金融商品取引法の基礎|インサイダー取引・開示規制・公開買付け
金融商品取引法の基礎を解説。インサイダー取引規制、有価証券届出書等の開示規制、公開買付け(TOB)規制を整理します。
この記事のポイント
金融商品取引法は証券市場の公正性と投資者保護を目的とし、開示規制・不公正取引規制・業者規制が三本柱である。 司法試験との関連ではインサイダー取引規制と有価証券報告書の虚偽記載が重要。
金商法の体系
規制 内容 開示規制 有価証券届出書、有価証券報告書等の作成・提出義務 不公正取引規制 インサイダー取引、相場操縦、虚偽記載 業者規制 金融商品取引業者の登録・行為規制インサイダー取引規制(166条・167条)
規制の対象者
対象者 具体例 会社関係者 役員、従業員、大株主、取引先 第一次情報受領者 会社関係者から情報を受けた者規制の対象行為
重要事実の公表前に、当該会社の有価証券の売買等を行うこと。
重要事実(166条2項)
類型 具体例 決定事実 新株発行、合併、業務提携 発生事実 災害、訴訟の提起、主要取引先の倒産 決算情報 業績の大幅な上方・下方修正 バスケット条項 投資判断に著しい影響を及ぼす事実公表の方法
2以上の報道機関に公開し12時間経過、又はTDnet等での適時開示。
開示規制
発行開示
書類 内容 有価証券届出書 新規発行・売出しの際に提出 目論見書 投資者への勧誘時に交付継続開示
書類 提出時期 有価証券報告書 事業年度終了後3か月以内 半期報告書 中間期間終了後3か月以内 臨時報告書 重要事実の発生時虚偽記載の責任
責任 内容 民事責任 投資者に対する損害賠償(18条・21条の2等) 刑事責任 10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金 課徴金 内閣総理大臣による課徴金納付命令公開買付け(TOB)規制
意義
上場会社の株式等を市場外で大量に取得する場合の手続規制。
強制的公開買付けの要件
場面 TOBの要否 市場外取引で株券等の保有割合が5%を超える 原則必要 買付け後の保有割合が1/3超 必要手続
- 公開買付届出書の提出
- 公開買付公告
- 買付期間(20〜60営業日)
- 応募株主への決済
大量保有報告制度(5%ルール)
項目 内容 報告義務 上場会社の株券等の保有割合が5%を超えた場合 報告書 大量保有報告書を5営業日以内に提出 変更報告 保有割合が1%以上変動した場合まとめ
- 金商法は開示規制・不公正取引規制・業者規制が三本柱
- インサイダー取引は重要事実の公表前の売買を規制
- 有価証券報告書の虚偽記載には民事・刑事・課徴金の制裁
- 大量の株式取得には公開買付け手続が必要
- 5%ルールにより大量保有の透明性を確保
FAQ
Q1. インサイダー取引の罰則は?
5年以下の懲役又は500万円以下の罰金、またはこれらの併科です。法人の場合は5億円以下の罰金です。
Q2. 金商法と会社法の関係は?
金商法は証券市場における規制を定め、会社法は会社の内部関係を規律します。上場会社には両方の規制が適用されます。
Q3. 市場内での買付けにもTOB規制は適用されますか?
原則として市場内の買付けにはTOB規制は適用されませんが、急速な大量買付け(3分の1ルール)に該当する場合は適用されます。