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刑法の答案の書き方|犯罪論の体系に沿った検討フレーム

司法試験の刑法答案の書き方を解説。犯罪論の体系に沿った検討順序、共犯処理のフレームワーク、罪数の処理方法を具体例とともに整理します。

この記事のポイント

刑法の答案は犯罪論の体系に沿って「構成要件該当性→違法性→責任→未遂→共犯→罪数」の順に検討するのが基本であり、この体系を崩さないことが高得点の鍵である。


答案の基本フレームワーク

単独犯の検討順序

甲の罪責
1 ○○罪(△条)の成否
 (1) 構成要件該当性
    ア 客観的構成要件
      ・実行行為:「~した行為は○○罪の実行行為に当たるか」
      ・結果:「Vの死亡という結果が発生している」
      ・因果関係:「甲の行為とVの死亡との間に因果関係が認められるか」
    イ 主観的構成要件
      ・故意:「甲にはVを殺害する認識・認容があった」
 (2) 違法性阻却事由
    ・正当防衛等の検討
 (3) 責任阻却事由
    ・責任能力等の検討
 (4) 結論
2 罪数処理

共犯事案の検討順序

甲の罪責
1 ○○罪の共同正犯(60条・△条)の成否
 (1) 共謀の存在
 (2) 共謀に基づく実行行為
 (3) 構成要件該当性(上記の検討)
 (4) 結論

乙の罪責
1 ○○罪の共同正犯(60条・△条)の成否
 (甲と同様の検討)
2 独自の罪責
 (乙固有の行為についての検討)

検討の順序と配分

人物ごとに検討する方法(基本)

メリット デメリット 各人物の罪責が明確 共犯関係の記述が重複しやすい 罪数処理が容易 事実関係の時系列が追いにくい

行為ごとに検討する方法

メリット デメリット 事実関係の時系列が明確 罪数処理が複雑になりやすい 共犯関係の処理が自然 人物ごとの罪責が散らばる

推奨:人物ごと→行為の時系列順

甲の罪責
 第1行為について → 第2行為について → 罪数
乙の罪責
 第1行為について → 第2行為について → 罪数

論点の書き方

基本型:問題提起→規範→当てはめ→結論

(1) 甲がVの首を絞めた行為は殺人罪の実行行為に当たる。
(2) もっとも、甲はVの急迫不正の侵害に対して反撃したものであり、
    正当防衛(36条1項)の成否が問題となる。
    ア 「急迫不正の侵害」
      急迫とは…〔規範〕
      本件では…〔当てはめ〕
    イ 「防衛するため」(防衛の意思)
      …
    ウ 「やむを得ずにした行為」(相当性)
      …
(3) したがって、正当防衛が成立し、甲に殺人罪は成立しない。

罪数処理の書き方

基本パターン

罪数 処理 条文 観念的競合 1個の行為で2個以上の罪名 54条1項前段 牽連犯 手段結果の関係にある2罪 54条1項後段 併合罪 独立の複数の犯罪 45条

答案での記載例

4 罪数
  以上より、甲には①殺人罪と②窃盗罪が成立し、
  両罪は別個の行為に基づくものであるから、
  併合罪(45条前段)として処断される。

頻出パターンの答案構成

パターン1:正当防衛の成否

1 殺人罪の構成要件該当性(肯定)
2 正当防衛の検討
  (1) 急迫不正の侵害
  (2) 防衛の意思
  (3) 相当性
  (4) 結論(正当防衛成立/過剰防衛)

パターン2:共謀共同正犯

1 正犯者の実行行為の検討
2 甲の共同正犯の成否
  (1) 共謀の存在(意思連絡と正犯意思)
  (2) 共謀に基づく実行
  (3) 結論

パターン3:事実の錯誤

1 客観面:○○罪の構成要件充足
2 主観面:故意の検討
  (1) 認識事実と実現事実の不一致
  (2) 法定的符合説による処理
  (3) 故意犯の成否

まとめ

  • 刑法答案は犯罪論の体系を崩さないことが最重要
  • 人物ごと→行為の時系列順が基本の検討順序
  • 論点は問題提起→規範→当てはめ→結論の型で書く
  • 罪数処理を忘れずに最後に記載
  • 共犯事案は正犯→共犯の順に検討

FAQ

Q1. 構成要件に問題がない部分は省略していいですか?

はい。明らかに充足する要件は簡潔に認定し、問題となる要件に紙幅を割くべきです。ただし、構成要件該当性を全く認定しないのは不適切です。

Q2. 正当防衛と過剰防衛の両方を論じる場合の書き方は?

まず正当防衛の要件を検討し、相当性を欠く場合に過剰防衛(36条2項)の刑の減免を論じる流れが自然です。

Q3. 複数の犯罪が成立する場合、全て書く必要がありますか?

問題文で問われている範囲内で、成立しうる全ての犯罪を検討すべきです。ただし、配点の低い軽微な犯罪は簡潔な認定で足ります。


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