反射効とは
はんしゃこう
反射効とは、当事者間の確定判決が、当事者と実体法上の依存関係にある第三者に、反射的に有利又は不利な影響を及ぼすとする考え方です。主債務者が勝訴すれば保証人もそれを援用できるといった場面で論じられますが、判例は反射効を認めていません。
保証人は、主債務が消えれば自分の保証債務も消えるという関係にあります。そうすると、主債務者が債権者との裁判で「主債務は存在しない」という判決を勝ち取ったなら、保証人もそれに乗れるのが自然にも見えます。反射効は、このような実体法上の依存関係を理由に、当事者間の判決の効力が第三者に反射的に及ぶとする考え方です。しかし判決効を115条1項の外に広げることになるので、判例はこれを認めていません。
反射効は実体法上の依存関係を理由に判決の効力を第三者に及ぼそうとする考え方で、判例はこれを認めていません
既判力が及ぶ者は115条1項で限られ、保証人や連帯債務者は主債務者や他の債務者の訴訟の当事者でも承継人でもありません。学説の一部は、保証債務の付従性のような実体法上の依存関係があれば、当事者間の判決が第三者に有利又は不利に反射的に及ぶとしました。主債務者勝訴の判決を保証人が援用できる、という形で論じられるのが典型です。しかし判例は、判決の効力は当事者間に限られるという原則を維持し、反射効を正面から認めていません。反射効を認めると、どの依存関係で、有利な効力だけを及ぼすのかなど、範囲が不明確になるからです。
保証人敗訴の判決の確定後に主債務者勝訴の判決が確定しても、保証人はこれを援用して請求異議の事由にできません
判例は、保証人が債権者からの保証債務履行請求訴訟で敗訴判決を受け、その確定後に主債務者と債権者との訴訟で主債務者勝訴の判決が確定した事案で、主債務者勝訴の理由が保証人敗訴判決の基準時までに生じた事実である以上、保証人はこれを請求異議の事由とすることはできないとしました(最判昭和51年10月21日)。仮に主債務者勝訴の判決の援用が許されるとしても、それは既判力が保証人に拡張されるからではなく、保証人は自分の敗訴確定判決の効力により、基準時前に提出できた事実で債権者の権利を争うことを許されないからです。援用を認めれば、遮断された主張を蒸し返すのと変わりません。主債務者が基準時前に弁済していたとして主債務者勝訴の判決が確定した場合でも、「貸金返還請求訴訟の確定判決を請求異議の事由として援用することは,許されない」という肢は正しいです。
連帯債務者の一人が相殺を理由に一部棄却の判決を得ても、その判決の効力は他の債務者に及ばず、相殺の効果は実体法上の効力として別に判断します
判例は、不真正連帯債務者の一人と債権者との間の確定判決は他の債務者に効力を及ぼさず、確定判決の既判力が相殺のために主張された反対債権の存否について生じる場合(114条2項)でも同じだとしました(最判昭和53年3月23日)。他の債務者との訴訟で債務の消滅を認めるには、その相殺が実体法上有効かを改めて認定しなければならず、相殺を認めた確定判決が存在するだけでは足りません。XがYとZのうちYに対してだけ連帯債務の履行を求め、相殺を理由に一部棄却の判決が確定しても、その判決の効力はZに及びません。「この判決の効力は,Zに及ぶ」という肢は誤りです。現行の民法では、連帯債務者の一人が相殺を援用すれば債権はすべての連帯債務者の利益のために消滅します(民法439条1項)が、それは実体法上の相殺の効果であって、判決の効力が及ぶこととは区別されます。
- 保証人敗訴の確定後の主債務者勝訴保証人は援用して請求異議の事由にできません(最判昭和51年10月21日)
- 連帯債務者の一人に対する相殺による一部棄却判決の効力は他の債務者に及びません(最判昭和53年3月23日)
- 実体法上の効果相殺の絶対効(民法439条1項)や保証人の主債務者の抗弁の援用(民法457条2項)は、判決効とは別に判断します
民事執行法35条2項
確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。
論文ではこう使う
論文では、第三者に有利な判決効を及ぼしたいという問題設定を示し、115条1項の拡張事由に当たらないことを確認したうえで、反射効を認めるかを論じます。判例は反射効を認めていない(最判昭和51年10月21日・最判昭和53年3月23日)ので、それに従う場合は、第三者自身の訴訟で実体法上の抗弁(主債務の消滅、相殺の絶対効など)として主張させ、判決の存在そのものに拘束力を認めないという結論を書きます。肯定説に立つ場合も、保証人が既に敗訴判決を受けているときは自分の判決の既判力で遮断されることを押さえます。
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