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機関設計の全体像|取締役会・監査役会・委員会型の比較

会社法の機関設計を体系的に解説。取締役会設置会社・監査役会設置会社・委員会型会社の比較、機関設計のルールと選択肢を整理します。

この記事のポイント

会社法は柔軟な機関設計を認めており、会社の規模・性質に応じて多様な機関の組み合わせが可能である。 ただし、公開会社・大会社等には一定の機関設計が義務づけられている。


機関設計の基本ルール

必置機関

会社の類型 必置機関 全ての株式会社 株主総会+取締役(1名以上) 取締役会設置会社 取締役3名以上+監査役等 公開会社 取締役会 大会社 会計監査人 公開会社かつ大会社 取締役会+監査役会+会計監査人、または委員会型

機関設計のルール

  1. 取締役会を置く場合、監査役(監査等委員会・指名委員会等を含む)が必要
  2. 会計監査人を置く場合、監査役(同上)が必要
  3. 監査役会を置く場合、監査役は3名以上半数以上が社外監査役

3つの機関設計モデル

モデル1:監査役会設置会社

項目 内容 構成 取締役会+監査役会+会計監査人 特徴 伝統的な日本型ガバナンス 監査役の権限 業務監査+会計監査 社外要件 社外監査役が半数以上

モデル2:監査等委員会設置会社

項目 内容 構成 取締役会(監査等委員である取締役を含む) 特徴 2014年改正で導入。監査役なし 監査等委員 取締役3名以上(過半数が社外取締役) 議決権 監査等委員は取締役会で議決権を有する

モデル3:指名委員会等設置会社

項目 内容 構成 取締役会+指名委員会+監査委員会+報酬委員会+執行役 特徴 業務執行と監督の分離が最も徹底 各委員会 取締役3名以上(過半数が社外取締役) 執行役 業務執行を担う

株主総会

権限

会社の類型 株主総会の権限 取締役会非設置会社 万能機関(全ての事項を決定可能) 取締役会設置会社 法定事項+定款記載事項に限定(295条2項)

決議要件

決議の種類 定足数 決議要件 具体例 普通決議 過半数出席 出席議決権の過半数 取締役の選任、計算書類の承認 特別決議 過半数出席 出席議決権の2/3以上 定款変更、合併、事業譲渡 特殊決議 総株主の半数以上 議決権の2/3以上 譲渡制限の定めの新設等

取締役・取締役会

取締役の義務

義務 条文 内容 善管注意義務 330条・民法644条 善良な管理者としての注意義務 忠実義務 355条 法令・定款・株主総会決議の遵守 競業避止義務 356条1項1号 取締役会の承認が必要 利益相反取引の制限 356条1項2号・3号 取締役会の承認が必要

経営判断原則

取締役の経営判断については、判断の過程・内容に著しく不合理な点がない限り、善管注意義務違反は問われない。


まとめ

  • 全ての株式会社に株主総会と取締役が必置
  • 公開会社は取締役会が必要、大会社は会計監査人が必要
  • 3つの機関設計モデル(監査役会型・監査等委員会型・指名委員会等型
  • 取締役は善管注意義務・忠実義務を負う
  • 経営判断原則により一定の裁量が認められる

FAQ

Q1. 善管注意義務と忠実義務の関係は?

判例(最判昭45.6.24)は両者を同質のものと解しています(同質説)。忠実義務は善管注意義務を敷衍したものにすぎないとの立場です。

Q2. 社外取締役はなぜ重要ですか?

経営の監督機能の強化のためです。2019年改正で上場会社には社外取締役の設置が義務づけられました(327条の2)。

Q3. 監査等委員会設置会社のメリットは?

監査役会設置会社と比べて監査等委員が取締役として議決権を有する点、指名委員会等設置会社と比べて機関設計が簡素な点がメリットです。


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