審査請求人、参加人及び処分庁等(以下「審理関係人」という。)並びに審理員は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審理において、相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らなければならない。
1審理員は、審査庁から指名されたときは、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付しなければならない。ただし、処分庁等が審査庁である場合には、この限りでない。
2審理員は、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、弁明書の提出を求めるものとする。
3処分庁等は、前項の弁明書に、次の各号の区分に応じ、当該各号に定める事項を記載しなければならない。処分についての審査請求に対する弁明書処分の内容及び理由不作為についての審査請求に対する弁明書処分をしていない理由並びに予定される処分の時期、内容及び理由
1 処分についての審査請求に対する弁明書処分の内容及び理由
2 不作為についての審査請求に対する弁明書処分をしていない理由並びに予定される処分の時期、内容及び理由
4処分庁が次に掲げる書面を保有する場合には、前項第一号に掲げる弁明書にこれを添付するものとする。行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二十四条第一項の調書及び同条第三項の報告書行政手続法第二十九条第一項に規定する弁明書
1 行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二十四条第一項の調書及び同条第三項の報告書
2 行政手続法第二十九条第一項に規定する弁明書
5審理員は、処分庁等から弁明書の提出があったときは、これを審査請求人及び参加人に送付しなければならない。
1審査請求人は、前条第五項の規定により送付された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(以下「反論書」という。)を提出することができる。この場合において、審理員が、反論書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
2参加人は、審査請求に係る事件に関する意見を記載した書面(第四十条及び第四十二条第一項を除き、以下「意見書」という。)を提出することができる。この場合において、審理員が、意見書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
3審理員は、審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等に、参加人から意見書の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁等に、それぞれ送付しなければならない。
1審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第四十一条第二項第二号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
2前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。
3口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
4口頭意見陳述において、審理員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。
5口頭意見陳述に際し、申立人は、審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して、質問を発することができる。
この条文の過去問 2問
正しい。口頭意見陳述は、審理員が期日と場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとされている(行政不服審査法31条2項)。
行政不服審査法31条1項本文は、審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならないと定める。同条2項は、この口頭意見陳述は審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとすると規定する。審理関係人とは審査請求人、参加人及び処分庁等をいう(同法28条)から、審査請求人の申立てに基づく口頭意見陳述であっても、処分庁等を含む審理関係人の全員を招集して行わなければならない。さらに同条5項は、口頭意見陳述に際し、申立人は審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し処分庁等に質問を発することができると定める。旧法の下では口頭意見陳述が申立人と審理を担当する職員との間で一方向的に行われるにとどまり、処分庁の主張と直接に向き合う機会が制度上保障されていなかった。これを改め、双方の言い分を同じ場で突き合わせる対審的な構造を審理手続に導入して、当事者の攻撃防御を実質化したのが31条2項と5項である。本肢はこの規定と趣旨をそのまま述べており、正しい。

前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。
- 審理員の指名と通知(9条)
- 弁明書: 審理員が処分庁等に提出を求め、審査請求人と参加人に送付(29条)。反論書・意見書の提出(30条)
- 口頭意見陳述: 申立てがあれば全ての審理関係人を招集して実施。申立人は許可を得て処分庁等に質問できる(31条)
- 証拠書類等の提出(32条)、物件の提出要求(33条)、参考人陳述・鑑定(34条)、検証(35条)、審理関係人への質問(36条)
- 審理手続の終結(41条)→審理員意見書を作成し事件記録とともに審査庁へ提出(42条)→審査庁が行政不服審査会等に諮問(43条)→裁決(44条〜)
誤り。違うのは「審査請求人又は異議申立人が口頭で意見を述べる機会は保障されていない」の部分であり、申立てがあれば口頭で意見を述べる機会を与えなければならない(行政不服審査法31条1項)。
行政不服審査法の審理は、審査請求書の提出で始まり(19条1項)、処分庁の弁明書と審査請求人の反論書の提出で進む(29条・30条)書面審理が原則である。裁判より簡易迅速に救済することが不服申立て制度の狙いだからである。しかし書面だけでは伝えにくい事情もあり、申立人が直接言い分を述べる機会を一切与えないのでは手続の公正が保てない。そこで31条1項は、審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は申立てをした者に口頭で意見を述べる機会を与えなければならないと定め、申立てを条件に口頭意見陳述を権利として保障している。審理員の裁量で拒めるものではなく、申立人の所在その他の事情により機会を与えることが困難な場合に限って例外が認められる(同項ただし書)。出題当時の旧法25条1項も、審査請求と異議申立ての双方について同じ機会の保障を定めており、新旧いずれの法でも本肢の後半は誤りである。現行法ではさらに、口頭意見陳述は全ての審理関係人を招集して行い、申立人は審理員の許可を得て処分庁に質問できる(31条2項・5項)。

審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第四十一条第二項第二号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
- 審査請求書の提出(19条)。審査庁は審理員を指名し、審査請求人と処分庁等に通知する(9条1項)
- 弁明書と反論書:審理員が処分庁に弁明書の提出を求め(29条)、審査請求人は反論書、参加人は意見書を提出できる(30条)
- 口頭意見陳述:審査請求人又は参加人の申立てがあれば、審理員は期日と場所を定め、全ての審理関係人を招集して行う(31条)。申立人は審理員の許可を得て処分庁等に質問できる
- 証拠調べ:証拠書類等の提出(32条)、物件の提出要求(33条)、参考人の陳述・検証・審理関係人への質問(34条〜36条)
- 審理員意見書を審査庁に提出し(42条)、審査庁は行政不服審査会等に諮問して(43条)裁決する(44条)
1審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。
2処分庁等は、当該処分の理由となる事実を証する書類その他の物件を提出することができる。
3前二項の場合において、審理員が、証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件の提出を求めることができる。この場合において、審理員は、その提出された物件を留め置くことができる。
審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、適当と認める者に、参考人としてその知っている事実の陳述を求め、又は鑑定を求めることができる。
1審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。
2審理員は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を当該申立てをした者に通知し、これに立ち会う機会を与えなければならない。
審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができる。
1審理員は、審査請求に係る事件について、審理すべき事項が多数であり又は錯綜しているなど事件が複雑であることその他の事情により、迅速かつ公正な審理を行うため、第三十一条から前条までに定める審理手続を計画的に遂行する必要があると認める場合には、期日及び場所を指定して、審理関係人を招集し、あらかじめ、これらの審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができる。
2審理員は、審理関係人が遠隔の地に居住している場合その他相当と認める場合には、政令で定めるところにより、審理員及び審理関係人が音声の送受信により通話をすることができる方法によって、前項に規定する意見の聴取を行うことができる。
3審理員は、前二項の規定による意見の聴取を行ったときは、遅滞なく、第三十一条から前条までに定める審理手続の期日及び場所並びに第四十一条第一項の規定による審理手続の終結の予定時期を決定し、これらを審理関係人に通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。
1審査請求人又は参加人は、第四十一条第一項又は第二項の規定により審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等(第二十九条第四項各号に掲げる書面又は第三十二条第一項若しくは第二項若しくは第三十三条の規定により提出された書類その他の物件をいう。次項において同じ。)の閲覧(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)にあっては、記録された事項を審査庁が定める方法により表示したものの閲覧)又は当該書面若しくは当該書類の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができる。この場合において、審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができない。
2審理員は、前項の規定による閲覧をさせ、又は同項の規定による交付をしようとするときは、当該閲覧又は交付に係る提出書類等の提出人の意見を聴かなければならない。ただし、審理員が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
3審理員は、第一項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
4第一項の規定による交付を受ける審査請求人又は参加人は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならない。
5審理員は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の手数料を減額し、又は免除することができる。
6地方公共団体(都道府県、市町村及び特別区並びに地方公共団体の組合に限る。以下同じ。)に所属する行政庁が審査庁である場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「政令」とあるのは、「条例」とし、国又は地方公共団体に所属しない行政庁が審査庁である場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「政令で」とあるのは、「審査庁が」とする。
審理員は、必要があると認める場合には、数個の審査請求に係る審理手続を併合し、又は併合された数個の審査請求に係る審理手続を分離することができる。
審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができる。
1審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するものとする。
2前項に定めるもののほか、審理員は、次の各号のいずれかに該当するときは、審理手続を終結することができる。次のイからホまでに掲げる規定の相当の期間内に、当該イからホまでに定める物件が提出されない場合において、更に一定の期間を示して、当該物件の提出を求めたにもかかわらず、当該提出期間内に当該物件が提出されなかったとき。第二十九条第二項弁明書第三十条第一項後段反論書第三十条第二項後段意見書第三十二条第三項証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件第三十三条前段書類その他の物件申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき。
1 次のイからホまでに掲げる規定の相当の期間内に、当該イからホまでに定める物件が提出されない場合において、更に一定の期間を示して、当該物件の提出を求めたにもかかわらず、当該提出期間内に当該物件が提出されなかったとき。第二十九条第二項弁明書第三十条第一項後段反論書第三十条第二項後段意見書第三十二条第三項証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件第三十三条前段書類その他の物件
ア 第二十九条第二項弁明書
ィ 第三十条第一項後段反論書
イ 第三十条第二項後段意見書
ゥ 第三十二条第三項証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件
ウ 第三十三条前段書類その他の物件
2 申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき。
3審理員が前二項の規定により審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対し、審理手続を終結した旨並びに次条第一項に規定する審理員意見書及び事件記録(審査請求書、弁明書その他審査請求に係る事件に関する書類その他の物件のうち政令で定めるものをいう。同条第二項及び第四十三条第二項において同じ。)を審査庁に提出する予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。
1審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(以下「審理員意見書」という。)を作成しなければならない。
2審理員は、審理員意見書を作成したときは、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。
この条文の過去問 1問
誤り。違うのは「当該審理員意見書を行政不服審査会に提出し、諮問しなければならない」の部分である。審理員意見書の提出先は審査庁であり(行政不服審査法42条2項)、行政不服審査会に諮問するのも審査庁である(43条1項)。
行政不服審査法42条1項は、審理員は審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(審理員意見書)を作成しなければならないと定め、同条2項は、審理員意見書を作成したときは速やかにこれを事件記録とともに審査庁に提出しなければならないと定める。提出先は審査庁であって行政不服審査会ではない。諮問の主体についても、43条1項は、審理員意見書の提出を受けた審査庁が、審査庁が主任の大臣や国家行政組織法3条2項の庁の長などである場合には行政不服審査会に、地方公共団体の長等である場合には81条1項又は2項の機関に、それぞれ諮問しなければならないと定めており、審理員に諮問の権限はない。審理員は審査庁に所属する職員で、審理手続を主宰して審査庁の判断を準備する立場にあり、裁決権限も第三者機関への諮問権限も持たないからである。なお43条1項各号は、審査請求を全部認容する場合や審査請求人が諮問を希望しない場合など諮問を要しない例外を列挙したもので、諮問先を定める規定ではない。本肢は審理員意見書の提出先と諮問の主体をいずれも取り違えている。

審理員は、審理員意見書を作成したときは、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。
| 審理員 | 審査庁 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 審査庁に所属する職員。処分に関与した者は不可(9条) | 処分庁等の最上級行政庁、なければ処分庁等(4条) |
| 審理手続 | 弁明書の求め、口頭意見陳述、証拠調べなどを主宰(29条〜37条) | 審理員に委ねる |
| 審理員意見書 | 作成して事件記録とともに審査庁に提出(42条) | 受領 |
| 諮問 | 権限なし | 行政不服審査会等に諮問(43条1項)。全部認容の場合などは不要 |
| 裁決 | 権限なし | 裁決をする。主文が意見書・答申と異なるときは理由を記載(50条1項4号) |