第100条過去問 1
1この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
2この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
この条文の過去問 1問
日本国憲法の改正手続に関する法律では,憲法改正案に対する国民投票運動に関し,公職選挙法により規制される選挙運動と比較すると,戸別訪問の禁止がないなど規制が緩和されている。
解説
本肢は正しい。公職選挙法は選挙運動について広範な規制を置いており、戸別訪問の全面的禁止(公選法138条1項)、文書図画の頒布・掲示の枚数や種類の制限(142条、143条)、事前運動の禁止(129条)などがその例である。判例も戸別訪問の禁止について、買収・利害誘導等の温床となりやすく、選挙人の生活の平穏を害し、候補者側に多額の出費を余儀なくさせるといった弊害を防止する目的は正当であり、禁止されるのは意見表明そのものではなくその手段方法にすぎず制約は間接的・付随的なものにとどまるとして、合憲と判断している(最判昭和56年6月15日刑集35巻4号205頁)。
これに対し、日本国憲法の改正手続に関する法律は、第7章に国民投票運動に関する規定を置くものの、その規制対象は限定的である。禁止されているのは、投票管理者や開票管理者など投票事務関係者がその関係区域内で国民投票運動をすること(101条)、選挙管理委員会の委員・職員、裁判官、検察官、警察官等の特定公務員が国民投票運動をすること(102条)、公務員等および教育者がその地位を利用して国民投票運動をすること(103条)、組織により多数人に対して行う買収・利害誘導(109条)などであって、戸別訪問を禁止する規定は存在しない。文書図画の頒布も自由であり、放送・新聞広告についても投票期日前の一定期間に賛否の勧誘を目的とする広告を制限する程度の規制にとどまる。さらに100条の2は、公務員が政治的行為の制限を定める他の法令の規定にかかわらず、国民投票運動および憲法改正に関する意見の表明をすることができる旨を定めており、国家公務員法や地方公務員法による政治的行為の規制をむしろ緩和している。これは、憲法改正の可否という主権者自身の根本的な意思決定については、自由な討論と情報の流通を最大限に確保すべきであり、候補者間の公正な競争の確保という選挙運動規制の発想をそのまま持ち込むべきではないという考え方に基づく。したがって、公職選挙法の選挙運動規制と比較して規制が緩和されているとする本肢は正しい。