国家賠償法1条の違法性判断|職務行為基準説と判例展開
行政法
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国家賠償法1条の違法性判断を解説。職務行為基準説の内容、規制権限不行使の違法、立法行為の違法、判例の展開を整理します。
この記事のポイント
国賠法1条の違法性は職務行為基準説(公務員が職務上の法的義務に違反したか)により判断する。 規制権限の不行使と立法行為の違法が近時の重要テーマである。
違法性の判断基準
職務行為基準説(判例・通説)
公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反したかどうかで判断する。
| 比較 | 行為不法説 | 結果不法説 | 職務行為基準説 |
|---|---|---|---|
| 着眼点 | 行為の法的評価 | 被侵害利益 | 職務上の義務違反 |
| 判例 | - | - | 採用 |
規制権限の不行使
問題の所在
行政庁が規制権限を行使しなかったことにより損害が生じた場合、不行使が違法と評価されるか。
判断基準
権限の不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められる場合に、国賠法上違法となる。
重要判例
| 判例 | 内容 | 結論 |
|---|---|---|
| 最判平元.11.24(宅建業者事件) | 知事の監督権限不行使 | 違法肯定 |
| 最判平7.6.23(クロロキン薬害) | 厚生大臣の権限不行使 | 違法肯定 |
| 最判平16.4.27(筑豊じん肺) | 通商産業大臣の省令制定権限不行使 | 違法肯定 |
| 最判平16.10.15(関西水俣病) | 通商産業大臣等の規制権限不行使 | 違法肯定 |
| 最判平26.10.9(泉南アスベスト) | 労働大臣の規制権限不行使 | 違法肯定 |
考慮要素
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 被害の重大性 | 生命・健康に対する被害の程度 |
| 予見可能性 | 被害発生の予見可能性 |
| 結果回避可能性 | 権限行使による被害防止の可能性 |
| 期待可能性 | 権限行使を期待することの合理性 |
立法行為の違法
原則
国会議員の立法行為(不作為を含む)は原則として国賠法上の違法の問題を生じない。
例外
最大判平17.9.14(在外邦人選挙権):立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合、国賠法上違法となる。
| 判例 | 内容 |
|---|---|
| 最大判昭60.11.21(在宅投票制度廃止) | 立法不作為の違法を原則否定 |
| 最大判平17.9.14(在外邦人選挙権) | 長期間の立法不作為を違法と認定 |
| 最大判平27.12.16(再婚禁止期間) | 100日を超える部分の立法不作為を違法と認定 |
まとめ
- 国賠法1条の違法性は職務行為基準説で判断
- 規制権限の不行使は著しく合理性を欠く場合に違法
- 規制権限不行使の判断は被害の重大性・予見可能性等を総合考慮
- 立法行為の違法は権利侵害が明白な場合に限り認められる
- 規制権限不行使の判例は近時増加傾向
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