仮釈放・刑の時効・刑の消滅とは
かりしゃくほうけいのじこうけいのしょうめつ
仮釈放とは、拘禁刑に処せられた者に改悛の状があるときに、刑期が満了する前に行政官庁の処分によって仮に釈放する制度です(刑法28条)。刑の時効は確定した刑が一定の期間執行されないことで執行の免除を得る制度、刑の消滅は刑の執行を終えた後に一定の期間を経過することで刑の言渡しが効力を失う制度です。
拘禁刑10年の判決を受けた人が、まじめに服役して反省を深めているのに、満期まで必ず刑事施設に置いておくのが最善とは限りません。少し早く社会に戻し、見守りながら生活を立て直させた方が、再び罪を犯すことを防げる場合があります。そこで、一定の期間を過ぎた後は仮に釈放できることにしたのが仮釈放です。刑が確定した後の扱いには、このほかに、長く執行されなかった刑を執行しないことにする刑の時効と、前科の効果をなくす刑の消滅があります。
仮釈放は、有期刑では刑期の3分の1、無期刑では10年を経過した後にすることができます
拘禁刑に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の3分の1を、無期刑については10年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができます(28条)。「懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは,有期刑についてはその刑期の2分の1を経過した後,仮に釈放することができる」という肢は誤りです。有期刑で必要な期間は刑期の2分の1ではなく3分の1です。「懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは,無期刑については10年を経過した後,行政官庁の処分によって仮に釈放することができる」という肢は正しいです。出題当時の懲役・禁錮は、現在は拘禁刑です。仮釈放を決めるのは判決を言い渡した裁判所ではなく、行政官庁です。執行猶予が判決の中で裁判所によって言い渡されるのと違い、仮釈放は刑の執行が始まった後に行政官庁が判断します。拘留に処せられた者と、罰金又は科料を完納することができないため労役場に留置された者は、情状により、いつでも、行政官庁の処分によって仮に出場を許すことができます(30条)。
- 有期拘禁刑の仮釈放刑期の3分の1を経過した後
- 無期拘禁刑の仮釈放10年を経過した後
- 拘留・労役場留置の仮出場情状により、いつでも
- 決める機関行政官庁(裁判所ではない)
仮釈放中に更に罪を犯して罰金以上の刑に処せられたときなどは、仮釈放を取り消すことができます
仮釈放の処分は、仮釈放中に更に罪を犯して罰金以上の刑に処せられたとき、仮釈放前に犯した他の罪について罰金以上の刑に処せられたとき、仮釈放中に遵守すべき事項を遵守しなかったときなどに、取り消すことができます(29条1項)。取り消すかどうかは裁量です。仮釈放の処分を取り消したときは、釈放中の日数は刑期に算入しません(同条3項)。釈放されていた期間の分も、改めて刑事施設で刑の執行を受けることになります。
刑の時効は確定した刑の執行の免除を得る制度で、死刑には適用されません
刑の言渡しを受けた者は、時効によりその執行の免除を得ます。ただし、死刑は除かれます(31条)。時効は、刑の言渡しが確定した後、刑の重さに応じた期間その執行を受けないことによって完成します(32条)。拘禁刑及び拘留の時効は、刑の言渡しを受けた者をその執行のために拘束することによって中断します(34条1項)。刑の時効は、有罪の裁判が確定した後に、その刑を執行できなくなるという制度です。これに対し公訴時効は、犯罪が終わった時から一定の期間が経過すると検察官が公訴を提起できなくなるという刑事訴訟法上の制度で、裁判が確定する前の問題です。2つは対象とする段階が違います。
- 無期拘禁刑30年
- 10年以上の有期拘禁刑20年
- 3年以上10年未満の拘禁刑10年
- 3年未満の拘禁刑5年
- 罰金3年
- 拘留・科料・没収1年
- 死刑刑の時効はない
刑の消滅は、刑の執行を終えた後、罰金以上の刑に処せられないで一定の期間を経過したときに認められます
拘禁刑以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が、罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときは、刑の言渡しは効力を失います。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者については、この期間は5年です(34条の2第1項)。刑の免除の言渡しを受けた者は、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで2年を経過したときに、刑の免除の言渡しが効力を失います(同条2項)。刑の言渡しが効力を失うと、刑に処せられたことを理由とする資格の制限などがなくなります。執行猶予の期間を経過した場合にも刑の言渡しは効力を失いますが(27条1項)、そちらは刑の執行を受けないまま期間を経過した場合であり、刑の消滅は刑の執行を終えた後の制度です。
刑法28条
拘禁刑に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。
刑法31条
刑(死刑を除く。)の言渡しを受けた者は、時効によりその執行の免除を得る。
刑法34条の2第1項
拘禁刑以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。