第92条過去問 3
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
この条文の過去問 3問
この判決には,憲法第92条にいう「地方自治の本旨」が,第93条で具体化されている住民自治と第94条で具体化されている団体自治によって構成されていると解する余地がなくなるという問題点がある。
解説
本肢は誤り。憲法92条にいう「地方自治の本旨」は、地方の政治が住民の意思に基づいて行われるべきことを意味する住民自治と、国から独立した団体が自らの事務を自らの責任において処理すべきことを意味する団体自治から成ると解されている。そして、住民自治は住民による長及び議会の議員の直接選挙を定める憲法93条2項に、団体自治は財産の管理・事務の処理・行政の執行の権能及び条例制定権を定める憲法94条に、それぞれ具体化されているとされる。本判決は、憲法が地方自治の章を設けた趣旨を、住民の日常生活に密接な関連をもつ公共的事務を「その地方の住民の手でその住民の団体が主体となって処理する政治形態」を保障する点に求めており、「住民の手で」処理させる点が住民自治に、「住民の団体が主体となって」処理する点が団体自治に対応する。すなわち本判決は、地方自治の本旨を住民自治と団体自治の両要素から理解する立場と整合的であり、これらによって地方自治の本旨が構成されると解する余地を失わせるものではない。よって本肢は誤りである。
地方公共団体は,地方自治の本旨に従い,その財産を管理し事務を処理し及び行政を執行する権能を有し,その遂行のためには,その財源を自ら調達する権能を有することが必要であるから,地方自治の不可欠の要素として,課税権の主体となることが憲法上予定されている。
解説
本肢は正しい。憲法92条は地方公共団体の組織及び運営に関する事項は地方自治の本旨に基づいて法律で定める旨を規定し,憲法94条は地方公共団体がその財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有することを定める。これらの権能を現実に遂行するためには自ら財源を調達する手段が不可欠であり,その中核をなすのが課税権である。判例(最判平成25年3月21日)は,普通地方公共団体は,地方自治の本旨に従い,その財産を管理し事務を処理し及び行政を執行する権能を有するものであり,その財源を自ら調達する権能を有することが必要であることから,地方自治の不可欠の要素として,その区域内における当該地方公共団体の役務の提供等を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されていると判示した。もっとも同判例は,租税の賦課徴収が住民の負担にかかわる事柄であることから,地方公共団体の課税権は,租税法律主義の趣旨および地方自治の本旨に照らし法律(地方税法)の定める準則の範囲内で行使されるべきものともしており,課税権の憲法上の根拠を認めつつ法律による枠づけを承認する点に特色がある。本肢は,課税権の主体たる地位が憲法上予定されているとする限度で判例の趣旨に合致する。よって本肢は正しい。
地方公共団体は,地方自治の本旨に従い,その財産を管理し事務を処理し及び行政を執行する権能を有し,その遂行のためには,その財源を自ら調達する権能を有することが必要であるから,地方自治の不可欠の要素として,課税権の主体となることが憲法上予定されている。
解説
本肢は正しい。憲法92条は地方公共団体の組織及び運営に関する事項を地方自治の本旨に基づいて法律で定めるものとし,94条は地方公共団体が財産を管理し,事務を処理し,行政を執行する権能と条例制定権を有する旨を定める。もっとも,憲法には地方公共団体の課税権を正面から定めた規定がないため,地方公共団体の課税権が憲法上当然に予定されたものか,それとも法律によって初めて創設的に付与されるものかが問題となる。判例(最判平成25年3月21日・神奈川県臨時特例企業税事件)は,普通地方公共団体が地方自治の本旨に従い上記の権能を行使するためには「その財源を自ら調達する権能を有することが必要である」ことを理由として,「普通地方公共団体は,地方自治の不可欠の要素として,その区域内における当該普通地方公共団体の役務の提供等を受ける個人又は法人に対して国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されているものと解される」と判示した。地方自治の本旨のうち団体自治は,国から独立した団体が自らの責任で事務を処理することを意味するところ,財源の調達手段を全面的に国の判断に委ねたのでは自治は名目化するから,自主財政権の中核としての課税権が憲法上の要請として承認されるのである。なお同判例は,他方で,地方公共団体の課税権の具体的内容は,租税法律主義を定める憲法84条及び92条の趣旨に照らして法律で適切に定められるべきものであり,地方税法の強行規定に反する条例は違法・無効となるとして,欠損金の繰越控除に関する同法の定めと実質的に矛盾する当該条例を無効とした。課税権の主体性が憲法上予定されていることと,その行使が地方税法による枠づけに服することとは矛盾しない。本肢は判例の判示に沿うものであり,正しい。