上訴制度の体系|控訴・上告・抗告の要件と効果
民事訴訟法の上訴制度を体系的に解説。控訴の要件、上告理由、上告受理申立て、抗告の類型、不利益変更禁止の原則を整理します。
この記事のポイント
上訴制度は三審制の下で控訴・上告・抗告の3類型があり、各上訴の要件と効果が異なる。 控訴は事実審としての最後の審級であり、上告は法律審として限定された上告理由が必要。
上訴の基本構造
上訴 対象 審級 控訴 第一審判決 高等裁判所(事実審) 上告 控訴審判決 最高裁判所(法律審) 抗告 決定・命令 上級裁判所控訴
要件
要件 内容 控訴権 判決に不服のある当事者 控訴期間 判決送達から2週間以内(285条) 不服の利益 原判決の一部又は全部が不利益であること控訴審の構造
構造 内容 続審制 第一審の訴訟資料を引き継ぎ、新たな資料も提出可能 事実審 事実認定と法律判断の両方が審理対象不利益変更禁止の原則(304条)
控訴裁判所は、控訴人の不利益に原判決を変更できない。ただし、相手方も控訴(附帯控訴を含む)をした場合はこの限りでない。
上告
上告理由(312条)
号 上告理由 1項 憲法違反 2項 絶対的上告理由(法律に従い裁判所を構成しなかった等)上告受理申立て(318条)
最高裁判所は、原判決に法令の解釈に関する重要な事項を含むと認める場合に、上告審として事件を受理できる。
上告審の審理
項目 内容 法律審 原則として法律問題のみを審理 事実認定 原判決の事実認定に拘束される 破棄差戻し 原判決を破棄し原審に差し戻す 自判 事件が裁判をするのに熟するときは自ら判決抗告
類型 条文 対象 通常抗告 328条 決定・命令に対する不服 即時抗告 332条 法律が特に認める場合 特別抗告 336条 憲法違反を理由とする 許可抗告 337条 法令解釈の重要事項まとめ
- 控訴は2週間以内に提起、続審制(事実審)
- 上告理由は憲法違反と絶対的上告理由に限定
- 上告受理申立てにより法令解釈の重要事項を審理
- 不利益変更禁止の原則が適用される
- 抗告は決定・命令に対する不服申立て
FAQ
Q1. 附帯控訴とは何ですか?
相手方が控訴した場合に、被控訴人が控訴期間経過後でも原判決の変更を求める制度です(293条)。独立の控訴ではなく、相手方の控訴に附帯するものです。
Q2. 上告理由がない場合はどうすればよいですか?
上告受理申立て(318条)を行います。原判決に法令の解釈に関する重要な事項が含まれると認められれば、最高裁判所が事件を受理します。