1すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
この条文の過去問 21問
誤り。違うのは「フランス、ドイツなどのヨーロッパ大陸諸国において採られてきた制度に由来する」の部分である。行政事件の裁判権まで司法権に含める仕組みは英米型の制度に由来し、大陸諸国は行政裁判所を通常裁判所と別系統に置いてきた。
憲法76条1項が裁判所に帰属させる司法権には、民事事件・刑事事件の裁判権だけでなく、行政庁の公権力の行使に対する不服の争訟である行政事件の裁判権も含まれると解されている。76条2項後段が行政機関による終審裁判を禁じ、裁判所法3条1項が裁判所は一切の法律上の争訟を裁判すると定めているのは、この理解の表れである。前段はこのとおりである。しかし制度の系譜は本肢の述べるところと逆である。行政事件を含む一切の争訟を通常裁判所の司法権に取り込む仕組みは、法の支配の観念の下で発達した英米型の制度に由来する。これに対しフランスではコンセイユ・デタを頂点とする行政裁判組織が司法裁判所と分離され、ドイツでも行政裁判所が通常裁判所とは別系統の裁判組織として置かれてきた。明治憲法61条の行政裁判所はこの大陸型を継受したものであり、日本国憲法はそれを改めて英米型を採用した。したがって、行政事件の裁判権をも司法権に含める考え方が大陸諸国の制度に由来するとする後段が誤っている。

裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。
| 英米型(司法国家型) | 大陸型(行政国家型) | |
|---|---|---|
| 行政事件の裁判 | 通常裁判所の司法権に含める | 通常裁判所とは別系統の行政裁判所が扱う(フランスのコンセイユ・デタ、ドイツの行政裁判所) |
| 背景 | 法の支配 | 行政権の自律を重んじる伝統 |
| 日本 | 日本国憲法76条1項・2項後段、裁判所法3条1項 | 明治憲法61条の行政裁判所 |
正しい。特別裁判所とは特別の事件について裁判するために通常裁判所の系列から独立して設けられる裁判機関をいい、裁判官弾劾裁判所はこれに当たるが、憲法64条が自ら設置を定めた憲法上の例外である。
憲法76条2項前段にいう特別裁判所とは、特定の身分の者や特定の種類の事件について裁判するために、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列から独立して設けられる裁判機関をいう。これが禁じられるのは、76条1項がすべての司法権を最高裁判所と下級裁判所に帰属させたことの帰結であり、裁判を受ける権利の平等な保障と法解釈の統一を確保する趣旨である。明治憲法下の行政裁判所・軍法会議・皇室裁判所がこの意味の特別裁判所に当たる。特定の種類の事件のみを扱う裁判所でも、通常裁判所の系列に属し最高裁判所への上訴の道が開かれていれば特別裁判所ではない(家庭裁判所につき最大判昭31.5.30)。これに対し裁判官弾劾裁判所は、国会が両議院の議員で組織する機関であって(64条1項)、その罷免の裁判に対して通常裁判所へ上訴することは認められておらず、通常裁判所の系列から独立した裁判機関である。したがって定義上は特別裁判所に当たるが、憲法自体が64条で設置を明文で予定している以上、76条2項前段の禁止に対する憲法上の例外として認められる。

特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
- 禁止される特別裁判所:明治憲法下の行政裁判所、軍法会議、皇室裁判所のように、通常裁判所の系列の外に置かれる裁判機関
- 禁止されない裁判所:家庭裁判所(最大判昭31.5.30)、知的財産高等裁判所のように、最高裁判所を頂点とする系列に属する専門的な下級裁判所
- 憲法上の例外:裁判官弾劾裁判所(64条)、議員の資格争訟の裁判(55条)
- 前審としての裁断:行政機関が審査請求に対する裁決などを行うことは許される(76条2項後段の反対解釈、裁判所法3条2項)
誤り。違うのは「裁決をした行政機関が適法に認定した事実は裁判所を無条件に拘束するという法律の規定を設けても、違憲とはならない」の部分である。無条件の拘束は事実認定について行政機関を実質的に終審とするもので、76条2項後段と32条に反する疑いがある。
憲法76条2項後段は行政機関が終審として裁判を行うことを禁ずるにとどまるから、その反対解釈として、行政機関が裁判所の裁判の前審として裁判を行うことは妨げられない。裁判所法3条2項も同旨であり、審査請求に対する裁決はこの前審としての審判に当たる。しかし裁判は、事実を認定する過程と、認定した事実に法を適用する過程から成り立つ。裁決をした行政機関が適法に認定した事実が裁判所を無条件に拘束するとすれば、裁判所は事実認定の権能を全面的に奪われ、事実問題については行政機関の判断が実質的に終審になってしまう。これは76条2項後段の潜脱であり、裁判所による事実審理の機会を奪う点で32条にも反する疑いが強い。実質的証拠法則が合憲と解されているのは、拘束力が無条件ではないからである。電波法99条は、電波監理審議会の認定した事実は実質的な証拠があるときに限り裁判所を拘束し、その有無は裁判所が判断すると定める。拘束の前提を裁判所が審査できる担保があってはじめて合憲性が肯定されるのであり、無条件の拘束力を認める規定は違憲の疑いを免れない。

前項の規定は、行政機関が前審として審判することを妨げない。
- 禁止される特別裁判所:明治憲法下の行政裁判所、軍法会議、皇室裁判所のように、通常裁判所の系列の外に置かれる裁判機関
- 禁止されない裁判所:家庭裁判所(最大判昭31.5.30)、知的財産高等裁判所のように、最高裁判所を頂点とする系列に属する専門的な下級裁判所
- 憲法上の例外:裁判官弾劾裁判所(64条)、議員の資格争訟の裁判(55条)
- 前審としての裁断:行政機関が審査請求に対する裁決などを行うことは許される(76条2項後段の反対解釈、裁判所法3条2項)
正しい。76条2項前段が禁じる特別裁判所は通常裁判所の系列から独立した裁判機関であり、最高裁判所を頂点とする系列に属する下級裁判所として行政事件や労働事件を専門に扱う裁判所を法律で設けても、特別裁判所の設置には当たらない。
76条2項前段にいう特別裁判所とは、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列から独立して設けられ、特定の人や事件について裁判を行う裁判機関をいう。大日本帝国憲法下では行政裁判所、軍法会議、皇室裁判所といった特別裁判所が置かれていた。日本国憲法は、76条1項ですべて司法権を最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に帰属させた上、同条2項前段で特別裁判所を禁止することにより、司法権の統一と強化を図るとともに、裁判の公正と法の下の平等を確保しようとしたのである。したがって、禁止の対象は通常裁判所の系列から独立した裁判機関であって、法律により通常裁判所の系列に属する下級裁判所として特定分野を専門的に取り扱う裁判所を設けることは、その裁判に対する上訴の途が最終的に最高裁判所に到達する限り、特別裁判所の設置には当たらない。現に知的財産高等裁判所は東京高等裁判所の特別の支部として設置され、系列内にある。行政事件や労働事件を専門に扱う下級裁判所を法律で設置しても違憲とはならず、本肢は正しい。

特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
- ["禁止される特別裁判所", "明治憲法下の行政裁判所、軍法会議、皇室裁判所のように、通常裁判所の系列の外に置かれる裁判機関"]
- ["禁止されない裁判所", "家庭裁判所、知的財産高等裁判所や、行政事件・労働事件を専門に扱う下級裁判所のように、最高裁判所を頂点とする系列に属する裁判所"]
- ["憲法上の例外", "裁判官弾劾裁判所(64条)、議員の資格争訟の裁判(55条)"]
- ["前審としての裁断", "行政機関が審査請求に対する裁決や人事院の公平審査を行うことは許される(76条2項後段の反対解釈)。終審として裁判できないだけである"]
正しい。76条2項後段は行政機関が終審として裁判を行うことを禁じるにとどまり、前審としての裁断は許されるから、司法裁判所への出訴が認められている人事院の公平審査に係る裁決は違憲とならない。
76条2項後段は、司法権が最終的に裁判所に帰属すること(76条1項)を担保する規定であり、その反面として、終審としてでなければ、すなわち前審としてであれば、行政機関が争訟を裁断する手続を行うことは禁じられない趣旨と解される。裁判所法3条2項も、行政機関が前審として審判することを妨げない旨を明示している。行政機関による前審が許容されるのは、専門技術的な判断や大量の争訟の迅速な処理という要請に応えつつ、なお最終的な法的判断権を裁判所に留保できるからであり、この限度であれば裁判を受ける権利(32条)を侵害するものでもない。国家公務員法に基づく人事院の公平審査、すなわち不利益処分についての審査請求に対する裁決も、これに不服がある者は司法裁判所に出訴して当該処分ないし裁決の取消しを求めることができるから、人事院が終審として裁判を行うものではなく、前審としての審判にとどまる。前審に当たるかどうかは、機関の名称ではなく、その判断に対して裁判所への出訴の途が開かれているかで決まるのである。本肢はこの理解を正確に述べている。

特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
- ["禁止される特別裁判所", "明治憲法下の行政裁判所、軍法会議、皇室裁判所のように、通常裁判所の系列の外に置かれる裁判機関"]
- ["禁止されない裁判所", "家庭裁判所、知的財産高等裁判所や、行政事件・労働事件を専門に扱う下級裁判所のように、最高裁判所を頂点とする系列に属する裁判所"]
- ["憲法上の例外", "裁判官弾劾裁判所(64条)、議員の資格争訟の裁判(55条)"]
- ["前審としての裁断", "行政機関が審査請求に対する裁決や人事院の公平審査を行うことは許される(76条2項後段の反対解釈)。終審として裁判できないだけである"]
誤り。違うのは「裁判官を対象とする事項を規則で制定することはできない」の部分である。裁判所の内部規律には裁判官を対象とする事項も含まれ、76条3項の「法律」は規則を含む法規範一般を指す。
憲法77条1項は、最高裁判所に訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項についての規則制定権を認めている。このうち裁判所の内部規律とは、裁判所という組織の秩序維持や事務の配分・執行に関する事柄を指し、裁判官自身を名宛人とする事項も当然に含まれる。現に最高裁判所は、下級裁判所事務処理規則によって各裁判所における裁判官の事務分配や裁判官会議の運営を定め、裁判官分限事件を処理するための規則も制定している。本肢は76条3項を根拠に規則による裁判官の拘束を否定するが、この理解は二重に誤っている。第一に、同項にいう「法律」は国会が制定した形式的意味の法律のみを意味するのではなく、憲法に適合する法規範一般を指すと解されており、政令等の命令、最高裁判所規則、条例、慣習法も含まれる。第二に、同項の眼目は裁判官の職権行使の独立、すなわち具体的事件の裁判内容について他の国家機関や司法部内の上級者から指示・命令や事実上の干渉を受けないという点にあり、組織運営上の規律にまで裁判官が服さないという趣旨ではない。

すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
- 趣旨:裁判の実務に通じた裁判所の専門技術的な判断を生かし、他の国家機関の関与を排して司法権の独立を確保する。41条の例外として憲法が自ら認めた
- 対象:訴訟に関する手続(非訟事件・家事審判・少年保護事件の手続も含む)、弁護士(裁判に関わる限度。資格・身分は法律事項)、裁判所の内部規律(裁判官を対象とする事項も含む)、司法事務処理
- 議院規則との違い:議院規則(58条2項)は会議の手続と内部の規律に限られるが、最高裁判所規則は当事者・弁護士・検察官(77条2項)という外部の者にも及ぶ
- 76条3項との関係:裁判官が拘束される「法律」は形式的意味の法律に限らず、命令・規則・条例などの法規範一般を含む。職権行使の独立は裁判の内容への干渉を排する趣旨で、組織運営上の規律に服さないという意味ではない
正しい。日本国憲法は、最高法規性(98条1項)、不可侵の人権保障(11条・97条)、適正手続(31条)、特別裁判所の禁止(76条2項)と違憲審査権(81条)を備えており、法の支配の原理に立脚している。
法の支配の内容として重要なのは、憲法の最高法規性、公権力によって侵されない個人の人権、法の内容と手続の公正を求める適正手続、権力の恣意的な行使を抑制する裁判所の役割の尊重の四点である。日本国憲法を見ると、98条1項が憲法を国の最高法規と定めてこれに反する法律・命令等の効力を否定し、11条と97条が基本的人権を侵すことのできない永久の権利と位置付けた上で第3章に人権規定を置き、31条が法定手続の保障を定めている。さらに76条2項前段が特別裁判所の設置を禁じて司法権を最高裁判所とその系列の下級裁判所に一元化し、81条が裁判所に一切の法律、命令、規則又は処分の憲法適合性を決定する権限を与えている。特別裁判所の禁止と違憲審査権は、通常の司法裁判所が国民の権利保護と権力統制の担い手となることを意味し、裁判所の役割の尊重という要請に応えるものである。これらの制度の総体からすれば、日本国憲法が法の支配に立脚しているといえ、本肢の挙げる根拠はいずれも正当である。

この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
- 憲法の最高法規性:98条1項が憲法に反する法律・命令・詔勅・国務に関するその他の行為の効力を否定する
- 公権力によって侵されない個人の人権:11条・97条が基本的人権を侵すことのできない永久の権利と定める
- 法の内容・手続の公正を求める適正手続:31条が法定手続の保障を定める
- 権力の恣意的行使を抑制する裁判所の役割の尊重:76条2項前段の特別裁判所の禁止と81条の違憲審査権
正しい。最大判平23.11.16は、評決で裁判官が自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場合があっても、それは憲法に適合する法律に拘束される結果であるから、76条3項違反との評価を受ける余地はないとした。
裁判員制度では事実の認定、法令の適用及び刑の量定について裁判官と裁判員が対等の評決権をもって合議するため、裁判官が自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場面が生じ得る。最大判平23.11.16は、憲法が一般的に国民の司法参加を許容しており、裁判員法はこれを憲法に適合するように法制化したものである以上、その評決制度の下で裁判官が時に自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場合があっても、それは憲法に適合する法律に拘束される結果であるから、76条3項違反との評価を受ける余地はないとした。裁判官が拘束されるのは合議体の他の構成員の意思そのものではなく憲法に適合する法律である裁判員法であり、これは同項のいう憲法及び法律にのみ拘束される状態にほかならないという論理である。判例は、法令の解釈や訴訟手続の判断は裁判官の合議により、有罪の判断には裁判官及び裁判員の双方の意見を含む過半数を要するなど、裁判官の職責を確保する仕組みがある点も指摘している。

憲法が一般的に国民の司法参加を許容しており、裁判員法が憲法に適合するようにこれを法制化したものである以上、裁判員法が規定する評決制度の下で、裁判官が時に自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場合があるとしても、それは憲法に適合する法律に拘束される結果であるから、同項違反との評価を受ける余地はない。
- 憲法は一般的に国民の司法参加を許容し、刑事裁判の諸原則が確保されている限り、陪審制か参審制かを含め内容は立法政策に委ねている
- 評決で裁判官が自らの意見と異なる結論に従う場合があっても、憲法に適合する法律に拘束される結果であるから76条3項に反しない
- 裁判員の職務は参政権と同様の権限を国民に付与するものであり、辞退制度と旅費・日当等の経済的措置も考慮すれば18条後段の「苦役」に当たらない
- 法令の解釈と訴訟手続の判断は裁判官のみが行い、被告人に不利な判断には裁判官1人以上の賛成が要る
誤り。違うのは「たとえ前審であっても、全て司法権は裁判所に属する旨を定める憲法第76条第1項に反し、許されない」の部分である。76条2項後段が禁じるのは行政機関が終審として裁判を行うことであり、前審としての準司法的作用は許される。
76条1項は「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」と定める。しかし同条2項後段は「行政機関は、終審として裁判を行ふことができない」と規定しており、反対解釈すれば、行政機関が前審として争訟を裁断すること自体は憲法上禁じられていない。実質的にも、行政機関の裁決・審決に不服のある者が出訴でき、事後的に裁判所の審査に服する仕組みである限り、争訟の終局的な判断権は裁判所に留保されているから、司法権を裁判所に独占させた76条1項の趣旨は損なわれない。むしろ専門技術的な争訟について第一次的に専門機関の判断を経させることには合理性がある。現行法でも、特許庁の審決に対しては審決取消訴訟が用意され、行政不服審査法上の裁決に不服があれば取消訴訟を提起できる。前審としての準司法的作用まで一律に76条1項違反とする本肢は誤りである。

特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
- 準立法的作用(規則制定):法律の委任に基づき、その範囲内で行われる限り41条に反しない
- 準司法的作用(審決・裁決):76条2項後段が禁じるのは終審だけであり、裁判所への出訴の道が開かれた前審であれば76条1項に反しない
- 内閣からの独立:65条には「唯一」「すべて」の文言が無く、全ての行政に内閣の直接の指揮監督が及ぶことまで要求しない。職権行使について内閣の指揮監督を受けない
- 統制の仕組み:内閣は委員の任命権と予算の編成権で、国会は任命への同意・法律の制定改廃・国政調査で間接的に統制し、責任行政の要請を満たす
誤り。違うのは「最高裁判所が、下級裁判所の裁判官に対して、具体的事件について、どのような判断を行うべきか指示することも許される」の部分である。76条3項の職権の独立は司法部内からの干渉も排除する。
下級裁判所が77条1項の最高裁判所規則に従うべきこと自体は正しいが、規則制定権の対象は訴訟手続や司法行政に関する一般的・抽象的な事項にとどまり、個別の事件における裁判の内容には及ばない。76条3項は、すべて裁判官はその良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束されると定め、裁判官の職権行使の独立を保障する。ここでいう独立とは、他者の指示や命令を受けずに自己の判断のみに基づいて裁判をすることであり、排除されるべき干渉は立法府・行政府といった司法部外からのものに限られない。司法行政を担う最高裁判所からの働きかけこそ、人事を通じて事実上の圧力として作用しやすく、当然に排除の対象になる。裁判所法も、上級審の判断が下級審を拘束するのは当該事件に限るとし(4条)、司法行政上の監督権は裁判官の裁判権に影響を及ぼし又はこれを制限することができないと定めている(81条)。規則への拘束を根拠に具体的事件の判断内容の指示を許す本肢は誤りである。

すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
- 司法部内からの干渉:最高裁判所の規則(77条1項)には従うが、具体的事件の判断の指示は受けない。上級審の判断に拘束されるのは当該事件に限る(裁判所法4条)
- 国民・マスメディアの裁判批判:表現の自由(21条1項)の行使として許される。制約され得るのは裁判の公正に明白かつ現在の危険を及ぼす例外的な場合に限る
- 議院の国政調査(62条):判決の事実認定や量刑の当否の調査は、判決確定の前後を問わず許されない(浦和充子事件)。立法・行政監督目的の並行調査は許される
- 身分保障(78条):罷免は心身の故障による分限裁判と公の弾劾のみ。報酬は在任中減額できない
正しい。裁判官の職権の独立は裁判に不当な影響を与えるおそれのある外部的行為の排除を要求するが、一般国民やマスメディアによる裁判内容の批判は21条1項の表現の自由の行使として原則として許される。
76条3項が保障する裁判官の職権の独立は、裁判の公正とこれに対する国民の信頼を確保するため、裁判官が事件を判断するに際して受ける不当な干渉や圧力を排除する趣旨である。他の国家機関はもとより私人や団体による圧力でも、裁判の内容に不当な影響を及ぼすおそれのあるものは排除されるから、前段は正当である。もっとも、そこから直ちに裁判に向けられた一切の言論が禁じられると解すべきではない。一般国民やマスメディアが判決の当否を論評することは21条1項が保障する表現の自由の行使そのものであり、司法という公権力の作用を対象とする点で公共的な関心事に属するから、保護の要請は高い。裁判の公開(82条1項)も、国民の監視と自由な批判を通じて裁判の公正を担保する趣旨である。裁判批判が職権の独立を理由に制約され得るのは、裁判の公正に対して明白かつ現在の危険を及ぼすといえる例外的な場合に限られるとする見解が有力であり、裁判官への人格攻撃や名誉毀損が免責されないのは表現の自由自体の限界の問題である。

すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
- 司法部内からの干渉:最高裁判所の規則(77条1項)には従うが、具体的事件の判断の指示は受けない。上級審の判断に拘束されるのは当該事件に限る(裁判所法4条)
- 国民・マスメディアの裁判批判:表現の自由(21条1項)の行使として許される。制約され得るのは裁判の公正に明白かつ現在の危険を及ぼす例外的な場合に限る
- 議院の国政調査(62条):判決の事実認定や量刑の当否の調査は、判決確定の前後を問わず許されない(浦和充子事件)。立法・行政監督目的の並行調査は許される
- 身分保障(78条):罷免は心身の故障による分限裁判と公の弾劾のみ。報酬は在任中減額できない
誤り。違うのは「その実質的証拠の有無は裁判所が判断するとの規定があっても憲法に違反する」の部分である。実質的証拠の有無を裁判所が判断できるなら、終局的な判断権は裁判所に残り、憲法76条に反しない。
憲法76条1項は一切の司法権を裁判所に属させ、同条2項後段は行政機関が終審として裁判を行うことを禁ずる。裁判する権限には具体的事件における事実の認定も含まれるから、行政機関の認定した事実に裁判所への拘束力を認める立法が問題となる。しかし、専門的・技術的な事項について行政機関が準司法的な手続を経て慎重に事実を認定した場合に、これを立証する実質的な証拠があるときは裁判所を拘束すると定めることは、直ちに司法権の侵害にはならない。本肢のように実質的証拠の有無それ自体は裁判所が判断すると規定されている以上、裁判所は事実認定を支える証拠の存否を独自に審査でき、法律問題についても全面的な判断権をもつから、事件の終局的な判断権はなお裁判所に留保されている。行政機関が終審として裁判したことにはならない。現に電波法99条1項は電波監理審議会が適法に認定した事実は実質的な証拠があるときは裁判所を拘束すると定め、同条2項で実質的な証拠の有無は裁判所が判断すると規定している。

特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 禁止される特別裁判所 | 明治憲法下の行政裁判所、軍法会議、皇室裁判所のように、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列の外に置かれる裁判機関 |
| 禁止されない裁判所 | 家庭裁判所、知的財産高等裁判所のように、系列に属し最高裁判所に上訴できる専門的な下級裁判所 |
| 憲法上の例外 | 裁判官弾劾裁判所(64条)、議員の資格争訟の裁判(55条)。終審であり、法律で上訴の道を設けることはできない |
| 行政機関の前審としての裁断 | 審査請求に対する裁決などは許される。行政機関の事実認定も、実質的証拠の有無を裁判所が判断できる仕組みなら裁判所を拘束させてよい |
正しい。特定の種類の事件だけを扱う裁判所でも、最高裁判所に上訴できる通常裁判所の系列に属するなら、憲法76条2項前段が禁ずる特別裁判所に当たらない。
憲法76条2項前段は特別裁判所の設置を禁ずる。ここでいう特別裁判所とは、特定の人または特定の種類の事件について、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列から独立して裁判権を行使する裁判機関をいう。禁止の趣旨は、司法権を最高裁判所の下に一元化することで法解釈の統一と裁判の公正を確保し、あわせて国民が平等に同一の裁判制度による裁判を受けられるようにする点(14条1項、32条)にある。そうであれば、扱う事件の種類が限定されている裁判所であっても、通常裁判所の系列に属する下級裁判所として設置され、その裁判に不服がある場合に最高裁判所へ上訴できるのであれば、最高裁判所の統制が及ぶ以上、特別裁判所には当たらない。判例も、家庭裁判所は76条2項にいう特別裁判所ではなく下級裁判所の一種であるとしている(最大判昭31.5.30)。知的財産に関する事件のみを扱う知的財産高等裁判所も、東京高等裁判所の特別の支部として通常裁判所の系列に位置づけられているから、同様に特別裁判所には当たらない。

特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 禁止される特別裁判所 | 明治憲法下の行政裁判所、軍法会議、皇室裁判所のように、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列の外に置かれる裁判機関 |
| 禁止されない裁判所 | 家庭裁判所、知的財産高等裁判所のように、系列に属し最高裁判所に上訴できる専門的な下級裁判所 |
| 憲法上の例外 | 裁判官弾劾裁判所(64条)、議員の資格争訟の裁判(55条)。終審であり、法律で上訴の道を設けることはできない |
| 行政機関の前審としての裁断 | 審査請求に対する裁決などは許される。行政機関の事実認定も、実質的証拠の有無を裁判所が判断できる仕組みなら裁判所を拘束させてよい |
誤り。違うのは「憲法に違反する」の部分である。実質的証拠の有無を裁判所が判断する限り、事実認定の最終的な判断権は裁判所にあるから、76条に違反しない。
憲法76条1項はすべて司法権が裁判所に属すると定め、同条2項後段は行政機関が終審として裁判を行うことを禁じる。法律上の争訟の裁判には事実の認定も含まれるから、行政機関の認定した事実に裁判所が一切審査できずに拘束されるなら、事実認定の終審を行政機関に委ねることになり76条に反する。しかし本肢の法律は、行政機関の認定した事実が裁判所を拘束するのを、これを立証する実質的証拠があるときに限り、しかもその実質的証拠の有無は裁判所が判断すると定めている。この仕組みでは、行政機関の事実認定を支える証拠が実質的なものといえるかどうかを裁判所が最終的に判断するのであり、証拠に裏付けられない認定は裁判所を拘束しないから、事実認定についての最終的な判断権は裁判所に確保されている。したがって、このようないわゆる実質的証拠法則は行政機関の終審裁判の禁止に触れず、76条1項・2項に違反しないと解されており、現に電波法99条などに同様の規定が置かれている。本肢は誤っている。

特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
- すべて司法権は最高裁判所と法律の定める下級裁判所に属する(76条1項)。法律上の争訟の裁判には、法令適用の前提となる事実の認定も含まれる
- 特別裁判所の設置の禁止(76条2項前段):禁止されるのは通常裁判所の系列から独立した裁判機関であり、特定の種類の事件だけを扱う裁判所でも最高裁判所に上訴できれば特別裁判所ではない(家庭裁判所・知的財産高等裁判所)
- 行政機関の終審裁判の禁止(76条2項後段):前審として裁判することは許される。実質的証拠法則も、実質的証拠の有無を裁判所が判断する限り合憲
- 弾劾裁判所(64条):国会に置かれ、憲法自身が認めた例外である。その裁判に最高裁判所への上訴の道を設ける法律は64条に反する
正しい。76条2項が禁止する特別裁判所とは通常裁判所の系列から独立した裁判機関をいい、特定の種類の事件だけを扱う裁判所でも最高裁判所に上訴できるなら系列に属するから、設置しても憲法に違反しない。
憲法76条2項前段は、特別裁判所はこれを設置することができないと定める。ここでいう特別裁判所とは、特定の身分の者や特定の種類の事件について、最高裁判所を頂点とする通常の司法裁判所の系列から独立して裁判権を行使する裁判機関をいい、明治憲法下の行政裁判所や軍法会議がその例である。禁止の趣旨は、司法権を最高裁判所の下に統一して法解釈の統一と裁判の公正を確保することにある。したがって、禁止されるのは系列からの独立であって、扱う事件の種類を限定すること自体ではない。特定の種類の事件だけを扱う裁判所であっても、最高裁判所を頂点とする系列に属し、その裁判の結果に不服がある場合に最高裁判所に上訴できるのであれば、法解釈の統一と最終的な審査は最高裁判所によって確保されるから、特別裁判所には当たらない。現に家事事件や少年事件を扱う家庭裁判所、知的財産に関する事件を扱う知的財産高等裁判所は、いずれも下級裁判所として系列に属しており、その設置は76条2項に反しない。本肢は正しい。

すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
- すべて司法権は最高裁判所と法律の定める下級裁判所に属する(76条1項)。法律上の争訟の裁判には、法令適用の前提となる事実の認定も含まれる
- 特別裁判所の設置の禁止(76条2項前段):禁止されるのは通常裁判所の系列から独立した裁判機関であり、特定の種類の事件だけを扱う裁判所でも最高裁判所に上訴できれば特別裁判所ではない(家庭裁判所・知的財産高等裁判所)
- 行政機関の終審裁判の禁止(76条2項後段):前審として裁判することは許される。実質的証拠法則も、実質的証拠の有無を裁判所が判断する限り合憲
- 弾劾裁判所(64条):国会に置かれ、憲法自身が認めた例外である。その裁判に最高裁判所への上訴の道を設ける法律は64条に反する
正しい。弾劾裁判所は通常裁判所の系列の外にある裁判機関で実質的には特別裁判所に当たるが、憲法64条が自ら設置を定めているから、76条2項の禁止に対する憲法上の例外である。
憲法76条2項前段は、特別裁判所はこれを設置することができないと定める。特別裁判所とは、特定の身分の者や特定の種類の事件についてのみ裁判権を行使するために、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列から独立して設けられる裁判機関をいい、明治憲法下の行政裁判所・軍法会議・皇室裁判所がその典型である。禁止の趣旨は、司法権を最高裁判所とその系列下の下級裁判所に一元的に帰属させ(76条1項)、法解釈の統一と裁判の公正を確保する点にある。他方、64条1項は、国会が罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設けると規定する。弾劾裁判所は国会に設置される機関であり、裁判官という特定の身分の者の罷免だけを扱い、その裁判に対して通常裁判所へ上訴することもできない。最高裁判所を頂点とする裁判所の系列の外にある裁判機関だから、実質的には特別裁判所に当たる。しかし憲法自身が明文で設置することとしている以上、76条2項の禁止に対する憲法上の例外として認められる。

国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
- 禁止される特別裁判所:明治憲法下の行政裁判所、軍法会議、皇室裁判所のように、通常裁判所の系列の外に置かれる裁判機関
- 禁止されない裁判所:家庭裁判所、知的財産高等裁判所のように、最高裁判所を頂点とする系列に属する専門的な下級裁判所
- 憲法上の例外:裁判官弾劾裁判所(64条)、議員の資格争訟の裁判(55条)
- 前審としての裁断:行政機関が審査請求に対する裁決などを行うことは許される(76条2項後段の反対解釈)
誤り。違うのは「民事及び刑事事件の裁判権を指し」、行政裁判は「法律上特に定める権限として裁判所の権限とされたものである」とする部分である。日本国憲法の下では、行政事件の裁判権も76条1項の司法権に含まれる。
明治憲法の下では、司法権は民事と刑事の裁判権に限られ、行政事件の裁判は通常裁判所とは別系統の行政裁判所の管轄とされていた。これに対し日本国憲法は、76条1項ですべて司法権は最高裁判所及び下級裁判所に属すると定めたうえで、同条2項で特別裁判所の設置を禁じ、行政機関が終審として裁判を行うことを禁じている。行政機関が前審として裁断することはできても、最終的には必ず司法裁判所の審査に服するという構造であり、さらに81条は裁判所に行政処分の違憲審査権を与えている。これらの規定は、英米法の影響の下で、行政事件の裁判も具体的な争訟に法を適用して裁定する作用として司法権に含める立場を採ったものである。裁判所法3条1項が、裁判所は一切の法律上の争訟を裁判すると定めるのは、この趣旨を確認したものである。本肢は、行政裁判を性質上行政権の作用とし、法律が特に与えた権限と位置づける点で、明治憲法下の理解にとどまっており誤りである。

裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。
正しい。76条3項の「法律」は国会が制定する形式的意味の法律に限られず、政令、規則、条例などを含むおよそ客観的な法規範を意味する。
憲法76条3項は、すべて裁判官はその良心に従い独立して職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束されると定める。この規定の趣旨は、裁判官が上司の意向や世論、政治的圧力といった法以外のものに左右されず、客観的な法規範だけに依拠して裁判することを保障する点にある。近代の法治国家では裁判は客観的な法規範に基づいて行われるべきであり、裁判官が依拠すべき法規範は国会の制定した法律に限られない。法律の委任や執行のために内閣が定める政令、最高裁判所や議院の規則、地方公共団体が制定する条例、さらに慣習法も、有効に成立している限り裁判の基準となる法である。したがって同項の「法律」は、形式的意味の法律だけでなく、これらを含む一切の客観的法規範を指すと解されている。本肢はこの解釈を正しく述べている。なお、最高裁判所の判例は同項の「法律」に当たらず、下級裁判所の裁判官を法律上拘束するものではない。

すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
- 司法府の独立:最高裁判所の規則制定権(77条1項)、下級裁判所裁判官の指名権(80条1項)、司法行政権が制度的な支えとなる
- 裁判官の職権の独立:裁判官は良心に従い独立して職権を行い、憲法と法律にのみ拘束される(76条3項)。「法律」は政令・規則・条例を含む客観的法規範を指す
- 身分保障:心身の故障による分限裁判と公の弾劾によるほかは罷免されず、行政機関による懲戒は禁止される(78条)。報酬は在任中減額できない
誤り。違うのは「仮にこの規定がないとすると、最高裁判所に違憲立法審査権を認める余地はない」の部分である。判例は、81条がなくとも98条や76条・99条から違憲審査権は十分に抽出され得るとした。
最大判昭23.7.7は、最高裁判所の違憲審査権は一般には憲法81条によって定められていると説かれるが、一層根本的な考え方からすれば、たとえそのような規定がなくとも、98条の最高法規の規定又は76条若しくは99条の裁判官の憲法遵守義務の規定から、違憲審査権は十分に抽出され得ると述べた。憲法が最高法規であって、これに反する法律が効力を有しないのであれば、具体的な事件に法を適用する裁判官は、適用すべき法律が憲法に適合するかどうかを判断せざるを得ない。また裁判官は憲法及び法律に拘束され、憲法を尊重し擁護する義務を負うから、憲法に反する法律を適用して裁判することはできない。違憲審査権はこうした司法権の行使に本来伴う権能であり、81条はそれを明文で確認し、最高裁判所が終審として判断することを定めた規定と位置づけられる。本肢は、81条がなければ違憲審査権を認める余地がないとする点で判例と異なり誤りである。

現今通常一般には、最高裁判所の違憲審査権は、憲法第81条によつて定められていると説かれるが、一層根本的な考方からすれば、よしやかかる規定がなくとも、第98条の最高法規の規定又は第76条若しくは第99条の裁判官の憲法遵守義務の規定から、違憲審査権は十分に抽出され得るのである。
正しい。93条2項が定めるのは長と議会の議員の住民による直接選挙であり、議会の解散請求や議員・長の解職請求は地方自治法が設けた制度であって、憲法上の要請ではない。
憲法93条2項は、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙すると定める。憲法が住民に直接保障しているのは、長と議員を選ぶ選挙権であり、選んだ後に任期の途中で議会を解散させたり、議員や長を解職させたりする権利について、憲法は明文の規定を置いていない。地方自治法は、有権者の一定数の署名によって議会の解散や議員・長の解職を請求し、住民投票で過半数の同意があれば解散や失職の効果が生じる直接請求の制度を定めている。これらは住民自治の理念を具体化する重要な制度であるが、地方自治の本旨から当然に導かれる唯一の制度ではなく、どのような形で住民の直接参加を認めるかは立法政策に委ねられている。15条1項が公務員の選定と罷免を国民固有の権利とするのも、個々の公務員の解職制度を設けることまで要求する趣旨ではない。したがって、これらの制度自体は憲法上の要請とはいえず、本肢は正しい。

地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
- 憲法が直接要求:地方公共団体という制度の存在(92条)、議事機関としての議会の設置(93条1項)、長と議会の議員の住民による直接選挙(93条2項)、条例制定権(94条)
- 法律に委ねる:組織や運営の細目。ただし地方自治の本旨(住民自治・団体自治)に基づかなければならない
- 地方自治法上の制度:議会の解散請求、議員・長の解職請求、条例の制定改廃請求などの直接請求。住民自治を具体化するが憲法上の要請ではない
正しい。76条2項後段が禁ずるのは行政機関が終審として裁判を行うことであり、前審としての裁決・決定は許されるが、裁判所が行政機関の認定した事実に絶対的に拘束されるとすることは許されない。
76条2項後段は、行政機関は終審として裁判を行うことができないと定める。禁止されているのは終審としての裁判であるから、その反対解釈として、裁判所に出訴する道が残されている限り、行政機関が前審として審査請求や異議申立てに対して裁決ないし決定を下すことは許される。裁判所法3条2項も、行政機関が前審として審判することを妨げないと定めている。しかし、裁判とは事実を認定し、これに法を適用する作用である。裁判所が行政機関の認定した事実に絶対的に拘束され、自ら証拠に基づいて事実を認定できないとすれば、事実認定については行政機関が終審として裁判を行ったのと同じ結果になり、同項後段の禁止を潜脱することになる。それは司法権を裁判所に属させた76条1項や、裁判を受ける権利を保障する32条の趣旨にも反する。行政機関の事実認定に拘束力をもたせるとしても、それを支える実質的な証拠の有無を裁判所が判断できる仕組みでなければならない。

特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。










































