原告適格の深化|行訴法9条2項の考慮事項と判例展開
原告適格の深化を解説。行訴法9条2項の考慮事項の具体的適用、2004年改正後の判例展開、答案での論証パターンを整理します。
この記事のポイント
原告適格は行訴法9条2項(2004年改正で追加)により判断枠組みが明確化され、根拠法令の趣旨・目的、関係法令、侵害される利益の内容・性質・程度を考慮して判断する。
行訴法9条2項の構造
条文の要素
考慮事項 内容 根拠法令の趣旨・目的 処分の根拠となる法令が何を保護しているか 関係法令の趣旨・目的 根拠法令と目的を共通にする関係法令 侵害される利益の内容・性質 侵害される利益が生命・健康等の重大なものか 侵害の態様・程度 侵害がどのような形で生じるか判例の展開
もんじゅ訴訟(最判平4.9.22)
要素 判断 根拠法令 原子炉等規制法は災害防止を目的 保護利益 周辺住民の生命・身体の安全 結論 原子炉から一定範囲内の住民に原告適格を肯定小田急高架訴訟(最大判平17.12.7)
要素 判断 根拠法令 都市計画法は良好な都市環境の保全等を目的 関係法令 公害対策基本法・東京都環境影響評価条例 保護利益 騒音・振動等により健康・生活環境に著しい被害を受けるおそれのある住民の利益 結論 沿線住民に原告適格を肯定サテライト大阪事件(最判平21.10.15)
要素 判断 根拠法令 自転車競技法は場外車券発売施設の周辺環境への配慮を要求 保護利益 位置基準により保護される周辺住民の利益 結論 一定範囲の住民に原告適格を肯定原告適格が否定された例
判例 内容 最判平26.7.29 一般的な生活利益にとどまる場合は否定答案での論証パターン
ステップ1:法律上の利益の有無
行訴法9条1項の「法律上の利益を有する者」に該当するかを検討。
ステップ2:9条2項の考慮事項の検討
- 根拠法令の趣旨・目的を分析
- 関係法令があれば併せて考慮
- 侵害される利益の内容・性質・程度を評価
- 個々人の個別的利益として保護されているかを判断
ステップ3:あてはめ
問題文の事実を使って具体的にあてはめる。
まとめ
- 原告適格は9条2項の考慮事項に沿って段階的に検討
- 根拠法令と関係法令の両方を分析する
- 生命・健康等の重大な利益は個別的保護が認められやすい
- 反射的利益にとどまる場合は原告適格否定
- 答案では条文の要素に即して丁寧にあてはめる
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