審査庁は、行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号又は第三号に規定する議を経たとき)は、遅滞なく、裁決をしなければならない。
1処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
2処分についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
3審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。
この条文の過去問 2問
正しい。審査請求に理由があれば審査庁は処分を取り消し又は変更する認容裁決をするのが原則であるが(行政不服審査法46条1項)、取消しが公の利益に著しい障害を生ずる場合には事情裁決で審査請求を棄却できる(45条3項)。
行政不服審査法46条1項本文は、処分についての審査請求に理由がある場合には、審査庁は裁決で当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更すると定め、認容裁決をすべきことを義務づけている。もっとも45条3項は、審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、当該処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は裁決で当該審査請求を棄却することができると定める。これが事情裁決であり、行政事件訴訟法31条1項の事情判決に対応する。請求人が犠牲を強いられるので、審査庁は裁決の主文で当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない(同項後段)。事情判決が違法な処分だけを対象とするのに対し、事情裁決は不当な処分にも及ぶ。本肢は認容の原則と事情裁決の例外を正しく述べている。

審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。
- 対象: 処分(公権力の行使に当たる事実上の行為を含む)と不作為。一般概括主義を採り、他の法律に特別の定めがなければ行政不服審査法による(1条2項)
- 審査請求: 原則の手続。審査庁は処分庁に上級行政庁がなければ処分庁自身、あれば最上級行政庁(4条)。第三者機関に限られない。建築審査会は法律の特別の定めによる審査庁である
- 再調査の請求: 法律に定めがある場合に処分庁へ求める簡易な手続(5条1項)。審査請求との自由選択だが、再調査の請求をしたときは原則としてその決定を経てから審査請求をする(5条2項)
- 異議申立て: 平成26年改正で廃止。旧法では異議申立てができるときは原則としてその決定を経てから審査請求をする前置主義であった(旧20条)
- 裁決: 却下・棄却・認容。理由があれば認容が原則だが、取消し・撤廃が公の利益に著しい障害を生ずる場合は事情裁決で棄却でき、主文で違法又は不当を宣言する(45条3項)
正しい。審査請求に理由があれば処分を取り消し又は変更する認容裁決が原則であるが、公の利益に著しい障害を生ずるときは、主文で違法又は不当を宣言して棄却する事情裁決ができる(現行法45条3項・46条1項)。
審査請求に理由がある場合、審査庁は裁決で当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更するのが原則である(出題当時の法40条3項、現行法46条1項)。その例外が事情裁決である。出題当時の法40条6項は、審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度その他一切の事情を考慮した上、取り消し又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は当該審査請求を棄却することができるとし、その場合は裁決の主文で処分が違法又は不当であることを宣言しなければならないとしていた。行政事件訴訟法31条1項の事情判決に対応する制度であるが、行政不服審査は処分の不当も審査するため、宣言の対象が違法又は不当に広がっている。主文で宣言させるのは、既成事実の追認で救済を切り捨てる範囲を最小にし、国家賠償請求などでの請求人の地位に配慮するためである。現行法45条3項も同じ規律を維持している。

審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。
| 事情判決(行訴法31条1項) | 事情裁決(行審法45条3項) | |
|---|---|---|
| 場面 | 取消訴訟 | 処分についての審査請求 |
| 宣言の対象 | 処分又は裁決が違法 | 処分が違法又は不当 |
| 主文 | 請求棄却+違法の宣言 | 審査請求棄却+違法又は不当の宣言 |
| 他の手続への波及 | 無効等確認訴訟には準用なし(38条) | 不作為についての審査請求には規定なし |
1処分(事実上の行為を除く。以下この条及び第四十八条において同じ。)についての審査請求が理由がある場合(前条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。
2前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとる。処分庁の上級行政庁である審査庁当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。処分庁である審査庁当該処分をすること。
1 処分庁の上級行政庁である審査庁当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。
2 処分庁である審査庁当該処分をすること。
3前項に規定する一定の処分に関し、第四十三条第一項第一号に規定する議を経るべき旨の定めがある場合において、審査庁が前項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該定めに係る審議会等の議を経ることができる。
4前項に規定する定めがある場合のほか、第二項に規定する一定の処分に関し、他の法令に関係行政機関との協議の実施その他の手続をとるべき旨の定めがある場合において、審査庁が同項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該手続をとることができる。
この条文の過去問 3問
誤り。違うのは後半の「審査庁である上級行政庁が処分庁に当該処分をする権限を委任していた場合、当該審査庁は当該処分を変更すること又は変更すべき旨を命じることはできない」の部分である。
行政不服審査法46条1項本文は、処分についての審査請求に理由がある場合には、審査庁は裁決で当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更すると定め、同項ただし書は、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には当該処分を変更することはできないとする。変更裁決の可否を決めるのは、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁に当たるかという組織法上の地位だけである。権限の委任がされると、委任した行政庁は当該権限を失い、受任した行政庁が自己の名と責任で処分をするが、委任は権限の所在を移すにとどまり、上級行政庁と下級行政庁という組織上の関係を消すものではなく、一般的な指揮監督権は委任庁に残る。したがって、権限を委任した上級行政庁も依然として処分庁の上級行政庁であり、46条1項ただし書の除外に当たらず、変更裁決をすることができる。委任の有無で変更の可否を分ける規定はなく、本肢は条文にない制限を加えている。なお、処分について審査庁が「変更すべき旨を命ずる」形式は現行法になく、これは事実上の行為についての裁決(47条1号)の形式である。

処分(事実上の行為を除く。以下この条及び第四十八条において同じ。)についての審査請求が理由がある場合(前条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。
| 審査庁の立場 | 処分 | 事実上の行為 |
|---|---|---|
| 処分庁の上級行政庁 | 取消し・変更(46条1項)。申請拒否処分なら処分庁に処分を命ずる(46条2項1号) | 撤廃・変更すべき旨を処分庁に命ずる(47条1号) |
| 処分庁 | 取消し・変更(46条1項)。申請拒否処分なら自ら処分をする(46条2項2号) | 自ら撤廃・変更する(47条2号) |
| どちらでもない第三者機関 | 取消しのみ。変更はできない(46条1項ただし書) | 撤廃すべき旨を命ずるのみ。変更は命じられない(47条ただし書) |
| 共通 | 審査請求人の不利益な変更は禁止(48条)。権限の委任があっても上級行政庁の地位は変わらない | 同左 |
正しい。処分庁の上級行政庁である審査庁は、処分についての審査請求に理由があるときは裁決で処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更することができるから(行政不服審査法46条1項)、営業免許取消処分を営業停止処分に変更する裁決ができる。
行政不服審査法46条1項は、処分についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は裁決で当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更するとし、ただし審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には当該処分を変更することはできないと定める。上級行政庁である審査庁は処分庁に対する指揮監督権を有し、処分庁の判断を自らの判断で置き換えられる立場にあるから、より軽い処分への変更もできる。営業免許取消処分について審査請求に理由があると認めた場合に、取消しは重すぎるが一定の制裁は相当だと判断すれば、原処分を営業停止処分に変更する裁決をすることができる。これに対し、上級行政庁でも処分庁でもない第三者的な審査庁は、処分庁の権限に属する判断を代わって行う地位にないため、取消しにとどまり変更はできない。なお、同法48条は、審査請求人の不利益に処分を変更することを禁じている(不利益変更の禁止)が、取消処分を停止処分に変更することは審査請求人に有利であるから、この制限には触れない。本肢は正しい。

処分(事実上の行為を除く。以下この条及び第四十八条において同じ。)についての審査請求が理由がある場合(前条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。
| 上級行政庁である審査庁 | 処分庁である審査庁 | いずれでもない審査庁 | |
|---|---|---|---|
| 処分の取消し | できる | できる | できる |
| 処分の変更 | できる(不利益変更は不可、48条) | できる(同じ) | できない |
| 申請拒否処分の場合 | 処分庁に処分をすべき旨を命ずる(46条2項1号) | 自ら処分をする(46条2項2号) | 取消しのみ |
| 事実上の行為 | 撤廃・変更を命ずる(47条1号) | 自ら撤廃・変更(47条2号) | 撤廃を命ずるにとどまる |
誤り。違うのは「処分庁は異議申立人の不利益に処分を変更することもできる」の部分である。
取消訴訟において裁判所ができるのは、請求を棄却するか、処分の全部又は一部を取り消すか、事情判決として違法を宣言するかであり、処分の内容を別の内容に変更することはできない。裁判所は処分権限を持たないからである。これに対し行政不服審査では、行政不服審査法46条1項が、処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、処分が違法又は不当である場合に裁決で処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更すると定めており、審査庁は処分の内容を変更できる。しかし同法48条は、処分を変更する裁決について、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできないと明記している。不服申立ては国民の権利利益の救済を目的とする制度であり、救済を求めた者がかえって不利益を受けるなら制度の利用を萎縮させるからである。本肢がいう異議申立ては平成26年改正で廃止され、処分庁に対する不服申立ては再調査の請求に改められたが、その決定についても59条が不利益変更を禁じており、行政の適法性確保の観点を理由に不利益変更を認める余地はない。

第四十六条第一項本文又は前条の規定により処分を変更する裁決又は決定については、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない。
| 審査請求(行審法) | 取消訴訟(行訴法) | |
|---|---|---|
| 審理の対象 | 違法又は不当(1条1項) | 違法のみ。裁量処分は逸脱・濫用に限る(30条) |
| 適用除外 | 7条1項に列挙(教育上の処分、刑事事件の処分など) | 対応する列挙なし |
| 処分の変更 | 審査庁が上級行政庁・処分庁なら変更可(46条1項)。不利益変更は禁止(48条) | 取消し・棄却のみ。変更はできない |
| 期間 | 知った日の翌日から3か月。正当な理由があればこの限りでない(18条1項) | 知った日から6か月。正当な理由があればこの限りでない(14条1項) |
| 執行停止 | 停止その他の措置。職権でも可(25条) | 停止のみ。申立てが必要(25条) |
事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(第四十五条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、次の各号に掲げる審査庁の区分に応じ、当該各号に定める措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。処分庁以外の審査庁当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずること。処分庁である審査庁当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すること。
1 処分庁以外の審査庁当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずること。
2 処分庁である審査庁当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すること。
この条文の過去問 1問
誤り。違うのは「裁決で、当該処分である事実上の行為の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する」の部分である。事実上の行為については、審査庁は裁決で違法又は不当を宣言し、上級行政庁であれば処分庁に撤廃又は変更を命ずる(行政不服審査法47条1号)。
行政不服審査法1条2項は、審査請求の対象を行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為と定めており、人の収容や物の留置のような公権力の行使に当たる事実上の行為も処分に含まれる。しかし、事実上の行為は既に行われた物理的な状態であって、法的効力を持つ処分のように取り消して効力を消すという操作が観念できない。そこで同法47条は、事実上の行為についての審査請求に理由がある場合には、審査庁は裁決で当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁以外の審査庁は当該処分庁に対し当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃し又は変更すべき旨を命じ(1号)、処分庁である審査庁は自ら全部又は一部を撤廃し又は変更する(2号)と定める。処分庁の上級行政庁である審査庁は1号に当たり、処分庁に命ずるのであって、自ら取り消したり変更したりするのではない。法的効力のある処分については46条1項が審査庁による取消し・変更を定めているのと対照的に、事実上の行為の現状を改める作業は処分庁の手で行わせる仕組みである。本肢は処分についての裁決の内容を事実上の行為に当てはめている。

事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(第四十五条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、次の各号に掲げる審査庁の区分に応じ、当該各号に定める措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。一 処分庁以外の審査庁 当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずること。二 処分庁である審査庁 当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃し、又はこれを変更すること。
| 対象 | 上級行政庁である審査庁 | 処分庁である審査庁 | それ以外の審査庁 |
|---|---|---|---|
| 処分(46条1項) | 取消し、又は変更 | 取消し、又は変更 | 取消しのみ(変更不可) |
| 事実上の行為(47条) | 違法・不当を宣言し、処分庁に撤廃又は変更を命ずる | 違法・不当を宣言し、自ら撤廃又は変更 | 違法・不当を宣言し、処分庁に撤廃を命ずる(変更を命ずることは不可) |
| 申請拒否処分の取消し(46条2項) | 処分庁に一定の処分を命ずることができる | 自ら一定の処分をする | 命ずることはできない |
| 共通の制限 | 審査請求人の不利益への変更は不可(48条) | 同左 | 同左 |
第四十六条第一項本文又は前条の場合において、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできない。
この条文の過去問 3問
誤り。違うのは「裁決で,審査請求人の不利益に当該処分を変更することも許される」の部分である。行政不服審査法48条は審査請求人の不利益への変更を禁じている。
行政不服審査法48条は、処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁が46条1項本文又は47条により処分等を変更するに当たり、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできないと定める。審査請求は国民の権利利益の救済を求める制度であり、救済を求めたことでかえって従前より不利益な処分に変更される危険があるとすれば、不服申立ての道を事実上封じることになって制度の趣旨に反するからである。1条1項が国民の権利利益の救済とともに行政の適正な運営の確保を目的に掲げ、審査庁が処分の違法だけでなく不当も審査して認容裁決をすることができる(46条1項)のは肢の言うとおりである。しかし、行政の適正な運営の確保は、処分庁が審査請求手続の外で職権により自ら処分を見直すことなどによって図られるべきもので、裁決による不利益変更を正当化する根拠にはならない。したがって、審査庁が審査請求人の不利益に処分を変更することも許されるとする肢は誤っている。

第四十六条第一項本文又は前条の規定により処分を変更し、又は事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更する場合には、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできない。
| 裁決 | 場面 | 内容 |
|---|---|---|
| 却下(45条1項) | 審査請求が期間経過後その他不適法 | 本案に入らずに退ける |
| 棄却(45条2項) | 審査請求に理由がない | 処分を維持する |
| 事情裁決(45条3項) | 処分は違法又は不当だが、取消し・撤廃で公の利益に著しい障害 | 主文で違法又は不当を宣言して棄却する |
| 認容(46条・47条) | 審査請求に理由がある | 処分の全部・一部の取消し又は変更。変更できるのは上級行政庁又は処分庁である審査庁だけ |
| 不利益変更の禁止(48条) | 変更する場合 | 審査請求人の不利益に処分を変更することはできない |
誤り。違うのは「裁決で当該処分を審査請求人の不利益に変更することもできる」の部分である。上級行政庁である審査庁は処分を変更できるが、審査請求人の不利益に変更することは禁じられている(行政不服審査法48条)。
行政不服審査法46条1項は、処分についての審査請求に理由がある場合に審査庁は裁決で処分の全部又は一部を取り消し、又はこれを変更すると定め、そのただし書で、処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は処分を変更することができないとする。上級行政庁である審査庁は処分庁に対する一般的な指揮監督権を持つから、処分の取消しにとどまらず内容を変更する権限まで認められるのであり、本肢の前半はこの限りで正しい。しかし48条は、審査庁は審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできないと定める。審査請求は審査請求人の権利利益の救済のための手続であり、不服を申し立てたことで処分が重くなるおそれがあれば、申立てをためらわせて制度の目的を損なうからである。行政の適正な運営のために処分を重くする必要があるなら、処分庁が審査請求の手続の外で職権により処分をやり直せば足りる。指揮監督権があることは変更の権限を基礎づけるにとどまり、不利益変更の禁止を外す理由にはならない。

第四十六条第一項本文又は前条の場合において、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできない。
- 処分の全部又は一部を取り消す(46条1項本文)。処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、処分を変更することもできる(同項ただし書)
- 事実上の行為については、違法又は不当を宣言したうえで、上級行政庁である審査庁は処分庁に撤廃・変更を命じ、処分庁である審査庁は自ら撤廃・変更する(47条)
- いずれの場合も、審査請求人の不利益に処分を変更し、又は変更すべき旨を命ずることはできない(48条)
- 申請却下・棄却処分を取り消すときは、上級行政庁である審査庁は処分庁に申請に対する一定の処分を命じ、処分庁である審査庁は自ら処分をする(46条2項)
誤り。違うのは「処分庁は異議申立人の不利益に処分を変更することもできる」の部分である。
取消訴訟において裁判所ができるのは、請求を棄却するか、処分の全部又は一部を取り消すか、事情判決として違法を宣言するかであり、処分の内容を別の内容に変更することはできない。裁判所は処分権限を持たないからである。これに対し行政不服審査では、行政不服審査法46条1項が、処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、処分が違法又は不当である場合に裁決で処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更すると定めており、審査庁は処分の内容を変更できる。しかし同法48条は、処分を変更する裁決について、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできないと明記している。不服申立ては国民の権利利益の救済を目的とする制度であり、救済を求めた者がかえって不利益を受けるなら制度の利用を萎縮させるからである。本肢がいう異議申立ては平成26年改正で廃止され、処分庁に対する不服申立ては再調査の請求に改められたが、その決定についても59条が不利益変更を禁じており、行政の適法性確保の観点を理由に不利益変更を認める余地はない。

第四十六条第一項本文又は前条の規定により処分を変更する裁決又は決定については、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない。
| 審査請求(行審法) | 取消訴訟(行訴法) | |
|---|---|---|
| 審理の対象 | 違法又は不当(1条1項) | 違法のみ。裁量処分は逸脱・濫用に限る(30条) |
| 適用除外 | 7条1項に列挙(教育上の処分、刑事事件の処分など) | 対応する列挙なし |
| 処分の変更 | 審査庁が上級行政庁・処分庁なら変更可(46条1項)。不利益変更は禁止(48条) | 取消し・棄却のみ。変更はできない |
| 期間 | 知った日の翌日から3か月。正当な理由があればこの限りでない(18条1項) | 知った日から6か月。正当な理由があればこの限りでない(14条1項) |
| 執行停止 | 停止その他の措置。職権でも可(25条) | 停止のみ。申立てが必要(25条) |
1不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
2不作為についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
3不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとる。不作為庁の上級行政庁である審査庁当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。不作為庁である審査庁当該処分をすること。
1 不作為庁の上級行政庁である審査庁当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。
2 不作為庁である審査庁当該処分をすること。
4審査請求に係る不作為に係る処分に関し、第四十三条第一項第一号に規定する議を経るべき旨の定めがある場合において、審査庁が前項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該定めに係る審議会等の議を経ることができる。
5前項に規定する定めがある場合のほか、審査請求に係る不作為に係る処分に関し、他の法令に関係行政機関との協議の実施その他の手続をとるべき旨の定めがある場合において、審査庁が第三項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該手続をとることができる。
この条文の過去問 1問
誤り。違うのは「審査庁は当該不作為庁に対して申請された処分をすべき旨を命じなければならず、審査庁が不作為庁である場合には、審査庁は当該処分をしなければならない」の部分である。行政不服審査法49条3項が命令や処分を求めるのは、審査庁が当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときに限られる。
行政不服審査法49条3項は、不作為についての審査請求に理由がある場合には、審査庁は裁決で当該不作為が違法又は不当である旨を宣言すると定め、この場合において、審査庁が当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、不作為庁の上級行政庁である審査庁は不作為庁に対し当該処分をすべき旨を命じ(1号)、不作為庁である審査庁は当該処分をする(2号)と定める。命令や処分は、審査庁が申請に対して一定の処分をすべきものと認めることを前提にしており、不作為の違法又は不当が認められても、申請の実体的な当否についてなお処分庁の第一次的な判断を経るべきときは、審査庁は宣言にとどめることができる。また、命じ又は行う対象は「一定の処分」であって、申請どおりの処分に限られず、拒否処分をすべき旨が示されることもあり得る。不作為の審査請求は応答のない状態を解消させる手続であって、申請を認容させる手続ではないからである。本肢は、理由があれば常に、しかも申請された処分を命じ又はしなければならないとする点で、同項の要件と効果を誤っている。

不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとる。 一 不作為庁の上級行政庁である審査庁 当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。 二 不作為庁である審査庁 当該処分をすること。
| 処分庁の上級行政庁である審査庁 | 処分庁である審査庁 | 上級行政庁でも処分庁でもない審査庁 | |
|---|---|---|---|
| 処分の取消し・変更(46条1項) | 取消し・変更ができる | 取消し・変更ができる | 取消しはできるが変更はできない |
| 申請拒否処分を取り消すとき(46条2項) | 一定の処分をすべきと認めるときは処分庁に命じる | 一定の処分をすべきと認めるときは自ら処分をする | 規定なし。処分庁は52条2項により裁決の趣旨に従い改めて処分をする |
| 不作為に理由があるとき(49条3項) | 違法又は不当を宣言し、一定の処分をすべきと認めるときは不作為庁に命じる | 違法又は不当を宣言し、一定の処分をすべきと認めるときは自ら処分をする | 違法又は不当を宣言する |
| 執行停止(25条) | 申立て又は職権で、停止その他の措置ができる | 同左 | 申立てがあるときに限り、停止のみできる |
1裁決は、次に掲げる事項を記載し、審査庁が記名押印した裁決書によりしなければならない。主文事案の概要審理関係人の主張の要旨理由(第一号の主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む。)
1 主文
2 事案の概要
3 審理関係人の主張の要旨
4 理由(第一号の主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む。)
2第四十三条第一項の規定による行政不服審査会等への諮問を要しない場合には、前項の裁決書には、審理員意見書を添付しなければならない。
3審査庁は、再審査請求をすることができる裁決をする場合には、裁決書に再審査請求をすることができる旨並びに再審査請求をすべき行政庁及び再審査請求期間(第六十二条に規定する期間をいう。)を記載して、これらを教示しなければならない。
この条文の過去問 1問
正しい。審査庁は審理員意見書に法的に拘束されないが、裁決の主文が審理員意見書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を裁決書の理由に含めなければならない(行政不服審査法50条1項4号)。
審理員意見書は、審理手続を主宰した審理員が審査庁のすべき裁決について述べる意見を記載した書面であり(行政不服審査法42条1項)、審理員は審査庁に所属する職員にすぎない。裁決の権限を持つのは審査庁であるから、審査庁が審理員意見書の結論に法的に拘束されることはない。行政不服審査会等の答申についても同じであり、審査庁はこれらを踏まえつつ自らの判断で裁決をすることができる。もっとも、それでは審理員制度と第三者機関への諮問制度を設けた意義が失われかねないため、法は審査庁に説明責任を課してこれらの制度の実効性を担保している。同法50条1項は裁決書の記載事項として主文、事案の概要、審理関係人の主張の要旨、理由を掲げ、そのうち4号の括弧書は、主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含めなければならないと定める。したがって、審査庁が審理員意見書と異なる裁決をすること自体は許されるが、その場合には裁決書でその理由を明示しなければならない。本肢はこの仕組みをそのまま述べており、正しい。

理由(第一号の主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む。)
| 審理員 | 審査庁 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 審査庁に所属する職員。処分に関与した者は不可(9条) | 処分庁等の最上級行政庁、なければ処分庁等(4条) |
| 審理手続 | 弁明書の求め、口頭意見陳述、証拠調べなどを主宰(29条〜37条) | 審理員に委ねる |
| 審理員意見書 | 作成して事件記録とともに審査庁に提出(42条) | 受領 |
| 諮問 | 権限なし | 行政不服審査会等に諮問(43条1項)。全部認容の場合などは不要 |
| 裁決 | 権限なし | 裁決をする。主文が意見書・答申と異なるときは理由を記載(50条1項4号) |
1裁決は、審査請求人(当該審査請求が処分の相手方以外の者のしたものである場合における第四十六条第一項及び第四十七条の規定による裁決にあっては、審査請求人及び処分の相手方)に送達された時に、その効力を生ずる。
2裁決の送達は、送達を受けるべき者に裁決書の謄本を送付することによってする。ただし、送達を受けるべき者の所在が知れない場合その他裁決書の謄本を送付することができない場合には、公示の方法によってすることができる。
3公示の方法による送達は、審査庁が裁決書の謄本を保管し、いつでもその送達を受けるべき者に交付する旨を総務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、その旨が記載された書面を当該審査庁の事務所の掲示場に掲示し、又はその旨を当該事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとることにより行うものとする。この場合において、当該措置を開始した日の翌日から起算して二週間を経過した時に裁決書の謄本の送付があったものとみなす。
4審査庁は、裁決書の謄本を参加人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に送付しなければならない。
1裁決は、関係行政庁を拘束する。
2申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。
3法令の規定により公示された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、当該処分が取り消され、又は変更された旨を公示しなければならない。
4法令の規定により処分の相手方以外の利害関係人に通知された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、その通知を受けた者(審査請求人及び参加人を除く。)に、当該処分が取り消され、又は変更された旨を通知しなければならない。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「裁決の内容にかかわらず処分庁の判断に委ねられる」の部分である。裁決は関係行政庁を拘束し(行政不服審査法52条1項)、申請を却下し又は棄却した処分が取り消されたときは、処分庁は裁決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をしなければならない(同条2項)。
行政不服審査法46条2項は、法令に基づく申請を却下し又は棄却する処分を取り消す場合に、審査庁が当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、処分庁の上級行政庁である審査庁は処分庁に対し当該処分をすべき旨を命じ(1号)、処分庁である審査庁は自ら当該処分をする(2号)と定める。本肢の前半はこの規定のとおりである。しかし52条1項は、裁決は関係行政庁を拘束すると定めて裁決に拘束力を与え、同条2項は、申請を却下し又は棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならないと明記する。したがって46条2項の命令が発せられなくても、処分庁は裁決の理由中の判断に縛られ、裁決が違法又は不当としたのと同じ理由で再び申請を却下し又は棄却することは許されない。取消しの裁決を受けて処分庁が自由に判断できるなら、裁決が紛争を終わらせる意味を失うからである。処分の内容に処分庁の判断の余地が残るとしても、それは拘束力の枠の中でのことであり、裁決の内容にかかわらず処分庁に委ねられるとする本肢は誤りである。

裁決は、関係行政庁を拘束する。/申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。
| 処分庁の上級行政庁である審査庁 | 処分庁である審査庁 | 上級行政庁でも処分庁でもない審査庁 | |
|---|---|---|---|
| 処分の取消し・変更(46条1項) | 取消し・変更ができる | 取消し・変更ができる | 取消しはできるが変更はできない |
| 申請拒否処分を取り消すとき(46条2項) | 一定の処分をすべきと認めるときは処分庁に命じる | 一定の処分をすべきと認めるときは自ら処分をする | 規定なし。処分庁は52条2項により裁決の趣旨に従い改めて処分をする |
| 不作為に理由があるとき(49条3項) | 違法又は不当を宣言し、一定の処分をすべきと認めるときは不作為庁に命じる | 違法又は不当を宣言し、一定の処分をすべきと認めるときは自ら処分をする | 違法又は不当を宣言する |
| 執行停止(25条) | 申立て又は職権で、停止その他の措置ができる | 同左 | 申立てがあるときに限り、停止のみできる |
誤り。違うのは「当該裁決は処分庁を拘束するから,処分庁は原処分を取り消したり,変更したりすることができない」の部分である。裁決の拘束力は認容裁決について生ずるものであり、棄却裁決があっても処分庁が職権で原処分を取り消し又は変更することは妨げられない。
行政不服審査法52条1項は、裁決は関係行政庁を拘束すると定めており、条文上は取消訴訟の拘束力(行訴法33条1項)のように認容の場合に限定した文言になっていない。しかし裁決の拘束力は、認容裁決の場合に処分庁が同一の理由で同じ処分を繰り返すことを禁じ、裁決の趣旨に沿った措置を義務付けるためのものであり、取消判決の拘束力と同じく認容裁決について認められる効力と解されている。棄却裁決は、原処分が違法又は不当でないという審査庁の判断を示すにとどまり、処分庁に原処分を維持することまで義務付けるものではない。処分庁は行政行為をした行政庁として、処分後の事情の変化や公益上の必要に応じて、職権で自らの処分を取り消し又は撤回する権限を本来もっており、棄却裁決がされたからといってこの権限を失う理由はない。判例も、棄却の裁決があった後に処分庁が職権で原処分を取り消すことを妨げないとしている(最判昭33.2.7)。行政不服審査は違法な処分を是正する制度であって、適法と判断された処分を凍結する制度ではない。本肢は誤りである。

裁決は、関係行政庁を拘束する。
審査庁は、裁決をしたときは、速やかに、第三十二条第一項又は第二項の規定により提出された証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件及び第三十三条の規定による提出要求に応じて提出された書類その他の物件をその提出人に返還しなければならない。