民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。
この条文の過去問 5問
誤り。違うのは「公職選挙法上の選挙訴訟であって、法第5条の民衆訴訟である」の部分である。自己の選挙権を行使する地位の確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えである(最大判平17.9.14)。
行訴法5条の民衆訴訟は、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいい、客観訴訟であるから法律に定める場合に法律に定める者に限り提起できる(42条)。公職選挙法203条・204条の選挙の効力に関する訴訟はその典型で、選挙全体の効力を客観的に争わせる制度である。これに対し本肢の訴えは、在外国民である原告自身が次回の選挙で選挙権を行使できる地位にあることの確認を求めるものであり、自己の法律上の利益にかかわる地位の確認である。したがって、自己の利益にかかわらない資格で提起する民衆訴訟には当たらず、公職選挙法が定める選挙訴訟の類型にも当たらない。最大判平17.9.14は、この訴えを公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法と認めた上で、在外選挙制度の対象を比例代表選出議員の選挙に限っていた公職選挙法の規定を違憲と判断した。選挙に関する訴えであっても、自分の権利を争うものは主観訴訟であり、選挙という題材だけで民衆訴訟に振り分けることはできない。

本件確認請求に係る訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、上記の内容の公法上の当事者訴訟のうち公法上の法律関係に関する確認の訴えと解することができるところ、その内容をみると、公職選挙法附則8項につき所要の改正がされないと、在外国民である上告人らが、今後直近に実施されることになる衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができず、選挙権を行使する権利を侵害されることになるので、そのような事態になることを防止するために、同上告人らが、同項が違憲無効であるとして、当該各選挙につき選挙権を行使する権利を有することの確認をあらかじめ求める訴えであると解することができる。
| 類型 | 争う対象 | 例 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 公権力の行使に関する不服 | 取消訴訟、無効等確認、不作為の違法確認、義務付け、差止め |
| 形式的当事者訴訟(4条前段) | 処分・裁決に関する法律関係で、法令が当事者の一方を被告と定めるもの | 土地収用法133条の損失補償の訴え(被告は起業者) |
| 実質的当事者訴訟(4条後段) | 公法上の法律関係の確認その他 | 在外国民の選挙権行使の地位確認(最大判平17.9.14)、職務命令に基づく義務の不存在確認(最判平24.2.9) |
| 争点訴訟(45条) | 私法上の法律関係で、処分の効力が前提問題 | 収用裁決の無効を前提とする所有権確認(民事訴訟) |
| 民衆訴訟(5条)・機関訴訟(6条) | 自己の法律上の利益にかかわらない是正/機関相互の権限争い | 選挙無効訴訟・住民訴訟/地方自治法251条の5の訴え。法律の定めがある場合だけ(42条) |
誤り。違うのは「行政主体間の権限の行使に関する紛争に該当し、法第6条の機関訴訟である」の部分である。建物の所有者として固有の利益の侵害を主張する国の訴えは法律上の争訟であり、機関訴訟ではない(最判平13.7.13)。
行訴法6条の機関訴訟は、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟であり、民衆訴訟と同じく客観訴訟として、法律に定める場合に法律に定める者に限り提起できる(42条)。しかし、国や地方公共団体が訴訟当事者であっても、その紛争が公権力の主体としての権限の行使をめぐるものではなく、財産権の主体として自己の権利利益の保護救済を求めるものであるときは、当事者間の具体的な権利義務の存否に関する紛争であって、裁判所法3条1項の法律上の争訟に当たり、通常の抗告訴訟によることができる。本肢の訴えは、地方公共団体の長がした設計図面の公開決定によって、国が庁舎の所有者として持つ固有の利益が侵害されることを理由とするものであり、行政主体間の権限の行使をめぐる争いではない。最判平13.7.13も、この訴えは建物の所有者としての固有の利益の侵害を理由とするものであるから法律上の争訟に当たるとし、国の原告適格を認めた。国が原告であるという形ではなく、何を守るために訴えているかで訴訟の類型は決まる。

本件訴訟は、国が、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由として、本件公開決定の取消しを求めるものであるから、法律上の争訟に当たり、国は本件公開決定の取消しを求める原告適格を有する。
| 類型 | 争う対象 | 例 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 公権力の行使に関する不服 | 取消訴訟、無効等確認、不作為の違法確認、義務付け、差止め |
| 形式的当事者訴訟(4条前段) | 処分・裁決に関する法律関係で、法令が当事者の一方を被告と定めるもの | 土地収用法133条の損失補償の訴え(被告は起業者) |
| 実質的当事者訴訟(4条後段) | 公法上の法律関係の確認その他 | 在外国民の選挙権行使の地位確認(最大判平17.9.14)、職務命令に基づく義務の不存在確認(最判平24.2.9) |
| 争点訴訟(45条) | 私法上の法律関係で、処分の効力が前提問題 | 収用裁決の無効を前提とする所有権確認(民事訴訟) |
| 民衆訴訟(5条)・機関訴訟(6条) | 自己の法律上の利益にかかわらない是正/機関相互の権限争い | 選挙無効訴訟・住民訴訟/地方自治法251条の5の訴え。法律の定めがある場合だけ(42条) |
誤り。違うのは末尾の「下級行政機関は、その不承認の取消しを求めて抗告訴訟を提起することができる」の部分である。
取消訴訟の対象となる処分とは、公権力の主体たる国又は公共団体の行為のうち、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最判昭39.10.29)。上級行政機関が指揮監督権の一環として下級行政機関の事務処理について行う承認・不承認は、行政主体の内部における意思形成過程の行為であり、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼさないから処分性を欠く。最判昭53.12.8(成田新幹線事件)も、運輸大臣が日本鉄道建設公団に対してした工事実施計画の認可を、行政機関相互の行為と同視すべきものであって外部に対する効力を有する行政行為ではないとし、抗告訴訟は提起できないとした。加えて、行政機関は権利義務の帰属主体ではなく、上級行政機関と下級行政機関の争いは組織内部の権限分配の争いにとどまるから、法律上の争訟(裁判所法3条1項)にも当たらない。この種の紛争は機関相互間の権限の存否又はその行使に関する紛争として機関訴訟(行訴法6条)に当たり、法律に定める場合に法律に定める者に限り提起できる(42条)。

本件認可は、いわば上級行政機関としての運輸大臣が下級行政機関としての日本鉄道建設公団に対しその作成した本件工事実施計画の整備計画との整合性等を審査してなす監督手段としての承認の性質を有するもので、行政機関相互の行為と同視すべきものであり、行政行為として外部に対する効力を有するものではなく、また、これによつて直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定する効果を伴うものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。
- 上級行政機関の承認・不承認・認可は内部行為で処分性がない(最判昭53.12.8 成田新幹線事件)
- 行政機関には権利義務の帰属主体としての法人格がなく、権限の争いは法律上の争訟(裁判所法3条1項)に当たらない
- 機関相互間の権限の存否・行使に関する紛争は機関訴訟(行訴法6条)で、法律に定める場合に法律に定める者だけが提起できる(42条)
- 例: 国の関与に関する訴え(地方自治法251条の5)、地方公共団体の長と議会の間の訴え(同法176条7項)
誤り。違うのは「それぞれの行政機関は裁判所に提訴することができる」の部分であり、行政機関相互の権限の争いは機関訴訟として法律に定める場合に法律に定める者に限って提起できるところ(行政事件訴訟法42条)、各省間の所掌事務の争いを裁判所に持ち込む法律の定めはない。
裁判所法3条1項の法律上の争訟は、当事者間の具体的な権利義務又は法律関係の存否に関する紛争で、法令の適用により終局的に解決できるものをいう。A省とB省はいずれも国という同一の法人格の内部の機関であり、所掌事務の範囲をめぐる争いは、機関相互間の権限の存否又はその行使に関する紛争であって、法人格を持つ者どうしの権利義務の争いではない。行政事件訴訟法6条はこれを機関訴訟と定義し、42条は、民衆訴訟及び機関訴訟は法律に定める場合において法律に定める者に限り提起することができると定める。機関訴訟は法律上の争訟に当たらず、法律が個別に認めたときだけ裁判所が審理できるからである。国の行政機関相互の権限の争いは、内閣法7条により内閣総理大臣が閣議にかけて裁定する仕組みが用意されており、これを裁判所に提訴できるとする法律の定めはない。事務配分が各省設置法で法定されているから法的紛争だという理由では、出訴を認める法律の明文に代えることはできない。判例も、機関相互の争いは法律が特に認めた場合を除き訴訟の対象にならないとしている(最判昭28.6.12)。

民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。
- 民衆訴訟(5条):国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの。選挙無効訴訟と住民訴訟
- 機関訴訟(6条):国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟。地方自治法251条の5の関与に関する訴えなど
- いずれも法律上の争訟ではないから、法律に定める場合に法律に定める者に限り提起できる(42条)。法律の明文が無ければ却下される
- 機関相互の権限争いは原則として訴訟の対象にならない(最判昭28.6.12)。国が建物所有者としての固有の利益を主張する訴えは機関訴訟ではなく通常の抗告訴訟(最判平13.7.13)
正しい。行政事件訴訟法6条は機関訴訟を国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟と定義し、42条は法律に定める場合において法律に定める者に限り提起できるとしている。
行政事件訴訟法6条は、機関訴訟とは国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいうと定義する。行政機関相互の権限争いは本来、行政組織の内部で上級機関の裁定などにより解決されるべきものであり、国民の権利義務に関する法律上の争訟(裁判所法3条1項)には当たらないから、裁判所が当然に審判できる事件ではない。そこで42条は、民衆訴訟と機関訴訟は法律に定める場合において法律に定める者に限り提起することができると定め、個別の法律が特に裁判所の審判に委ねた場合に限って認める客観訴訟として位置づけている。地方自治法176条7項の議会と長の間の訴訟や、同法251条の5の国の関与に関する訴訟、同法252条の代執行手続における訴訟などがその例である。国と地方公共団体の間の訴訟は、対等な法主体間の争いという側面もあるが、法律が機関訴訟として整理しているものは同条の規律に従う。本肢は6条と42条の内容を正確に述べている。

この法律において「機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。/民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。
| 類型 | 定義 | 原告 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟(3条) | 行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟。法定6類型のほか無名抗告訴訟の余地がある | 法律上の利益を有する者(9条) |
| 当事者訴訟(4条) | 形式的当事者訴訟(法令により法律関係の一方を被告とする)と実質的当事者訴訟(公法上の法律関係に関する確認・給付訴訟) | 法律関係の当事者 |
| 民衆訴訟(5条) | 国・公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの | 法律に定める者に限る(42条)。9条は準用されない(43条1項) |
| 機関訴訟(6条) | 国・公共団体の機関相互間の権限の存否・行使に関する紛争の訴訟 | 法律に定める者に限る(42条) |


