株主平等原則|109条の意義と例外・株主権の濫用
会社法109条の株主平等原則を解説。原則の意義と射程、種類株式による例外、属人的定めの可否、株主権の濫用の法理を整理します。
この記事のポイント
株主平等原則(109条1項)は、株式会社が株主をその有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱うべきことを定める基本原則である。 種類株式による例外や非公開会社の属人的定めとの関係が重要論点。
株主平等原則の内容
109条1項の規定
「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」
平等の意味
類型 内容 形式的平等 株式の内容・数に応じた比例的平等 実質的平等 株主間の実質的な平等(少数株主保護等)株主平等原則の例外
例外 内容 条文 種類株式 内容の異なる株式を発行可能 108条 属人的定め 非公開会社で株主ごとに異なる取扱い 109条2項 単元株制度 単元未満株主の議決権制限 188条 基準日制度 基準日時点の株主に権利を付与 124条属人的定め(109条2項)
非公開会社に限り、定款で以下の事項について株主ごとに異なる取扱いを定めることができる。
- 剰余金の配当を受ける権利
- 残余財産の分配を受ける権利
- 議決権
設定・変更には総株主の半数以上かつ議決権の3/4以上の賛成が必要(309条4項)。
株主平等原則違反の効果
行為 効力 株主平等原則に反する株主総会決議 決議内容の法令違反として無効(830条2項) 株主平等原則に反する取締役の行為 無効 株主平等原則に反する定款の定め 無効株主優待制度と株主平等原則
問題 処理 一律の株主優待 株式数に応じた比例的配布であれば原則適法 一定株数以上の株主への優待 合理的理由があれば許容される余地あり利益供与の禁止(120条)
意義
会社は何人に対しても、株主の権利行使に関し、財産上の利益を供与してはならない。
項目 内容 趣旨 総会屋等への利益供与の排除 推定 特定の株主に対する無償の利益供与は権利行使に関するものと推定 責任 利益供与をした取締役は返還責任(120条4項・無過失責任)まとめ
- 株主平等原則は株式の内容・数に応じた比例的平等
- 種類株式と属人的定め(非公開会社のみ)が例外
- 原則違反の行為は無効
- 利益供与の禁止(120条)は株主権行使に関する財産供与を規制
- 利益供与をした取締役は無過失の返還責任を負う
FAQ
Q1. 大株主だけに情報提供することは株主平等原則違反ですか?
情報提供のタイミングや内容によります。金融商品取引法のフェア・ディスクロージャー・ルールにより、上場会社は重要情報の選択的開示が制限されています。
Q2. 属人的定めで1人1議決権とすることは可能ですか?
非公開会社であれば理論的には可能です。109条2項により、議決権について株主ごとに異なる取扱いを定款で定めることができます。
Q3. 株主優待は利益供与に当たりますか?
株主の権利行使と関係のない株主優待は、通常は120条の利益供与には該当しません。ただし、特定の株主にのみ供与する場合は問題となりえます。