地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
この条文の過去問 5問
誤り。違うのは「住民自治と第94条で具体化されている団体自治によって構成されていると解する余地がなくなるという問題点がある」の部分である。判決は、住民の手で住民の団体が主体となって処理する政治形態を保障したと述べており、住民自治と団体自治の両要素を前提にしている。
憲法92条にいう地方自治の本旨は、地方の政治が住民の意思に基づいて行われるべきことを意味する住民自治と、国から独立した団体が自らの事務を自らの責任で処理すべきことを意味する団体自治から成ると解されている。住民自治は長と議会の議員の直接選挙を定める93条2項に、団体自治は財産の管理、事務の処理、行政の執行の権能と条例制定権を定める94条に、それぞれ具体化されている。最大判昭38.3.27は、憲法が地方自治の章を設けた趣旨を、住民の日常生活に密接な関連をもつ公共的事務をその地方の住民の手でその住民の団体が主体となって処理する政治形態を保障する点に求めた。住民の手で処理させる点が住民自治に、住民の団体が主体となって処理する点が団体自治に対応しており、判決は地方自治の本旨を両要素から理解する立場と整合する。憲法上の地方公共団体の要件とした社会的基盤と基本的権能も、住民自治と団体自治をより具体的に表したものと読める。この判決によって両要素で地方自治の本旨が構成されると解する余地がなくなるという問題点は生じない。

憲法が特に一章を設けて地方自治を保障するにいたったのは,新憲法の基調とする政治民主化の一環として,住民の日常生活に密接な関連をもつ公共的事務は,その地方の住民の手でその住民の団体が主体となって処理する政治形態を保障しようとする趣旨からである。
- ["住民自治", "地方の政治が住民の意思に基づいて行われること。民主主義的要素。長と議員の直接選挙(93条2項)や特別法の住民投票(95条)に現れる"]
- ["団体自治", "地方の政治が国から独立した団体の手で行われること。自由主義的要素。条例制定権(94条)や自主財政権に現れる"]
- ["判決との対応", "住民の手で処理する=住民自治、住民の団体が主体となって処理する=団体自治"]
正しい。判例は、地方公共団体が地方自治の本旨に従って事務を処理するには財源を自ら調達する権能が必要だから、国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されているとした。
憲法92条は地方公共団体の組織及び運営に関する事項を地方自治の本旨に基づいて法律で定めると規定し、94条は地方公共団体がその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有すると定める。これらの権能を現実に遂行するには自ら財源を調達する手段が不可欠であり、その中核が課税権である。神奈川県臨時特例企業税事件(最判平25.3.21)は、普通地方公共団体は地方自治の本旨に従い、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、その本旨に従ってこれらを行うには財源を自ら調達する権能を有することが必要であることから、地方自治の不可欠の要素として、その区域内で役務の提供等を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されていると判示した。もっとも同判例は、租税の賦課徴収が住民の負担に関わる事柄であることから、地方公共団体の課税権は租税法律主義の趣旨と地方自治の本旨に照らし、地方税法の定める準則の範囲内で行使されるべきものともしている。肢は課税権の主体たる地位が憲法上予定されているとする限度で判例の趣旨に合致する。

普通地方公共団体は、地方自治の本旨に従い、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有するものであり(憲法92条、94条)、その本旨に従ってこれらを行うためにはその財源を自ら調達する権能を有することが必要であることからすると、普通地方公共団体は、地方自治の不可欠の要素として、その区域内における当該普通地方公共団体の役務の提供等を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されているものと解される。
正しい。最判平25.3.21は、地方公共団体が地方自治の本旨に従い権能を行使するには財源を自ら調達する権能が必要であるとして、地方自治の不可欠の要素として課税権の主体となることが憲法上予定されているとした。
憲法には地方公共団体の課税権を正面から定めた規定がないため、課税権が憲法上当然に予定されたものか、法律によって初めて創設的に付与されるものかが問題となる。最判平25.3.21(神奈川県臨時特例企業税事件)は、普通地方公共団体が地方自治の本旨に従い上記の権能を行使するためにはその財源を自ら調達する権能を有することが必要であることを理由として、普通地方公共団体は地方自治の不可欠の要素として、その区域内における役務の提供等を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されていると判示した。財源の調達を全面的に国の判断に委ねたのでは団体自治は名目化するからである。同判例は他方で、課税権の具体的内容は84条及び92条の趣旨に照らして法律で適切に定められるべきものであり、地方税法の強行規定に反する条例は無効となるとして当該条例を無効とした。本肢は判示に沿っている。

普通地方公共団体は、地方自治の不可欠の要素として、その区域内における当該普通地方公共団体の役務の提供等を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されているものと解される。
- 憲法上の地方公共団体(93条2項):住民が密接な共同生活を営み共同体意識をもつ社会的基盤と、相当程度の自主立法権・自主行政権・自主財政権の付与の両方を要する。特別区は当時これに当たらない(最大判昭38.3.27)
- 条例への罰則の委任:条例は公選の議会が制定する自治立法で法律に類するから、法律の授権が相当な程度に具体的で限定されていれば足りる。一般的・包括的な白紙委任は許されない(最大判昭37.5.30)
- 課税権:地方公共団体は地方自治の不可欠の要素として国とは別に課税権の主体となることが憲法上予定されている。ただし具体的内容は84条・92条の趣旨に照らし法律で定められ、地方税法の強行規定に反する条例は無効(最判平25.3.21)
誤り。違うのは「地方公共団体が条例を制定するには法律の根拠を必要とする」と「条例制定権の一般的な根拠を提供するのが…地方自治法第14条第1項の規定である」の部分である。条例制定権は憲法94条が直接に認めるものであり、法律の根拠は要らない。
憲法94条は、地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができると定める。大阪市売春取締条例事件で最高裁は、地方公共団体の制定する条例は、憲法が特に民主主義政治組織の欠くべからざる構成として保障する地方自治の本旨に基づき、直接憲法94条により法律の範囲内において制定する権能を認められた自治立法にほかならないと述べた。条例制定権は憲法自身が地方公共団体に与えた権能であって、法律によって初めて付与されるものではなく、条例を制定するために個別の法律の根拠を要することもない。94条が求めているのは、条例が法律の範囲内にあること、言い換えれば法律に違反しないことであり、法律の根拠があることではない。地方自治法14条1項は、憲法94条の内容を法律の次元で確認したものにすぎず、条例制定権の根拠を創設する規定ではない。本肢は、条例制定に法律の根拠を要するとし、その根拠を地方自治法に求めている点で誤りである。

地方公共団体の制定する条例は、憲法が特に民主主義政治組織の欠くべからざる構成として保障する地方自治の本旨に基づき(同92条)、直接憲法94条により法律の範囲内において制定する権能を認められた自治立法に外ならない。
- 条例制定権の根拠:94条が直接に認める自治立法であり、法律の根拠は要らない。地方自治法14条1項は確認規定(最大判昭37.5.30)
- 租税法律主義:84条の法律には条例が含まれ、条例による課税は専断的な課税に当たらない。ただし地方税法の準則の範囲内で行使する(最判平25.3.21)
- 罰則:31条の法律には授権を受けた下位法令も含まれ、条例は法律に類するから、相当程度具体的で限定された授権があれば刑罰を定められる
- 刑罰を科す手続:地方公共団体の事務ではなく、条例で定めることはできない
誤り。違うのは「地方議会を諮問機関とすることは必ずしも違憲ということはできない」の部分である。93条1項は議会を議事機関として設置すると定めており、議会を諮問機関にとどめる法律は地方自治の本旨に反し違憲となる。
憲法92条は、地方公共団体の組織及び運営に関する事項を、地方自治の本旨に基づいて法律で定めるとする。地方自治の本旨は、地方の政治を住民の意思に基づいて行う住民自治と、国から独立した団体が自らの意思と責任で行う団体自治からなり、通説は、憲法が地方自治という制度そのものを保障しており、法律によってもその核心を侵すことはできないと解している。地方公共団体そのものを法律で廃止することは、制度の存在自体を否定するものとして許されず、本肢前半はこの点で正しい。しかし、住民の代表機関である議会の位置づけも制度の核心に属する。93条1項は地方公共団体に議事機関として議会を設置すると明記しており、議会は住民の意思を決定する機関でなければならない。議会を長の諮問に答えるだけの機関とすれば、住民の意思が団体の決定を拘束しなくなり、住民自治が失われる。したがって、地方議会を諮問機関とする法律は93条1項と92条に反して違憲であり、本肢後半は誤りである。

地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
- 憲法が直接要求:地方公共団体という制度の存在(92条)、議事機関としての議会の設置(93条1項)、長と議会の議員の住民による直接選挙(93条2項)、条例制定権(94条)
- 法律に委ねる:組織や運営の細目。ただし地方自治の本旨(住民自治・団体自治)に基づかなければならない
- 地方自治法上の制度:議会の解散請求、議員・長の解職請求、条例の制定改廃請求などの直接請求。住民自治を具体化するが憲法上の要請ではない















