組合契約・和解・寄託|典型契約の残論点を整理
民法の組合契約(667条)・和解(695条)・寄託(657条)を解説。各契約の成立要件、効力、改正民法の変更点を整理します。
この記事のポイント
組合契約・和解・寄託は、売買・賃貸借・請負等に比べて出題頻度は低いが、体系的理解のために不可欠な典型契約である。 改正民法では寄託が諾成契約に変更されるなど重要な変更がなされた。
組合契約(667条)
成立要件
項目 内容 当事者 2名以上 出資 各当事者が出資をなすこと 共同事業 共同の事業を営むことを約すること 性質 諾成・双務・有償契約組合財産
- 組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する(668条)
- 組合員は組合財産の持分の処分ができるが、それをもって組合および第三者に対抗できない(676条)
組合の業務執行
- 組合員の過半数で決定(670条1項)
- 業務執行組合員を選任した場合はその者が決定(670条2項)
- 常務は各組合員が単独で行える(670条3項)
組合員の責任
- 組合の債務は各組合員が分割して負担する(675条)
- 連帯債務ではない点が重要
組合の解散事由
- 目的である事業の成功または成功の不能
- 存続期間の満了
- 組合員の合意
- やむを得ない事由による裁判所の解散命令
和解(695条)
成立要件
項目 内容 当事者間の争い 法律関係についての争いの存在 互譲 当事者が互いに譲歩すること 争いをやめる合意 紛争終結の合意 性質 諾成・双務・有償契約和解の効力
和解は確定効を有する(696条)。すなわち、和解によって争いの対象となった権利について、和解の内容に従った法律関係が確定する。
和解の確定効の範囲
- 和解の対象となった事項について、後に反対の証拠が出ても和解の効力は覆されない
- ただし、和解の前提とされた事項(争いの目的でない事項)に錯誤があれば、錯誤取消し(95条)の余地がある
和解と錯誤
場面 処理 争いの目的たる事項の錯誤 696条により和解の確定効が優先 争いの前提たる事項の錯誤 95条の錯誤取消しが可能寄託(657条)
改正民法による変更
項目 改正前 改正後 性質 要物契約 諾成契約 成立時期 目的物の引渡し時 合意時受寄者の義務
- 保管義務:善管注意義務(659条は無報酬の場合を規定)
- 自ら保管する義務:再寄託は原則不可(658条)
- 返還義務:寄託者の請求により返還
無償寄託の注意義務
改正民法では、無報酬の受寄者も善管注意義務を負う(改正前は「自己の財産と同一の注意」)。ただし、659条により無報酬の受寄者の注意義務は軽減されうる。
消費寄託(666条)
- 受寄者が寄託物を消費できる類型
- 銀行預金が典型例
- 消費貸借の規定が準用される
典型契約の全体像
契約 有償/無償 諾成/要物 双務/片務 売買 有償 諾成 双務 交換 有償 諾成 双務 贈与 無償 諾成 片務 消費貸借 無償/有償 要物/諾成 片務 使用貸借 無償 諾成 片務 賃貸借 有償 諾成 双務 雇用 有償 諾成 双務 請負 有償 諾成 双務 委任 無償/有償 諾成 片務/双務 寄託 無償/有償 諾成 片務/双務 組合 有償 諾成 双務 終身定期金 有償 諾成 双務 和解 有償 諾成 双務まとめ
- 組合契約は出資と共同事業を要素とし、組合財産は総組合員の共有
- 和解は互譲と紛争終結の合意を要素とし、確定効を有する
- 寄託は改正民法で要物契約から諾成契約に変更された
- 無償寄託の受寄者も善管注意義務を負う(改正民法)
- 典型契約の分類(有償/無償、諾成/要物、双務/片務)の横断理解が重要
FAQ
Q1. 組合と会社の違いは?
組合は法人格を有しませんが、会社は法人格を有します。組合の財産は総組合員の共有であり、組合の債務は各組合員が分割して負担します。
Q2. 和解の確定効はどこまで及びますか?
和解の対象となった争いの目的たる事項に及びます。争いの前提とされた事項については確定効が及ばず、錯誤取消しの余地があります(最判昭33.6.14)。
Q3. 消費寄託と消費貸借の違いは?
消費寄託は寄託者の利益のため、消費貸借は借主の利益のためです。返還時期について、消費寄託では寄託者がいつでも返還請求できますが、消費貸借では催告期間が必要です。