1処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
1 審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。
2 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
3 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
3第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。
この条文の過去問 10問
誤り。違うのは「不服申立てを行わずに、当該不開示決定につき、適法に取消訴訟を提起することはできない」の部分である。情報公開法に審査請求前置の定めはなく、直ちに取消訴訟を提起できる。
行訴法8条1項本文は、処分の取消しの訴えは、当該処分について法令の規定により審査請求をすることができる場合でも直ちに提起することを妨げないと定め、審査請求と取消訴訟のどちらを先に使うかを原告の選択に委ねている。審査請求に対する裁決を経なければ取消訴訟を提起できないという審査請求前置は、同項ただし書が、法律にその旨の定めがあるときと規定するとおり、個別の法律に明文がある場合に限られる例外である。情報公開法には、不開示決定について審査請求前置を定める規定は置かれていない。したがって、不開示決定を受けた開示請求者は、行政不服審査法に基づく審査請求を経ることなく、直ちに不開示決定の取消訴訟を適法に提起できる。開示請求者が審査請求を選んだ場合には、同法19条により行政機関の長は原則として情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならず、この専門的な審査の仕組みは審査請求を選ぶ動機にはなるが、選択を義務づけるものではない。本肢は自由選択が原則である取消訴訟に、法律の定めのない前置を持ち込んでいる点が誤りである。

処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
正しい。処分の取消しの訴えは審査請求ができる場合でも直ちに提起できるのが原則であり(行訴法8条1項本文)、保有個人情報の不開示決定について審査請求前置を定めた法律の規定はないから、審査請求をせずに取消訴訟を提起できる。
行訴法8条1項本文は、処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げないと定め、審査請求と取消訴訟のどちらを先に使うかを原告の選択に委ねる自由選択主義を原則とする。例外として審査請求に対する裁決を経なければ取消訴訟を提起できないのは、同項ただし書のとおり、法律にその旨の定めがある場合に限られる。保有個人情報の不開示決定については、設問の法である旧行政機関個人情報保護法にも、これを承継した個人情報保護法にも、審査請求前置を定める規定はない。個人情報保護法105条は、開示決定等について審査請求があったときに行政機関の長等が情報公開・個人情報保護審査会に諮問すべきことを定めるが、これは審査請求がされた場合の手続を規律するものであって、出訴の要件として審査請求を強制する趣旨ではない。したがって、不開示決定に不服のある者は審査請求を経ずに直接取消訴訟を提起でき、本肢は正しい。

処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
- 原則は自由選択主義: 審査請求ができる処分でも、直ちに取消訴訟を提起できる(8条1項本文)
- 審査請求前置: 法律に裁決を経た後でなければ取消訴訟を提起できない旨の定めがあるときだけ(8条1項ただし書)。個人情報保護法・情報公開法にその定めはない
- 前置が外れる場合: 審査請求から3か月を経過しても裁決がないとき、緊急の必要があるとき、その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき(8条2項)
- 両方を使ったとき: 裁判所は裁決があるまで訴訟手続を中止できる(8条3項)
誤り。違うのは「審査請求がされているときは,その審査請求に対する裁決があるまで,提起することができない」の部分である。審査請求中でも取消訴訟は提起でき、裁判所が訴訟手続を中止できるにとどまる(行政事件訴訟法8条3項)。
行政事件訴訟法8条1項本文は、処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても直ちに提起することを妨げないと定め、自由選択主義を採る。審査請求を先に経ることが求められるのは、同項ただし書により、裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起できない旨の定めを法律が置く場合に限られる。そして、自由選択主義が妥当する場面で現に審査請求がされているときについて、同条3項は、裁判所はその審査請求に対する裁決があるまで、審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないときはその期間を経過するまで、訴訟手続を中止することができると定めるにとどまる。審査請求の係属は取消訴訟の提起を妨げる事由ではなく、適法に提起された訴訟の進行を裁判所の裁量で一時止められる事由にすぎないのである。訴訟手続の中止という制度が置かれていること自体、審査請求中でも訴えを提起できることを前提にしている。本肢は、前半で自由選択主義を正しく述べながら、後半で審査請求中の提起を禁じており、8条1項本文と3項の規律に反する。

第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。
- 原則は自由選択主義であり、審査請求ができる場合でも直ちに取消訴訟を提起できる(1項本文)
- 法律に裁決を経た後でなければ提起できない旨の定めがあるときだけ審査請求前置になる(1項ただし書)
- 前置の定めがあっても、審査請求から3か月を経過しても裁決がないとき、著しい損害を避ける緊急の必要があるとき、その他正当な理由があるときは裁決を経ずに提起できる(2項)
- 自由選択の場面で審査請求がされているときは、裁判所は裁決があるまで訴訟手続を中止することができる(3項)。提起自体は妨げられない
誤り。違うのは「適法に処分の取消しの訴えを提起することができる」の部分である。最判昭48.6.21は、不適法な審査請求を裁決庁が誤って棄却しても審査請求前置の要件を満たさないとした。
行政事件訴訟法8条1項ただし書により審査請求前置が法律で定められている場合、前置の要件を満たすには適法な審査請求をして裁決を経ることが必要である。前置の制度は、処分庁の上級行政庁などに実体判断をやり直す機会を与えて行政の自己統制と裁判所の負担軽減を図るものだから、期間を過ぎた請求のようにそもそも審理の対象になり得ない不適法な請求では、その機会が正しく与えられたとはいえない。最判昭48.6.21は、不適法な審査請求について裁決庁が誤って実体審理をして棄却の裁決をした場合であっても、本来却下を免れないものであるから前置の要件を充足したとは認められないとした。裁決庁の過誤によって、期間を守らなかった者に取消訴訟の道が開かれる特別の利益を与えるべきではないからである。これに対し、適法な審査請求を裁決庁が誤って却下した場合には、審査庁に実体審理の機会は与えられていたので前置の要件は満たされる(最判昭36.7.21)。前置を満たすかは裁決の形式ではなく適法な申立てがあったかで決まるのであり、本肢はこの区別を逆にしている。

本来裁決で却下を免がれないものであって、たとえ実体審理のうえ棄却の裁決がなされたとしても、審査請求前置の要件を充足したとは認められない。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 適法な審査請求を裁決庁が誤って却下した | 最判昭36.7.21 | 審査庁に実体審理の機会があったので前置を満たし、取消訴訟を提起できる |
| 不適法な審査請求を裁決庁が誤って実体審理し棄却した | 最判昭48.6.21 | 本来却下を免れないので前置を満たさず、取消訴訟は不適法 |
正しい。処分について審査請求ができる場合でも、法律に審査請求前置の定めがない限り、直ちに取消訴訟を提起できる(行訴法8条1項)。
行訴法8条1項本文は、処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げないと定める。行政不服審査による救済と裁判による救済のどちらを選ぶか、あるいは両方を並行して使うかは原告に委ねられており、これを自由選択主義という。行政の自己統制の機会を確保するために審査請求を先行させることを求める考え方もあるが、それを一律に強いれば裁判を受ける権利を遅らせることになるため、法は原則を自由選択とし、同項ただし書で、法律に審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消訴訟を提起できない旨の定めがあるときに限って前置を認めた。国税通則法115条や地方税法19条の12のように大量の処分について専門的な審査を先行させる必要がある場合などが前置の例である。前置の定めがある場合でも、8条2項により、審査請求から3か月を経過しても裁決がないとき、緊急の必要があるとき、その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるときは、裁決を経ずに訴えを提起できる。

処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
- 原則: 自由選択主義。審査請求ができる場合でも直ちに取消訴訟を提起できる(1項本文)
- 例外: 法律に前置の定めがあるときだけ、裁決を経てから提起する(1項ただし書。国税通則法115条など)
- 前置の例外: 審査請求から3か月経過して裁決なし、緊急の必要、正当な理由(2項)
- 審査請求中の訴訟: 裁判所は裁決があるまで訴訟手続を中止できる(3項)
- 出訴期間: 審査請求をした者は裁決を知った日から6か月で数え直す(14条3項)
正しい。適法な審査請求を裁決庁が誤って却下した場合には、裁決庁に実体審理の機会が与えられていた以上、審査請求前置は満たされ、審査請求人は直ちに処分の取消しの訴えを提起できる(最判昭36.7.21)。
行政事件訴訟法8条1項は、処分の取消しの訴えは審査請求ができる場合でも直ちに提起できるのが原則であるが、法律に審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起できない旨の定めがあるときはこの限りでないとして、審査請求前置を法律の定めに委ねている。前置の趣旨は、訴訟の前に行政庁に処分を見直す機会を与え、行政の自己統制と裁判所の負担軽減を図る点にある。この趣旨から、ここでいう裁決を経たとは適法な審査請求に対する裁決を経たことを意味し、不適法な審査請求が却下された場合には、行政庁に実体審理の機会がなかったのだから前置を満たさない。これに対し、適法な審査請求がされたのに裁決庁が誤って却下した場合には、行政庁には処分について再審理する機会が現に与えられていたのであるから、最判昭36.7.21は、却下の決定であっても前置の要件を満たす裁決に当たり、審査請求人は直ちに出訴できるとした。逆に、不適法な審査請求を裁決庁が誤って棄却しても前置を満たしたことにはならない(最判昭48.6.21)。決め手は裁決の形式ではなく、適法な申立てがあったかどうかである。

国税庁長官又は国税局長が誤つてこれを不適法として却下した場合には本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、却下の決定であつてもこれを前記規定にいう審査の決定にあたるものと解するのが相当である。
- 原則は自由選択主義(8条1項本文)。前置は個別の法律の定めがあるときだけ(同項ただし書)
- 前置の例外(8条2項):審査請求から3か月を経過しても裁決がないとき、著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、その他正当な理由があるとき
- 適法な審査請求を誤って却下:前置を満たす(最判昭36.7.21)。不適法な審査請求を誤って棄却:満たさない(最判昭48.6.21)
- 前置の下でも審査請求と取消訴訟が並行する場合、裁判所は裁決まで訴訟手続を中止できる(8条3項)
- 出訴期間は裁決を経た場合、裁決があったことを知った日から6か月(14条3項)
誤り。違うのは「審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないときに限り」の部分である。行訴法8条2項は、緊急の必要があるときと正当な理由があるときにも裁決を経ないで提起できるとする。
行訴法8条1項本文は自由選択主義を採り、処分につき審査請求をすることができる場合でも直ちに取消訴訟を提起できるとしつつ、同項ただし書は、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消訴訟を提起することができない旨の定めがある場合、いわゆる審査請求前置の場合はこの限りでないとする。もっとも同条2項は、前置の定めがある場合であっても、審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないとき(1号)、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき(2号)、その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき(3号)のいずれかに該当すれば、裁決を経ないで取消訴訟を提起することができると定める。前置は行政の自己統制と裁判所の負担軽減のための仕組みであるが、審理の遅延や緊急の必要がある場合にまでこれを貫くと、裁判を受ける権利が不当に制約されるからである。本肢は1号の場合に限るとしており、2号と3号の例外を落としている点で8条2項に反する。

前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。一 審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。二 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。三 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
- 1号: 審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないとき
- 2号: 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき
- 3号: その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき
- 前置の定めがあり審査請求中でも、裁判所は裁決があるまで訴訟手続を中止できる(8条3項)
- 適法な審査請求を審査庁が誤って却下した場合も前置は満たされる(最判昭36.7.21)
誤り。出題当時は異議申立ての決定を経なければ審査請求できない場合があり双方に当てはまった(C)が、現行法では「他の不服申立てを前置しなければ適法に行えない場合」があるのは取消訴訟だけ(B)である。
取消訴訟については、行政事件訴訟法8条1項本文が、処分につき審査請求ができる場合でも直ちに取消訴訟を提起できるとして自由選択主義を原則としつつ、同項ただし書で、法律に審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消訴訟を提起できない旨の定めがあるときはそれに従うとして審査請求前置を認めている。法律の定めにより前置が要求される場合があることは現行法でも変わらない。他方、出題当時の行政不服審査法20条本文は、処分について異議申立てができるときは、その決定を経た後でなければ審査請求をすることができないと定めており、審査請求にも他の不服申立てを前置しなければ適法に行えない場合があったため、公式の正解は双方に当てはまるCであった。しかし平成26年の全部改正は異議申立てを廃止し、これに代わる再調査の請求を審査請求との自由選択とし(5条1項)、審査請求の前に他の不服申立てを経なければならない二重前置をすべて解消した。再調査の請求をした場合にその決定を待つのは申立人が自ら選んだ結果であって前置ではない。現行法では取消訴訟のみに当てはまるから、本肢は誤りとして扱う。

行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、処分に不服がある者は、再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第二条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。
| 審査請求(行政不服審査法) | 取消訴訟(行政事件訴訟法) | |
|---|---|---|
| 取り消せる理由 | 違法だけでなく不当も(1条1項・45条・46条) | 違法のみ。裁量処分は逸脱・濫用に限る(30条) |
| 申立て・出訴期間 | 処分があったことを知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年。正当な理由があれば例外(18条) | 処分があったことを知った日から6か月、処分の日から1年。正当な理由があれば例外(14条) |
| 適格 | 処分に不服がある者=法律上の利益を有する者(最判昭53.3.14 主婦連ジュース事件) | 処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(9条) |
| 前置 | 再調査の請求・再審査請求は法律に定めがあるときだけで、審査請求の前に他の不服申立てを経る義務はない(旧法の異議申立て前置は廃止) | 法律に定めがあれば審査請求前置(8条1項ただし書)。3か月経過などで解除(8条2項) |
| 審理 | 書面審理が原則、審理員と第三者機関の関与、職権探知 | 口頭弁論、弁論主義を基本に職権証拠調べ(24条) |
| 不利益変更 | 禁止(48条) | 不告不理により問題にならない |
誤り。違うのは「審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないときに限り」の部分である。
行政事件訴訟法8条1項は、処分の取消しの訴えは審査請求ができる場合でも直ちに提起できるとして自由選択主義を原則としつつ、ただし書で、法律に審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起できない旨の定めがあるときは審査請求前置によるとする。しかし前置が定められている場合でも、裁決が遅れたり裁決を待つことが権利救済上不当な結果を招くときにまで出訴を封じるのは相当でないため、同条2項は、審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないとき(1号)、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき(2号)、その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき(3号)のいずれかに当たれば裁決を経ないで取消訴訟を提起できると定める。例外事由は三つ並列であり、3か月の経過はその一つにすぎないから、これに限り出訴が許されるとする本肢は条文の内容を誤っている。なお、裁決を経ずに出訴した場合、裁判所は同条3項により裁決があるまで訴訟手続を中止できる。

前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。一 審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。二 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。三 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
- 主観的期間:処分があったことを知った日から6か月(14条1項)。知った日は現実に知った日であるが、書面が住所に配達されれば反証のない限りその日に知ったと推定される(最判昭27.11.20)
- 客観的期間:処分の日から1年(14条2項)。どちらも正当な理由があれば例外
- 審査請求をしたとき:その審査請求人については裁決があったことを知った日から6か月、裁決の日から1年に切り替わる(14条3項)。不適法な審査請求では切り替わらない
- 自由選択主義:審査請求ができる場合でも直ちに取消訴訟を起こせる(8条1項本文)。法律に前置の定めがあるときだけ裁決を経る必要がある
- 前置の例外(8条2項):①審査請求の日から3か月を経過しても裁決がない ②著しい損害を避ける緊急の必要 ③その他裁決を経ないことに正当な理由、のいずれかで裁決を経ずに出訴できる
誤り。出題当時は異議申立ての決定を経なければ審査請求できない場合があり双方に当てはまった(C)が、現行法では「他の不服申立てを前置しなければ適法に行えない場合」があるのは取消訴訟だけ(B)である。
取消訴訟については、行政事件訴訟法8条1項本文が、処分につき審査請求ができる場合でも直ちに取消訴訟を提起できるとして自由選択主義を原則としつつ、同項ただし書で、法律に審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消訴訟を提起できない旨の定めがあるときはそれに従うとして審査請求前置を認めている。法律の定めにより前置が要求される場合があることは現行法でも変わらない。他方、出題当時の行政不服審査法20条本文は、処分について異議申立てができるときは、その決定を経た後でなければ審査請求をすることができないと定めており、審査請求にも他の不服申立てを前置しなければ適法に行えない場合があったため、公式の正解は双方に当てはまるCであった。しかし平成26年の全部改正は異議申立てを廃止し、これに代わる再調査の請求を審査請求との自由選択とし(5条1項)、審査請求の前に他の不服申立てを経なければならない二重前置をすべて解消した。再調査の請求をした場合にその決定を待つのは申立人が自ら選んだ結果であって前置ではない。現行法では取消訴訟のみに当てはまるから、本肢は誤りとして扱う。

行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、処分に不服がある者は、再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第二条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。
| 審査請求(行政不服審査法) | 取消訴訟(行政事件訴訟法) | |
|---|---|---|
| 取り消せる理由 | 違法だけでなく不当も(1条1項・45条・46条) | 違法のみ。裁量処分は逸脱・濫用に限る(30条) |
| 申立て・出訴期間 | 処分があったことを知った日の翌日から3か月、処分の日の翌日から1年。正当な理由があれば例外(18条) | 処分があったことを知った日から6か月、処分の日から1年。正当な理由があれば例外(14条) |
| 適格 | 処分に不服がある者=法律上の利益を有する者(最判昭53.3.14 主婦連ジュース事件) | 処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(9条) |
| 前置 | 再調査の請求・再審査請求は法律に定めがあるときだけで、審査請求の前に他の不服申立てを経る義務はない(旧法の異議申立て前置は廃止) | 法律に定めがあれば審査請求前置(8条1項ただし書)。3か月経過などで解除(8条2項) |
| 審理 | 書面審理が原則、審理員と第三者機関の関与、職権探知 | 口頭弁論、弁論主義を基本に職権証拠調べ(24条) |
| 不利益変更 | 禁止(48条) | 不告不理により問題にならない |




































































































