株式の基本|株式の意義・種類・譲渡制限の体系
会社法の株式制度を体系的に解説。株式の意義、種類株式、株式の譲渡・譲渡制限、自己株式の取得、株式の併合・分割を整理します。
この記事のポイント
株式は株式会社における社員たる地位であり、均等の割合的単位に細分化された形をとる。 種類株式・譲渡制限・自己株式の取得規制が重要論点である。
株式の意義
株式の法的性質
性質 内容 社員権説 株式は株式会社の社員たる地位 株式債権説 株式は会社に対する債権的権利通説は社員権説を採用。
株主の権利
分類 権利 具体例 自益権 経済的利益を受ける権利 剰余金配当請求権、残余財産分配請求権 共益権 会社の経営に参加する権利 議決権、株主提案権、代表訴訟提起権 単独株主権 1株でも行使可能 議決権、配当請求権、代表訴訟提起権 少数株主権 一定割合以上の保有が必要 株主総会招集請求権(3%)、帳簿閲覧請求権(3%)種類株式(108条)
9種類の種類株式
番号 種類 内容 1 剰余金の配当 配当優先株・配当劣後株 2 残余財産の分配 分配優先株 3 議決権制限 議決権の全部又は一部を制限 4 譲渡制限 譲渡に会社の承認が必要 5 取得請求権付 株主が会社に取得を請求可能 6 取得条項付 一定事由の発生で会社が取得 7 全部取得条項付 株主総会決議で全部取得 8 拒否権付(黄金株) 特定事項について拒否権を有する 9 取締役・監査役選解任 取締役等の選解任について権利を有する株式の譲渡
株式譲渡自由の原則(127条)
株式は原則として自由に譲渡できる。
譲渡制限株式
項目 内容 意義 譲渡に会社の承認が必要な株式(2条17号) 承認機関 定款で定める機関(原則は取締役会または株主総会) 譲渡制限の対抗 定款に記載+登記が必要譲渡承認手続
- 株主が会社に対し譲渡承認請求
- 会社が承認または不承認の決定
- 不承認の場合、会社または指定買取人が買い取る
株式の譲渡方法
株式の種類 譲渡方法 株券発行会社の株式 株券の交付(128条1項) 振替株式 振替口座簿の記載・記録(社債株式振替法) 上記以外 意思表示のみ(対抗要件は株主名簿の書換え)自己株式の取得
取得方法
方法 条文 手続 市場取引・公開買付 165条 取締役会決議(定款の定めが必要) 特定の株主からの取得 160条 株主総会特別決議 全株主に申込みの機会 156条 株主総会普通決議財源規制
- 自己株式の取得は分配可能額の範囲内で行う必要がある(461条)
- 分配可能額を超える取得は無効ではないが、関係者に填補責任
株式の併合・分割・無償割当て
行為 決議要件 効果 株式の併合 株主総会特別決議 株式数の減少 株式の分割 取締役会決議 株式数の増加 株式無償割当て 取締役会決議 新たな株式の無償交付まとめ
- 株式は均等の割合的単位に細分化された社員権
- 9種類の種類株式が認められている
- 株式譲渡は原則自由だが、譲渡制限の定めが可能
- 自己株式の取得は分配可能額の範囲内
- 株式の併合は特別決議、分割は取締役会決議
FAQ
Q1. 譲渡制限株式を承認なく譲渡した場合の効力は?
会社に対しては無効ですが、当事者間では有効です(最判昭48.6.15)。会社は株主名簿の書換えを拒絶でき、譲受人は株主としての権利を会社に対して主張できません。
Q2. 自己株式に議決権はありますか?
ありません。会社が有する自己株式については議決権を行使できません(308条2項)。
Q3. 黄金株とは何ですか?
特定の事項について拒否権を有する種類株式(108条1項8号)のことです。1株でも特定の重要事項(合併等)を拒否できるため「黄金株」と呼ばれます。