新株予約権の体系|ストックオプション・買収防衛策・ポイズンピル
新株予約権の体系を解説。ストックオプションとしての利用、買収防衛策としての活用、有利発行規制、新株予約権無償割当てを整理します。
この記事のポイント
新株予約権は、資金調達のみならずストックオプションや買収防衛策としても活用される多機能な制度である。 発行手続と有利発行規制、買収防衛策としての適法性が重要論点。
新株予約権の基本
意義
新株予約権とは、会社に対して行使することにより当該会社の株式の交付を受けることができる権利(2条21号)。
新株予約権の内容(236条)
項目 内容 目的となる株式の種類・数 行使により取得できる株式 行使価額 行使時に払い込む金額 行使期間 行使可能な期間 行使条件 行使に際して付された条件 取得条項 一定事由での会社による取得発行手続
募集新株予約権の発行
場面 決定機関 原則 取締役会(公開会社)/株主総会(非公開会社) 有利発行 株主総会の特別決議(238条3項) ストックオプション 報酬としての決定+発行手続新株予約権無償割当て(277条)
項目 内容 意義 既存株主に対して無償で新株予約権を割り当てる 決定機関 取締役会決議(278条3項) 買収防衛策への利用 ポイズンピルの手段として利用ストックオプション
意義
取締役・従業員に対するインセンティブ報酬として新株予約権を付与する制度。
手続
- 報酬としての決定:361条に基づき株主総会で報酬の内容を決定
- 新株予約権の発行:取締役会決議
- 付与:取締役・従業員に交付
税制適格ストックオプション
一定の要件を充たす場合、行使時の課税が売却時まで繰り延べられる。
買収防衛策としての新株予約権
ポイズンピル(事前警告型)
項目 内容 仕組み 一定の買収者が現れた場合に既存株主に新株予約権を割り当てる 効果 買収者の持株比率を希釈化 差別的条件 買収者のみ行使不可とする条件ブルドックソース事件(最決平19.8.7)
項目 内容 事案 敵対的買収者に対する差別的な新株予約権無償割当て 判旨 株主総会の特別決議による承認があり、相当性が認められれば、差別的条件の新株予約権無償割当ても許容される 意義 株主意思を重視した買収防衛策の適法性判断基準東京機械製作所事件(最決令3.11.18)
項目 内容 事案 市場内買付けによる買収者に対する差別的な新株予約権無償割当て 判旨 株主総会の判断を尊重し、仮処分申立てを却下 意義 市場内買付けに対する防衛策にも株主総会決議による正当化を認めた新株予約権の差止め・無効
差止め(247条)
差止事由 内容 法令定款違反 発行手続の法令定款違反 著しく不公正な方法 不当な目的による発行無効の訴え(828条1項4号)
- 提訴期間:6か月以内(公開会社)/1年以内(非公開会社)
- 無効原因:発行手続の重大な瑕疵
まとめ
- 新株予約権は資金調達・ストックオプション・買収防衛策に活用
- 有利発行には株主総会の特別決議が必要
- 買収防衛策としての新株予約権は株主総会の承認と相当性が要件
- ポイズンピルは差別的条件付きの新株予約権無償割当てで実現
- 差止めは247条、無効は828条1項4号で争う
FAQ
Q1. 買収防衛策は取締役会決議だけで導入できますか?
形式的には新株予約権無償割当ては取締役会決議で可能ですが、判例は株主総会の承認を重視しており、株主総会決議を経ることが実務上の標準です。
Q2. ストックオプションの行使条件に在職条件を付すことは可能ですか?
可能です。退職した場合に行使できなくする条件は一般的であり、インセンティブ報酬の趣旨に合致します。
Q3. 新株予約権の譲渡制限は付せますか?
可能です(236条1項6号)。ストックオプションとして付与する場合は通常、譲渡制限が付されます。