一般社団法人・一般財団法人の機関と剰余金(一般法人法)とは
いっぱんしゃだんほうじんいっぱんざいだんほうじんのきかんとじょうよきん
一般社団法人とは、人の集まり(社員)を基礎として設立の登記によって成立する非営利の法人で、一般財団法人とは、設立者が拠出した財産を基礎として成立する非営利の法人のことです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)。
同窓会や学会のような人の集まりや、奨学金を出すために寄付された財産を、手軽に法人にしたいという要望があります。一般社団法人と一般財団法人は、公益性の有無を問わず、設立の登記だけで法人になれる制度です。ただし非営利の法人なので、得た利益を構成員に配ることはできません。株式会社が利益の配当を本質とするのと正反対で、この非営利性と、機関を定款で選べる柔軟さが、短答で問われる中心です。
一般社団法人は社員に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を与えることができず、社員総会も剰余金を分配する決議はできません
一般社団法人では、社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律11条2項)。社員総会も、社員に剰余金を分配する旨の決議をすることができません(同法35条3項)。営利性を否定するための規定です。「社員に残余財産の分配を受ける権利を与える旨の一般社団法人の定款の定めは,その効力を有しない」という肢と「一般社団法人の社員総会は,社員に剰余金を分配する旨の決議をすることができない」という肢は正しいです。一般財団法人でも、設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは効力を有しません(同法153条3項2号)。これに対して株式会社では、株主に剰余金の配当を受ける権利と残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めが無効です(会社法105条2項)。営利法人は利益を構成員に分配することが本質だからです。
解散した一般社団法人の残余財産の帰属が定款で定まらないときは、社員総会の決議で定めることができ、社員を帰属先とすることもできます
清算する一般社団法人の残余財産の帰属は定款で定めるところによりますが(同法239条1項)、定款で定まらないときは、清算法人の社員総会又は評議員会の決議によって定めます(同条2項)。この決議で社員を帰属先に指定することは禁じられていないので、「その一般社団法人の社員総会は,その残余財産を社員に分配する旨の決議をすることができない」という肢は誤りです。定款で社員への分配を定めることが禁じられていることとの関係で営利性の徹底に欠けるとの批判はありますが、条文はこの決議を認めています。
一般社団法人では理事会は定款で置くかを選ぶ機関で、代表理事を定めなければ各理事が単独で法人を代表します
一般社団法人には社員総会のほか一人又は二人以上の理事を置かなければなりませんが、理事会・監事・会計監査人は定款の定めによって置くことができる機関です(同法60条1項・2項)。理事が複数いても理事会を置く義務はなく、理事会を置かない法人でも定款・理事の互選・社員総会の決議で代表理事を定めることができます(同法77条3項)。「理事が複数ある場合には,必ず理事会を置かなければならない」という肢と「代表理事を定めた場合には,必ず理事会を置かなければならない」という肢は誤りです。他方、理事会を置いた法人と会計監査人を置いた法人は監事を置かなければなりません(同法61条)。「理事会を設置した場合には,必ず監事を置かなければならない」という肢は正しいです。代表理事その他の代表者を定めていない場合は、理事が法人を代表し、理事が2人以上いれば各自が代表します(同法77条1項・2項)。「各理事は,単独で一般社団法人を代表する」という肢は正しいです。代表者の不法行為と代表権の制限は、法人の不法行為責任の語で扱います。
一般社団法人の社員は法人の債務について責任を負わず、社員の債権者も法人の財産にかかっていくことはできません
一般社団法人は社員とは別の権利主体なので、法人の債務は法人の財産だけで弁済され、社員は法人の債務について個人として責任を負いません。「一般社団法人の債権者は,各社員に対して,その権利を行使することができる」という肢は誤りです。反対に、社員が個人として負う債務について、社員の債権者が法人の財産を差し押さえることもできません。法人に拠出された財産はもはや社員のものではないからです。「一般社団法人の社員の債権者は,法人の財産に対して,その権利を行使することができない」という肢は正しいです。民法上の組合では組合の債権者が各組合員に権利を行使でき(675条2項)、権利能力なき社団では構成員は個人的責任を負いません。団体ごとの違いは組合財産と組合債務の語と権利能力なき社団の語で扱います。
- 剰余金・残余財産を受ける権利を社員に与える定款無効(11条2項)。一般財団法人の設立者についても無効(153条3項2号)
- 社員総会の剰余金分配決議できない(35条3項)
- 定款で定まらない残余財産清算法人の社員総会・評議員会の決議で定める。社員を指定してもよい(239条2項)
- 理事会定款で置くことができる任意の機関(60条2項)。置けば監事が必置(61条)
- 代表代表理事等がなければ各理事が単独で代表(77条1項・2項)
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。