1行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
この条文の過去問 9問
正しい。法律に公表の規定があるときの公表は、法律が予定した独立の措置であって、行政指導に携わる者が独自の判断で加える制裁ではないから、32条2項違反の問題は生じない。
行政手続法32条2項が行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いを禁ずる趣旨は、法的拘束力を持たない行政指導に従わない者に対し、法令の根拠なく事実上の制裁を加えて任意性を実質的に失わせることを禁ずる点にある。これに対し、相手方が行政指導に協力しないときに氏名等を公表することができる旨を法律自体が定めている場合、その公表は行政指導に携わる者が独自の判断で加える不利益ではなく、立法者が制度として組み込んだ独立の措置であり、その法律の要件と効果に従って行われる。勧告に従わない者についてその旨と勧告の内容を公表できるとする国土利用計画法26条や大規模小売店舗立地法9条7項がその例である。したがってこのような公表は32条2項が禁ずる不利益な取扱いには当たらない。もっとも、根拠法律の要件を欠く公表や制裁目的だけの濫用的な公表は、その法律との関係で違法になりうる。

行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
| 情報提供としての公表 | 制裁としての公表 | |
|---|---|---|
| 目的 | 国民に危険や事実を知らせて自衛を促す | 不服従や義務違反の事実と氏名を明らかにして不利益を与える |
| 法令の根拠 | 所掌事務の範囲内なら不要 | 法律又は条例の根拠が必要 |
| 32条2項との関係 | 問題にならない | 法令の根拠があれば独立の措置として違反の問題は生じない。根拠なしに行えば不利益な取扱いになる |
| 例 | 製品の危険情報の公表 | 国土利用計画法26条、大規模小売店舗立地法9条7項 |
正しい。行政手続法34条は、権限を行使する意思がない場合の行政指導で、権限を行使し得る旨を殊更に示して相手方に従うことを余儀なくさせることを禁じており、32条1項の任意の協力の原則を具体化した規定である。
行政手続法32条1項は、行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならないと定め、行政指導が任意性を本質とする非権力的な事実行為であることを明らかにする。この任意性を担保する規定が34条であり、許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならないと定める。行使する意思のない権限をちらつかせて従わせることは、権限を本来の目的以外に用いる強制にほかならず、任意の協力で実現するという行政指導の性質と相容れないからである。最判昭60.7.16が、建築主が行政指導に協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明した後の確認処分の留保を原則として違法としたのも、同じ任意性の要請に基づく。本肢は34条の定めをそのまま述べている。

許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。
- 32条1項:任務・所掌事務の範囲を逸脱しない。内容は相手方の任意の協力によってのみ実現される
- 32条2項:行政指導に従わなかったことを理由に不利益な取扱いをしてはならない
- 33条:申請の取下げや内容の変更を求める行政指導は、申請者が従う意思がない旨を表明したのに継続して権利の行使を妨げてはならない
- 34条:行使できない、又は行使する意思のない許認可等の権限を殊更に示して、従うことを余儀なくさせてはならない
誤り。違うのは「行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いに当たるから、法令上の規定がある場合でも許されない」の部分である。行政手続法32条2項が禁じるのは法令の根拠なくされる不利益な取扱いであり、勧告に従わない旨と勧告の内容を公表できる旨の法令の規定があれば、その公表は同項に違反しない。
行政手続法32条2項は、行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはならないと定める。任意の協力で実現されるべき行政指導に、不服従への事実上の制裁を結びつけて強制力を持たせることを防ぐ規定であり、禁じられるのは法令上の根拠を欠いたまま行われる不利益な取扱いである。これに対し、勧告に従わない場合にその旨及び勧告の内容を公表することができると法令が明文で定めているときは、公表は行政指導の効果としてではなく、その法令の規定に基づく独立の措置として行われるから、同項に違反しない。国民の権利を制限する作用も法律の根拠があれば許されるという法律の留保の考え方からも問題は生じない。大規模小売店舗立地法や国土利用計画法などに、勧告に従わない者の氏名と勧告の内容を公表できる旨の規定が置かれており、こうした公表を法令上の根拠があっても許されないとした判例はない。制裁的な公表は法律又は条例の根拠を要すると解されているが、それは根拠があれば許されるということであり、本肢はこの関係を逆にしている。

行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
| 情報提供としての公表 | 制裁的公表 | |
|---|---|---|
| 目的 | 危険や事実を国民に知らせて自衛を促す | 義務違反・不服従の事実と氏名を明らかにして事実上の制裁を加える |
| 法律の根拠 | 所掌事務の範囲内なら個別の根拠は要らない | 法律又は条例の根拠が要る |
| 32条2項との関係 | 問題にならない | 法令の根拠があれば違反しない |
| 処分性 | 原則としてなし。争う手段は差止めの民事訴訟や国家賠償 | 同左。事実に反する公表は国家賠償の対象 |
誤り。違うのは「法律の明文の根拠があっても許されない」の部分である。行政手続法32条2項が禁じるのは法令の根拠のない事実上の制裁であり、法律が勧告に従わない場合の処分を定めていれば、その処分は許される。
行政指導は相手方の任意の協力によって実現されるものであり、行政指導に携わる者は、相手方が行政指導に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはならない(行政手続法32条2項)。しかしこの規定は、法律上の根拠なく事実上の制裁を加えることを禁じる趣旨であって、法律が勧告に従わない場合に一定の処分をすることをあらかじめ定めているときは、その処分は不服従それ自体への恣意的な制裁ではなく、法律の定める要件を満たしたことに基づく処分として許される。最判平17.9.8は、医療法に基づく病院開設中止の勧告に従わずに開設された病院について、旧健康保険法43条ノ3第2項の「著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」に当たるとしてされた保険医療機関の指定拒否処分は同項に違反しないとした。実際に、まず勧告をし、従わないときに命令を発し、又はその旨を公表する仕組みは多くの法律にあり、この命令は不利益処分として聴聞又は弁明の機会の付与を要する(同法13条1項)。本肢は、法律の明文の根拠がある場合まで一律に否定する点で誤っている。

行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
正しい。行政手続法32条1項は、行政指導に携わる者が当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないことに留意しなければならないと定めており、同様の規定がある。
行政手続法32条1項は、行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならないと定める。行政指導は相手方の任意の協力を求める働きかけであり、個別の法律の根拠を要しないと解されているが、その代わり、行政機関が何についてでも指導できるわけではなく、行政組織法上与えられた任務又は所掌事務の範囲内でしか行えないという組織法上の限界が働く。同法2条6号の行政指導の定義も「その任務又は所掌事務の範囲内において」という限定を置いており、32条1項はこの限界を行政指導の一般原則として確認したものである。本肢は、この所掌事務の範囲の逸脱禁止をそのまま述べているから、行政手続法に同様の規定が置かれているものに当たる。なお、地方公共団体の機関がする行政指導には同法第4章は適用されず(3条3項)、A市は条例で同旨を定めることになる。

行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
- 32条: 任務又は所掌事務の範囲の逸脱禁止と任意の協力の原則(1項)。従わなかったことを理由とする不利益な取扱いの禁止(2項)
- 33条: 申請の取下げ・内容の変更を求める行政指導は、相手方が従う意思がない旨を表明したときは継続してはならない
- 34条: 許認可等の権限を行使できない場合や行使する意思がない場合に、権限を行使し得る旨を殊更に示して従わせてはならない
- 35条: 趣旨・内容・責任者を明確に示す(1項)。書面の交付は相手方から求められたときに行政上特別の支障がない限り行う(3項)。取下げ等を求める指導だから交付義務が生じるわけではない
- 36条: 複数の者に同一の行政指導をするときは行政指導指針を定めて公表する。行政指導指針は命令等に含まれ意見公募手続の対象になる(2条8号ニ、39条1項)
- 36条の2: 法律に根拠のある是正指導の相手方は中止等の求めができる(平成26年改正で新設)
- 3条3項: 地方公共団体の機関がする行政指導には第4章は適用されない
正しい。行政手続法32条1項は、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないことに留意しなければならないと定める。
行政手続法32条1項は、行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならないと定める。行政指導は処分ではなく相手方の任意の協力に頼る働きかけであるから、作用法上の根拠は要らないが、それでも行政機関が自らの任務や所掌事務と無関係な事項について私人に働きかけることは、組織法が各機関に割り振った権限の枠を踏み越えるものであって許されない。同項は、行政指導の一般原則として、組織法上の限界と任意性という二つの歯止めを明文化したものである。A市の条例案の規定は、この同項の前段とまったく同じ内容であるから、行政手続法に同様の規定が置かれているものに当たる。地方公共団体の機関がする行政指導には行政手続法第4章は適用されず(3条3項)、同法46条の趣旨に沿って条例で同様の措置を講じることが求められている。

行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
- ["一般原則(32条)", "任務・所掌事務の範囲を逸脱しない。任意の協力によってのみ実現される。従わなかったことを理由に不利益な取扱いをしない"]
- ["申請に関連する行政指導(33条)", "申請者が従う意思がない旨を表明したときは、行政指導を継続して申請者の権利の行使を妨げてはならない"]
- ["許認可等の権限に関連する行政指導(34条)", "権限を行使できない場合や行使する意思がない場合に、権限を行使し得る旨を殊更に示して従わせてはならない"]
- ["方式(35条)", "趣旨・内容・責任者を明確に示す。相手方から求められたときは書面を交付する(口頭でした場合)"]
- ["行政指導指針(36条)", "複数の者に行政指導をするときは共通する内容を定め、行政上特別の支障がない限り公表する。指針は命令等として意見公募手続の対象(2条8号ニ・39条)"]
- ["中止等の求め(36条の2)", "法律の要件に適合しない行政指導について、相手方は中止その他必要な措置を求めることができる(平成26年改正で新設)"]
正しい。許可の取消しの理由は法律の定める取消事由である条件違反であって、行政指導に従わなかったことではないから、行政手続法32条2項の不利益な取扱いには当たらない。
行政手続法32条2項は、行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないと定める。従わないこと自体を理由に制裁的な措置を講じることを禁じる趣旨である。本肢では、法律に許可の条件に違反した場合には許可を取り消すことができるとの規定があり、相手方が現に条件違反行為をしていることが明らかになっているから、法律の定める取消事由は既に満たされている。是正を求める行政指導は、まず自主的に違反状態を解消する機会を与えるためのものであり、相手方が従う意思のない旨を表明して自主的な是正が期待できなくなったため、法律の要件に基づいて取消権が行使されたにすぎない。取消しの理由は条件違反という法定の取消事由であって、行政指導に従わなかったことではない。是正を促す指導を先行させたことを同項違反とすれば、行政庁は是正の機会を与えずに直ちに不利益処分をせざるを得なくなり、相手方にかえって不利である。

行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
- ["一般原則(32条)", "任務・所掌事務の範囲を逸脱しない。任意の協力によってのみ実現される。従わなかったことを理由に不利益な取扱いをしない"]
- ["申請に関連する行政指導(33条)", "申請者が従う意思がない旨を表明したときは、行政指導を継続して申請者の権利の行使を妨げてはならない"]
- ["許認可等の権限に関連する行政指導(34条)", "権限を行使できない場合や行使する意思がない場合に、権限を行使し得る旨を殊更に示して従わせてはならない"]
- ["方式(35条)", "趣旨・内容・責任者を明確に示す。相手方から求められたときは書面を交付する(口頭でした場合)"]
- ["行政指導指針(36条)", "複数の者に行政指導をするときは共通する内容を定め、行政上特別の支障がない限り公表する。指針は命令等として意見公募手続の対象(2条8号ニ・39条)"]
- ["中止等の求め(36条の2)", "法律の要件に適合しない行政指導について、相手方は中止その他必要な措置を求めることができる(平成26年改正で新設)"]
正しい。法律が勧告に従わない場合の公表を定めているときは、公表は法律が予定した独立の措置であり、行政手続法32条2項の禁じる不利益な取扱いには当たらない。
行政手続法32条2項は、行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないと定める。行政指導は相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであるから、従わなかったことに制裁を加えれば任意性が失われ、実質的に法律の根拠のない義務づけになってしまう。この規定が禁じるのは、行政指導に携わる者が法令の根拠なしに、自らの判断で相手方に不利益を課すことである。これに対し、勧告の相手方が勧告に従わないときはその旨及び勧告の内容を公表することができると法律自身が定めている場合には、公表は立法者がその必要性と許容性を勘案して法律上の勧告に組み込んだ独立の措置であり、行政指導に携わる者の恣意による制裁ではない。法律が予定した措置をその法律の規定に基づいて行うことが、同じく法律である行政手続法の禁止に反することはなく、32条2項違反の問題は生じない。公表が相手方の信用に打撃を与える制裁的公表であるからこそ、法律の根拠が求められているのである。

行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
- 情報提供としての公表:国民に危険や事実を知らせて自衛を促す。所掌事務の範囲内であれば個別の法律の根拠は要らない
- 制裁的公表:義務違反や不服従の事実と氏名を明らかにして事実上の制裁を加える。法律又は条例の根拠が要る
- 法律の根拠に基づく公表は、行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱い(行政手続法32条2項)に当たらない
誤り。違うのは「任務又は所掌事務の範囲を超えるものであっても,…行うことが許される」の部分である。行政指導はその行政機関の任務又は所掌事務の範囲内で行うものであり、範囲を逸脱してはならない(行手法2条6号・32条1項)。
行政手続法2条6号は、行政指導を、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものと定義し、同法32条1項は、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならないと定める。行政指導に個別の法律の根拠は不要であるが、それは作用法上の根拠が要らないという意味にとどまり、組織法上の根拠、すなわちその行政機関がどの事務を担当するかを定めた設置法等の所掌事務の範囲は守らなければならない。所掌事務の範囲を超えた事項について国民に働きかけることは、法律による行政の原理が行政機関ごとに任務を割り当てた意味を失わせるからである。行政サービスの目的で行うという動機の善さは、所掌事務の範囲を広げる根拠にはならない。本肢は所掌事務の範囲を超えても許されるとしており誤りである。

行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
- 任務又は所掌事務の範囲を逸脱しないこと、内容は相手方の任意の協力によってのみ実現されること(32条1項)
- 相手方が従わなかったことを理由に不利益な取扱いをしてはならない(32条2項)
- 申請の取下げ・内容変更を求める指導は、申請者が従う意思がない旨を表明したときは継続してはならない(33条)
- 許認可等の権限を行使できないのに、行使し得る旨を殊更に示して従わせてはならない(34条)
- 趣旨・内容・責任者を明確に示し、求められれば書面を交付する(35条)














