監査役と会計監査人|権限・義務・責任の比較
監査役と会計監査人の権限・義務・責任を比較解説。監査の範囲、報告義務、独立性確保の仕組み、責任限定契約を整理します。
この記事のポイント
監査役は業務監査と会計監査を担う機関であり、会計監査人は会計監査の専門家として計算書類等の監査を行う。 両者の権限の範囲と責任の内容を比較的に理解することが重要。
監査役の権限
監査の範囲
会社の類型 監査の範囲 監査役会設置会社 業務監査+会計監査 会計監査限定の監査役 会計監査のみ(非公開会社で定款の定め)具体的権限
権限 条文 内容 業務財産調査権 381条2項 取締役・使用人に報告を求め、業務・財産を調査 子会社調査権 381条3項 子会社に対する調査権 取締役会への出席義務 383条1項 取締役会に出席し意見を述べる義務 取締役の違法行為の差止請求 385条 法令定款違反の行為の差止め 会社代表権 386条 会社と取締役間の訴えにおける会社代表会計監査人の権限
権限 条文 内容 計算書類等の監査 396条1項 計算書類・臨時計算書類・連結計算書類の監査 会計帳簿の閲覧等 396条2項 会計帳簿等の閲覧・謄写、報告徴求 子会社調査権 396条3項 子会社に対する会計報告の徴求会計監査人の資格
- 公認会計士又は監査法人(337条1項)
- 会社又は子会社の取締役等との兼任禁止(337条3項)
監査役の独立性確保
制度 内容 選任 株主総会(取締役会が候補者を提案) 監査役の同意権 監査役選任議案につき監査役(会)の同意が必要(343条) 任期 4年(短縮不可) 解任 株主総会の特別決議(309条2項7号) 報酬 定款又は株主総会で決定(387条)責任の比較
項目 監査役 会計監査人 会社に対する責任 423条(任務懈怠責任) 423条(任務懈怠責任) 第三者に対する責任 429条(悪意・重過失) 429条(悪意・重過失) 責任限定契約 可能(427条・非業務執行) 可能(427条)会計監査人の責任の特則
- 会計監査報告に虚偽の記載をした場合、注意を怠らなかったことを証明しない限り損害賠償責任(429条2項4号)
- 連帯責任:取締役・監査役と連帯(430条)
監査役会
構成
- 監査役3名以上
- そのうち半数以上が社外監査役
- 常勤監査役を選定(390条3項)
権限
権限 内容 監査報告の作成 各監査役の報告に基づく監査役会監査報告 常勤監査役の選定・解職 監査役の互選 監査の方針等の決定 監査方針・業務分担等の決定まとめ
- 監査役は業務監査+会計監査、会計監査人は会計監査の専門家
- 監査役の任期は4年で短縮不可(独立性確保)
- 監査役会は3名以上で半数以上が社外
- 会計監査人は公認会計士又は監査法人に限定
- 両者とも423条・429条の責任を負う
FAQ
Q1. 監査役が取締役の違法行為を発見した場合はどうすべきですか?
まず取締役に報告し是正を求めます。是正されない場合は取締役会への報告(382条)、それでも改善されなければ違法行為の差止請求(385条)を行います。
Q2. 会計監査人の選解任は誰が行いますか?
株主総会が選解任します(329条1項・339条1項)。ただし、監査役(会)が選任議案の内容を決定する権限を有します(344条)。
Q3. 監査役設置会社から監査等委員会設置会社への移行は可能ですか?
可能です。定款変更により機関設計を変更できます。移行に伴い監査役は退任となり、新たに監査等委員である取締役を選任する必要があります。