証拠法の体系|証拠調べの手続・文書提出命令・証人尋問
民事訴訟法の証拠法を体系的に解説。証拠調べの手続、文書提出義務の範囲、証人尋問の方法、書証・鑑定・検証を整理します。
この記事のポイント
証拠法は自由心証主義の下で証拠調べの手続と証拠方法を規律する分野であり、文書提出命令の範囲が最大の論点である。
証拠方法の種類
証拠方法 内容 条文 証人 第三者の口頭での供述 190条〜 当事者尋問 当事者本人の供述 207条〜 鑑定 専門家の意見 212条〜 書証 文書の取調べ 219条〜 検証 裁判官の五感による認識 232条〜文書提出命令(220条〜223条)
一般義務文書(220条4号)
改正により、文書提出義務は一般義務に拡大された。
文書提出義務の除外事由(220条4号各号)
除外事由 内容 イ号 文書の所持者又は一定の関係者が刑事訴追を受けるおそれがある場合 ロ号 公務員の職務上の秘密に関する文書 ハ号 医師等の職業上の秘密に関する文書 ニ号 自己利用文書(専ら内部利用のために作成された文書) ホ号 刑事事件に関する訴訟記録自己利用文書の判断基準
最決平11.11.12:自己利用文書に該当するためには、①専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、②外部の者に開示することが予定されていない文書であることが必要。
証人尋問
証人義務
義務 内容 出頭義務 裁判所に出頭する義務 宣誓義務 宣誓する義務(201条) 供述義務 証言する義務証言拒絶権(196条・197条)
事由 内容 刑事訴追のおそれ 証人又は一定の関係者が刑事訴追を受けるおそれ 職業上の秘密 医師・弁護士等の職業上の秘密 技術又は職業の秘密 営業秘密等書証
形式的証拠力と実質的証拠力
概念 内容 形式的証拠力 文書が作成者の意思に基づいて作成されたこと(成立の真正) 実質的証拠力 文書の内容が要証事実の証明に役立つこと文書の成立の推定(228条4項)
私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
二段の推定
- 一段目:印影が本人の印鑑によるものと認められる場合、本人の意思に基づく押印と事実上推定
- 二段目:228条4項により文書全体の真正な成立が法律上推定
まとめ
- 証拠方法は証人・当事者尋問・鑑定・書証・検証の5種類
- 文書提出義務は一般義務だが自己利用文書等は除外
- 証人は出頭・宣誓・供述の3義務を負う
- 書証は形式的証拠力と実質的証拠力を区別
- 二段の推定は文書の成立の真正に関する重要法理
FAQ
Q1. 文書提出命令に従わない場合の効果は?
裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができます(224条1項)。
Q2. 電子データも書証として提出できますか?
はい。電子メール等の電子データも書証として提出可能です。準文書として取り扱われます(231条)。