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用語集 / 刑法 / 自首

自首とは

じしゅ

刑法 罪数・刑罰の適用

自首とは、罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に、自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、その処分に委ねることです。自首したときは、その刑を減軽することができます(刑法42条1項)。

罪を犯した人が、まだ誰の犯行か分かっていないうちに警察署に出向いて「自分がやりました」と申し出たとします。捜査機関は犯人を捜す手間が省け、無実の人が疑われる危険も減ります。そこで刑法は、自首した者の刑を減軽できることにして、名乗り出ることを促しています。すでに犯人が分かっていて、居場所だけが分からないという段階で出頭しても、捜査を助ける度合いが小さいので、自首には当たりません。

警察署の受付の場面。先生が警察官役(札「捜査機関」)で受付の机に座り、向かいに男性(札「罪を犯した者」)が立って頭を下げている。受付の後ろの掲示板に「犯人:まだ不明」と書いた紙が貼られ、その紙に深紅の枠。男性の吹き出し「私がやりました。処分

「発覚する前」とは、犯罪事実と犯人の両方が捜査機関に判明する前をいいます

判例は、「発覚する前」には、犯罪事実が全く発覚していない場合だけでなく、犯罪事実は発覚していても犯人が誰であるかが発覚していない場合も含まれるとしています。他方、犯罪事実と犯人が誰であるかの両方が発覚していて、犯人の所在だけが不明である場合は含まれません(最判昭和24年5月14日)。「犯人が甲であることが発覚していなくても,自首は成立しない」という肢は誤りです。被害者の通報で犯罪事実が発覚し、犯人のおよその年齢や人相が分かっていても、犯人が甲であると特定されていなければ、発覚する前に当たります。「仮に,捜査機関に犯罪事実及び甲が犯人であることが発覚しており,甲の所在だけが不明であった場合には,自首は成立しない」という肢は正しいです。犯罪事実と犯人の両方が発覚している以上、所在が分からないというだけでは発覚する前とはいえません。

  • 犯罪事実が発覚していない発覚する前に当たる(自首が成立し得る)
  • 犯罪事実は発覚しているが、犯人が誰か発覚していない発覚する前に当たる(自首が成立し得る)
  • 犯罪事実も犯人も発覚し、犯人の所在だけが不明発覚する前に当たらない(自首は成立しない)
捜査本部の会議室の場面。先生が刑事役(札「捜査機関」)でホワイトボードの前に立つ。ホワイトボードは縦に3段。1段目「犯罪事実:不明」→右に丸印「発覚する前」。2段目「犯罪事実:判明/犯人:不明」→右に丸印「発覚する前」。3段目「犯罪事実:判

自首は自発的な申告であることを要しますが、職務質問に答えて申告した場合でも成立し得ます

自首は、犯人が自ら進んで犯罪事実を申告するものでなければなりません。取調べを受けて追及され、やむなく自供した場合は自首に当たりません。しかし、警察官に声を掛けられたことがきっかけであっても、捜査機関がまだ犯罪事実を把握していない段階で、自分から犯罪事実を告げたのであれば、自発的な申告といえます。「自首は自ら進んで自発的に行う必要があるから,甲のように警察官から職務質問を受け,その質問に答えて犯罪事実を申告した場合には,およそ自首は成立しない」という肢は誤りです。事例の甲は、出頭するつもりで警察署の前まで来ており、捜査機関が無銭飲食の事実を認識していない段階で、職務質問に対して自らその事実を告げてナイフも提出しています。職務質問がきっかけだったというだけで、およそ自首が成立しないとはいえません。

反省や悔悟は要件ではなく、罪名を正しく認識している必要もありません

自首による減軽は、捜査や処罰を容易にするという政策的な理由にも基づいています。犯人が反省していなくても、名乗り出れば捜査は容易になります。そのため、自首の動機は問われません。「自首が成立するためには,犯人が反省悔悟に出たものであることを要するから,甲のようないわゆる刑務所志願を目的とする場合には,自首は成立しない」という肢は誤りです。刑務所に入りたいという動機で申告した場合でも、自首は成立し得ます。申告する内容は犯罪事実であり、その行為が法律上どの罪に当たるかという評価まで正しく述べる必要はありません。「甲が,ナイフを突き付けたのは無銭飲食をした後逃走するためであり,そのような行為が強盗という罪に当たるとは思わなかったと申告している場合には,自首は成立しない」という肢は誤りです。ナイフを突き付けて代金の支払を免れて逃げたという事実を申告していれば、それが強盗の罪に当たると思っていなかったとしても、自首は成立し得ます。

自首の効果は刑を減軽できるにとどまり、自首した者にだけ及びます

自首したときは「その刑を減軽することができる」ので、減軽するかどうかは裁判所の裁量です。必ず減軽されるわけではなく、42条には免除の定めもありません。また、自首による減軽は、自首した本人の事情に基づく一身的なものです。「自首による刑の減免は一身的な事由であるので,共犯者のうち一人に自首が成立する場合,刑法第65条第1項の適用はなく,その減免の効果は自首した者以外には及ばない」という肢は正しいです。共犯者の1人が自首しても、他の共犯者の刑が減軽されることはありません。

親告罪では、告訴権者に犯罪事実を告げてその措置に委ねたときも同じ扱いになります

告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置に委ねたときも、自首と同様に刑を減軽することができます(42条2項)。これを首服といいます。「親告罪について,告訴権者に対して自己の犯罪事実を告げ,その措置に委ねたときは,刑を減軽することができる」という肢は正しいです。「親告罪に当たる罪を犯した者が,捜査機関及び告訴権者に発覚する前に,告訴権者に対して自己の犯罪事実を自発的に告げ,告訴するかどうかについて告訴権者の措置に委ねた場合,その刑を減軽することができる」という肢も正しいです。効果は自首と同じく、減軽することができるにとどまります。

個別の罪には、自首や自白によって刑を免除し又は減軽する特別の規定があります

42条とは別に、罪ごとに自首や自白の効果を定める規定があります。内乱の予備・陰謀・幇助の罪を犯した者が暴動に至る前に自首したときは、その刑を免除します(80条)。私戦の予備・陰謀をした者が自首したときも、その刑を免除します(93条ただし書)。身の代金目的略取等の予備をした者が実行に着手する前に自首したときは、その刑を減軽し、又は免除します(228条の3ただし書)。偽証罪・虚偽告訴等罪を犯した者が、裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができます(170条・173条)。42条が減軽できるにとどまるのに対し、これらの規定は免除まで認めている点が違います。

刑法42条1項

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

刑法42条2項

告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

試験ではこう問われる

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