国会の会期と参議院の緊急集会(52条〜54条)とは
こっかいのかいきとさんぎいんのきんきゅうしゅうかい
国会の会期とは、国会が活動能力をもつ期間であり、憲法は常会(52条)・臨時会(53条)・特別会(54条1項)の三つを定めています。参議院の緊急集会とは、衆議院の解散中に国に緊急の必要があるとき、内閣の求めにより参議院が国会を代行する仕組みです(54条2項・3項)。
学校の委員会は、決められた期間の会議で話し合い、期間内にまとまらなかった議題は次の期の委員会に自動的には引き継がれません。国会も同じで、召集から閉会までの会期という期間の中で活動し、会期中に議決に至らなかった議案は原則として次の会期に継続しません。衆議院が解散されると参議院も同時に閉会になりますが、その間に大きな出来事が起きて国会の判断が必要になることがあります。そのために、内閣の求めで参議院だけが集まって国会の代わりをする緊急集会が用意されています。
常会は毎年1回、会期150日で、延長は1回に限られます
会期の長さは憲法ではなく国会法が定めます。「国会法によれば、常会は毎年1月中に召集するのが常例とされ、原則として会期は150日間とされるが、両議院一致の議決があれば、1回に限り会期を延長することができる」という肢は正しいです。もっとも、憲法が毎年1回の召集を求めている以上、国会法で常会の会期を1年間とすることはできません。「憲法は,会期制を採用しているが,会期の長さを特定しているわけではないので,国会法で常会の会期を1年間と定めることは可能である」という肢は誤りです。会期を1年とすれば、召集という区切りが形だけのものになり、会期制を採った意味が失われるからです。延長の議決については、「憲法には,会期延長に関する規定はないが,国会法はこれについて定め,常会,臨時会及び特別会の会期延長の議決について,衆議院の優越を認めている」という肢が正しく、両院の議決が異なるときは衆議院の議決によります。
- 常会毎年1月中に召集するのが常例。会期は150日で、両議院一致の議決により1回だけ延長できる
- 臨時会内閣が決定するほか、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば召集しなければならない。会期の延長は2回まで
- 特別会解散による総選挙の日から30日以内に召集する。冒頭で内閣が総辞職し、内閣総理大臣の指名を行う
- 参議院の緊急集会衆議院の解散中、国に緊急の必要があるときに内閣が求める。とられた措置は臨時のもの
臨時会は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求で召集されます
「憲法上,国会の会期を開始させる召集の実質的決定権は内閣にあると解されるが,臨時会については,内閣は,いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば,その召集を決定しなければならない」という肢は正しいです。「内閣は、国会閉会後に緊急の必要が生じた場合、臨時会を召集することができる,また、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、臨時会の召集を決定しなければならない」という肢も正しいです。国会の召集は内閣の助言と承認により天皇が行う国事行為ですが(7条2号)、天皇は国政に関する権能をもたないので、召集の実質的な決定権は内閣にあります。召集の時期については、「判例によれば、憲法第53条は各議院を組織する一定数以上の議員に対して臨時会召集要求をする権限を付与したものであるが、内閣に臨時会召集決定をする義務を負わせるものではなく、個々の国会議員の臨時会召集要求にかかる権利を保障するものではない」という肢は誤りです。最判令和5年9月12日は、53条後段は国会と内閣の間の権限の分配という観点から、一定数以上の議員に臨時会召集要求の権限を与えるとともに、内閣に臨時会召集決定をする法的義務を負わせたものだとしました。ただし、個々の議員に召集を求める権利まで認めたものではないとして、国家賠償請求は退けられました。
会期不継続の原則には、継続審査という例外があります
「国会の活動につき,憲法は,常会(第52条),臨時会(第53条),特別会(第54条第1項)というように一定の期間を単位として行う会期制を採用し,国会法は,会期内に議決に至らなかった議案は後会に継続しないという会期不継続の原則を採用している」という肢は正しいです。会期不継続は憲法ではなく国会法68条が定めるもので、議院の議決で継続審査に付された案件は例外として次の会期に引き継がれます。もっとも、引き継がれるのは審査であって議決ではありません。「憲法は,「会期不継続の原則」を採用しているが,議院の議決によって継続審査に付された案件はその例外としているから,一院で議決された議案は,継続審査に付された後,他院でも議決されれば成立する」という肢は誤りです。同じ趣旨で「衆議院が可決し参議院に送付された議案について、参議院が審議中に衆議院が解散した場合、その議案は参議院で継続審査に付されることにより廃案とならず、次の会期において参議院で可決されれば成立する」という肢も誤りで、衆議院が解散されると参議院も同時に閉会となり、案件だけでなく衆議院の議決も次の会期に継続しないので、審議中の議案はすべて廃案になります。
緊急集会は、内閣だけが求めることができます
「参議院の緊急集会は,衆議院が解散されて総選挙が行われ,特別会が召集されるまでの間に,国会の開会を必要とする緊急の事態が生じた場合に,内閣又は参議院の総議員の4分の1以上の求めによって開かれる」という肢は誤りです。参議院の総議員の4分の1以上の求めで開かれるのは臨時会であって、緊急集会は内閣だけが求められます。また、集会が開かれるのは解散による総選挙後に特別会が召集されるまでの間に限られます。実績についても、「憲法によれば、衆議院が解散されたとき参議院は同時に閉会となるものの、国に緊急の必要があるときは、内閣は参議院の緊急集会を求めることができるとされているが、実際に緊急集会が召集されたことはない」という肢は誤りです。昭和27年に中央選挙管理会の委員の任命のため、昭和28年に暫定予算の議決などのため、2回実際に召集されています。緊急集会中の参議院議員には、「緊急集会の期間中における参議院議員は,国会の会期中とは異なり,法律の定める場合を除いて逮捕されないという特権や,議院での発言及び表決に対し院外で責任を問われないという特権を有しない」という肢が誤りであるとおり、不逮捕特権も免責特権も及びます。
緊急集会の措置は、衆議院の同意がなければ効力を失います
「衆議院が解散されると参議院は同時に閉会となり,国会は機能を停止するのが原則であるが,その例外が参議院の緊急集会である,ただし,そこで採られた措置は,次の国会開会の後10日以内に衆議院の同意が得られない場合,遡って効力を失う」という肢は誤りです。効力を失うのは将来に向かってであり、遡って無効になるわけではありません。権限の範囲については、「参議院の緊急集会は,原則として国会の権能に属する全ての事項を扱うことができるが,各議院の総議員の3分の2以上の賛成による国会の発議が必要とされている憲法改正の発議を行うことはできない」という肢が正しいです。緊急集会は国会を代行するものですから、原則として国会の権能に属する事項を扱えますが、審議できるのは内閣が求めるときに示した案件とこれに関連する事項に限られ(国会法99条・101条)、両議院の議決を前提とする憲法改正の発議や、内閣総理大臣の指名はできないと解されています。議員の特権の詳細は議員の特権で扱います。
憲法 第54条 第2項・第3項
衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
論文ではこう使う
論文では、緊急集会の権限の範囲や、臨時会の召集を内閣が引き延ばした場合の是非が問われます。前者では、緊急集会が同時活動の原則の例外として置かれた臨時的な代行であること、措置が衆議院の同意にかかっていることから、衆議院の意思を要する事項は扱えないという限界を導きます。後者では、53条後段が「しなければならない」と定めていることから内閣の法的義務を認めたうえで、義務違反を裁判でどう争うか、個々の議員の権利と構成できるかを検討します。
この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。