連帯債権・不可分債権・不可分債務(428条〜435条の2)とは
れんたいさいけんふかぶんさいけんふかぶんさいむ
連帯債権とは、性質上可分な給付について、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人の債権者が各自全ての債権者のために全部の履行を請求できる債権です(432条)。不可分債権・不可分債務とは、給付の目的が性質上不可分なために数人の債権者又は債務者の間で分割できない債権・債務で、連帯債権・連帯債務の規定が一部を除いて準用されます(428条・430条)。
三人が共同で600万円を貸し、誰でも全額を取り立てられると約束しておけば、債務者は三人のうち誰に払っても済み、三人は一人に取立てを任せられます。これが連帯債権です。他方、二人で一筆の土地を買ったときの引渡請求権は、土地を半分ずつ引き渡すことができないので不可分債権になります。民法は、連帯債権では一人に生じた事由の一部を全員に及ぼし、不可分債権・不可分債務では給付が分けられないことに合わせて連帯の規定を準用しています。
連帯債権者の一人は、他の債権者の同意なく、全ての債権者のために全部の履行を請求でき、その請求は他の債権者にも効力を生じます
債権の目的がその性質上可分である場合に、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求でき、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行できます(432条)。各債権者は全部の請求権を自分で持っているので、他の債権者の同意は要りません。「B及びCの同意を得ることを要しない」という肢は正しいです。一人の請求は全ての債権者のための請求なので、催告による時効の完成猶予も他の連帯債権者の債権に及びます。「Bの債権についても,その時から6か月を経過するまでの間,時効の完成が猶予される」という肢は正しいです。
連帯債権者の一人の免除は分与されるべき利益の部分だけ他の債権者の請求を妨げ、債務者の相殺と混同は全部について効力を生じます
連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は履行を請求できません(433条)。600万円の連帯債権で分与されるべき利益が等しければ、全部を免除したAの分は200万円なので、Bは400万円の限度で請求できます。「BはDに対して400万円の限度で支払を請求することができる」という肢と、60万円で内部の割合が平等な場合の「Bは,30万円の限度でのみ支払を請求することができる」という肢は正しいです。債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合に、債務者が相殺を援用したときは、その相殺は他の連帯債権者に対しても効力を生じます(434条)。DがAに対する300万円の債権で相殺すれば300万円全部について連帯債権が消滅するので、「その相殺は200万円の限度で効力を生ずる」という肢は誤りです。連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は弁済をしたものとみなされます(435条)。Cが債務者Dを単独で相続すれば連帯債権は全部消滅し、AはCに内部の分与として200万円を求められるだけなので、「Aは,Cに対して400万円の支払を請求することができる」という肢は誤りです。
- 履行の請求(432条)全ての債権者のために効力を生じる
- 更改・免除(433条)その債権者に分与されるべき利益の部分だけ、他の債権者は請求できない
- 債務者の相殺の援用(434条)他の連帯債権者に対しても効力を生じる
- 混同(435条)債務者は弁済をしたものとみなされる
- それ以外の事由(435条の2)相対的効力。時効による消滅も他の債権者に及ばない
それ以外の事由は相対的効力で、一人の権利が時効で消滅しても他の連帯債権者は全部を請求できます
432条から435条までに規定する場合を除き、連帯債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の連帯債権者に対してその効力を生じません(435条の2本文)。ただし、他の連帯債権者の一人と債務者が別段の意思を表示したときは、その意思に従います(同条ただし書)。消滅時効の完成は433条から435条に挙がっていないので、Aの権利が時効で消滅しても、Bは自己の連帯債権に基づいて全部の履行を請求できます。「Bは,Dに対して600万円の支払を請求することができる」という肢は正しいです。
不可分債権では一人の免除・更改や混同があっても他の債権者は全部の履行を請求でき、不可分債務には混同を除き連帯債務の規定が準用されます
債権の目的がその性質上不可分である場合に数人の債権者があるときは、連帯債権の規定が準用されますが、433条(更改・免除)と435条(混同)は準用されません(428条)。不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があっても、他の不可分債権者は債務の全部の履行を請求でき、その場合はその一人が権利を失わなければ分与されるべき利益を債務者に償還しなければなりません(429条)。「他の不可分債権者は,債務者に対し,債務の全部の履行を請求することができる」という肢は正しいです。混同も相対的効力にとどまるので、土地の引渡しを目的とする不可分債権の債務者CをBが単独で相続しても、Aは引渡しの債務を承継したBに引渡しを請求できます。「Aは,Bに対し,甲土地の引渡しを請求することができる」という肢は正しいです。債務の目的がその性質上不可分である場合に数人の債務者があるときは、連帯債務の規定が440条(混同)を除いて準用されます(430条)。不可分債権が可分債権となったときは各債権者は自己の部分だけを請求でき、不可分債務が可分債務となったときは各債務者はその負担部分だけの責任を負います(431条)。
民法433条
連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は、履行を請求することができない。
民法428条
次款(連帯債権)の規定(第四百三十三条及び第四百三十五条の規定を除く。)は、債権の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債権者があるときについて準用する。
民法429条
不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益を債務者に償還しなければならない。
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