取消訴訟の本案問題|違法判断の基準時・理由の差替え・事情判決
取消訴訟の本案問題を解説。違法判断の基準時、理由の差替え・追加、事情判決、立証責任の分配を整理します。
この記事のポイント
取消訴訟の本案審理では、違法判断の基準時をいつとするか、処分理由の差替えが許されるか、事情判決の要件は何かが主要な論点である。
違法判断の基準時
原則:処分時説
処分の違法性は処分時の法令・事実関係を基準に判断する。
根拠 内容 取消訴訟の性質 既になされた処分の違法性を審査する訴訟である 法的安定性 事後的な事情変更で判断が変わるのは不安定例外:裁決時説・口頭弁論終結時説
場面 基準時 裁決取消訴訟 裁決時 拒否処分の義務付け訴訟 口頭弁論終結時理由の差替え(追加)
問題の所在
取消訴訟の審理中に、処分庁が処分時に示した理由とは異なる理由を主張できるか。
判例の立場
原則として許される。ただし、基本的事実関係の同一性が必要。
判例 内容 最判昭53.9.19 一般的には理由の差替えは許される 制限の根拠 相手方の防御権・手続保障の確保理由の差替えが制限される場合
場面 理由 基本的事実関係が異なる場合 実質的に別の処分となる 聴聞手続を経た場合 手続保障の趣旨が没却される事情判決(行訴法31条)
要件
処分が違法であるが、取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合に、請求を棄却する判決。
要件 内容 処分の違法 処分が違法であること 公益への著しい障害 取消しにより公の利益に著しい障害が生じること 利益衡量 原告の受ける損害等一切の事情を考慮効果
効果 内容 請求棄却 違法であるが請求を棄却 違法宣言 判決主文で処分の違法を宣言(31条1項後段) 損害賠償 国家賠償請求が可能立証責任の分配
原則
取消訴訟における立証責任の分配は、実体法の解釈による。
処分類型 立証責任 侵害処分 処分の適法性は被告(行政庁側)が立証 授益処分の拒否 要件充足は原告が立証まとめ
- 違法判断の基準時は処分時が原則
- 理由の差替えは基本的事実関係の同一性があれば許される
- 事情判決は公益への著しい障害がある場合の例外的措置
- 立証責任は処分類型に応じて実体法の解釈で分配