共有物の管理費用と共有物に関する債権(253条・254条・259条)とは
きょうゆうぶつのかんりひようときょうゆうぶつにかんするさいけん
共有物の管理費用とは、各共有者が持分に応じて負う共有物の管理の費用その他の負担です(253条1項)。共有物について他の共有者に対して持つ債権は特定承継人にも行使でき(254条)、1年以内に負担を履行しない共有者の持分は償金を払って取得でき(253条2項)、分割の際は債務者の取り分で弁済させられます(259条)。
共有の建物の屋根の修理代や固定資産税を一人の共有者が立て替えたのに、他の共有者が払わないまま持分を第三者に売ってしまったら、立て替えた人は泣き寝入りになりかねません。民法は、共有物について共有者どうしで生じた債権を、持分を譲り受けた人にも請求できるようにしています。1年たっても負担を払わない共有者からは持分を買い取ることができ、共有物を分割するときには、払わない共有者の取り分から精算することもできます。
各共有者は持分に応じて管理の費用などを負担し、他の共有者の分を立て替えた共有者はその償還を求められます
各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負います(253条1項)。修繕費や固定資産税などがこれに当たります。共有者の一人が他の共有者の負担すべき分まで立て替えて払ったときは、その共有者に償還を求めることができます。共有物は全員の財産なので、その維持にかかる費用も持分の割合で分け合うのが公平だからです。
共有物について他の共有者に対して持つ債権は、その共有者から持分を譲り受けた特定承継人にも行使できます
共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができます(254条)。共有物に関する債権は共有関係と切り離せないもので、持分を譲り受けた者は共有者としての地位とともにその負担も引き継ぐべきだからです。管理費用を立て替えた共有者は、償還債務を負う共有者から持分を譲り受けた第三者にも立替金を請求できます。「立替金返還債権を有している共有者は,その第三者に対し,立替費用の支払を求めることができる」という肢、「Aは,Cに対し,その立替金額の支払を請求することができる」という肢、「Aは,Bからその共有持分を譲り受けたCに対し,当該立替金の支払を請求することができる」という肢は正しいです。管理に関する債権一般も同じで、「Aは,Fに対してもその債権を行使することができる」という肢と、「Aは、Cに対しても、Cの持分に応じてその費用の償還を求めることができる」という肢は正しいです。「Bの特定承継人に対しては,行使することができない」という肢は誤りです。
1年以内に負担を履行しない共有者の持分は、他の共有者が相当の償金を払って取得できます
共有者が1年以内に253条1項の負担を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます(253条2項)。負担を払わない共有者を共有関係から外して、共有物の管理を続けられるようにするためです。「AがBに対する甲土地の管理費用の支払義務を履行しないまま1年が経過したときは、Bは、相当の償金を支払ってAの持分を取得することができる」という肢と、「Bがその義務を1年以内に履行しないときは,Aは,相当の償金を支払ってBの持分を取得することができる」という肢は正しいです。償金は無償ではなく相当の額が必要で、期間は1年です。
共有物を分割するときは、共有に関する債権を債務者に帰属すべき部分で弁済させることができ、必要なら売却も請求できます
共有者の一人が他の共有者に対して共有に関する債権を有するときは、分割に際し、債務者に帰属すべき共有物の部分をもって、その弁済に充てることができます(259条1項)。この弁済を受けるため、債務者に帰属すべき部分を売却する必要があるときは、その売却を請求できます(259条2項)。分割で共有関係が終わる前に、共有者どうしの貸し借りを清算しておくためです。「現物分割の方法により甲土地につき共有物の分割をするに際し、Bに帰属すべき部分をもって、その弁済に充てることができる」という肢は正しいです。分割の方法や手続は、共有物分割の語で扱います。
- 管理の費用(253条1項)持分に応じて負担する
- 特定承継人への行使(254条)共有物に関する債権は持分の譲受人にも行使できる
- 持分の取得(253条2項)1年以内に不履行なら、相当の償金を払って持分を取得できる
- 分割時の弁済(259条)債務者に帰属すべき部分で弁済させ、必要なら売却を請求できる
民法253条1項
各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
民法253条2項
共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。
民法254条
共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。
民法259条1項
共有者の一人が他の共有者に対して共有に関する債権を有するときは、分割に際し、債務者に帰属すべき共有物の部分をもって、その弁済に充てることができる。
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。