天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
この条文の過去問 20問
誤り。違うのは「この「皇室財産」とは天皇及び皇族の財産を意味しているため、天皇及び皇族が私有財産を保有することは認められない」の部分である。88条前段の皇室財産は皇位に伴う世襲財産などを指し、天皇と皇族の私有財産を含まない。
88条前段はすべて皇室財産は国に属すると定める。この規定は、明治憲法下で皇室が保有していた御料林などの膨大な世襲財産を、日本国憲法の施行に際して国に帰属させ、皇室が独自の経済的な基盤を持つことによって政治的な影響力を行使する事態を防ぐ趣旨である。したがってここにいう皇室財産とは、皇位に伴う世襲財産や皇室の活動のための財産を指し、天皇と皇族が私人として保有する一切の財産を国有化してその保有自体を禁じる趣旨ではない。天皇は象徴の地位にあっても一個人として日常の生活を営むから、その地位にふさわしい生活を支える衣食住の用具など、生活に必要な純然たる私的財産にまで国有化が及ぶことは想定されていない。8条が皇室による財産の譲受けと賜与を国会の議決にかからせているのも、皇室に帰属する私有財産があり得ることを前提に、その増減を国会の統制に服させる規定である。皇室経済法も、内廷費と皇族費を御手元金として宮内庁の経理に属する公金としないと定め、天皇と皇族が私有財産を持ち得ることを法律上明らかにしている。

すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
- ["88条前段", "すべて皇室財産は国に属する。皇居や御用邸などは国有財産となる。天皇・皇族の私有財産は含まない"]
- ["88条後段", "すべて皇室の費用は予算に計上して国会の議決を経る。予算と同じ手続で衆議院先議(60条1項)"]
- ["8条", "皇室への財産の授受は国会の議決に基づく。皇室と特定の者との経済的な結びつきを防ぐ趣旨。皇室経済法2条の場合はその度ごとの議決が不要"]
- ["費用の種類", "内廷費(天皇と内廷にある皇族の日常の費用)、宮廷費(儀式や国賓の接遇など公的な活動の費用)、皇族費(内廷外の皇族の費用)"]
誤り。違うのは「この「皇室財産」とは天皇及び皇族の財産を意味しているため、天皇及び皇族が私有財産を保有することは認められない」の部分である。
88条前段はすべて皇室財産は国に属すると定めるが、この規定は、明治憲法下で皇室が保有していた御料林等の膨大な世襲財産を日本国憲法の施行に際して国有に帰属させ、皇室が独自の経済的基盤によって政治的影響力を行使する事態を防ぐ趣旨のものである。ここでいう皇室財産とは皇位に伴う公的な財産、すなわち皇室の世襲財産としての性格を持つ財産を指し、天皇及び皇族が私人として保有する一切の財産まで国有化して私有財産の保有そのものを禁じる趣旨ではない。天皇は象徴の地位にあっても一個人として日常生活を営み、その生活を支える衣食住の用具などの純然たる私的財産にまで国有化が及ぶことは想定されていない。8条が皇室による財産の譲受けや賜与を国会の議決にかからせているのも、皇室に帰属する私有財産があり得ることを当然の前提として、その増減を統制する規定である。皇室経済法も、天皇及び内廷にある皇族の日常の費用に充てる内廷費を御手元金として宮内庁の経理に属する公金としないと定め、皇族費についても同様の定めを置いており、私有財産の保有を法律上明らかにしている。

すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
- 88条前段:すべて皇室財産は国に属する。皇位に伴う公的な財産が対象で、天皇・皇族の私有財産(日常の品・御手元金)は含まれない
- 88条後段:すべて皇室の費用は予算に計上して国会の議決を経る。予算と同じ手続によるので衆議院の先議(60条1項)に服する
- 8条:皇室への財産の譲渡・譲受・賜与は国会の議決に基づく。皇室と特定の者との経済的な結びつきを防ぐ趣旨
- 皇室経済法2条:通常の私的経済行為、外国交際のための儀礼上の贈答、公共のための遺贈・遺産の賜与、一定価額以内の授受は、その度ごとの議決を要しない
- 費用の種類:内廷費(天皇と内廷にある皇族の日常の費用。御手元金となり公金としない)、宮廷費(儀式や国賓の接遇など公的活動の費用)、皇族費(内廷外の皇族の費用)
誤り。違うのは「その合理的根拠を見いだすことができないから、憲法第14条に由来し、国籍を理由として差別することを禁じた労働基準法第3条の規定に反する違法な措置というべきである」の部分である。東京都管理職選考事件(最大判平17.1.26)は、日本国民である職員に限って管理職に昇任できるとする措置を合理的な理由に基づく区別として、労働基準法3条にも憲法14条1項にも違反しないとした。
東京都管理職選考事件(最大判平17.1.26)は、公権力の行使に当たる行為を行い、又は重要な施策に関する決定を行い若しくはこれに参画することを職務とする公権力行使等地方公務員の職務遂行は住民の生活に直接間接に重大なかかわりを持つとし、国民主権の原理に基づき統治の在り方については国民が最終的な責任を負うべきであること(憲法1条、15条1項参照)に照らし、原則として日本国籍を有する者がこれに就任することが想定されていると述べた。そのうえで、東京都が、昇任すれば公権力行使等地方公務員に就任することがあり得る職とそれ以外の職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築している以上、日本国民である職員に限って管理職に昇任できるとする措置は公務員制度を構築するに当たっての合理的な裁量の範囲を超えず、合理的な理由に基づく区別であって労働基準法3条にも憲法14条1項にも違反しないとした。本肢は職務の性質を問わない一律の受験拒否に合理的根拠がないとするが、判例は一体的な任用制度という制度全体を捉えて合理性を肯定しており、結論が正反対である。

普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で、日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは、合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり、上記の措置は、労働基準法3条にも、憲法14条1項にも違反するものではない。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 障害福祉年金の国籍要件(塩見訴訟) | 最判平元.3.2 | 社会保障上の外国人の処遇は立法裁量。自国民優先は合理性を否定できず合憲 |
| 国籍法3条1項の準正要件(国籍法違憲判決) | 最大判平20.6.4 | 立法目的は合理的だが、準正要件は目的との合理的関連性を失い違憲。準正要件のみ無効 |
| 東京都の管理職選考の国籍要件 | 最大判平17.1.26 | 公権力行使等地方公務員には日本国籍者が想定される。一体的な管理職任用制度は合理的裁量の範囲内で、労基法3条にも14条1項にも違反しない |
| 不法残留者の生活保護不適用 | 最判平13.9.25 | 不法残留者を保護の対象から外しても14条1項に違反しない |
正しい。憲法62条の要求権の実効性は、議院証言法が正当の理由のない不出頭や証言拒絶、偽証に刑罰を定めることで担保されている。
憲法62条は、両議院が各々国政に関する調査を行い、これに関して証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができると定める。同条は議院に証人等に対する要求権限を与えるが、要求に応じない場合の効果までは定めていない。そこでこの要求の実効性を担保するため、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律が制定されている。同法1条は、国政に関する調査のため各議院から証人として出頭及び証言又は書類の提出を求められたときは、別段の定めのある場合を除いて何人でもこれに応じなければならないとし、広く一般国民に応諾義務が及ぶことを明らかにしている。その上で同法は、正当の理由がなくて証人が出頭せず、証言や書類の提出を拒んだ場合の処罰規定(7条1項)と、宣誓した証人が虚偽の陳述をした場合を偽証として処罰する規定(6条1項)を置く。国政調査への協力義務は道義的な義務にとどまらず、刑罰によって法的に担保されているのである。もっとも証人には憲法38条1項の保障が及ぶから、刑事訴追を受けるおそれのある事項については証言を拒むことができる。本肢は現行法の内容と合致する。

両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
誤り。違うのは「その者が公権力の行使に当たる行為を行うかどうかにかかわらず」の部分である。判例が法体系の想定外としたのは公権力行使等地方公務員への就任に限られる(最大判平17.1.26)。
東京都管理職選考事件(最大判平17.1.26)は、地方公務員のうち、住民の権利義務を直接形成しその範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするものを公権力行使等地方公務員と括り出した。そして、この類型の公務員の職務遂行は住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有するから、国民主権の原理に基づき統治の在り方について日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきであること(1条、15条1項)に照らし、原則として日本国籍を有する者が就任することが想定されており、外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは本来我が国の法体系の想定するところではないと述べた。同判決は、地方公共団体が職種や職務内容に応じて外国人を任用し得る職とそうでない職を区分して任用管理することを合理的な理由に基づく区別として許容しており、外国人が地方公務員に就任すること一般を否定してはいない。本肢は判例の射程を公権力の行使に当たらない職にまで広げており、判例の趣旨に反する。

国民主権の原理に基づき、国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条、15条1項参照)に照らし、原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり、我が国以外の国家に帰属し、その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 外国人職員の管理職選考受験拒否 | 最大判平17.1.26(東京都管理職選考事件) | 国民主権の原理に照らし、公権力行使等地方公務員には原則として日本国籍を有する者の就任が想定され、外国人の就任は法体系の想定外。日本国民に限って昇任させる措置は合理的な区別で14条1項に反しない |
| 裁判員の職務は「苦役」か | 最大判平23.11.16(裁判員制度合憲判決) | 裁判員制度は国民主権の理念に沿って司法の国民的基盤を強化するもので、裁判員の職務等は参政権と同様の権限の付与であり、辞退制度や日当もあるから18条後段の苦役に当たらない |
| 天皇を被告とする不当利得返還請求 | 最判平元.11.20(記帳所事件) | 天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であることにかんがみ、天皇には民事裁判権が及ばない |
正しい。憲法1条の「主権の存する日本国民の総意」の「主権」は、天皇の地位の根拠を、国政の在り方を最終的に決定する力ないし権威をもつ国民の意思に求めるものであり、国政に関する最高の決定権という意味で用いられている。
憲法1条は、天皇の地位について主権の存する日本国民の総意に基くと定める。これは、天皇が日本国及び日本国民統合の象徴である地位に立つ根拠を、国政の在り方を最終的に決定する力ないし権威の帰属主体である国民の意思に求めたものである。明治憲法の下では天皇が統治権の総攬者とされていたのに対し、日本国憲法は主権の所在を国民に置き、天皇については国事行為のみを行い国政に関する権能を有しないと定めて(4条1項)、その地位の正当性の根拠を国民の総意に求めた。この「主権」は、前文1項が主権が国民に存することを宣言した趣旨と同一の意味内容であり、憲法改正に国民投票による承認を要求する96条1項も同じ原理の現れである。統治権そのものを指す用法や、国家権力の対外的独立性を指す用法ではない。したがって本肢の「主権」は、設問のいう国政に関する最高の決定権の意味で用いられている。

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
| 意味 | 内容 | 用例 |
|---|---|---|
| 統治権 | 立法権・行政権・司法権を包括する国家権力そのものであり、その及ぶ範囲を画する文脈で使われる | ポツダム宣言8項「日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ…諸小島ニ局限セラルベシ」 |
| 国家権力の最高独立性 | 対内的には最高、対外的には他国の支配に服さず独立であるという国家権力の属性である | 憲法前文3項「自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする」 |
| 国政の最高決定権 | 国の政治の在り方を最終的に決定する力ないし権威であり、国民主権の主権はこの意味である | 憲法前文1項「主権が国民に存する」・1条「主権の存する日本国民の総意」 |
正しい。憲法1条の「主権の存する日本国民の総意」の「主権」は、天皇の地位の根拠を、国政の在り方を最終的に決定する力ないし権威をもつ国民の意思に求めるものであり、国政に関する最高の決定権という意味で用いられている。
憲法1条は、天皇の地位について主権の存する日本国民の総意に基くと定める。これは、天皇が日本国及び日本国民統合の象徴である地位に立つ根拠を、国政の在り方を最終的に決定する力ないし権威の帰属主体である国民の意思に求めたものである。明治憲法の下では天皇が統治権の総攬者とされていたのに対し、日本国憲法は主権の所在を国民に置き、天皇については国事行為のみを行い国政に関する権能を有しないと定めて(4条1項)、その地位の正当性の根拠を国民の総意に求めた。この「主権」は、前文1項が主権が国民に存することを宣言した趣旨と同一の意味内容であり、憲法改正に国民投票による承認を要求する96条1項も同じ原理の現れである。統治権そのものを指す用法や、国家権力の対外的独立性を指す用法ではない。したがって本肢の「主権」は、設問のいう国政に関する最高の決定権の意味で用いられている。

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
| 意味 | 内容 | 用例 |
|---|---|---|
| 統治権 | 立法権・行政権・司法権を包括する国家権力そのものであり、その及ぶ範囲を画する文脈で使われる | ポツダム宣言8項「日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ…諸小島ニ局限セラルベシ」 |
| 国家権力の最高独立性 | 対内的には最高、対外的には他国の支配に服さず独立であるという国家権力の属性である | 憲法前文3項「自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする」 |
| 国政の最高決定権 | 国の政治の在り方を最終的に決定する力ないし権威であり、国民主権の主権はこの意味である | 憲法前文1項「主権が国民に存する」・1条「主権の存する日本国民の総意」 |
誤り。違うのは後半の「郵便法はそのような場合にまで賠償責任の免除・制限を予定するものではないので,郵便法の上記規定が当該事案に適用される限りにおいて憲法第17条に違反すると判示した」の部分である。郵便法違憲判決は、故意・重過失の場合まで免責する部分を17条に違反して無効とする法令違憲の判断をした。
郵便法違憲判決の最大判平14.9.11は、書留郵便物等について限定列挙の場合を除き国の損害賠償責任を一切免除・制限していた当時の郵便法68条・73条の合憲性が争われた事案である。最高裁は、17条が賠償の要件や範囲の立法に認める裁量にも、合理性を欠く場合には限界があるとした。そのうえで、郵便業務従事者の故意又は重大な過失による不法行為という例外的な場合にまで免責・責任制限を及ぼさなければ郵便法1条の目的を達成できないとは到底考えられないとして、書留郵便物について故意・重過失により損害が生じた場合に国の責任を免除・制限している部分は、立法府に付与された裁量の範囲を逸脱し、17条に違反して無効であるとした。これは規定の一部を切り出して法令そのものを違憲無効とする法令違憲であり、当該事案に適用する限度で違憲とする適用違憲ではない。郵便法が重過失の場合を免責の対象から除いていると解釈したのでもなく、まさに重過失の場合まで免責する点を違憲としたのであるから、肢は判示の構造を取り違えている。

規定のうち、書留郵便物について、郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に、不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し、又は制限している部分は、憲法17条が立法府に付与した裁量の範囲を逸脱したものであるといわざるを得ず、同条に違反し、無効である。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 公務員の政党機関紙配布(堀越事件) | 最判平24.12.7 | 罰則規定を限定解釈し、構成要件に該当しないとして無罪。適用違憲ではなく、限定解釈の下で規定は合憲 |
| 市有地の神社敷地への無償提供(空知太神社訴訟) | 最大判平22.1.20 | 諸事情の総合考慮により、利用提供行為が89条・20条1項後段に違反。同日の富平神社訴訟の譲与は合憲 |
| 郵便法の賠償責任免除・制限(郵便法違憲判決) | 最大判平14.9.11 | 故意・重過失の場合まで免責する部分は17条に違反して無効。規定の一部を切り出す法令違憲であり、適用違憲ではない |
誤り。違うのは「対外的独立性の意味の主権であるとされている」の部分である。ポツダム宣言8項の主権は、日本国が統治権を及ぼしうる地理的範囲を限定する趣旨で用いられており、統治権の意味の主権である。
主権の語は、立法権、行政権、司法権を包括する国家の支配権そのものである統治権、国家権力の対外的独立性、国政についての最高の決定権という三つの意味で用いられる。ポツダム宣言8項は日本国の主権を本州、北海道、九州、四国と連合国の決定する諸小島に局限すると定めるが、ここでの主権は、日本国が統治権を及ぼしうる地理的範囲を限定する趣旨で用いられているから、統治権の意味の主権であると解されている。同じ用例として、日本国との平和条約1条(b)が日本国及びその領水に対する日本国民の完全な主権を承認すると定める場面があり、いずれも国家の支配権が及ぶ領域の問題として主権を語る。これに対し、対外的独立性としての主権は、前文3項が自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとするという場合の主権がこれに当たり、他国の支配に服さない国家の独立性を指す概念であって、領域の範囲を画する場面で用いられるものではない。国政の最高決定権の意味の主権は、前文1項と1条の主権がその例である。ポツダム宣言8項の主権を対外的独立性の意味と解する本肢は、主権の用法を取り違えている。

日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ
- ["統治権", "立法権・行政権・司法権を包括する国家権力そのもの。ポツダム宣言8項の主権。国家法人説ではこの主権が国家に属する"]
- ["国家権力の最高独立性", "対内的には最高、対外的には独立という国家権力の属性。前文3項の主権"]
- ["国政の最高決定権", "国の政治の在り方を最終的に決定する力ないし権威。前文1項・1条の主権"]
誤り。違うのは「これらの選挙の際に行われる場合は日本国憲法の改正手続に関する法律は適用されない」の部分である。同法は特別の国民投票と選挙の際の投票を区別せず、憲法改正の承認に係る国民投票の手続一般を定めている。
憲法96条1項後段は、改正に対する国民の承認について、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票においてその過半数の賛成を必要とすると定める。国会の定める選挙とは衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙といった国政選挙を指すと解されているから、承認の投票を国政選挙と同じ機会に行うこと自体は憲法が許容しており、本肢の前段は誤りではない。誤っているのは後段である。日本国憲法の改正手続に関する法律1条は、同法が96条1項に定める憲法改正についての国民の承認に係る投票に関する手続を定めるものとしており、適用対象を特別の国民投票に限定していない。同法は、承認の投票が単独で実施されるか国政選挙と同じ機会に実施されるかを問わず、憲法改正の国民投票一般の手続法である。実際に同法は、投票の期日、満18年以上の日本国民という投票権者、改正案ごとに賛否を記載する投票方式、有効投票の過半数という承認の要件を一律に定め、国政選挙と同時の場合の適用除外を置いていない。同法が適用されなければ承認の手続そのものが実施できない。

この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
- ["原案の発議", "国会法68条の2により、衆議院では議員100人以上、参議院では議員50人以上の賛成を要する。内容において関連する事項ごとに区分して行う(同法68条の3)"]
- ["国会の発議", "各議院の総議員の3分の2以上の賛成(96条1項)。成立すればそのまま国民への提案になる"]
- ["国民の承認", "特別の国民投票、又は国会の定める選挙の際に行われる投票で、有効投票総数の過半数の賛成。どちらの投票にも日本国憲法の改正手続に関する法律が適用される"]
- ["国民投票運動", "戸別訪問の禁止はなく、投票事務関係者や特定公務員の運動、地位を利用した運動、組織的な買収などだけを禁じる。公務員の政治的行為の制限も緩和される"]
- ["公布", "天皇が国民の名で、この憲法と一体を成すものとして直ちに公布する(96条2項)"]
誤り。違うのは後半の「これらに対する一般人の評価についてまで考慮に入れることは、多数者による少数者の宗教的抑圧につながるおそれがあるので相当ではない」の部分である。空知太神社事件判決は一般人の評価を考慮要素として明示している。
最大判平22.1.20(空知太神社事件)は、国公有地が無償で宗教的施設の敷地として供されている状態が直ちに違憲となるわけではないとしつつ、政教分離原則に違反するかどうかは、当該宗教的施設の性格、当該土地が無償で敷地としての用に供されるに至った経緯、無償提供の態様、これらに対する一般人の評価等、諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に判断すべきだとした。政教分離規定は国家と宗教との分離を制度として保障することで間接的に信教の自由を確保する規定であり、国家と宗教とのかかわり合いを一切排除することはできない以上、問われるのはそのかかわり合いが信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるかどうかである。公有地の無償提供が特定の宗教への援助・助長として外部に映るかどうかは国家の宗教的中立性を測る指標になるから、一般人の評価は考慮から外せない。多数者による少数者の抑圧を招くという理由づけも判決は述べていない。判決はこの総合判断の結果、本件の利用提供行為を89条及び20条1項後段に違反するとした。

当該宗教的施設の性格、当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯、当該無償提供の態様、これらに対する一般人の評価等、諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当である。
| 目的効果基準(津地鎮祭事件) | 総合考慮(空知太神社事件) | |
|---|---|---|
| 対象となる行為 | 国及びその機関の宗教的活動(20条3項)、公金支出(89条) | 国公有地を宗教的施設の敷地として無償提供している状態 |
| 判断の枠組み | 行為の目的が宗教的意義をもち、効果が宗教に対する援助・助長・促進又は圧迫・干渉等になるか | 施設の性格、無償提供に至った経緯、提供の態様、これらに対する一般人の評価等の諸事情を総合 |
| 考慮する事情 | 行為の場所、一般人の宗教的評価、行為者の意図・目的及び宗教的意識の有無・程度、一般人に与える効果・影響等 | 施設の性格・経緯・態様・一般人の評価等 |
| 判断の方法 | 諸般の事情を考慮し、社会通念に従って客観的に判断する | 諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に判断する |
正しい。判例は、公権力行使等地方公務員には国民主権の原理に基づき原則として日本の国籍を有する者が就任することが想定され、外国人の就任は本来我が国の法体系の想定するところではないとした。
最大判平17.1.26(東京都管理職選考事件)は、地方公務員のうち、住民の権利義務を直接形成しその範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするものを公権力行使等地方公務員と呼び、その職務の遂行が住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有することを指摘した。そして、国民主権の原理に基づき、国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであることに照らし、原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されており、外国人が就任することは本来我が国の法体系の想定するところではないと判示した。そのうえで、日本国民である職員に限って管理職に昇任できることとする措置も、合理的な理由に基づく区別であって憲法14条1項に違反しないとした。本肢は判示の定義部分と結論部分をそのまま述べており、正しい。

国民主権の原理に基づき、国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条、15条1項参照)に照らし、原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり、外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない。
| 権利 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 政治活動の自由 | マクリーン事件 最大判昭53.10.4 | 及ぶ。ただし政治的意思決定やその実施に影響を及ぼす活動等は除かれ、在留制度の枠内の保障にとどまる |
| 国政の選挙権 | 最判平5.2.26 | 及ばない(15条1項は権利の性質上日本国民のみが対象) |
| 地方選挙権 | 最判平7.2.28 | 憲法上の保障はないが、永住者等に法律で付与することは禁止されていない |
| 公務就任(公権力行使等地方公務員) | 最大判平17.1.26 | 原則として日本国籍を有する者が就任することが想定され、管理職昇任を日本国民に限る措置は14条1項に反しない |
| 出国・入国・再入国 | 最判平4.11.16(森川キャサリーン)ほか | 出国の自由は及ぶが、入国と再入国の自由は及ばない |
正しい。1項で放棄したのは侵略戦争だけだとしても、2項前段で一切の戦力の保持が禁止され、後段で交戦権も否認されると解すれば、自衛戦争を遂行する法的手段がなく、結果として自衛のための戦争も放棄されたことになる。
9条1項の「国際紛争を解決する手段としては」という文言については、不戦条約1条が「国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争」を放棄すると定めていた国際法上の用語例を手がかりに、放棄されたのは侵略戦争にとどまり自衛戦争は放棄されていないと解する見解がある。この見解に立っても、2項前段の「前項の目的を達するため」を、2項が禁ずる戦力の範囲を画する法的な限定ではなく、1項が掲げる国際平和の希求という目的一般ないし戦力不保持を定めるに至った動機を述べたにすぎないと読めば、自衛のためのものを含めおよそ一切の戦力の保持が禁止される。さらに2項後段は「国の交戦権は、これを認めない」と定めて交戦権を全面的に否認する。そうすると、戦争を遂行するための実力組織を一切保持できず、交戦権も行使できない以上、1項の段階では放棄されていないはずの自衛戦争も現実に遂行する法的手段を欠き、結果として放棄されたのと同じ帰結に至る。1項の読み方と2項の読み方の組合せで自衛戦争の可否が決まるという構造を、本肢は正確に述べている。

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。/前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
| 1項の読み方 | 2項の読み方 | 自衛のための戦争 |
|---|---|---|
| 侵略戦争のみ放棄 | 「前項の目的」は動機にすぎず、一切の戦力を保持できない+交戦権を否認 | 結果として放棄される(遂行する手段がない) |
| 侵略戦争のみ放棄 | 「前項の目的」は侵略目的の戦力に限る限定と読む | 認められる余地がある |
| 侵略戦争のみ放棄 | 交戦権=戦いを交える権利そのものと読む | 認められない(交戦権=国際法上の権能の総体と読めば余地が残る) |
| 一切の戦争を放棄 | 2項をどう読んでも | 認められない(放棄された戦争が2項で復活することはない) |
誤り。違うのは「こうした用例を尊重すべきであるとの批判が当てはまる」の部分である。国際法上の用例は、この見解が1項の放棄対象を侵略戦争に限る根拠そのものであり、批判にならない。
肢の見解は、1項が放棄したのは侵略戦争のみであるとしつつ、2項の「前項の目的を達するため」を戦力不保持の条件ではなく、戦争放棄に至った動機を一般的に示す文言と読む通説の立場である。この見解が1項の放棄対象を侵略戦争に限る根拠としているのが、まさに肢が挙げる国際法上の用例である。1928年の不戦条約1条が国際紛争解決のため戦争に訴えることを非とし、国家の政策の手段としての戦争を放棄すると定めたように、「国際紛争を解決する手段としての戦争」は「国家の政策の手段としての戦争」と同義で、自衛戦争を含まない侵略戦争を意味するというのが国際法上の通常の用例であり、9条1項はこの文言をほぼ踏襲している。この用例を尊重すべきだという指摘は、1項が自衛戦争まで放棄していないというこの見解の論拠を補強する主張にほかならず、批判にはならない。用例論が批判として機能するのは、1項で自衛戦争を含む一切の戦争が放棄されていると解する見解に対してである。肢は批判の向け先を取り違えている。

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
| 1項の読み方 | 2項「前項の目的」の読み方 | 帰結と難点 |
|---|---|---|
| 侵略戦争のみ放棄(国際法上の用例を尊重) | 侵略戦争放棄の目的を達するため(条件) | 自衛のための戦力の保持と自衛戦争が許される。文民条項(66条2項)以外に戦争や軍隊を予定する規定がないという批判が当てはまる |
| 侵略戦争のみ放棄(国際法上の用例を尊重) | 戦争放棄に至った動機を一般的に示す(通説) | 2項で一切の戦力の保持が禁じられ交戦権も否認されるから、結果として全ての戦争が放棄される。用例論はこの見解の根拠であり批判にならない |
| 自衛戦争を含む全ての戦争を放棄 | 2項の読み方を待たずに結論が出る | 全ての戦争が放棄される。「国際紛争を解決する手段としての戦争」は侵略戦争を指すという国際法上の用例に反するという批判が当てはまる |
正しい。憲法93条2項にいう「住民」は地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味し、同項は在留外国人に地方選挙権を保障したものではない(最判平7.2.28)。
最判平7.2.28は、憲法15条1項の公務員を選定罷免する権利は国民主権の原理に基づき公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものであり、主権が日本国民に存するとする前文及び1条に照らせば権利の性質上日本国民のみを対象とし、在留外国人には及ばないとした。そのうえで、憲法93条2項の「住民」についても、国民主権の原理及び15条1項の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すことを併せ考えると、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味すると解し、同項は在留外国人に対して地方公共団体の長やその議会の議員等の選挙の権利を保障したものではないとした。したがって本肢のとおり、在留外国人には地方選挙権が憲法上保障されていない。同判決は、永住者等でその区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至った者に法律で地方選挙権を付与することは憲法上禁止されていないとも述べるが、これは立法政策の問題であって、憲法上保障されているかどうかとは別である。

憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 政治活動の自由 | マクリーン事件 最大判昭53.10.4 | 原則として及ぶ。ただし我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等は除く |
| 地方公共団体の長・議員の選挙権 | 定住外国人地方選挙権訴訟 最判平7.2.28 | 憲法上保障されていない。法律で永住者等に付与することは禁止されていない |
| 社会保障の処遇 | 塩見訴訟 最判平元.3.2 | 立法府の裁量。自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許される |
| 入国・再入国の自由 | 森川キャサリーン事件 最判平4.11.16 | 及ばない(出国の自由は及ぶ) |
| 管理職への昇任 | 東京都管理職選考事件 最大判平17.1.26 | 公権力行使等地方公務員は日本国民に限ることができ、14条1項に反しない |
正しい。1条の「主権の存する日本国民」の主権は、国政のあり方を最終的に決定する権力又は権威、すなわち国民主権にいう最高決定権の意味である。
憲法1条は、天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する日本国民の総意に基くと定める。明治憲法の下では統治権を総攬する天皇が主権者とされていたが、日本国憲法は、天皇からかつての主権者たる地位を奪い、天皇の地位の根拠そのものを国民の総意に置くことで、憲法制定権力が国民にあることを宣言した。したがってここでいう主権は、国家権力そのものとしての統治権や、対外的独立性としての最高独立性ではなく、国の政治のあり方を最終的に決定する権力又は権威、すなわち国政の最高決定権を意味する。前文第1段が、ここに主権が国民に存することを宣言すると述べるときの主権も同じ意味であり、1条はこれを天皇の地位との関係で具体化した規定である。主権という語の意味は引用される条文ごとに選び分ける必要があり、前文第3段の主権が対外的独立性を意味するのと異なり、前文第1段と1条の主権は最高決定権である。本肢はこの用法を正しく述べており正しい。

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
- 統治権:立法権・行政権・司法権を包括する国家権力そのもの。ポツダム宣言8項の「日本国ノ主権」はこの意味である
- 国家権力の最高独立性:対内的には最高、対外的には独立という国家権力の属性。前文第3段の「自国の主権を維持し」は対外的独立性に重点を置いた用法である
- 国政の最高決定権:国の政治のあり方を最終的に決定する権力又は権威。前文第1段の「主権が国民に存する」と1条の「主権の存する日本国民」はこの意味である
- 権力的契機:国民自身が国政のあり方を実際に決定する側面。96条1項の憲法改正国民投票はその表れである
- 正当性の契機:国家権力の正統性の究極の根拠が国民にあるという側面。この面だけを強調すると、国民の意思を反映する仕組みまでは要請されない
正しい。日本国憲法2条が求めるのは皇位が世襲であることだけで、継承資格は国会の議決した皇室典範に委ねられているから、男系男子主義は憲法の要請ではない。
大日本帝国憲法2条は、皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承スと定め、皇位継承資格を男系の男子に限る旨を憲法典それ自体に明記していた。これに対し日本国憲法2条は、皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところによりこれを継承すると定めるにとどまる。憲法が要求しているのは、皇位が天皇の血統に属する者によって承継されるという世襲の一点であり、具体的な継承資格や継承順序の定めは、国会の議決した法律である皇室典範に委ねられている。日本国憲法下の皇室典範は法律である以上、その内容は憲法の枠内で国会が選択できる。14条1項が性別による差別を禁止していることも併せ考えれば、2条にいう世襲から男系男子に限定すべしとの要請を導くことはできず、女性天皇や女系による継承を認める方向での皇室典範の改正も憲法上可能であると解するのが一般的な理解である。現行の皇室典範1条が皇位は皇統に属する男系の男子がこれを継承すると定めるのは、法律レベルでの選択にすぎない。

皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
正しい。最判平7.2.28は、主権が「日本国民」に存するとする憲法前文及び1条の規定に照らし、国民主権の原理における国民とは日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味するとした。
最判平7.2.28は、永住資格を有する在日韓国人が選挙人名簿への登録を求めた事案で、憲法第三章の権利保障は権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き在留外国人にも等しく及ぶとしつつ、公務員を選定し罷免する権利を定める15条1項は、国民主権の原理に基づき公務員の終局的任命権が国民に存することを表明した規定だとしたうえで、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び1条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかであると判示した。国民主権の国民の範囲を、主権の所在を定めた前文1項と1条の文言そのものから導き、国籍保有者に限定したのである。この理解を前提に、15条1項の保障は在留外国人には及ばず、93条2項の住民も日本国民を意味するとして、外国人に地方選挙権を保障したものではないとした。

主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。
- 統治権:立法権・行政権・司法権を包括する国家権力そのもの。ポツダム宣言8項の「日本国ノ主権」、憲法9条1項・41条の「国権」がこれに当たる
- 国家権力の最高独立性:対内的には最高、対外的には独立という国家権力の属性。前文3項の「自国の主権を維持し」
- 国政の最高決定権:国の政治の在り方を最終的に決定する力ないし権威。前文1項・1条の国民主権の主権。判例はこの国民を日本国籍を有する者とする(最判平7.2.28)
- 国民が直接に決定する制度:憲法改正の国民投票(96条1項)、最高裁判所裁判官の国民審査(79条2項)、地方特別法の住民投票(95条)。投票権者の要件は法律に委ねられる
正しい。ポツダム宣言8項の主権は国家の統治権を意味し、憲法1条の主権は国政の最高決定権を意味するから、両者は意味を異にする。
ポツダム宣言8項は、日本国の主権が本州、北海道、九州及び四国並びに連合国の決定する諸小島に局限されるとしており、ここでは日本国の国家権力が及ぶ地理的範囲が定められている。領域に対して及ぶ権力とは立法権・行政権・司法権を総称する統治権であるから、同項の主権は国家権力そのものである統治権を意味する。これに対し憲法1条は、天皇の地位が主権の存する日本国民の総意に基づくと定め、明治憲法の天皇主権を否定して主権が国民にあることを宣言した規定である。ここで国民に存するとされる主権は、領域に及ぶ統治権ではなく、国の政治の在り方を最終的に決定する力ないし権威、すなわち国政の最高決定権を意味する。前文1項が主権が国民に存することを宣言するというときの主権も同じ意味である。このように、ポツダム宣言8項の主権は統治権、憲法1条の主権は最高決定権であって意味を異にするから、本肢は正しい。

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
- 統治権:立法権・行政権・司法権を包括する国家権力そのもの。ポツダム宣言8項の主権
- 国家権力の最高独立性:対内的には最高、対外的には独立という国家権力の属性。前文3項の主権
- 国政の最高決定権:国の政治の在り方を最終的に決定する力ないし権威。前文1項・1条の主権
誤り。違うのは末尾の「少なくとも天皇は国民ではないことは明らかである」の部分である。主権の保持者としての国民と国籍を有する者としての国民とは別の概念であり、国民主権原理から当然に天皇が国民でないことにはならない。
国民主権にいう国民と、国家の構成員としての国民とは同じ概念ではない。憲法10条は日本国民たる要件を法律で定めるとしており、これを受けた国籍法により日本国籍を有する者が国家の構成員としての国民である。天皇も日本国籍を有する者であるから、この意味での国民に含まれると解するのが一般的であり、政府見解も天皇が基本的人権を享有することを肯定している。天皇が国民に含まれないとすれば、天皇は人権の享有主体ではないという理解につながり、世襲と象徴の地位から必要とされる範囲を超えた特別扱いを認めることになる。他方、国民主権原理が天皇主権の否定として表明されたことから導かれるのは、国政の在り方を最終的に決定する力ないし権威の担い手が天皇ではなく国民であるということにとどまる。主権の保持者から天皇が除かれると解するとしても、そこから天皇が国家の構成員としての国民でもないという結論は出てこない。本肢は二つの国民を区別しないまま、天皇が国民でないことは明らかと断定している点で誤りである。

日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
















































