国家賠償法の体系|1条責任・2条責任の要件と判例
国家賠償法を体系的に解説。1条の公権力責任と2条の営造物責任の要件、公務員の個人責任、求償権、重要判例を整理します。
この記事のポイント
国家賠償法は1条(公権力の行使に基づく責任)と2条(公の営造物の設置・管理の瑕疵に基づく責任)を2本柱とし、それぞれ要件・効果が異なる。 試験では1条の「違法性」の判断基準と2条の「瑕疵」の判断が頻出。
国家賠償法1条
要件
要件 内容 公権力の行使 広義(私経済作用・国賠法2条を除くすべて) 公務員 広く公権力行使を委託された者を含む 職務を行うについて 外形標準説(客観的に職務行為の外形を備える行為) 故意又は過失 公務員個人の主観的要件 違法に 違法性の判断基準が問題 他人に損害を加えた 因果関係違法性の判断基準
学説 内容 行為不法説 公務員の行為の法的評価として違法か 結果不法説 被侵害利益の侵害が法的に許容されないか 職務行為基準説(判例) 公務員が職務上の法的義務に違反したか公務員の個人責任
国賠法1条に基づく賠償請求は国又は公共団体に対して行う。公務員個人に対する直接請求は認められない(最判昭30.4.19)。
求償権(1条2項)
公務員に故意又は重大な過失があった場合、国又は公共団体は公務員に対して求償権を有する。
国家賠償法2条
要件
要件 内容 公の営造物 道路・河川等国又は公共団体が管理する物的施設 設置又は管理の瑕疵 通常有すべき安全性を欠くこと 他人に損害を生じた 因果関係瑕疵の判断基準
営造物が通常有すべき安全性を欠いているかどうか(客観説)。設置・管理者の過失は不要(無過失責任)。
重要判例
判例 内容 高知落石事件(最判昭45.8.20) 道路の安全性の判断、予算の制約は免責事由にならない 大東水害訴訟(最判昭59.1.26) 河川の安全性は過渡的安全性で足りる 多摩川水害訴訟(最判平2.12.13) 改修済み河川には通常の安全性が求められる国家賠償法と民法の関係
場面 適用法 公権力の行使 国賠法1条 公の営造物の瑕疵 国賠法2条 私経済作用 民法709条等まとめ
- 1条は職務行為基準説で違法性を判断(判例)
- 公務員個人への直接請求は否定される
- 2条は無過失責任であり通常の安全性が基準
- 河川の安全性は過渡的安全性論(大東水害判決)
- 予算の制約は免責事由にならない(高知落石事件)