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改正民法の重要変更点30選|債権法改正を横断整理

2020年施行の改正民法の重要変更点を30項目に厳選して横断整理。消滅時効、法定利率、債務不履行、契約不適合責任など試験頻出の改正点を解説します。

この記事のポイント

2020年4月施行の改正民法(債権法改正)は、約120年ぶりの大改正であり、民法全体の試験対策に直結する。 消滅時効の統一、法定利率の変動制導入、帰責事由の判断基準変更、瑕疵担保責任から契約不適合責任への転換など、司法試験で問われる改正点を30項目に厳選して整理する。


総則分野の改正

1. 意思能力(3条の2)

意思能力を有しない者がした法律行為は無効であることを明文化。

2. 錯誤(95条)

  • 効果を「無効」から「取消し」に変更
  • 動機の錯誤の「表示」要件を明文化
  • 重大な過失の例外を明文化

3. 代理権の濫用(107条)

代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方がその目的を知り又は知ることができたときは無権代理とみなす。

4. 消滅時効の統一(166条)

改正前 改正後 主観的起算点 なし(一部) 権利行使できることを知った時から5年 客観的起算点 権利行使できる時から10年 権利行使できる時から10年 短期消滅時効 職業別(1年〜3年) 廃止(統一)

5. 時効の完成猶予と更新(147条以下)

「中断」「停止」→「完成猶予」「更新」に用語変更。協議による完成猶予を新設。

6. 法定利率(404条)

  • 固定制(年5%)→変動制(施行時は年3%)に変更
  • 3年ごとに見直し

債権総論の改正

7. 債務不履行の帰責事由(415条1項)

「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」判断する(契約責任的構成への転換)。

8. 履行不能の定義(412条の2)

「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるとき」と定義。原始的不能でも契約有効。

9. 催告解除の軽微性(541条ただし書)

不履行が軽微であるときは解除不可。

10. 無催告解除の整理(542条)

履行不能、拒絶の意思表示、定期行為等を列挙。

11. 解除と帰責事由(543条)

解除の要件から債務者の帰責事由を不要とし、債権者の帰責事由がある場合は解除不可

12. 危険負担(536条)

債権者主義(旧534条)を廃止。履行拒絶権構成に変更。

13. 債権者代位権(423条以下)

代位行使の範囲を被保全債権の額に限定(423条の2)。直接引渡請求を明文化。

14. 詐害行為取消権(424条以下)

詐害行為の類型化(相当対価処分、偏頗行為等)。転得者要件の明文化。

15. 連帯債務の絶対的効力事由の縮小

請求・免除・時効完成が相対的効力に変更。

16. 保証の書面要件(446条2項)

保証契約は書面でしなければ無効(改正前から維持・強調)。

17. 個人根保証の規制拡大(465条の2)

貸金等根保証に限定されていた極度額の規制を全ての個人根保証に拡大。

18. 情報提供義務の新設

事業債務の保証における主債務者の情報提供義務(465条の10)、期限の利益喪失時の通知義務(458条の3)。

19. 債権譲渡制限特約(466条2項)

特約があっても譲渡は有効に変更。悪意・重過失の譲受人に対しては履行拒絶可。

20. 将来債権譲渡(466条の6)

将来債権の譲渡が可能であることを明文化。

21. 異議をとどめない承諾の廃止

抗弁切断効を定めた旧468条1項を廃止。


契約各論の改正

22. 契約不適合責任(562条以下)

瑕疵担保責任→契約不適合責任。追完請求権・代金減額請求権を新設。

23. 通知期間(566条)

不適合を知った時から1年以内に通知すれば足りる(権利行使不要)。

24. 賃貸人の地位の移転(605条の2)

不動産譲渡による賃貸人の地位の当然移転を明文化。

25. 敷金(622条の2)

敷金の定義と返還時期を明文化。

26. 原状回復義務(621条)

通常損耗・経年変化は原状回復義務の対象外と明文化。

27. 定型約款(548条の2以下)

定型約款のみなし合意、不当条項規制、変更の要件を新設。

28. 請負の報酬(634条)

仕事完成前の可分な利益に対する報酬請求を明文化。

29. 成果完成型委任(648条の2)

成果に対して報酬を支払う委任を新設。

30. 存続期間の上限(604条)

賃貸借の存続期間上限を20年→50年に延長。


試験での活用法

論文式試験での改正アピール

改正論点が出題された場合、「改正民法では〜」と改正前との違いを示すことが得点に直結する。特に以下の論点は改正アピールが重要。

  • 帰責事由の判断基準
  • 解除と帰責事由の関係
  • 契約不適合責任の4つの救済手段
  • 連帯債務の絶対的効力事由の縮小

まとめ

  • 消滅時効は主観5年・客観10年に統一、短期消滅時効は廃止
  • 法定利率は年5%から変動制(施行時3%)に変更
  • 帰責事由は契約責任的構成に転換
  • 瑕疵担保責任は契約不適合責任に再構成
  • 個人根保証の極度額規制が全個人根保証に拡大

FAQ

Q1. 改正民法で最も重要な変更は何ですか?

試験対策上最も重要なのは、①消滅時効の統一、②帰責事由の判断基準変更、③契約不適合責任への転換、④連帯債務の絶対的効力事由の縮小の4点です。

Q2. 改正前の知識は不要ですか?

改正前の規律を知っていることで改正の趣旨を理解でき、答案で「改正により〜に変更された」と記述できるため有用です。ただし、試験では改正後の規律を適用します。

Q3. 短期消滅時効の廃止はどう影響しますか?

旧法の1年〜3年の職業別短期消滅時効が廃止され、すべて主観5年・客観10年に統一されました。実務上は時効期間が長くなるケースと短くなるケースがあります。


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