行政法の事例問題の解き方|訴訟選択から本案論証まで
行政法の事例問題の解き方を体系的に解説。訴訟選択の判断フレームワーク、訴訟要件の検討順序、本案論証の方法を整理します。
この記事のポイント
行政法の事例問題は「訴訟選択→訴訟要件→本案」の3段階で検討する。 各段階での論証パターンを確立することが高得点の鍵である。
第1段階:訴訟選択
チェックポイント
確認事項 導かれる訴訟 既になされた処分に不服がある 取消訴訟・無効等確認訴訟 処分を求めたい 義務付け訴訟 将来の処分を阻止したい 差止訴訟 処分性がない行為に不服がある 実質的当事者訴訟 金銭賠償を求めたい 国家賠償訴訟 住民として財務会計行為を争う 住民訴訟複数の訴訟の併合
申請型義務付け訴訟は取消訴訟との併合提起が必要。差止訴訟と仮の差止めの併用も検討。
第2段階:訴訟要件
取消訴訟の場合の検討順序
順序 訴訟要件 論証のポイント 1 処分性 最判昭39基準+仕組み解釈 2 原告適格 9条2項の考慮事項 3 狭義の訴えの利益 処分効果の消滅後の利益 4 被告適格 処分をした行政庁の所属する国又は公共団体 5 出訴期間 処分を知った日から6か月 6 不服申立前置 個別法の定めの有無訴訟要件が問題にならない場合
被告適格・管轄等が明らかな場合は簡潔に触れるか省略してよい。
第3段階:本案
取消訴訟の本案論証
論点 論証方法 裁量処分の場合 裁量の逸脱・濫用(行訴法30条)の有無 覊束処分の場合 要件充足の有無を法律の解釈で検討 手続違法 行政手続法違反の有無裁量審査の答案構成
- 裁量の有無・範囲を確定
- 審査密度を設定(社会観念審査か判断過程統制か)
- 具体的事実をあてはめ
- 結論
国家賠償の答案構成
1条の検討
- 「公権力の行使」該当性
- 「公務員」該当性
- 「職務を行うについて」の認定
- 違法性の判断(職務行為基準説)
- 故意・過失
- 損害と因果関係
規制権限不行使の場合
許容限度論に基づき、被害の重大性・予見可能性・結果回避可能性・期待可能性を検討。
よくある失敗と対策
失敗 対策 訴訟選択を論じない 冒頭で訴訟類型を明示する 処分性を当然の前提とする 処分性が問題になる場合は必ず論じる 原告適格を9条1項だけで処理 9条2項の考慮事項を丁寧に検討 裁量の審査密度を示さない 裁量の有無→審査手法→あてはめの順序 条文を引かない 行訴法・行手法の条文番号を正確にまとめ
- 行政法は訴訟選択→訴訟要件→本案の3段階で解く
- 処分性・原告適格はパターン化した論証で対応
- 裁量審査は審査密度の設定が重要
- 国賠は職務行為基準説を軸に展開
- 条文番号の正確な摘示が行政法の答案では不可欠