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用語集 / 憲法 / 法の下の平等の意義

法の下の平等の意義とは

ほうのもとのびょうどうのいぎ

憲法 包括的基本権・平等

法の下の平等の意義とは、14条1項の「法の下に平等」が国に何を求めているかという問題で、判例は、事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り、法的な差別的取扱いを禁止する趣旨だと解しています。平等は、すべての人を機械的に等しく扱う絶対的平等ではなく、合理的な理由のある区別は許される相対的平等を意味します。

同じ会社で同じ仕事をしているのに、女性だけ定年が5年早いと言われたら、多くの人は不公平だと感じます。一方で、20歳未満の人にお酒を売らないことを不公平だと言う人はいません。二つの違いは、区別に事柄の性質に即した合理的な理由があるかどうかです。憲法14条1項の法の下の平等は、およそ区別を許さないのではなく、合理的な理由のない区別を国に禁じる規定です。すべての人が置かれた事情は違うので、機械的に同じ扱いをすると、かえって不公平が生まれるからです。

会社の人事部の場面。先生が裁判官役(札「裁判所」)で中央に立ち、左に「就業規則 定年 男性60歳 女性55歳」と書かれた掲示板と、それを指さす人事部長の男性(札「会社」)が立っている。右に別の掲示「20歳未満にお酒は売りません」の看板を持つ

平等は合理的な区別を許す相対的平等で、法律の内容も拘束し、立法府も縛ります

法の下の平等は、14条1項が定めます。判例は、平等の要請について、事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り、法的な差別的取扱いを禁止する趣旨と解しています。つまり、およそ異なる取扱いを許さないという絶対的平等ではなく、合理的な理由のある区別は許されるという相対的平等です。争点は、拘束される国家機関の範囲と、審査の厳しさをどう変えるかの二つです。拘束される機関の範囲については、「法の下に」を法を適用する場面の平等と読む法適用平等説と、法律の内容そのものの平等も要求する法内容平等説があり、通説と判例は法内容平等説を採ります。「14条1項前段の法の下の平等は法適用の平等を意味し、行政府と司法府を拘束するが、同項後段の人種、信条、性別、社会的身分又は門地による差別は歴史的に存在した特に不合理な差別として限定的に列挙されたものなので、行政府と司法府のみならず、立法府をも拘束する」という肢は誤りです。前段を法適用の平等に限ると、不平等な内容の法律が作られた場合にこれを平等に適用することになり、平等の保障が意味を失います。憲法は98条1項で憲法に反する法律を無効とし、81条で裁判所に法律の違憲審査権を与えていますから、前段自体が法内容の平等を含み、立法府を拘束すると解するのが通説であり、後段の列挙事由だけが立法府を拘束するという読み方はできません。最大判昭和48年4月4日(尊属殺重罰規定違憲判決)が刑法200条を14条1項に違反して無効としたのも、法律の内容そのものを14条1項で審査したものです。

  • 法適用平等説「法の下に」を法の適用の平等と読み、行政府と司法府を拘束するとする
  • 法内容平等説法の内容自体の平等も要求し、立法府をも拘束するとする。通説
  • 絶対的平等事実上の差異を捨象し、すべての人を機械的に等しく扱う
  • 相対的平等事柄の性質に即応した合理的な区別を許す。判例の立場
国会の本会議場の場面。先生が裁判官役(札「裁判所」)で演壇の横に立ち、演壇の上に「法律案 尊属殺は死刑又は無期」と書かれた紙が置かれ、議員の男性(札「国会(立法府)」)が「法の下に平等というのは、法律を平等に適用しろという意味だから、法律の

後段列挙事由は例示であって、限定列挙ではありません

14条1項後段は、人種、信条、性別、社会的身分又は門地を挙げていますが、判例はこれを例示と解しています。最大判昭和39年5月27日は、列挙された事由は例示的なものであって必ずしもそれに限るものではないとし、あわせて、事柄の性質に即応して合理的と認められる差別的取扱いは14条1項の否定するところではないとしました。「14条1項後段に列挙された事由は例示的なものであって、必ずしもこれに限る趣旨ではなく、また、14条1項は合理的理由のない区別を禁止する趣旨であるから、事柄の性質に即応して合理的と認められる区別は許される」という肢は正しいです。列挙されていない事由による区別、たとえば年齢や親族関係による区別も、14条1項の問題になります。一方、「特に同項後段の事項は、合憲性の推定が排除される事項を限定列挙したものである」という肢は誤りです。判例は列挙事由を例示と解しており、限定列挙とは述べていませんし、列挙事由に当たる区別について合憲性の推定が排除されるという特別の効果を認めたこともありません。もっとも、学説には、列挙事由による区別は原則として不合理であるとして厳格な審査を求める立場があり、その扱いは後段列挙事由と審査密度で扱います。

投票価値の平等も14条1項の要請ですが、判例は数値の基準を示していません

最大判昭和51年4月14日(衆議院議員定数不均衡事件)は、14条1項に定める法の下の平等は、選挙権に関しては、国民は全て政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものであり、選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等も、憲法が要求するところであるとしました。15条1項や44条ただし書の文言は選挙人資格の差別を禁じているにすぎませんが、一人一人の一票が選挙の結果に及ぼす力が等しくなければ、国民の意思を公正に国政へ反映させることができないからです。「憲法第14条第1項に定める法の下の平等は、選挙権に関しては、国民は全て政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものであり、選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等も、憲法が要求するところである」という肢は正しいです。もっとも、「一票の重みの較差がおおむね2対1以上に開いた場合、投票価値の平等の要請に正面から反し、違憲といわざるを得ない」という肢は誤りです。判例は、投票価値の平等は選挙制度を決める唯一絶対の基準ではなく、国会が考慮できる他の政策的目的との調和の中で実現されるべきものだとして、特定の数値を基準として示しておらず、較差が著しい不平等状態に至っているか、合理的期間内に是正がされなかったかという二段の枠組みで判断します。

選挙の投票所の場面。先生が裁判官役(札「裁判所」)で中央に立ち、左に「A選挙区 議員1人に有権者10万人」の看板の前で投票箱に一票を入れる男性、右に「B選挙区 議員1人に有権者50万人」の看板の前で投票箱に一票を入れる男性。右の男性の一票は

差別の禁止は、国家による取扱いに向けられます

14条1項は国家に向けられた規定であり、私人相互の関係には直接適用されません。会社が就業規則で女性の定年を男性より低く定めた場合も、会社が14条1項に違反したと言うのではなく、民法90条の公序良俗に反するかどうかを判断する中で14条1項の趣旨を取り込みます。最判昭和56年3月24日(女子若年定年制事件)が、就業規則で女子の定年年齢を男子より低く定める部分を、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものとして公序良俗違反で無効としたのも、民法90条の解釈の中で14条1項と、個人の尊厳と両性の本質的平等を解釈の基準とする民法の規定を参照したものです。「最高裁判所は、株式会社の就業規則において女子の定年年齢を男子より低く定める部分が、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものとして、公序良俗に違反し無効であると解するに当たって、個人の尊厳と両性の本質的平等を解釈の基準として定める民法の規定とともに、法の下の平等を定める憲法第14条第1項を参照した」という肢は正しいです。他方、下級審が人種差別撤廃条約並びに同条約に照らして解釈される13条及び14条1項は私人相互の関係にも直接適用されるとして高額の損害賠償を命じた事例について、最高裁判所が上告を棄却したことをもって直接適用を認めたとする肢は誤りです。上告の棄却は、原判決の理由付けを最高裁が採用したことを意味しません。

裁判所の法廷の場面。先生が裁判官役(札「裁判所」)で法壇に座り、左の原告席に女性社員の札「女性社員(55歳で定年)」を置いた席、右の被告席に人事部長の男性(札「会社」)が「就業規則 女性の定年55歳」の紙を持って立ち、吹き出し「憲法14条1

外国人や地域による取扱いの差も、14条1項の問題になります

憲法は外国人を日本国民と全く平等に扱うことまでは要求していませんが、在留外国人への取扱いの差異が14条1項の問題になることは否定されません。もっとも、外国人と日本国民の区別は、国籍の有無という法的地位による区別であって、人の生物学的な特徴に着目した人種による区別ではありません。「我が国に入国する全ての外国人に対し、法律により、日本国民と異なる規制を設けることは、人種的な差別をする趣旨ではなくても、14条1項後段の人種による差別として許されない」という肢は誤りです。判例は、在留外国人に日本人と異なる取扱いをする外国人登録の制度についても、戸籍制度のない外国人には社会的事実関係上の相違があり、取扱いに差異を生じることに合理的根拠があるとして14条に違反しないとしています(最判平成9年11月17日)。また、不法残留者を生活保護法による保護の対象としないことは、合理的理由のない不当な差別的取扱いに当たらず14条1項に違反しない、というのが判例です(最判平成13年9月25日)。「不法残留者を生活保護法による保護の対象としないことは、外国人を日本人と区別して取り扱うもので、憲法第14条第1項に違反する」という肢は誤りです。地域による取扱いの差については、東京都売春等取締条例事件の判決(最大判昭和33年10月15日)が、条例により地域によって差別が生じても、憲法が条例制定権を認めている以上14条1項に違反しないとしています。

区別の合理性は、目的と手段で審査します

合理的な区別かどうかは、区別の目的が正当かどうかと、目的と区別の手段との間に合理的な関連性があるかどうかで判断します。判例は、事柄の性質によってこの審査の厳しさを変えています。経済的な規制や租税に関わる区別では立法裁量を広く認め、著しく不合理であることが明らかでない限り合憲とします。これに対し、自らの意思や努力によって変えられない事柄を理由とする区別や、重要な法的地位に関わる区別では、より慎重な検討を求めます。この使い分けは後段列挙事由と審査密度で扱い、租税に関わる区別は租税立法の合憲性で扱います。

日本国憲法 第14条 第1項

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

論文ではこう使う

論文では、まず何と何の間に、どのような取扱いの差があるのかを特定します。比較の対象を曖昧にしたまま合理性を論じると、審査が空回りします。次に、区別の理由が後段列挙事由に当たるか、本人の意思で変えられない事柄か、制約される権利や地位が重要かを述べて、審査密度を決めます。最後に、立法目的の正当性と、目的と手段の関連性を具体的な事実で検討します。相対的平等の定義を書くだけで終わらせないことが大切です。救済の場面では、区別を定めた規定を全部無効とするのか、区別を生じさせている部分だけを無効とするのかで結論が変わりますから、法令の構造を踏まえて書き分けます。比較対象の取り方を変えると結論が変わる事案もありますから、なぜその対象と比べるのかを一言添えます。

試験ではこう問われる

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