国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
この条文の過去問 12問
正しい。国会中心立法の原則は、国の立法は憲法に特別の定めがある場合を除いて常に国会が行うという原則であり、憲法上の例外が議院規則(58条2項)と最高裁判所規則(77条1項)である。
41条は国会を国の唯一の立法機関と定め、この「唯一」の意味は国会中心立法の原則と国会単独立法の原則に分けて説かれる。国会中心立法の原則は、国の行う立法は憲法に特別の定めがある場合を除き常に国会を通じ国会の議決によってなされなければならないというもので、明治憲法下で認められた天皇の独立命令や緊急勅令のように、議会の関与なしに行政権が法規を定立する形式を否定する趣旨を含み、国民代表機関による立法という国民主権の帰結でもある。その例外を憲法自身が定めており、両議院がそれぞれ会議その他の手続と内部の規律に関する規則を定める議院規則制定権(58条2項)と、最高裁判所が訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について規則を定める規則制定権(77条1項)がそれに当たる。いずれも議院の自律権と司法権の独立という権力分立上の要請から、国会以外の機関に法規範の定立を認めたものである。肢は原則の意義と憲法上の例外を正確に述べており正しい。

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。/両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、(後略)。/最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
- ["国会中心立法の原則", "国の立法は、憲法に特別の定めがある場合を除き、常に国会が行う。例外は議院規則(58条2項)と最高裁判所規則(77条1項)"]
- ["国会単独立法の原則", "国会の立法は、国会以外の機関の関与を必要とせずに成立する(59条1項)。例外は一の地方公共団体のみに適用される特別法の住民投票(95条)"]
- ["例外にならないもの", "天皇の公布(7条1号)は成立後の行為、内閣の法律案提出は立法の準備行為であり、いずれも原則に反しない"]
- ["委任立法", "41条から白紙委任は許されず、法律による委任は個別具体的でなければならない"]
誤り。bの「法令違憲の判断の効力が及ぶ範囲を制限する旨説示できる」は、効力が当該事件を超えて広く及び得ることを前提とする議論であり、効力を当該事件限りとするaの根拠となっていない。
aは、法令違憲判決の効力は当該事件限りで生じ、違憲とされた法律は当該訴訟の当事者との関係でのみ適用が排除されるとする個別的効力説である。その根拠は、我が国の違憲審査制が具体的な争訟の解決に必要な限度で憲法判断を行う付随的審査制である以上、判断の効力も当該事件を超えて及ぶ理由がないこと、法令を一般的に失効させることは国会を唯一の立法機関とする41条に反する消極的立法作用となること、憲法にも法律にも一般的効力を定めた規定がないことである。これに対しbは、法的安定性の確保のために、最高裁判所が自らの法令違憲判断の効力の及ぶ範囲を限定する旨を判決中で説示できるとする。効力の範囲の限定とは、将来効判決や遡及的適用の範囲を絞るといった議論であり、いずれも違憲判断の効力が本来当該事件の当事者を超えて広く及び得ることを前提として初めて意味を持つ。効力がもともと当該事件限りでしか生じないのであれば、その及ぶ範囲を制限する余地はそもそも存在しない。したがってbは一般的効力説に近い発想に立つものであって、aと前提を異にし、aを基礎づける理由とはならない。

最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
- 違憲主張適格:付随的審査制の下では自己の権利侵害を理由とする違憲主張が原則で、第三者の権利の援用は、本人が自ら争うことが困難で援用を許さなければ救済されない場合などに限って例外的に認められる(第三者所有物没収事件 最大判昭37.11.28)。選挙無効訴訟で他者の選挙権制限の違憲を主張することは法律上予定されていない(最決平26.7.9)
- 合憲限定解釈:過度に広範な疑いのある規定の意味を絞って合憲的に読み、法令違憲の判断を回避する。立法府への干渉の最小化と人権保障の両立が根拠だが、一般人が規制対象を読み取れる明確さが限界となる(税関検査事件 最大判昭59.12.12)
- 違憲判決の効力:通説の個別的効力説は、付随的審査制、41条(一般的失効は消極的立法)、一般的効力を定めた規定の不存在を根拠とする。効力の及ぶ範囲を最高裁が制限できるという考えは効力が事件を超えることを前提とするから、個別的効力説の根拠にはならない
誤り。違うのは末尾の「行政各部の組織の根本部分について法律で定めてはならないこととなる」の部分である。41条は法律で定めるべき最小限を画するにとどまり、それ以外の事項を法律で定めることを禁じない。
41条後段の「立法」は、法律という形式の定立を指す形式的意味の立法ではなく、規範の内容に着目した実質的意味の立法、すなわち法規の定立を意味すると解されている。法規の内容は、伝統的には国民の権利を直接に制限し義務を課す法規範をいうと解されてきたが、今日では一般的・抽象的な法規範をいうとする理解が有力である。もっとも、41条が実質的意味の立法を国会に行わせる趣旨は、法律の形式によらなければ定められない事項の最小限度を画するものにすぎず、それ以外の事項を法律で定めることまで禁ずるものではない。したがって伝統的な狭い法規概念に立っても、行政各部の組織の根本部分を法律で定めることは妨げられない。むしろ憲法自身が、内閣の組織につき「法律の定めるところにより」(66条1項)と定め、行政組織の基本事項を法律事項とする建前を採っている。法規を一般的・抽象的な法規範と解する立場からは、行政組織の規範も実質的意味の立法に当たり、むしろ法律で定めるべきこととなる。いずれの理解からも肢の帰結は導かれない。

内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
- 国権の最高機関:政治的美称と解するのが通説である。統括機関説を採らなくても、帰属の不明確な権能は国民を直接代表する国会に属すると推定できる
- 実質的意味の立法:一般的・抽象的な法規範の定立をさし、法律で定めなければならない最小限を画するにとどまる。それ以外の事項を法律で定めることは妨げられない
- 国会中心立法の原則:国の立法は憲法に特別の定めがある場合を除き常に国会が行う。例外は議院規則(58条2項)と最高裁判所規則(77条1項)
- 国会単独立法の原則:国会の立法は国会以外の機関の参与を要せずに成立する。例外は特別法の住民投票(95条)であり、内閣の法律案提出は立法の準備行為なので反しない
正しい。73条6号の政令は憲法及び法律の規定を実施するためのものだから、執行命令と法律の委任に基づく委任命令は許されるが、既存の法律に代わる内容を定める代行命令は41条の国会中心立法の原則に反し許されない。
41条は国会を国の唯一の立法機関と定め、国会中心立法の原則を採る。その結果、行政機関が法律の授権なく国民の権利義務に関する法規を定める独立命令は、明治憲法9条と異なり現行憲法の下では許されない。73条6号本文も、内閣の事務としてこの憲法及び法律の規定を実施するために政令を制定することを掲げ、政令が憲法・法律の実施のためのものであることを明示している。したがって政令として認められるのは、法律を執行するために必要な手続的・細目的事項を定める執行命令と、法律が個別具体的に委任した事項について定める委任命令に限られる。委任命令についても、包括的・白紙的な委任は41条の趣旨に反して許されない。同号ただし書は政令に罰則を設けるには特に法律の委任を要すると定め、最大判昭25.2.1は、特に法律の委任がある場合には政令で罰則を設けることができるとしている。これに対し、既存の法律に代わる内容を定めて実質的に法律を改廃するのと同じ効果を持つ代行命令は、国会中心立法の原則に正面から反し、これを許す憲法上の根拠もないから許されない。

この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
| 種類 | 内容 | 現行憲法での可否 |
|---|---|---|
| 執行命令 | 法律を執行するために必要な細則を定める | 許される(個別の委任は不要) |
| 委任命令 | 法律が委任した事項について国民の権利義務に関わる規律を定める | 許される(個別具体的な委任が要り、白紙委任は不可。罰則も特に法律の委任があれば可) |
| 独立命令 | 法律の根拠なく国民の権利義務を定める | 許されない(明治憲法9条では認められた) |
| 代行命令 | 既存の法律に代わる内容を定める | 許されない(41条の国会中心立法の原則に反する) |
正しい。73条6号の政令は憲法と法律の規定を実施するためのものであるから、執行命令と委任命令は許されるが、既存の法律に代替する内容を定める代行命令は、国会を唯一の立法機関とする41条に反し許されない。
憲法41条は国会を国の唯一の立法機関と定め、国会中心立法の原則を採用する。その結果、行政機関が法律の授権なくして国民の権利義務に関する法規を定める独立命令は、現行憲法の下では許されない。73条6号本文も、この憲法及び法律の規定を実施するために政令を制定することを内閣の事務として掲げ、政令が憲法・法律の実施のためのものであることを明示している。したがって政令として認められるのは、法律を執行するために必要な細則を定める執行命令と、法律が個別具体的に委任した事項を定める委任命令に限られる。委任命令についても包括的・白紙的な委任は41条の趣旨に反し許されない。同号ただし書は政令に罰則を設けるには特に法律の委任を要するとし、最大判昭25.2.1は、ただし書を裏から読めば法律の委任がある場合には政令で罰則を設けることができるとして、委任命令で罰則を定め得ることを認めた。これに対し、既存の法律に代わる内容を定め実質的に法律を改廃するのと同じ効果を有する代行命令は、国会中心立法の原則に正面から反し、許容する憲法上の根拠も存在しないから許されない。

この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
| 種類 | 内容 | 現行憲法下の可否 |
|---|---|---|
| 執行命令 | 法律を執行するために必要な手続的・細目的事項を定める | 許される(73条6号本文) |
| 委任命令 | 法律が個別具体的に委任した事項を定める。罰則も特に法律の委任があれば定められる(73条6号ただし書、最大判昭25.2.1) | 許される。ただし包括的・白紙的な委任は41条に反する |
| 独立命令 | 法律の根拠なく国民の権利義務に関する法規を定める(明治憲法9条) | 許されない(41条の国会中心立法) |
| 代行命令 | 既存の法律に代わる内容を定め、実質的に法律を改廃する | 許されない(41条の国会中心立法) |
誤り。違うのは「形式的意味の立法が専ら国会で法律という形式で定められなければならない」の部分である。41条の「立法」は実質的意味の立法を指す。
41条は国会を国の唯一の立法機関であると定め、「唯一」の語には国会中心立法の原則と国会単独立法の原則の二つの意味が含まれる。国会中心立法の原則とは、国の立法権は国会に独占され、憲法自身が認めた例外を除いて国会以外の機関が立法を行うことは許されないという原則である。問題はここでいう立法の意義である。これを形式的意味の立法、すなわち法律という法形式による法規範の定立と解すると、41条は法律は国会が法律という形式で定めるという同義反復を述べたにすぎないことになり、国会に立法権を独占させて国民代表機関による法定立を確保しようとした規定の意味が失われる。そこで通説は、41条の立法を実質的意味の立法、すなわち一般的・抽象的な法規範の定立と解する。その範囲は、国民の権利を制限し義務を課す法規範に限らず、一般的・抽象的法規範一般を指すと解するのが多数説である。対象を形式的意味の立法とする本肢は誤りである。

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
- 「立法」の意義:法律という形式の制定行為(形式的意味の立法)ではなく、一般的・抽象的な法規範の定立(実質的意味の立法)を指す。形式的意味で読むと41条は当然のことを述べたにすぎなくなる
- 国会中心立法の原則:国の立法は、憲法に特別の定めがある場合を除き、常に国会が行う。憲法上の例外は議院規則(58条2項)と最高裁判所規則(77条1項)。政令(73条6号)は法律の執行・委任に基づくので例外ではない
- 国会単独立法の原則:国会の立法は、国会以外の機関の参与を必要とせずに成立する(59条1項)。例外は一の地方公共団体のみに適用される特別法の住民投票(95条)。天皇の公布は成立後の行為
- 内閣の法律案提出権(内閣法5条)は、国会が自由に修正・否決できる立法の準備行為なので単独立法の原則に反しないと解されている
正しい。独立行政委員会の規則制定は法律の委任に基づきその範囲内で行われ、国会の統制が及んでいるから、国会を唯一の立法機関とする41条に反しない。
41条の「唯一の立法機関」は国会以外の機関による実質的意味の立法を認めない国会中心立法の原則を含むが、この「唯一」は絶対無制約ではなく、憲法自身が議院規則制定権(58条2項)と最高裁判所規則制定権(77条1項)という例外を明文で認め、73条6号ただし書は政令に罰則を設けるには法律の委任を要すると定めることで、法律による行政機関への立法の委任そのものは許されることを前提にしている。法律が委任の目的・範囲を個別的具体的に画している限り、行政機関の定立する規範は法律の授権の枠内でのみ効力を持ち、国会の統制に服するから、委任立法は国会中心立法の原則に実質的に反しない。独立行政委員会の規則制定権も同じであり、公正取引委員会規則や人事院規則は法律の授権に基づきその範囲内で制定されるにすぎない。したがって独立行政委員会が準立法的作用を営むことは41条に反しない。

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
- 準立法的作用(規則制定):法律の委任に基づき、その範囲内で行われる限り41条に反しない
- 準司法的作用(審決・裁決):76条2項後段が禁じるのは終審だけであり、裁判所への出訴の道が開かれた前審であれば76条1項に反しない
- 内閣からの独立:65条には「唯一」「すべて」の文言が無く、全ての行政に内閣の直接の指揮監督が及ぶことまで要求しない。職権行使について内閣の指揮監督を受けない
- 統制の仕組み:内閣は委員の任命権と予算の編成権で、国会は任命への同意・法律の制定改廃・国政調査で間接的に統制し、責任行政の要請を満たす
誤り。違うのは後半の「財産権の制約は法律によらずに、政令によることも許される」の部分である。財産権の制約も法律によるのが原則で、政令で制約するには法律の委任が要る。
憲法29条2項は、財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律でこれを定めると規定する。財産権は1項で保障されるが、その具体的な内容は法律による形成を要し、どのような財産権をどこまで認めるかは国会が法律で決める。そして、ここでいう内容には財産権に対する制約も含まれると解されており、1項の保障を受ける財産権を公共の福祉のために制限することも、2項により法律によらなければならない。憲法41条が国会を唯一の立法機関とし、独立命令を認めていない以上、法律の根拠なしに政令だけで国民の財産権を制約することは許されず、政令による制約が認められるのは法律の委任がある場合に限られる。したがって、財産権の内容は必ず法律で定めなければならないとする前段は正しいが、制約は法律によらず政令によることも許されるとする後段が誤っている。なお、条例による財産権の制限は許されるが(最大判昭38.6.26)、条例は住民の代表機関である議会が制定する自主法であり、行政機関が制定する政令とは位置づけが異なる。

財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
- 1項:私有財産制度を制度として保障するとともに、個人が現に有する具体的な財産上の権利を基本的人権として保障する。財産権には物権のほか債権、著作権・特許権などの知的財産権、漁業権や入会権のような権利も含まれる
- 2項:財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律で定める。内容の形成も制約も法律によるのが原則で、政令で制約するには法律の委任が要る。条例による制限は許される(奈良県ため池条例事件 最大判昭38.6.26)
- 3項:私有財産は正当な補償の下に公共のために用いることができる。適法な公権力の行使による特別の犠牲を填補する損失補償の根拠である
正しい。主権という語は統治権、国家権力の最高独立性、国政の最高決定権の三つの意味で用いられ、憲法9条1項と41条の「国権」は国家権力そのものを表す語である。
主権という語は多義的であり、一般に、立法・行政・司法を包括する国家権力そのものである統治権、国家権力が対内的には最高で対外的には独立であるという最高独立性、国の政治の在り方を最終的に決定する力ないし権威である最高決定権の三つの意味で用いられる。統治権の用例としてはポツダム宣言8項の「日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」が、最高独立性の用例としては憲法前文3項の「自国の主権を維持し」が、最高決定権の用例としては前文1項及び1条の国民主権が挙げられる。本肢の前半はこの多義性を正しく述べている。そして日本国憲法は、国家権力そのものを表す語として「国権」を用いている。9条1項の「国権の発動たる戦争」とは国家がその統治権の発動として行う戦争を意味し、41条の「国権の最高機関」の国権も、立法権・行政権・司法権を総称する統治権を指す。「最高機関」の意義をめぐる統括機関説と政治的美称説の対立も、「国権」自体を統治権と解する点では変わらない。

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
- 統治権:立法権・行政権・司法権を包括する国家権力そのもの。ポツダム宣言8項の「日本国ノ主権」、憲法9条1項・41条の「国権」がこれに当たる
- 国家権力の最高独立性:対内的には最高、対外的には独立という国家権力の属性。前文3項の「自国の主権を維持し」
- 国政の最高決定権:国の政治の在り方を最終的に決定する力ないし権威。前文1項・1条の国民主権の主権。判例はこの国民を日本国籍を有する者とする(最判平7.2.28)
- 国民が直接に決定する制度:憲法改正の国民投票(96条1項)、最高裁判所裁判官の国民審査(79条2項)、地方特別法の住民投票(95条)。投票権者の要件は法律に委ねられる
誤り。違うのは「その法律を廃止する案を国会に提出することもできない」の部分である。内閣は違憲と判断する法律でも執行しなければならないが、法律案の提出は執行義務とは別の問題であり、廃止案を国会に提出することはできる。
憲法73条1号は内閣の事務として法律を誠実に執行することを挙げる。国会は国の唯一の立法機関(41条)であり、法律が憲法に適合するかどうかの終局的な判断は違憲審査権を持つ裁判所(81条)に委ねられているから、内閣が自らの違憲判断を理由に法律の効力を否定して執行を拒むことは、権力分立の構造と国会の立法権を損なう。したがって内閣は違憲と考える法律であっても執行する義務を免れず、本肢の前半は正しい。しかし、法律案の提出は執行義務とは別の問題である。72条は内閣総理大臣が内閣を代表して議案を国会に提出すると定め、この議案には法律案も含まれると解するのが通説であり、内閣法5条もこれを前提としている。国会は提出された案を自由に審議し修正・否決できるから、内閣に法律案提出権を認めても国会の立法権を侵さない。違憲と考える法律の廃止案を国会に提出して立法者の判断を仰ぐことは、憲法尊重擁護義務(99条)にも適合する。

内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
- 執行義務:内閣は法律を誠実に執行する(73条1号)。違憲と考えるだけでは執行を拒めず、一時的に止めることもできない
- 理由:国会は唯一の立法機関(41条)で、違憲かどうかの終局的な判断は裁判所がする(81条)
- 廃止案・改正案の提出:内閣総理大臣は内閣を代表して議案を国会に提出でき(72条)、議案には法律案を含む。違憲と考える法律の改廃を国会に求めることはできる
- 最高裁判所が違憲と判断した法律:国会が改廃する前でも、内閣は執行を差し控えることができると解されている
正しい。41条の「立法」を国民に義務を課し権利を制限する法規範の定立と解すれば、授与された者に利益を与えるだけの栄典制度は立法に当たらず、政令で定めても違憲とはいえない。
憲法41条にいう立法は、法律という形式の法規範ではなく、実質的意味の立法を指すと解されている。その内容については、伝統的に、国民の権利を制限し義務を課す法規範、いわゆる法規の定立をいうとする理解があり、本肢はこの理解を前提にしている。栄典とは、国家や社会への功労や各分野における優れた行いに対して国家が個人を顕彰する制度であり、憲法7条7号は栄典の授与を天皇の国事行為として定めているが、栄典を授与された者は名誉という利益を受けるだけで、国民に義務が課されたり権利が制限されたりすることはない。そうすると、立法を権利制限と義務賦課の法規範の定立と解する限り、栄典制度は実質的意味の立法に当たらないから、これを政令で定めても国会が唯一の立法機関であることに反するとはいえない。立法の意義を一般的・抽象的な法規範の定立と広く解する立場からは栄典も法律事項に含まれ得るが、本肢は前提とする解釈を明示しているから、その前提の下では明らかに誤りとはいえない。

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
| 原則 | 内容 | 憲法上の例外 |
|---|---|---|
| 国会中心立法の原則 | 実質的意味の立法は国会だけが行う | 議院規則(58条2項)、最高裁判所規則(77条1項)。ただし規則の専属事項はなく、法律で定めることも許される(最判昭30.4.22) |
| 国会単独立法の原則 | 立法は国会の議決だけで完結し、他の機関の関与を要しない | 一の地方公共団体のみに適用される特別法の住民投票(95条)。住民の権利義務への直接の影響は要件ではない |
| 「立法」の意義 | 国民の権利を制限し義務を課す一般的・抽象的な法規範の定立 | 栄典のように利益を与えるだけの制度や行政組織の細部は政令で定められる |
正しい。国の行政組織のすべてを法律で定める必要はないが、少なくともその基本構造は国会が法律で定めるべきものと解されている。
法律による行政の原理は、行政作用だけでなく国の行政組織の編成についても国会による統制を要求する。憲法は内閣の下に行政各部が置かれることを前提とし(72条)、内閣法や国家行政組織法3条2項は、省・委員会・庁の設置及び廃止を別に法律の定めるところによるとしている。もっとも、行政組織のあらゆる細部まで法律で定めることは現実的ではなく、国家行政組織法7条は官房・局・部の設置を政令に委ね、課以下の設置は省令等に委ねている。国会が定めるべき範囲がどこまでかについては、行政組織の基本構造を決めることは行政の守備範囲についての基本決定を意味し、また組織を法定することで行政責任の所在が明確になるという理由から、少なくとも国の行政組織の基本的な編成権は国会に帰属し、それより細部は行政の自己決定に委ねてよいと解されている。憲法41条の立法を国民の権利義務に関する法規の定立に限らず、行政組織に関する定めも含める理解がこれを支える。本肢は基本構造に限って国会が定めるべきとしており正しい。

行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。

































































