1行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」と総称する。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
2行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。
3前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。
この条文の過去問 5問
正しい。出題当時の行政不服審査法19条は、行政庁が誤って法定の期間より長い期間を不服申立期間として教示した場合に、教示された期間内にされた不服申立てを法定の期間内にされたものとみなすと定めていた。現行法にはこの規定がなく、18条1項ただし書の正当な理由によって救済される。
平成26年の全面改正前の行政不服審査法19条は、行政庁が誤って法定の期間よりも長い期間を不服申立期間として教示した場合において、その教示された期間内に不服申立てがされたときは、当該不服申立ては法定の不服申立期間内にされたものとみなすと定めていた。教示は不服申立ての機会を保障するために行政庁に課された義務であり、その誤りの不利益を、教示を信頼した申立人に負わせるべきではないという考え方に基づく規定である。本肢はこの規定を述べたものであり、出題当時の法令に照らして正しい。平成28年4月に施行された現行法はこの規定を置かず、審査請求期間の徒過は18条1項・2項のただし書にいう正当な理由があるかどうかで扱われる。誤った教示を信じて期間を過ぎた場合は正当な理由に当たると解されるため、救済の結論は同じであるが、法定期間内にされたものとみなすという法律上の効果を定めた条文はもう存在しない。現行法で本肢を読むと誤りになることを踏まえておく必要がある。

行政庁が誤つて法定の期間よりも長い期間を不服申立期間として教示した場合において、その教示された期間内に不服申立てがされたときは、当該不服申立ては、法定の不服申立期間内にされたものとみなす。
- 処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内、処分の日の翌日から起算して1年以内にする(18条1項・2項)。正当な理由があるときは例外である
- 不作為についての審査請求には期間の定めがなく、不作為が続く限りいつでもできる(18条は処分についての審査請求だけを対象にしている)
- 再調査の請求も処分を知った日の翌日から3か月・処分の日の翌日から1年(54条)
- 再審査請求は原裁決があったことを知った日の翌日から1か月・原裁決の日の翌日から1年(62条)
- 誤って長い期間を教示した場合に法定期間内とみなす旧法19条の規定は、平成26年の全面改正で削られ、18条1項ただし書の正当な理由で扱う
正しい。行政不服審査法82条1項は、不服申立てをすることができる処分をする場合には、処分を口頭でする場合を除き、処分の相手方に対し、不服申立てをすることができる旨、不服申立てをすべき行政庁、不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならないと定める。
行政不服審査法82条1項本文は、行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立てをすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならないと定め、ただし書で、当該処分を口頭でする場合はこの限りでないとする。書面で処分をするときは、相手方から求めがなくても職権で、しかも書面で教示することが行政庁の義務であり、義務が外れるのは処分を口頭でする場合だけである。不服申立ての方法や期間を知らないまま争う機会を失うことを防ぐ趣旨であり、教示を欠いても処分自体は違法にならないが、不服申立書を処分庁に提出できる(83条)などの救済が用意されている。出題当時の旧法57条1項も、審査請求又は異議申立てをすることができる処分について同じ職権教示義務を定めていた。平成26年改正で異議申立ては再調査の請求に再編されたが、書面による処分には必ず書面で教示するという規律は現行法でも同じである。

行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」と総称する。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
- 職権による教示(82条1項): 不服申立てをすることができる処分を書面でするときは、処分の相手方に、不服申立てができる旨・不服申立てをすべき行政庁・期間を書面で教示する。口頭の処分には義務がない
- 求めに応じた教示(82条2項・3項): 利害関係人(相手方以外も含む)から求められたときは教示し、書面で求められたときは書面でする
- 教示をしなかったとき(83条): 処分庁に不服申立書を提出でき、処分庁は審査庁となるべき行政庁に送付し、初めから審査請求がされたものとみなす
- 誤った教示(22条): 誤った行政庁に審査請求されたときや、再調査の請求ができない処分に再調査の請求ができると教示して請求されたときは、正しい審査庁に送付し、初めから審査請求がされたものとみなす
- 訴訟の教示(行訴法46条): 取消訴訟を提起できる処分を書面でするときは、被告とすべき者・出訴期間・審査請求前置の定めを書面で教示する。教示を欠いても処分は違法にならない
誤り。違うのは「処分の名宛人以外の者に対しては、行う必要はないこととされている」の部分である。行政不服審査法82条2項・3項により、利害関係人から求められたときは教示し、書面で求められたときは書面で教示しなければならない。
行政不服審査法82条1項の職権による教示の相手方は「処分の相手方」すなわち名宛人であるが、教示の規律はそれで終わらない。同条2項は、行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか、不服申立てをすることができるものである場合の不服申立てをすべき行政庁と不服申立てをすることができる期間について教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならないと定める。利害関係人には、処分の名宛人以外の第三者であっても当該処分について法律上の利益を有する者が含まれる。さらに同条3項は、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、書面でしなければならないと定める。名宛人には職権で書面により教示し、名宛人以外の利害関係人には求めがあれば教示し、書面の求めがあれば書面で教示するという二段構えであり、名宛人以外に書面の教示をする必要が一切ないとはいえない。旧法57条2項・3項も同じ規律であった。周辺住民のように処分で不利益を受ける第三者にも不服申立ての道筋を知らせる趣旨である。

行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。/前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。
- 職権による教示(82条1項): 不服申立てをすることができる処分を書面でするときは、処分の相手方に、不服申立てができる旨・不服申立てをすべき行政庁・期間を書面で教示する。口頭の処分には義務がない
- 求めに応じた教示(82条2項・3項): 利害関係人(相手方以外も含む)から求められたときは教示し、書面で求められたときは書面でする
- 教示をしなかったとき(83条): 処分庁に不服申立書を提出でき、処分庁は審査庁となるべき行政庁に送付し、初めから審査請求がされたものとみなす
- 誤った教示(22条): 誤った行政庁に審査請求されたときや、再調査の請求ができない処分に再調査の請求ができると教示して請求されたときは、正しい審査庁に送付し、初めから審査請求がされたものとみなす
- 訴訟の教示(行訴法46条): 取消訴訟を提起できる処分を書面でするときは、被告とすべき者・出訴期間・審査請求前置の定めを書面で教示する。教示を欠いても処分は違法にならない
正しい。行政庁は不服申立てをすることができる処分をする場合、処分を口頭でする場合を除き、処分の相手方に対し不服申立てができる旨、不服申立てをすべき行政庁、不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない(行政不服審査法82条1項)。
教示制度は、処分を受けた者が不服申立ての制度を知らないために争う機会を失うことを防ぐため、行政庁の側に救済の道筋を知らせる義務を課したものである。行政不服審査法82条1項は、行政庁は審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立てをすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならないと定め、ただし書で当該処分を口頭でする場合を除いている。教示は義務であって裁量の余地はなく、書面でしなければならない。口頭の処分が除かれるのは、処分自体が書面によらないのに教示だけ書面で求めるのは均衡を欠くからである。本問が出題された当時の旧法57条1項は、審査請求と異議申立てを対象に同じ内容の教示義務を定めており、平成26年改正で異議申立てが再調査の請求に置き換わった後も、処分の相手方に対する書面教示の義務という枠組みは変わっていない。本肢はこの規律のとおりである。

行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」と総称する。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
- 処分の相手方への教示(82条1項):不服申立てができる処分を書面でするときは、不服申立てができる旨・すべき行政庁・期間を書面で教示する義務。口頭の処分は除く
- 利害関係人への教示(82条2項・3項):求められたときは同じ事項を教示する。書面を求められれば書面でする
- 誤った教示(22条):教示された行政庁に審査請求がされたときは正しい審査庁に送付し、初めから審査庁に審査請求がされたものとみなす。再調査の請求ができないのに誤って教示した場合も同じ(22条3項)
- 教示がなかった場合(83条):処分庁に不服申立書を提出でき、処分庁は審査庁に送付する。初めから審査請求がされたものとみなす
- 教示の欠缺は処分の効力に影響しない(最判昭61.6.19)。取消訴訟の教示は行訴法46条
誤り。違うのは「処分の名宛人以外の者に対しては、行う必要はないこととされている」の部分である。
行政不服審査法82条1項が定める職権による書面教示の相手は処分の相手方であるが、処分によって不利益を受けるのは名宛人だけではない。そこで同条2項は、行政庁は利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか、及び不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁と不服申立てをすることができる期間について教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならないと定め、3項は、利害関係人が書面による教示を求めたときは書面でしなければならないと定める。すなわち名宛人以外の者に対しては、職権で書面教示をする義務はないが、求めがあれば教示する義務があり、書面を求められれば書面でする義務がある。利害関係人は自ら処分の存在を知って教示を求めなければならない点で相手方より保護が薄いが、行う必要が一切ないという関係にはない。本問当時の旧法57条2項・3項も同じ内容を定めていた。したがって、名宛人以外に対して教示を行う必要はないとする本肢は誤りである。

行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。/前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。