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用語集 / 民法 / 連帯債務者間の求償

連帯債務者間の求償(442条〜445条)とは

れんたいさいむしゃかんのきゅうしょう

民法 多数当事者の債権債務・保証・債権譲渡・債務引受

連帯債務者間の求償とは、連帯債務者の一人が弁済その他自己の財産をもって共同の免責を得たときに、その額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対して各自の負担部分に応じた額の償還を求めることです(442条1項)。

三人で60万円を連帯して借り、負担は20万円ずつと決めていたとします。一人が貸主に全額を払えば、残りの二人に20万円ずつ返してもらいたいと考えるのは当然です。この内部での清算を求償といいます。民法は、連帯債務者どうしの公平のために、少しでも払えば負担部分の割合に応じて求償できるとし、二重払いや抗弁の見落としを防ぐために、払う前と払った後に他の連帯債務者へ通知することを求めています。

喫茶店のテーブルの場面。三人が座っている(札「連帯債務者A」「連帯債務者B」「連帯債務者C」)。Bの前に「60万円の連帯債務 負担部分 各20万円」と書いたメモと「18万円 弁済済み」の領収書。Bが領収書を見せている。先生が説明役(札「先生

連帯債務者の一人が共同の免責を得れば、自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、負担部分に応じた額を求償できます

連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、支出した財産の額のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有します(442条1項)。この一部弁済でも求償できるという扱いは、改正前の判例(大判大正6年5月3日)を明文にしたものです。求償には、免責があった日以後の法定利息と、避けることができなかった費用その他の損害の賠償が含まれます(442条2項)。負担部分100万円のBが60万円を弁済すれば、C及びDに20万円ずつ求償できるので、「Bの負担部分の範囲内であるから,C及びDに対して求償することはできない」という肢は誤りです。負担部分20万円のBが18万円を支払った場合もA及びCに6万円ずつ求償できるので、「A及びCに求償することはできない」という肢は誤りです。

求償権は自己の財産で共同の免責を得たときに生じるので、免除を受けただけの者は求償できませんが、混同は弁済とみなされて求償できます

求償権は、自分の財産を出して全員の債務を減らしたことへの清算です。債権者から債務の全額の免除を受けた連帯債務者は、何も出捐していないので求償権を取得しません。「Aは,B及びCに対し,各自の負担部分について求償権を取得する」という肢は誤りです。逆に、連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、又はその一人のために時効が完成した場合でも、他の連帯債務者は、弁済すればその一人に442条1項の求償権を行使できます(445条)。連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は弁済をしたものとみなされるので(440条)、負担部分の割合に応じて他の連帯債務者に求償できます。「他の連帯債務者に対して負担部分の割合に応じて求償することができる」という肢は正しいです。

他の連帯債務者を知りながら事前の通知をせずに弁済すると、他の連帯債務者は債権者に対抗できた相殺などの事由で求償を拒めます

他の連帯債務者があることを知りながら、連帯債務者の一人が共同の免責を得ることを他の連帯債務者に通知しないで弁済をした場合、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもって免責を得た連帯債務者に対抗できます(443条1項前段)。その事由が相殺であれば、通知を怠った連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求できます(443条1項後段)。債権者Bに反対債権を持つAに通知せずにCが弁済したとき、Aは相殺の事由をもってCの求償を拒めるので、「Aは,Cからの求償を拒むことができる」という肢は正しいです。Cが20万円の反対債権を持つ事例で、Cに通知せずに60万円を弁済したAが相殺を対抗されたときは、Aは債権者Dに乙債務20万円の支払を請求できるので、「Aは,Dに対し,相殺によって消滅すべきであった乙債務20万円の支払を請求することができる」という肢は正しいです。

銀行の窓口の場面。窓口に男性(札「連帯債務者A」)が60万円を差し出している。後ろの電話で女性(札「連帯債務者C」)が「私は債権者に20万円の反対債権があったのに」と言っている。窓口の中に男性(札「債権者D」)。先生が説明役(札「先生」)。

事後の通知を怠った者は、善意で二重に弁済した他の連帯債務者に弁済を有効とみなされますが、事前の通知を怠った二重弁済者はこの保護を受けません

共同の免責を得た連帯債務者が、他の連帯債務者があることを知りながら免責を得たことの通知を怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済その他の免責行為をしたときは、その他の連帯債務者は自己の免責行為を有効であったものとみなすことができます(443条2項)。判例は、この規定は事前の通知を前提とするもので、事前の通知を怠った連帯債務者までを保護する趣旨ではないとし、事前の通知を怠って二重に弁済した者は、先に弁済していた連帯債務者に対し、自己の免責行為を有効とみなすことはできないとしています(最判昭和57年12月17日)。Aの事後の通知がなくても、Cから請求を受けたBがAに事前の通知をせずに全額を弁済したのなら、Bは自己の弁済を有効と主張できないので、「BがAに対して事前にCから履行の請求を受けた旨の通知をしなかったとしても,Bは,Aに対し,自己の弁済が有効である旨主張することができる」という肢は誤りです。

償還する資力のない者の負担部分は求償者と他の資力のある者が分担し、連帯の免除を受けた者以外の債務は全額のまま残ります

連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者と他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担します(444条1項)。償還を受けられないことについて求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に分担を請求できません(444条3項)。債権者が連帯債務者の一部について連帯の免除をすると、免除を受けた者の債務だけが負担部分の額に縮減し、他の連帯債務者は依然として全額の債務を負います。BCDが負担部分の等しい300万円の連帯債務を負う事例で、AがCについて連帯の免除をしても、「B及びDは,Aに対し,300万円の連帯債務を負う」という肢は正しいです。改正前の旧445条は、連帯の免除を受けた者が負担すべき無資力者の分を債権者が負担すると定めていましたが、この規定は削除されました。

民法442条1項

連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する。

民法443条2項

弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た連帯債務者が、他の連帯債務者があることを知りながらその免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済その他自己の財産をもって免責を得るための行為をしたときは、当該他の連帯債務者は、その免責を得るための行為を有効であったものとみなすことができる。

試験ではこう問われる

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