行政事件訴訟法の仮の救済|執行停止・仮の義務付け・仮の差止め
行政事件訴訟法の仮の救済制度を解説。執行不停止原則と執行停止の要件、仮の義務付け・仮の差止めの要件、内閣総理大臣の異議を整理します。
この記事のポイント
行政事件訴訟法は執行不停止原則を採用しつつ、例外的に執行停止等の仮の救済を認めている。 2004年改正で仮の義務付け・仮の差止めが追加された。
執行不停止原則(行訴法25条1項)
取消訴訟の提起は処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
理由 内容 行政の円滑な遂行 訴訟提起のみで行政が停滞することを防ぐ 公定力の帰結 取り消されるまで有効という建前執行停止(行訴法25条2項〜)
要件
要件 内容 本案訴訟の係属 取消訴訟が提起されていること 重大な損害を避けるため緊急の必要 2004年改正で「回復の困難な損害」から変更 消極要件① 本案について理由がないとみえるときでないこと 消極要件② 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと「重大な損害」の判断(25条3項)
損害の回復の困難の程度を考慮し、損害の性質・程度、処分の内容・性質を勘案する。
内閣総理大臣の異議(27条)
内閣総理大臣は、執行停止に対して異議を述べることができる。異議があった場合、裁判所は執行停止をすることができず、既にした執行停止を取り消さなければならない。
仮の義務付け(行訴法37条の5第1項)
要件
要件 内容 義務付け訴訟の提起 本案訴訟が係属 償うことのできない損害を避けるため緊急の必要 執行停止より厳格 本案について理由があるとみえる 積極要件 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがない 消極要件仮の差止め(行訴法37条の5第2項)
仮の義務付けと同様の要件構造。差止訴訟の提起が前提。
仮の救済の比較
項目 執行停止 仮の義務付け・差止め 損害要件 重大な損害 償うことのできない損害 本案要件 消極要件(理由がないとみえるときでない) 積極要件(理由があるとみえる) 厳格さ 相対的に緩やか より厳格まとめ
- 行訴法は執行不停止原則を採用
- 執行停止は重大な損害を避けるため緊急の必要がある場合
- 仮の義務付け・差止めは償うことのできない損害が要件
- 仮の義務付け・差止めは執行停止より要件が厳格
- 内閣総理大臣の異議は執行停止を覆す強力な手段