取消訴訟の訴訟要件|処分性・原告適格・狭義の訴えの利益
取消訴訟の訴訟要件を体系的に解説。処分性の判断基準、原告適格の判断枠組み、狭義の訴えの利益、被告適格・出訴期間を整理します。
この記事のポイント
取消訴訟は行政事件訴訟の中心的訴訟類型であり、処分性・原告適格・狭義の訴えの利益が最重要の訴訟要件である。 特に処分性と原告適格は司法試験で毎年出題される。
訴訟要件の全体像
訴訟要件 根拠条文 処分性 行訴法3条2項 原告適格 行訴法9条 狭義の訴えの利益 行訴法9条1項括弧書き 被告適格 行訴法11条 出訴期間 行訴法14条 不服申立前置 個別法の定め処分性
定義
「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行訴法3条2項)
判断基準(最判昭39.10.29)
公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの。
要素 内容 公権力性 優越的地位に基づく一方的行為 直接性 直接に法効果を生じること 法効果性 権利義務の形成・確定 外部性 行政組織の内部行為でないこと処分性が認められた例
判例 行為 最判平17.7.15 病院開設中止勧告 最判平20.9.10 土地区画整理事業計画の決定 最判平17.10.25 食品衛生法に基づく通知 最大判平20.9.10 保育所廃止条例処分性が否定された例
判例 行為 最判昭30.2.24 通達 最判昭57.4.22 行政計画(一般的な都市計画) 最判平16.4.26 行政指導原告適格
行訴法9条1項
取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に原告適格が認められる。
行訴法9条2項(2004年改正で追加)
法律上の利益の有無を判断するに当たっては以下を考慮する。
考慮事項 内容 根拠法令の趣旨・目的 処分の根拠法令が保護する利益 関係法令の趣旨・目的 根拠法令と目的を共通にする関係法令 侵害される利益の内容・性質・程度 生命・健康等の重大な利益か重要判例
判例 結論 もんじゅ訴訟(最判平4.9.22) 周辺住民に原告適格を肯定 小田急高架訴訟(最大判平17.12.7) 沿線住民に原告適格を肯定 サテライト大阪事件(最判平21.10.15) 周辺住民に原告適格を肯定狭義の訴えの利益
意義
処分が取り消された場合に回復すべき法律上の利益が存在すること。
訴えの利益が消滅する場合
場面 例 処分の効果が期間経過で消滅 営業停止期間の経過 目的の達成 建築物の完成 事情の変更 処分の撤回訴えの利益が残る場合
場面 例 回復すべき法律上の利益 免許取消しの場合の名誉回復 制裁的効果の残存 加重要件への該当まとめ
- 処分性は公権力性・直接性・法効果性・外部性で判断
- 原告適格は行訴法9条2項の考慮事項に沿って検討
- 狭義の訴えの利益は処分効果の消滅後も検討が必要
- 処分性と原告適格は毎年出題される最重要論点