多数当事者訴訟の体系|共同訴訟・訴訟参加・訴訟承継
多数当事者訴訟の全体像を体系的に解説。通常共同訴訟と必要的共同訴訟の区別、補助参加・独立当事者参加の要件と効力、訴訟承継まで整理します。
この記事のポイント
多数当事者訴訟は、訴訟の一方又は双方に複数の者が関与する訴訟形態であり、共同訴訟・訴訟参加・訴訟承継の3類型に大別される。 共同訴訟には通常共同訴訟と必要的共同訴訟があり、後者はさらに固有必要的共同訴訟と類似必要的共同訴訟に分かれる。訴訟参加には補助参加と独立当事者参加がある。本記事では多数当事者訴訟の全体像を体系的に整理する。
共同訴訟の体系
共同訴訟の意義
共同訴訟とは、原告又は被告の一方又は双方が複数の者で構成される訴訟形態をいう。訴えの主観的併合ともいわれる。
通常共同訴訟と必要的共同訴訟
類型 内容 共同訴訟人間の関係 通常共同訴訟 共同訴訟人の一人について生じた事項は他に影響しない 独立(39条) 必要的共同訴訟 合一確定の必要がある 統一的処理(40条)通常共同訴訟(38条・39条)
要件(38条)
通常共同訴訟が認められるのは、以下のいずれかの場合である。
- 訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき(38条前段)
- 訴訟の目的である権利又は義務が同一の事実上及び法律上の原因に基づくとき(38条前段)
- 訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくとき(38条後段)
共同訴訟人独立の原則(39条)
通常共同訴訟においては、共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない(39条)。
これにより、各共同訴訟人は独立して訴訟を追行し、異なる判決を受けることもありうる。
必要的共同訴訟(40条)
意義と分類
必要的共同訴訟とは、判決が合一にのみ確定すべき場合の共同訴訟をいう(40条1項)。必要的共同訴訟はさらに固有必要的共同訴訟と類似必要的共同訴訟に分かれる。
分類 内容 具体例 固有必要的共同訴訟 共同してのみ訴え又は訴えられることができる 共有物に関する訴訟(全員共同)、入会権確認訴訟 類似必要的共同訴訟 単独でも訴訟追行できるが、共同訴訟の場合には合一確定が必要 株主代表訴訟、債権者代位訴訟40条の規律
40条は必要的共同訴訟について以下の規律を定める。
- 有利原則: 共同訴訟人の一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみ効力を生ずる(40条1項)
- 不利益行為の制限: 共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してのみ効力を生ずる(40条2項)
- 中断・中止: 共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断・中止の原因があるときは、全員についてその効力を生ずる(40条3項)
同時審判申出共同訴訟(41条)
意義
同時審判申出共同訴訟は、共同被告の一方に対する請求と他方に対する請求が法律上両立しない関係にある場合に、原告の申出により同時審判が保障される制度である(41条1項)。
具体例
AがBに対して売買代金を請求し、同時にCに対して不当利得返還を請求する場合で、B又はCのいずれかのみが義務を負うべき関係にある場合が典型例である。
効果
同時審判の申出があった場合、弁論及び裁判は分離しないでしなければならない(41条1項)。控訴審では、一方の請求についてのみ控訴があった場合でも、他方の請求についても移審する(41条3項)。
補助参加(42条〜46条)
補助参加の意義
補助参加とは、訴訟の結果について利害関係を有する第三者が、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加する制度である(42条)。
要件
要件 内容 訴訟の結果について利害関係を有すること 法律上の利害関係であることが必要(最決昭39.1.23) 他人間の訴訟が係属していること 参加の対象となる訴訟が存在すること「利害関係」は法律上の利害関係でなければならず、単なる事実上・経済上の利害関係では足りない(最決昭39.1.23)。法律上の利害関係とは、参加人の法的地位に判決が影響を及ぼす関係をいう。
補助参加人の訴訟上の地位
補助参加人は、一切の訴訟行為をすることができる(45条1項本文)。ただし、以下の制限がある。
- 被参加人の訴訟行為と抵触する行為はできない(45条2項)
- 訴訟の現在の程度に従ってすることができる行為に限られる
参加的効力(46条)
補助参加に係る訴訟の判決は、補助参加人に対しても効力を有する(46条)。この効力を参加的効力という。
参加的効力は既判力とは異なり、判決主文の判断のみならず、判決の理由中の判断にも及ぶとされる。補助参加人が前訴で十分な手続保障を受けた以上、前訴の判断に拘束されることが正当化される。
ただし、以下の場合には参加的効力は生じない(46条各号)。
- 参加人が補助参加の時における訴訟の程度に従い攻撃防御方法の提出その他の訴訟行為をすることを妨げられた場合
- 被参加人が参加人のすることができない訴訟行為をした場合
独立当事者参加(47条)
意義
独立当事者参加とは、訴訟の目的の全部又は一部が自己の権利であることを主張する第三者、又は訴訟の結果によって権利を害される第三者が、当事者の双方又は一方を相手方として訴訟に参加する制度である(47条1項)。
類型
類型 内容 具体例 権利主張参加(47条1項前段) 訴訟の目的の全部又は一部が自己の権利であると主張 不動産の所有権をめぐる三面訴訟 詐害防止参加(47条1項後段) 訴訟の結果によって権利が害されることを主張 馴合訴訟の防止効果
独立当事者参加がなされると、訴訟は三面訴訟となる。弁論及び裁判は分離しないでしなければならず、40条(必要的共同訴訟の規律)が準用される(47条4項)。
訴訟告知(53条)
意義
訴訟告知とは、当事者が訴訟の係属を第三者に通知する制度である(53条)。訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合でも、参加的効力が生じる(53条4項・46条)。
趣旨
訴訟告知の趣旨は、後の訴訟に備えて第三者に参加の機会を与えるとともに、第三者がこれに応じなかった場合にも参加的効力を及ぼし、紛争の連鎖的解決を図ることにある。
訴訟承継
当然承継
訴訟当事者の死亡や法人の合併により、一般承継人が当然に当事者の地位を承継する場合をいう。この場合、訴訟手続は中断し(124条1項)、承継人が受継の申立てをするか相手方が続行の申立てをすることで訴訟が続行される。
参加承継・引受承継
訴訟係属中に訴訟の目的である権利義務の全部又は一部を承継した第三者について、以下の制度がある。
類型 内容 条文 参加承継 承継人が自ら訴訟に参加する 49条・51条 引受承継 当事者の申立てにより承継人を訴訟に引き込む 50条・51条試験対策での位置づけ
出題傾向
多数当事者訴訟は論文式試験の頻出テーマである。特に以下の論点が重要。
- 通常共同訴訟と必要的共同訴訟の区別: 固有必要的か類似必要的か
- 補助参加の利害関係の要件: 法律上の利害関係の判断
- 参加的効力の範囲: 既判力との違い
- 独立当事者参加の要件
答案での使い方
「Cは本件訴訟に補助参加をすることができるか。42条は、訴訟の結果について利害関係を有する第三者が補助参加できると規定する。ここにいう利害関係は法律上の利害関係を意味し、事実上の利害関係では足りない。本件では〔具体的検討〕。」
よくある質問(FAQ)
Q1. 固有必要的共同訴訟と類似必要的共同訴訟の見分け方は?
固有必要的共同訴訟は全員が共同して訴え又は訴えられなければならないもの、類似必要的共同訴訟は単独でも訴訟追行が可能だが共同訴訟となった場合に合一確定が必要なものである。前者は訴訟要件の問題、後者は判決の合一確定の問題である。
Q2. 補助参加人は上訴できますか?
できる。45条1項により、補助参加人は一切の訴訟行為をすることができ、上訴もこれに含まれる。ただし被参加人の意思に反する場合の処理については議論がある。
Q3. 訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合はどうなりますか?
参加しなかった場合でも、参加的効力(46条)が及ぶ(53条4項)。告知を受けた者は参加の機会を与えられたにもかかわらず参加しなかった以上、前訴判決の判断に拘束されても手続保障の観点から問題はないと考えられる。
Q4. 共同訴訟的補助参加とは何ですか?
判決の効力が補助参加人にも及ぶ場合に、補助参加人が当事者に準じた地位で訴訟行為をすることができる制度をいう。45条2項の被参加人との抵触の制限が緩和され、より独立した訴訟追行が認められる。
Q5. 同時審判申出共同訴訟はどのような場合に使えますか?
法律上両立しない請求を複数の被告に対して行う場合に利用する。典型的には予備的な関係にある複数の請求を同時に審判してもらいたい場合である。
関連条文
訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。
― 民事訴訟法 第42条
まとめ
- 共同訴訟には通常共同訴訟と必要的共同訴訟がある
- 必要的共同訴訟には固有必要的と類似必要的がある
- 補助参加は法律上の利害関係を要件とし、参加的効力(46条)が生じる
- 独立当事者参加は三面訴訟を形成し、合一確定が要求される
- 訴訟告知は参加の機会を付与し、不参加でも参加的効力が及ぶ
- 訴訟承継には参加承継と引受承継がある