関与に関する訴えなど
- いずれも法律上の争訟ではないから、法律に定める場合に法律に定める者に限り提起できる(42条)。法律の明文が無ければ却下される
- 機関相互の権限争いは原則として訴訟の対象にならない(最判昭28.6.12)。国が建物所有者としての固有の利益を主張する訴えは機関訴訟ではなく通常の抗告訴訟(最判平13.7.13)
正しい。行政事件訴訟法6条は機関訴訟を国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟と定義し、42条は法律に定める場合において法律に定める者に限り提起できるとしている。
行政事件訴訟法6条は、機関訴訟とは国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいうと定義する。行政機関相互の権限争いは本来、行政組織の内部で上級機関の裁定などにより解決されるべきものであり、国民の権利義務に関する法律上の争訟(裁判所法3条1項)には当たらないから、裁判所が当然に審判できる事件ではない。そこで42条は、民衆訴訟と機関訴訟は法律に定める場合において法律に定める者に限り提起することができると定め、個別の法律が特に裁判所の審判に委ねた場合に限って認める客観訴訟として位置づけている。地方自治法176条7項の議会と長の間の訴訟や、同法251条の5の国の関与に関する訴訟、同法252条の代執行手続における訴訟などがその例である。国と地方公共団体の間の訴訟は、対等な法主体間の争いという側面もあるが、法律が機関訴訟として整理しているものは同条の規律に従う。本肢は6条と42条の内容を正確に述べている。

この法律において「機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。/民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。
| 類型 | 定義 | 原告 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟。法定6類型のほか無名抗告訴訟の余地がある | 法律上の利益を有する者(9条) |
| 当事者訴訟(4条) | 形式的当事者訴訟(法令により法律関係の一方を被告とする)と実質的当事者訴訟(公法上の法律関係に関する確認・給付訴訟) | 法律関係の当事者 |
| 民衆訴訟(5条) | 国・公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの | 法律に定める者に限る(42条)。9条は準用されない(43条1項) |
| 機関訴訟(6条) | 国・公共団体の機関相互間の権限の存否・行使に関する紛争の訴訟 | 法律に定める者に限る(42条) |
行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。
この条文の過去問 4問
誤り。違うのは「当事者が主張していない事実を職権で認定することができる」の部分である。行訴法24条が認めるのは職権証拠調べにとどまり、職権探知は認められない。
行政事件訴訟法24条本文は、裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができると定めるにとどまる。認められているのは、当事者の申出を待たずに証拠調べをする職権証拠調べであって、当事者が主張していない事実を裁判所が自ら探知して判決の基礎とする職権探知ではない。行政事件訴訟に関して同法に定めのない事項は民事訴訟の例による(7条)から、取消訴訟にも弁論主義が妥当し、判決の基礎となる主要事実は当事者が口頭弁論で主張したものに限られる。24条が職権証拠調べを認めた趣旨は、取消訴訟が行政活動の適法性の確保という公益にかかわり、証拠が行政側に偏在しがちであることから、事案の解明が不十分なまま裁判がされるのを防ぐことにあり、主張責任の分配そのものを修正するものではない。人事訴訟法20条のように職権探知を正面から認める明文が行政事件訴訟法に置かれていないことも、この理解を支える。これに対し、行政不服審査法に基づく審査請求では、審理機関が当事者の主張に現れていない事実まで自ら取り上げて判断する職権探知が認められている(最判昭29.10.14)。

裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる。ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければならない。
| 取消訴訟 | 審査請求(行政不服審査法) | |
|---|---|---|
| 職権証拠調べ | できる。ただし結果について当事者の意見を聴く(24条) | できる(審理員が職権で物件の提出要求・検証・審尋など) |
| 職権探知(当事者が主張していない事実の認定) | 認められない。7条により民事訴訟の弁論主義が妥当する | 認められる(最判昭29.10.14) |
| 理由 | 訴訟は当事者の攻撃防御を基礎に判断する。証拠の偏在への対応として証拠調べだけを職権で補う | 簡易迅速な救済に加えて行政の自己統制を目的とし、審理機関自身が事案を解明する |
誤り。違うのは末尾の「当該処分が違法であるとの当該判決における判断について既判力は生じない」の部分である。事情判決は主文で処分の違法を宣言するから、違法の判断に既判力が生じる。
本肢が述べる判決は行訴法31条1項の事情判決である。同項は、処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、取消しが公共の福祉に適合しないと認めるときは請求を棄却することができると定め、この場合には判決の主文において処分が違法であることを宣言しなければならないとする。既判力は判決主文中の判断について生じるのが原則であるから(行訴法7条、民訴法114条1項)、処分の違法が主文で宣言される以上、判決の確定によって処分が違法であるという判断に既判力が生じる。違法の宣言をわざわざ主文に置かせるのは、請求棄却で処分の効力が維持される反面、原告が後に国家賠償請求などで救済を求める際に処分の違法性を改めて争わせずにすむよう、原告の救済に配慮した趣旨である。理由中の判断にとどまれば既判力は生じないが、事情判決では違法の判断が主文に上がっている点で通常の請求棄却判決と異なる。本肢はこの主文での宣言の意味を見落としている。

取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
- 要件: ①処分が違法 ②取り消すと公の利益に著しい障害 ③一切の事情を考慮して取消しが公共の福祉に適合しない
- 効果: 請求棄却。ただし主文で違法を宣言(宣言部分に既判力)。終局判決前に違法宣言の中間判決も可(31条2項)
- 上訴: 実質は一部認容・一部棄却なので原告も被告も控訴できる
- 準用: 無効等確認訴訟には準用なし(38条)。審査請求には事情裁決(行審法45条3項、不当も対象)
- 既成事実の扱い: 土地改良事業(最判平4.1.24)は訴えの利益が残り事情判決で考慮。保安林(最判昭57.9.9)・建築確認は訴えの利益が消える
正しい。不作為の違法確認の訴えは現在も続く不作為状態の違法を確認するものであるから、違法性の判断は事実審の口頭弁論終結時を基準にする。
不作為の違法確認の訴えは、行政庁が法令に基づく申請に対し相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるのにこれをしないことについて、違法の確認を求める訴訟である(行訴法3条5項)。取消訴訟の違法判断は、裁判所が行政庁の第一次的判断を事後的に審査する立場にあることから処分時を基準にするのが判例・通説である。これに対し、不作為の違法確認の訴えは過去の処分の適否を問うのではなく、申請に何の応答もしないという現在なお継続している状態そのものの違法を確認するものであるから、その違法性は判決をする時点、すなわち事実審の口頭弁論終結時を基準に判断される。行訴法に基準時の規定はなく、この点を正面から判示した最高裁判例も見当たらないが、同法7条を介した民事訴訟の一般的な理解に従い口頭弁論終結時が基準となる。出訴時や相当の期間が経過した時を基準とする見解もあるが、口頭弁論終結時とする見解が多数である。この帰結として、口頭弁論終結時までに申請に対する何らかの処分がされれば不作為状態は解消し、訴えの利益を失って却下される。

この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
| 訴訟 | 基準時 | 理由 |
|---|---|---|
| 取消訴訟 | 処分時 | 行政庁の第一次的判断を事後的に審査する。処分後の法改正や事情の変化は考慮しない |
| 不作為の違法確認訴訟 | 判決時(事実審の口頭弁論終結時) | 現在も続く不作為状態の違法を確認する。終結時までに応答があれば訴えの利益を失う |
| 義務付け訴訟・差止訴訟 | 判決時(事実審の口頭弁論終結時) | これから行政庁がすべきこと・すべきでないことを命じる |
| 原子炉設置許可の取消訴訟 | 現在の科学技術水準(最判平4.10.29) | 安全審査の合理性は現在の知見に照らして判断する |
正しい。行政事件訴訟法に自白の規定はなく、同法7条により民事訴訟の例によるから、取消訴訟でも裁判上の自白には拘束力があると解されている。
行政事件訴訟法7条は、行政事件訴訟に関しこの法律に定めがない事項については民事訴訟の例によると定める。取消訴訟の審理について同法は、釈明処分の特則(23条の2)と職権証拠調べ(24条)を置いて弁論主義を一部修正しているが、当事者が主張しない事実を裁判所が取り上げる職権探知までは採用しておらず、事実の主張と収集は当事者の責任とする弁論主義を基本としている。弁論主義の下では、当事者が争わない事実は証拠調べを要せずそのまま判決の基礎になるから、裁判上の自白の拘束力を定める民事訴訟法179条が7条を通じて取消訴訟にも適用され、自白された事実に裁判所も当事者も拘束されると解するのが通説である。処分の適法性は公益に関わるという性格から、公益に直接関わる事実については自白の拘束力を制限する見解もあるが、原則として拘束力を認める点は一致している。本肢はこの原則を述べており正しい。

行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。
| 項目 | 取消訴訟での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 裁判上の自白の拘束力 | あり(民事訴訟の例による) | 行訴法7条、民訴法179条 |
| 釈明処分の特則 | 処分の理由を明らかにする資料の提出を行政庁に求められる | 行訴法23条の2 |
| 職権証拠調べ | できる。ただし結果について当事者の意見を聴く | 行訴法24条 |
| 職権探知(主張しない事実の斟酌) | 規定なし。採用されていない | ― |
| 第三者・行政庁の訴訟参加 | 職権でも参加させられる | 行訴法22条・23条 |