/ 刑事訴訟法

訴因と公訴事実|訴因の特定・訴因変更の要否と可否

訴因と公訴事実を解説。訴因の機能、訴因の特定、訴因変更の要否と可否、訴因変更の限界、裁判所の訴因変更命令を整理します。

この記事のポイント

訴因は検察官が主張する具体的犯罪事実であり、審判対象を画定する機能を持つ。 訴因変更の要否(どのような場合に訴因変更が必要か)と可否(訴因変更がどこまで許されるか)が最重要論点である。


訴因の意義

訴因の機能

機能 内容 識別機能 審判対象を他の事実から識別する 防御機能 被告人の防御の範囲を明示する

訴因の特定(256条3項)

訴因は日時・場所・方法をもって犯罪を構成する事実をできる限り特定して記載しなければならない。


訴因の特定の程度

判例の基準

判例 内容 最決平26.3.17 訴因の特定は他の犯罪事実との識別ができる程度に特定されていれば足りる 最判昭37.11.28 「概括的記載」も識別に足りる限り許容

特定が問題となる場面

場面 処理 日時の幅がある場合 一定の期間内として特定 共謀の具体的内容が不明 共謀の事実を概括的に記載 犯行態様が不明確 できる限りの特定で足りる

訴因変更の要否

問題の所在

裁判所が訴因と異なる事実を認定する場合、訴因変更が必要か。

判断基準

学説 内容 抽象的防御説 被告人の防御に実質的な不利益を生じる場合に必要 具体的防御説 被告人が具体的に防御をしていたかで判断 判例 審判対象の画定に必要な事項の変動→訴因変更必要

重要判例

判例 内容 最決平13.4.11(実行行為者の択一的認定) 共謀共同正犯と単独正犯の間の訴因変更の要否 最判平24.2.29 殺人から傷害致死への変更は訴因変更が必要

訴因変更の可否(312条1項)

公訴事実の同一性

訴因変更は公訴事実の同一性を害しない限度で許される。

公訴事実の同一性の判断基準

学説 内容 基本的事実関係の同一性 社会的事実として基本的に同一か 訴因の共通性 訴因間の共通部分の有無 非両立性 両訴因が両立しない関係にあるか 判例 基本的事実関係の同一性で判断

裁判所の訴因変更命令(312条2項)

裁判所は検察官に対し訴因変更を命ずることができる。

論点 内容 義務か裁量か 裁量的義務(判例) 釈明義務との関係 裁判所は釈明により検察官に促すべき場合がある

まとめ

  • 訴因は識別機能と防御機能を持つ
  • 訴因変更の要否は審判対象の画定に必要な事項の変動で判断
  • 訴因変更の可否は公訴事実の同一性で判断
  • 公訴事実の同一性は基本的事実関係の同一性が基準
  • 訴因変更命令は裁量的義務

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