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用語集 / 行政法 / 不服申立ての種類

不服申立ての種類(審査請求・再調査の請求・再審査請求)とは

ふふくもうしたてのしゅるい

行政法 行政不服審査

不服申立ての種類とは、行政庁の処分又は不作為に不服がある者が行政機関に救済を求める手続の区分で、審査請求・再調査の請求・再審査請求の三つがあります。原則は審査請求で、再調査の請求と再審査請求は法律に定めがある場合に限られます(行政不服審査法2条〜6条)。

市役所から営業停止の処分を受けて納得できないとき、裁判所に訴える前に、役所の中でもう一度見直してもらう道があります。それが行政不服審査法の不服申立てで、原則の手続が審査請求です。裁判より簡単で速く、しかも違法な処分だけでなく不当な処分まで直してもらえるように作られているので、どの処分でも広く申し立てられる建前になっています。再調査の請求と再審査請求は、税金のように件数の多い分野などで法律が特に用意したときだけ加わります。

市役所の審査室の場面。先生が審査庁役(札「審査庁」)で机に着き、左に「営業停止処分」と書かれた紙を持つ男性(札「処分を受けた人」)が立っている。男性の吹き出し「納得できない。裁判の前に役所の中で見直してほしいから審査請求をする」。先生の吹き

行政不服審査法は簡易迅速な救済のために一般概括主義を採り、審査請求を原則の手続とします

行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に不服がある者は、審査請求をすることができます(行政不服審査法2条)。法令に基づく申請に対して相当の期間内に何らの処分もされない場合も、その不作為について審査請求ができます(3条)。個別の法律に定めがあるときは、これに加えて再調査の請求(5条)と再審査請求(6条)が用意されます。行政不服審査法は、簡易迅速かつ公正な手続による国民の権利利益の救済と、行政の適正な運営の確保を目的とし(1条1項)、対象となる処分を列挙せずに広く不服申立てを認める一般概括主義を採ります。取消訴訟と違って、違法な処分だけでなく不当な処分も審査の対象になります。同法は不服申立ての一般法であり、処分に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによります(1条2項)。条例に基づく処分については、審査庁を定める4条が「法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか」と書いているとおり、条例で特別の定めを置くことが正面から認められています。「条例に基づく処分に対する不服申立てに関し、条例による特別の定めを設けることを認めていない」という肢は誤りです。行政手続法が条例に基づく処分を適用除外にしているのと違い、行政不服審査法は条例に基づく処分にも適用されたうえで、条例による特別の定めを予定しているからです。三つの手続は次のように整理できます。

  • 審査請求原則的な手続。処分庁等に上級行政庁があればその最上級行政庁、なければ処分庁等が審査庁となる(4条)。審理員による審理と第三者機関への諮問を経て裁決で応答する
  • 再調査の請求法律に定めがある場合に、処分庁に対して簡易な手続で事実関係を見直すよう求めるもの(5条1項)。審査請求との自由選択で、決定で応答する
  • 再審査請求法律に定めがある場合に、審査請求の裁決に不服がある者が更に不服を申し立てるもの(6条1項)。原裁決又は当該処分を対象とする

審査庁は処分庁との上下関係で決まり、第三者機関に限られません

審査請求をする相手方である審査庁は、4条が処分庁との関係で定めます。処分庁等に上級行政庁がない場合と、処分庁等が主任の大臣や宮内庁長官、庁の長である場合は、当該処分庁等自身が審査庁になります(1号)。宮内庁長官や庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合は宮内庁長官や当該庁の長が(2号)、主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合は当該主任の大臣が(3号)、それ以外の場合は処分庁等の最上級行政庁が審査庁になります(4号)。したがって処分をした行政庁が自ら審査庁になることもあり、独立の第三者機関に申し立てるものと決まっているわけではありません。「審査請求は,建築基準法に基づいて設置される建築審査会のような,独立して職権を行使する第三者機関に対して行われる不服申立てを意味する」という肢は誤りです。建築基準法が建築主事等の処分について建築審査会を審査庁と定めているように、個別法が建築審査会や収用委員会のような機関を審査庁と定めることはありますが、それは1条2項の「他の法律に特別の定めがある場合」に当たる特別の定めです。審査庁が処分庁自身や上級行政庁であっても、審理員による審理と行政不服審査会等への諮問を経ることで公正さを保つ仕組みになっています。処分をした行政庁が誰かをめぐっては、最判令和3年1月22日(審査請求の相手方たる行政庁)が、権限の委任や専決との関係で審査請求の相手方を判断しています。

先生が処分庁役(札「処分庁(上級行政庁なし)」)で自分の胸を指している。先生の吹き出し「私に上級行政庁がないときは、処分をした私自身が審査庁になる。独立した第三者機関に申し立てると決まっているわけではない」。右に一段高い机に着いた男性(札「

再調査の請求は法律に定めがあるときだけで、前置ではありません

再調査の請求は、処分庁以外の行政庁に審査請求ができる場合において、法律に再調査の請求ができる旨の定めがあるときに限り認められます(5条1項本文)。大量に行われる処分について、処分庁自身に簡易な手続で事実関係を再確認させる趣旨で、国税や関税の分野に置かれています。あくまで審査請求との自由選択であり、先に再調査の請求をしなければならないわけではありません。「行政庁の処分につき、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分に不服がある者は、原則として、審査請求をする前に、再調査の請求をしなければならない」という肢は誤りです。5条1項は再調査の請求を「することができる」と定めるにとどまり、同項ただし書は、その処分について審査請求をしたときは再調査の請求ができないとして、どちらを選ぶかを本人に委ねているからです。もっとも再調査の請求をしたときは、原則としてその決定を経た後でなければ審査請求はできません(5条2項本文)。再調査の請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても決定がない場合や、決定を経ないことにつき正当な理由があるときは例外です(同項ただし書)。再審査請求も同じく、法律に再審査請求ができる旨の定めがある場合に限り、審査請求の裁決に不服がある者が申し立てるもので、原裁決又は当該処分を対象にします(6条)。

税務署の窓口の場面。先生が税務署長役(札「税務署長(処分庁)」)で机に着き、左に納税者の男性(札「納税者」)が「再調査の請求」「審査請求」と書かれた二つの札の前で片方を選ぼうとしている。男性の吹き出し「どちらを選んでもいい。再調査の請求を先

対象は処分と不作為で、事実上の行為も処分に含まれます

2条の「処分」には、行政行為だけでなく、公権力の行使に当たる事実上の行為が含まれます。46条1項が取消裁決の対象を「処分(事実上の行為を除く。)」と書き、47条が事実上の行為についての認容裁決として当該行為の全部又は一部の撤廃又は変更を命ずる措置を定めているのは、事実上の行為が処分に当たることを前提にしているからです。「事実上の行為は審査請求の対象となる処分から除外されているので、事実上の行為についての審査請求は不適法である」という肢は誤りです。もっとも、どこまでの事実上の行為が含まれるかを定めた明文はありません。平成26年改正前の旧法は、人の収容や物の留置のようにその内容が継続的性質を有するものが処分に含まれると明記しており、現行法でも撤廃や変更を観念できる継続的な行為が前提と解するのが一般です。法は「公権力の行使に当たる事実上の行為で,その内容が継続的性質を有しないもの」も処分に含まれると定めているという肢は誤りです。継続的性質を有しない事実上の行為を含むと解する立場に立っても、それは解釈によるものであって、法が定めているわけではないからです。処分をした主体が行政庁でなければ対象になりませんが、ここでいう行政庁は国や地方公共団体の機関に限られず、法律により公権力の行使を委ねられた者を含みます。「弁護士会が弁護士法の規定に基づいて行う所属弁護士に対する懲戒」を行政不服審査法の処分に当たらないとする肢は誤りです。最大判昭和42年9月27日は、弁護士会の懲戒を「広い意味での行政処分に属する」ものとしており、弁護士法も行政不服審査法の適用があることを前提に定めを置いているからです。反対に、国の機関や地方公共団体その他の公共団体又はその機関が固有の資格において名あて人となる処分と、その不作為には、この法律は適用されません(7条2項)。最判令和2年3月26日(国による不服申立てと「固有の資格」)は、固有の資格とは「一般私人とは異なり、国の機関等であるからこそ立ち得る特有の立場」をいい、その有無は、処分に係る事務又は事業の実施主体が国の機関等に限られているか、限られていない場合でもその事務又は事業を実施し得る地位の取得について国の機関等が一般私人に優先するなど特別に取り扱われているかなどを考慮して判断するとしました。行政主体や行政機関どうしの関係は、私人の権利利益の救済を目的とする不服申立ての制度になじまないからです。

先生が審査庁役(札「審査庁」)で中央の机に着く。左に「懲戒」と書かれた紙を持つ男性(札「弁護士会」)と、その隣に「物の留置」と書かれた札の付いた箱。先生の吹き出し「処分には人の収容や物の留置のような公権力の行使に当たる事実上の行為も含まれる

審査請求は書面が原則で、不備があれば補正を命じ、裁決があるまでは取下げも執行停止もできます

審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については条例)に口頭でできる旨の定めがある場合を除き、審査請求書を提出してしなければなりません(19条1項)。原則と例外が逆に書かれた「審査請求は,他の法律(条例に基づく処分については,条例)に書面でしなければならない旨の定めがある場合を除き,口頭ですることができる」という肢は誤りです。簡易迅速な手続を目的とする法律ですが、審理の対象と審査請求期間の遵守を書面で確定させることが、公正で的確な審理につながるからです。審査請求書には、審査請求人の氏名、審査請求に係る処分の内容、処分があったことを知った年月日、審査請求の趣旨及び理由、処分庁の教示の有無及びその内容などを記載します(19条2項)。記載に不備があるときは、審査庁は相当の期間を定めて補正を命じなければならず(23条)、審査請求人が補正に応じないときに初めて審理手続を経ないで却下することができます。命じる義務を負わないとする「処分についての審査請求書に審査請求の趣旨が記載されていない場合であっても、審査庁は、不備を補正すべきことを命じる義務を負わない」という肢は誤りです。審査請求人は、裁決があるまではいつでも書面で審査請求を取り下げることができ(27条)、「審理手続が開始され,処分庁等が書面を提出し又は口頭で意見を述べた後であっても,裁決があるまでは,いつでも審査請求を取り下げることができる」という肢は正しいです。審査請求は本人が自分の権利利益の救済を求めて始める手続なので、続けるかどうかも本人に委ねられているからです。審査請求をしても処分の効力や執行は止まりませんが、処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認めれば審査請求人の申立てがなくても職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置をとることができます(25条2項)。処分の効力の停止は、それ以外の措置で目的を達することができるときはできません(25条6項)。「処分の効力の停止は,それ以外の措置によって目的を達することができるときは,することができない」という肢は正しいです。

不作為についての審査請求には、期間の制限がありません

法令に基づく申請をした者は、相当の期間が経過しても処分がされないときに、不作為についての審査請求ができます(3条)。不作為が続いている限り申し立てられるので、処分があったことを知った日から3か月とする18条の審査請求期間の適用はありません。不作為についての審査請求に理由があるときは、審査庁は裁決で当該不作為が違法又は不当である旨を宣言します(49条3項)。そのうえで、申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときに限り、不作為庁の上級行政庁である審査庁は不作為庁に対して当該処分をすべき旨を命じ、不作為庁である審査庁は自ら当該処分をします。理由があれば常に処分を命じ、又は自ら処分をしなければならないわけではありません。「審査庁は当該不作為庁に対して申請された処分をすべき旨を命じなければならず」という肢は誤りです。申請の当否について処分庁の第一次的な判断をなお経るべきときは、違法又は不当の宣言にとどめることができるからです。審査庁が不作為庁自身である場合も同じで、当該処分をするのは一定の処分をすべきものと認めるときに限られます。申請に対する応答義務そのものは申請と届出の項目で扱い、訴訟での受け皿は不作為の違法確認の訴えと申請型義務付け訴訟です。

先生が審査庁役(札「審査庁(不作為庁の上級行政庁)」)で机に着く。左に「申請書」を持つ男性(札「申請者」)と、壁のカレンダーに「相当の期間が経過」の札。男性の吹き出し「いつまで待っても処分がない。不作為が続く限り、期間の制限なく審査請求でき

行政不服審査法 第2条

行政庁の処分に不服がある者は、第四条及び第五条第二項の定めるところにより、審査請求をすることができる。

最判令和2年3月26日(国による不服申立てと「固有の資格」)

「固有の資格」とは、国の機関等であるからこそ立ち得る特有の立場、すなわち、一般私人が立ち得ないような立場をいう。

論文ではこう使う

論文では、救済ルートの選択を順に詰めます。まず当該行為が処分に当たるかを確認し、事実上の行為であっても公権力の行使に当たれば審査請求の対象になることを指摘します。次に審査庁を4条で特定し、上級行政庁の有無、権限の委任や専決があった場合の処分庁の同定を丁寧に行います。個別法に再調査の請求の定めがあれば、自由選択であること、再調査の請求をしたときは原則として決定を経た後に審査請求をすることを述べます。不作為であれば期間制限がないことを確認し、審査請求と不作為の違法確認の訴え・申請型義務付け訴訟の関係を整理します。最後に、行政不服審査では違法だけでなく不当も審査の対象になる点を、取消訴訟との違いとして強調します。

試験ではこう問われる

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読んだあとに、行政法の肢別演習を

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