1行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
2行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
この条文の過去問 10問
誤り。「審査基準の設定及び公表が努力義務」と「処分基準の設定及び公表が義務付けられています」の部分が逆である。審査基準は設定も公表も義務であり、処分基準は設定も公表も努力義務である。
行政手続法は、申請に対する処分と不利益処分とで裁量基準の扱いを分けている。申請に対する処分については、5条1項が「行政庁は、審査基準を定めるものとする」と設定を義務付け、同条3項が行政上特別の支障があるときを除き申請の提出先の事務所における備付けその他適当な方法で審査基準を公にしておかなければならないとして公表も義務付けている。申請は相手方の側から手続が始まるから、申請者が処分の見通しを立てられるよう、あらかじめ物差しを示しておく必要があるからである。これに対し不利益処分については、12条1項が処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならないと定めるにとどまり、設定も公表も努力義務である。不利益処分の原因となる違反の態様は多様で画一的な基準を立てにくく、細かく公表すると制裁を免れる限度で違反する者を生むおそれもあるからである。本肢は義務と努力義務の割り振りを取り違えている。

行政庁は、審査基準を定めるものとする。/行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
| 審査基準(5条) | 処分基準(12条) | |
|---|---|---|
| 対象 | 申請に対する処分(許認可等をするかどうか) | 不利益処分(するかどうか、どのような処分とするか) |
| 定める | 義務(5条1項) | 努力義務(12条1項) |
| 公にする | 義務。行政上特別の支障があるときを除く(5条3項) | 努力義務(12条1項) |
| 性質 | 行政規則。裁判所を拘束しないが、公にした基準と異なる取扱いは平等原則の問題になる | 同左(最判平27.3.3) |
誤り。違うのは「同項に違反するものとして取り消されるのであり、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の問題は生じない」の部分である。判例は、特段の事情がない限り処分基準と異なる取扱いは裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるとする(最判平27.3.3)。
行政手続法12条1項は、行政庁は不利益処分の判断に必要な基準(処分基準)を定め、かつこれを公にしておくよう努めなければならないと定めており、処分基準の定立と公表は努力義務である。したがって、公にされた処分基準と異なる処分がされたことが、直ちに同項違反という形で処分の違法事由になるわけではない。最判平27.3.3は、風俗営業者への営業停止処分が争われた事案で、同項により公にされている処分基準は、行政運営上の便宜のためにとどまらず、不利益処分に係る判断過程の公正と透明性を確保し、相手方の権利利益の保護に資するために定められ公にされるものだとした。そのうえで、裁量権の行使における公正かつ平等な取扱いの要請と、公にされた基準に対する相手方の信頼の保護を理由に、処分基準の定めと異なる取扱いを相当と認めるべき特段の事情がない限り、そのような取扱いは裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると判示した。公にされた処分基準は行政庁の自己拘束の根拠として働き、その逸脱は行訴法30条の裁量権の逸脱濫用の問題として司法審査に服する。本肢は判例と逆の構成を述べている。

当該行政庁が後行の処分につき当該処分基準の定めと異なる取扱いをするならば、裁量権の行使における公正かつ平等な取扱いの要請や基準の内容に係る相手方の信頼の保護等の観点から、当該処分基準の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り、そのような取扱いは裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たることとなるものと解され、この意味において、当該行政庁の後行の処分における裁量権は当該処分基準に従って行使されるべきことがき束されている。
| 審査基準(申請に対する処分) | 処分基準(不利益処分) | |
|---|---|---|
| 定める義務 | 義務(行政手続法5条1項) | 努力義務(12条1項) |
| 公にする義務 | 義務(5条3項) | 努力義務(12条1項) |
| 裁判所への拘束 | なし。基準自体は行政規則 | なし。ただし公にした基準と異なる取扱いは、特段の事情がなければ裁量権の逸脱濫用(最判平27.3.3) |
誤り。違うのは「いずれについても、これらを公表することは行政庁の努力義務にとどまる」の部分である。審査基準を公にすることは法的義務であり、努力義務にとどまるのは処分基準だけである。
行政手続法5条3項は、行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならないと定める。申請者が許認可等を受けられるかどうかの見通しを立てられるようにし、行政庁の恣意的な判断を抑えるため、公表を義務としたのである。これに対し12条1項は、行政庁は処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならないと定め、設定も公表も努力義務にとどめる。不利益処分は名あて人の違反行為を契機とするため事案の態様が多様で、あらかじめ画一的な基準を立てにくく、細かな基準を公表すれば基準に触れない限度で違反を続ける者を生むおそれもあるからである。したがって、公表が努力義務にとどまるのは処分基準だけであり、審査基準まで努力義務とする本肢は誤りである。

行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。/行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
| 審査基準(5条) | 処分基準(12条) | |
|---|---|---|
| 対象 | 申請に対する処分(許認可等をするかどうか) | 不利益処分(するかどうか・どの処分にするか) |
| 定める | 義務(5条1項) | 努力義務(12条1項) |
| 公にする | 義務(5条3項。行政上特別の支障があるときを除く) | 努力義務(12条1項) |
| 具体性 | できる限り具体的に(5条2項) | できる限り具体的に(12条2項) |
| 意見公募手続 | 命令等として必要(2条8号ロ、39条) | 命令等として必要(2条8号ハ、39条) |
正しい。審査基準は5条2項、処分基準は12条2項により、いずれも許認可等又は不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
行政手続法5条2項は、行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならないと定め、12条2項は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならないと定める。基準が抽象的にとどまれば、申請者や名あて人は結果を予測できず、行政庁の判断過程も外から検証できないため、恣意的で不平等な運用を招く。そこで両基準に等しく具体性を求めたのである。基準を定めること自体は、審査基準が義務(5条1項)で処分基準が努力義務(12条1項)と分かれるが、現に定める場合の具体性の要請には差がない。最判平27.3.3は、公にされた処分基準と異なる取扱いをするには特段の事情を要し、それがなければ裁量権の逸脱・濫用に当たるとしており、具体的に定められた基準は行政庁自身を拘束する重みを持つ。本肢は両条の規律を正しく述べている。

行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。/行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
| 審査基準(5条) | 処分基準(12条) | |
|---|---|---|
| 対象 | 申請に対する処分(許認可等をするかどうか) | 不利益処分(するかどうか・どの処分にするか) |
| 定める | 義務(5条1項) | 努力義務(12条1項) |
| 公にする | 義務(5条3項。行政上特別の支障があるときを除く) | 努力義務(12条1項) |
| 具体性 | できる限り具体的に(5条2項) | できる限り具体的に(12条2項) |
| 意見公募手続 | 命令等として必要(2条8号ロ、39条) | 命令等として必要(2条8号ハ、39条) |
誤り。違うのは「当該処分基準は法令には当たらず、事実上不利益な取扱いがされるにすぎませんので、当該営業停止命令の取消しを求める訴えの利益は失われます」の部分である。公にされた処分基準に先行処分を理由とする加重の定めがあるときは、加重の不利益を受けるべき期間内は訴えの利益が残る(最判平27.3.3)。
最判平27.3.3は、行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準に、先行の処分を受けたことを理由として後行の処分の量定を加重する旨の定めがある場合、行政庁が後行の処分で処分基準と異なる取扱いをするなら、それを相当と認めるべき特段の事情がない限り裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たると述べた。処分基準は法令ではないが、行政庁が自ら定めて公にした以上、相手方の信頼保護と平等取扱いの観点から、これに従って処分をすることが法的に要請されるという理屈である。そのうえで同判決は、先行処分を受けた者は、将来後行処分の対象となり得るときは、先行処分の効果が期間の経過でなくなった後も、処分基準の定めにより不利益な取扱いを受けるべき期間内はなお処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するとした。加重される不利益は裁量権の逸脱・濫用の有無を通じて法的に守られた利益であり、事実上のものではない。本肢は、処分基準が法令でないことから不利益を事実上のものと評価して訴えの利益を否定しており、判例と正反対である。

先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の不利益な取扱いの定めがある場合には、上記先行の処分に当たる処分を受けた者は、将来において上記後行の処分に当たる処分の対象となり得るときは、上記先行の処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても、当該処分基準の定めにより上記の不利益な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解するのが相当である。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 保安林指定解除後に代替施設が設置された | 最判昭57.9.9 | 消える。危険の解消という事実が利益を消す |
| 建築確認の取消訴訟中に工事が完了した | 最判昭59.10.26 | 消える。確認は工事をできるようにする効果しかない |
| 開発許可の取消訴訟中に工事が完了し検査済証が交付された | 最判平5.9.10 | 消える。許可の取消しで違反是正命令を出す義務は生じない |
| 運転免許停止処分の期間が過ぎ、1年間無処分で経過した | 最判昭55.11.25 | 消える。名誉・信用の侵害は事実上の効果にとどまる |
| 営業停止期間は過ぎたが、処分基準に先行処分を理由とする加重の定めがある | 最判平27.3.3 | 残る。加重される期間内は取消しで回復すべき利益がある |
| 免職された公務員が立候補して公務員の地位に戻れなくなった | 最大判昭40.4.28 | 残る。給料請求権等の回復には処分の効力の排除が必要 |
| 土地改良事業の工事が完了し原状回復が社会通念上不可能になった | 最判平4.1.24 | 残る。原状回復の困難は事情判決で考慮する事情にすぎない |
正しい。行政手続法12条1項は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう「努めなければならない」と定めており、設定も公表も努力義務にとどまる。
行政手続法12条1項は、行政庁は処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならないと定める。申請に対する処分の審査基準について、5条1項が設定を、同条3項が公にすることをいずれも法的義務としているのと対照的に、不利益処分の処分基準は設定も公にすることも努力義務である。不利益処分の対象となる違反事実は多様で、あらかじめ基準を定型化することが困難な場合が少なくなく、また基準を詳細に公にすると、これを前提にした規制の潜脱を誘発するおそれがあるためである。したがって肢は正しい。もっとも、努力義務であることは、いったん定められ公にされた処分基準に法的な意味がないことを意味しない。最判平27.3.3は、処分基準は裁量権行使の準則であり、特段の事情がない限りこれと異なる取扱いは裁量権の逸脱濫用に当たるとして、加重要件を定める処分基準がある場合に、営業停止期間の経過後も後行処分で不利益に扱われることを避ける法律上の利益を認め、取消訴訟の訴えの利益を肯定している。

行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
| 審査基準(5条) | 処分基準(12条) | |
|---|---|---|
| 対象 | 申請に対する処分 | 不利益処分 |
| 定めること | 法的義務(5条1項) | 努力義務(12条1項) |
| 公にすること | 法的義務(5条3項)。行政上特別の支障があるときを除く | 努力義務(12条1項) |
| 具体性 | 許認可等の性質に照らしてできる限り具体的(5条2項) | 不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的(12条2項) |
| 公にされた基準の効果 | 基準と異なる扱いは原則として裁量権の逸脱濫用 | 同じ(最判平27.3.3。加重要件を定める処分基準なら期間経過後も訴えの利益が残る) |
正しい。審査基準の設定は法的義務であるが、法令自体が要件を一義的・具体的に定め、行政庁が補充する余地がなければ、5条1項の趣旨は満たされており、定めないことも許される。
行政手続法5条1項は「行政庁は、審査基準を定めるものとする」と規定し、処分基準について「努めなければならない」とする12条1項と対比すると、審査基準の設定は行政庁の法的義務である。同条が設定と公表を求める趣旨は、申請に対する処分の判断過程を明確にして行政庁の恣意を防ぎ、申請者に処分の見通しについて予測可能性を与えることにある。しかし根拠法令自体が許認可等の要件を一義的かつ具体的に定め、行政庁がそれ以上に基準を補充・具体化する余地がない場合には、法令の定めそれ自体が審査基準の機能を果たしており、行政庁の恣意が入り込む余地もないから、この趣旨は既に満たされている。そのような場合に別途審査基準を定めるよう求めても意味がなく、審査基準を定めないことも許されると解されている。採石業の登録は、法32条の4が列挙する拒否事由に当たらなければ登録しなければならない仕組みであり、法の定めが十分具体的でそれ以上判断基準を必要としないときは、P県知事が審査基準を定めないことも許される。本肢は5条1項の義務の限界を正しく述べている。

行政庁は、審査基準を定めるものとする。行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
| 審査基準 | 処分基準 | |
|---|---|---|
| 定義 | 申請に対する許認可等の諾否の基準(2条8号ロ) | 不利益処分をするか・どの処分にするかの基準(2条8号ハ) |
| 定める | 義務(5条1項)。法令が十分具体的なら定めなくてよい | 努力義務(12条1項) |
| 公にする | 義務(5条3項) | 努力義務(12条1項) |
| 具体性 | できる限り具体的に(5条2項) | できる限り具体的に(12条2項) |
| 拘束 | 定めた基準と異なる扱いは平等原則違反となり得る | 公にした基準は特段の事情がない限り従う(最判平27.3.3) |
誤り。違うのは「必ず基準を定めなければならない」の部分である。不利益処分の基準(処分基準)を定めることは努力義務にとどまる(行手法12条1項)。
法32条の10による登録の取消し又は事業停止命令は、採石業者を名あて人として直接その権利を制限する処分であり、行政手続法2条4号の不利益処分に当たる。不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準が、同法2条8号ハの処分基準である。処分基準について12条1項は、行政庁はこれを「定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない」と規定し、審査基準について「定めるものとする」と法的義務を課す5条1項とは異なり、設定も公表も努力義務にとどめている。不利益処分は多種多様な違反態様について個別の事情を考慮して行う必要があり、あらかじめ画一的な基準を立てにくいうえ、基準を詳細に公にすると規制の潜脱を招くおそれがあるからである。したがってP県知事は処分基準を定めるよう努めるべきではあるが、必ず定めなければならないわけではない。もっとも処分基準を定めて公にした場合には、行政庁は特段の事情がない限りこれに従った処分をすべきものとされる(最判平27.3.3)。

行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
| 審査基準 | 処分基準 | |
|---|---|---|
| 定義 | 申請に対する許認可等の諾否の基準(2条8号ロ) | 不利益処分をするか・どの処分にするかの基準(2条8号ハ) |
| 定める | 義務(5条1項)。法令が十分具体的なら定めなくてよい | 努力義務(12条1項) |
| 公にする | 義務(5条3項) | 努力義務(12条1項) |
| 具体性 | できる限り具体的に(5条2項) | できる限り具体的に(12条2項) |
| 拘束 | 定めた基準と異なる扱いは平等原則違反となり得る | 公にした基準は特段の事情がない限り従う(最判平27.3.3) |
誤り。違うのは「処分基準を定めたときは、これを公にしておかなければならない」の部分である。処分基準の公表は努力義務にとどまる(行政手続法12条1項)。
行政手続法12条1項は、行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならないと定め、不利益処分の処分基準については設定も公表も努力義務にとどめている。申請に対する処分の審査基準について、設定を義務とし(5条1項)、公にすることも義務とする(同条3項)のと対照的である。扱いが異なるのは、不利益処分の原因となる違反行為は態様や程度が多種多様で、あらかじめ画一的な基準を立てることが難しく、また基準を細かく公表すると、制裁を免れる限度で違反を行う者を生むおそれがあるからである。小売販売業許可の取消処分は、名あて人の権利を制限する不利益処分(2条4号)であるから、財務大臣が処分基準を定めたとしても、公にすることは努力義務にとどまり、「公にしておかなければならない」とはいえない。もっとも、処分基準が定められ公にされている場合、行政庁が特段の事情なくこれと異なる取扱いをすれば裁量権の逸脱濫用となり得る(最判平27.3.3)。

行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
| 申請に対する処分 | 不利益処分 | |
|---|---|---|
| 基準 | 審査基準は定める義務・公にする義務(5条) | 処分基準は定めることも公にすることも努力義務(12条) |
| 期間 | 標準処理期間は定めるのは努力義務、定めたら公にする義務(6条) | 規定なし |
| 理由の提示 | 拒否処分のとき、同時に(8条) | 処分と同時に(14条) |
| 意見陳述 | 規定なし | 聴聞又は弁明の機会の付与(13条) |
誤り。違うのは「基準を定めておかなければならないから,これを定めないまま取消処分をすれば,違法事由となる」の部分であり、処分基準の設定と公表は努力義務にとどまる。
設置許可の取消しは、A社を名あて人として許可により得た地位を失わせる処分であるから、行政手続法2条4号の不利益処分に当たる。不利益処分をするかどうか、どのような処分にするかを判断するために必要とされる基準は処分基準であり(同法2条8号ハ)、同法12条1項は、行政庁は処分基準を定め、かつこれを公にしておくよう努めなければならないと定める。申請に対する処分の審査基準について同法5条が設定と公表を義務としたのとは異なり、処分基準は設定も公表も努力義務である。不利益処分の原因となる違反の態様は多様で、あらかじめ画一的な基準を立てにくいからである。したがってB県知事が処分基準を定めないまま許可を取り消しても、同法12条1項に反して違法になることはない。なお、公にされた処分基準がある場合に、特段の事情なくこれと異なる取扱いをすれば裁量権の逸脱・濫用となる(最判平27.3.3)が、これは基準を定めた後の問題であって、基準の不設定を違法とするものではない。

行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
| 審査基準(申請に対する処分) | 処分基準(不利益処分) | |
|---|---|---|
| 定義 | 許認可等をするかどうかを法令の定めに従って判断するための基準(2条8号ロ) | 不利益処分をするかどうか、どのような処分とするかを判断するための基準(2条8号ハ) |
| 定める | 義務(5条1項) | 努力義務(12条1項) |
| 公にする | 義務(5条3項) | 努力義務(12条1項) |
| 理由の提示 | 拒否処分と同時に示す(8条) | 処分と同時に示す(14条)。公にされた処分基準の適用関係まで要る場合がある(最判平23.6.7) |















