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刑の種類(主刑と付加刑・拘禁刑・労役場留置)とは

けいのしゅるい

刑法 罪数・刑罰の適用

主刑とは、それだけで独立して言い渡すことができる刑で、死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料の5種類です。付加刑とは、主刑に付け加える形でだけ言い渡すことができる刑で、没収だけがこれに当たります(刑法9条)。

判決の主文は「被告人を拘禁刑3年に処する」「被告人を罰金30万円に処する」のように言い渡されます。ここで言い渡せる刑は、刑法9条が挙げるものに限られます。何を奪う刑なのかで分けると、生命を奪う死刑、自由を奪う拘禁刑と拘留、財産を奪う罰金・科料・没収の3つになります。刑に似ていても9条に挙がっていないものは刑ではありません。この線引きと、それぞれの刑の期間や金額の数字が問われます。

法廷の場面。先生が裁判官役(札「裁判所」)で法壇に座り、被告人席に男性が立つ。法壇の後ろの壁に大きな掲示板があり、上段に5枚の札「死刑」「拘禁刑」「罰金」「拘留」「科料」が横に並んで見出し「主刑」、下段に深紅の枠の札「没収」が1枚だけあり見

主刑は死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料の5種類で、付加刑は没収だけです

9条は、死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑としています。主刑は単独で言い渡せますが、没収は主刑を言い渡すときに付け加える形でしか言い渡せません。主刑の軽重は、9条に書かれた順序によります(10条1項)。同じ種類の刑では、長期の長いもの又は多額の多いものが重い刑です(10条2項)。奪われる利益で分けると、死刑が生命刑、拘禁刑と拘留が自由刑、罰金・科料・没収が財産刑です。主刑と付加刑の区別は言い渡し方による区別であり、自由刑と財産刑の区別は奪われる利益による区別なので、2つの区別は別の軸です。

  • 死刑生命刑。主刑
  • 拘禁刑自由刑。主刑。無期と有期があり、有期は1月以上20年以下(12条1項)。刑事施設に拘置し、改善更生を図るため必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる
  • 罰金財産刑。主刑。1万円以上。減軽する場合は1万円未満に下げることができる(15条)
  • 拘留自由刑。主刑。1日以上30日未満。刑事施設に拘置する(16条)
  • 科料財産刑。主刑。千円以上1万円未満(17条)
  • 没収財産刑。付加刑(19条)
  • 労役場留置刑ではない。罰金・科料を完納できない者を労役場に留置する処分。罰金は1日以上2年以下、科料は1日以上30日以下(18条)
  • 追徴刑ではない。没収できないときにその価額を納めさせる処分(19条の2)

自由刑は拘禁刑と拘留であり、労役場留置は自由刑に含まれません

「自由刑には,懲役,禁錮及び労役場留置が含まれる」という肢は誤りです。出題当時の自由刑は懲役・禁錮・拘留で、現在は拘禁刑と拘留です。労役場留置は、罰金又は科料を完納することができない者を労役場に留置する処分です(18条)。身体を拘束する点は自由刑に似ていますが、9条が挙げる刑の種類には入っていません。言い渡された財産刑を金銭で執行できないときに、これに代えて行う換刑処分です。留置の期間は、罰金については1日以上2年以下、科料については1日以上30日以下で、罰金や科料を言い渡すときに、完納できない場合の留置の期間を定めて一緒に言い渡します。

教室の場面。先生が教壇に立ち、黒板に大きな円が2つ並ぶ。左の円の見出し「自由刑」の中に「拘禁刑」「拘留」、右の円の見出し「財産刑」の中に「罰金」「科料」「没収」。2つの円の外側の下に、深紅の点線で囲んだ2枚の札「労役場留置」「追徴」があり、

財産刑は罰金・科料・没収であり、追徴は刑ではありません

「財産刑には,罰金,没収及び追徴が含まれる」という肢は誤りです。罰金と科料は主刑、没収は付加刑で、いずれも財産を奪う刑です。これに対し追徴は、没収すべき物を没収することができないときに、その価額を納めさせる処分です(19条の2)。没収に代わる処分であって、9条が挙げる刑の種類には入っていません。罰金は1万円以上で、減軽する場合には1万円未満に下げることができます。科料は千円以上1万円未満です。罰金と科料は金額で区別され、拘留と拘禁刑は期間と内容で区別されます。行政上の制裁である過料や、刑事手続で身柄を拘束する勾留は、名前が似ていますが刑ではありません。

有期拘禁刑は1月以上20年以下で、加重するときは30年まで上げ、減軽するときは1月未満に下げることができます

拘禁刑には無期と有期があり、有期拘禁刑は1月以上20年以下です(12条1項)。「有期の懲役又は禁錮は,1月以上15年以下であり,これを加重する場合においては30年にまで上げることができる」という肢は誤りです。長期は15年ではなく20年です。併合罪や再犯で有期拘禁刑を加重する場合は30年まで上げることができ、減軽する場合は1月未満に下げることができます(14条2項)。「有期の懲役又は禁錮を減軽する場合においては1月未満に下げることができる」という肢は正しいです。死刑又は無期拘禁刑を減軽して有期拘禁刑とする場合は、その長期を30年とします(14条1項)。「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とするときは,その長期を20年とする」という肢は誤りです。長期は20年ではなく30年です。20年という数字は法定刑としての有期拘禁刑の上限であり、加重や減軽の結果としての処断刑の上限は30年になります。

懲役と禁錮は、2025年6月1日から拘禁刑に一本化されています

改正前の刑法は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる懲役と、刑事施設に拘置する禁錮とを分けていました。「懲役は,受刑者を刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる刑罰であり,禁錮は,受刑者を刑事施設に拘置する刑罰である」という肢は正しいです。これは出題当時の条文の内容です。2025年6月1日に施行された改正で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。拘禁刑は刑事施設に拘置する刑で、拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができます(12条2項・3項)。作業は刑の内容として一律に科されるものではなくなりました。拘留についても同じ定めが置かれています(16条2項)。過去問の「懲役」「禁錮」は、数字はそのままで「拘禁刑」に読み替えます。

刑法9条

死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

刑法12条1項

拘禁刑は、無期及び有期とし、有期拘禁刑は、一月以上二十年以下とする。

刑法14条2項

有期拘禁刑を加重する場合においては三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。

試験ではこう問われる

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