行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。
この条文の過去問 4問
正しい。行政事件訴訟法44条は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については民事保全法に規定する仮処分をすることができないと定めるから、裁判所が仮処分で処分の執行停止を命じることはできない。
行政事件訴訟法44条は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができないと定め、公権力の行使に対する民事保全法上の仮処分を明文で排除している。したがって裁判所が仮処分によって処分の執行を停止することはできない。公権力の行使に対する仮の救済については、行政事件訴訟法が執行停止(25条)のほか、平成16年改正で仮の義務付けと仮の差止め(37条の5)を整備し、内閣総理大臣の異議(27条)を含む独自の要件と手続の下で、行政の円滑な運営と国民の権利利益の救済との調整を図っている。仮処分を許せばこの枠組みが潜脱されるから、これを排除したのである。もっとも同条が排除するのは公権力の行使に当たる行為に対する仮処分に限られ、行政主体が私人と対等の立場で締結した契約に基づく法律関係など、公権力の行使に当たらない行為については同条の適用はなく、民事保全法上の仮処分によることができる。本肢は44条の内容を正確に述べている。

行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。
- 原則: 執行不停止(25条1項)。訴えを起こしても処分の効力・執行・手続の続行は止まらない
- 形式的要件: 本案の取消訴訟が適法に係属していること。不適法な本案では執行停止はできない
- 積極要件: 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があること(2項)。補充性は要件でない。損害の回復の困難の程度、損害の性質・程度、処分の内容・性質を勘案する(3項)
- 消極要件: 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、本案について理由がないとみえるとき(4項)
- 三つの態様: 効力の停止・執行の停止・手続の続行の停止。効力の停止は他の二つで目的を達せられるならできない(2項ただし書)
- 手続: 申立てによる決定。疎明に基づき、口頭弁論を経ないでできるが、あらかじめ当事者の意見を聴く(5項・6項)。内閣総理大臣の異議があれば停止できない(27条)
- 仮処分の排除: 公権力の行使に当たる行為には民事保全法の仮処分ができない(44条)
正しい。行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については民事保全法の仮処分をすることができないから(行政事件訴訟法44条)、仮処分で処分の執行停止を命ずることはできない。
行政事件訴訟法44条は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができないと定め、公権力の行使に当たる行為に対する民事保全法上の仮処分を明文で排除している。公権力の行使については、内閣総理大臣の異議の制度(27条)を伴う執行停止という行政事件訴訟法固有の仮の救済制度を設け、これを排他的な手段としたのである。処分の効力を暫定的に排除するかどうかは行政の円滑な運営との調整を要するため、私人間の権利関係を前提とする民事保全の枠組みを持ち込むのは適当でないからである。したがって裁判所は仮処分によって処分の執行を停止することはできず、当事者は取消訴訟等を提起した上で25条以下の執行停止の申立てによらなければならない。平成16年改正で仮の義務付けと仮の差止め(37条の5)が設けられ、執行停止では対応できない場面にも抗告訴訟の枠内で仮の救済が可能になった。公権力の行使に当たる行為については本案としても民事上の差止請求は許されない(最判平24.2.9)。

行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。
- ["本案の係属", "処分の取消しの訴えが適法に提起されていること。不適法な本案では執行停止はできない"]
- ["積極要件", "処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があること(2項)。損害の回復の困難の程度を考慮し、損害の性質・程度と処分の内容・性質も勘案する(3項)。補充性は要件ではない"]
- ["消極要件", "公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、本案について理由がないとみえるときは不可(4項)"]
- ["三つの内容", "効力の停止、執行の停止、手続の続行の停止。効力の停止は、執行や続行の停止で目的を達せられるならできない(2項ただし書)"]
- ["仮処分の排除", "処分その他公権力の行使に当たる行為には民事保全法の仮処分ができない(44条)。内閣総理大臣の異議(27条)がある執行停止が排他的な手段"]
正しい。行政事件訴訟法44条は訴訟類型を問わず妥当する補則に置かれ、当事者訴訟に関する39条から41条までにもその適用を排除する定めはない。
行政事件訴訟法44条は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については民事保全法に規定する仮処分をすることができないと定める。この規定は抗告訴訟の章や当事者訴訟の章ではなく、訴訟類型を問わず妥当する補則(第5章)に置かれ、適用対象は訴訟類型ではなく公権力の行使に当たる行為という行為の性質で画されている。当事者訴訟に関する39条から41条までを見ても44条の適用を排除する定めはなく、41条1項は釈明処分の特則、行政庁の訴訟参加、判決の拘束力、訴訟費用の裁判の効力に関する規定を準用するにとどまる。したがって本肢の記述はそのとおりである。実質的にも、当事者訴訟の形式が用いられても、対象が公権力の行使に当たる行為である以上、44条により民事保全法上の仮処分は許されない。他方、当事者訴訟の対象となる法律関係は公権力の行使に当たらない公法上の法律関係であることが通常であり、その限りで仮の地位を定める仮処分を利用する余地が残るが、それは44条の適用が排除されているからではなく、公権力の行使に当たる行為という要件を満たさないからである。

行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。
- 準用(41条1項):釈明処分の特則(23条の2)、行政庁の訴訟参加(23条)、職権証拠調べ(24条)、判決の拘束力(33条1項)、訴訟費用の裁判の効力(35条)
- 準用なし:執行停止(25条)、事情判決(31条)、第三者効(32条)、出訴期間(14条。個別法で定めがあれば別)
- 44条の仮処分排除は補則にあり、当事者訴訟でも排除されない。対象が公権力の行使に当たる行為なら民事保全法の仮処分は使えない
- 公権力の行使に当たらない公法上の法律関係については、44条の要件を満たさないので仮処分の余地が残る
正しい。行政事件訴訟法44条は行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為について民事保全法の仮処分を禁じており、処分の無効を前提とする民事訴訟でも、その適用によって仮処分の利用が制限される場合がある。
行政事件訴訟法44条は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができないと定める。裁判所が仮処分によって公権力の行使を差し止めたり効力を仮に否定したりすることを許せば、25条以下の執行停止制度の要件や内閣総理大臣の異議の仕組みを迂回することになるからである。処分の無効を前提とする民事訴訟、たとえば無効な収用裁決を前提に土地の明渡しを求められた者が所有権に基づいて争う訴えは、45条1項が想定する争点訴訟であり民事訴訟であるが、そこで処分の効力を仮に否定するような仮処分を求めれば、公権力の行使について仮処分をすることになり44条の制限に触れる。処分が無効であれば公権力の行使は存在しないとして44条の適用を否定する見解もあるが、無効かどうかは本案で判断されることであるから、少なくとも無効が明らかでない段階では仮処分の利用が制限される場合がある。争点訴訟には執行停止も使えないため、この制限は仮の救済の空白として指摘されている。本肢は制限される場合があると述べるにとどまり、正確である。

行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。

