行政行為の効力と瑕疵|公定力・不可争力・不可変更力
行政行為の効力と瑕疵を体系的に解説。公定力・不可争力・不可変更力・自力執行力の意義、瑕疵の治癒・違法性の承継を整理します。
この記事のポイント
行政行為には公定力をはじめとする特殊な効力が認められ、瑕疵があっても取り消されるまでは有効として扱われる。 瑕疵論では当然無効と取消しの区別、違法性の承継が重要論点である。
行政行為の効力
4つの効力
効力 内容 公定力 権限ある機関により取り消されるまで有効として扱われる 不可争力 出訴期間の経過により争えなくなる 不可変更力 裁決等の争訟裁断行為について処分庁が変更できなくなる 自力執行力 行政庁が裁判所を介さずに強制執行できる公定力の根拠と限界
論点 内容 根拠 法的安定性・行政の円滑な遂行 限界 当然無効の行為には公定力は及ばない 国家賠償との関係 公定力は国賠請求を妨げない(最判昭36.4.21)行政行為の瑕疵
取消しと無効の区別
区別 取消しうべき行為 無効の行為 瑕疵の程度 違法だが重大明白ではない 重大かつ明白な瑕疵 争訟方法 取消訴訟(出訴期間あり) 無効等確認訴訟(期間制限なし) 公定力 あり なし重大明白説(判例)
瑕疵が重大であり、かつ明白である場合に当然無効となる。
要件 内容 重大性 瑕疵の内容が重大であること 明白性 瑕疵の存在が外形上客観的に明白であること瑕疵の治癒と転換
瑕疵の治癒
行政行為の成立時に存在した瑕疵が事後的に補正されること。
要件 内容 瑕疵が軽微 重大な瑕疵は治癒されない 目的達成 治癒により行政行為の目的が達成される 相手方の不利益がない 治癒が相手方に不利益を及ぼさない違法行為の転換
ある行政行為が違法であるが、別の行政行為としての要件を充たす場合に、その行為として有効と扱うこと。
違法性の承継
問題の所在
先行行為の違法を後行行為の取消訴訟で主張できるか。
原則
先行行為と後行行為が別個の法効果を持つ場合、違法性の承継は原則として否定される。
例外(最大判平21.11.18・建築確認と安全認定)
先行行為と後行行為が結合して一つの効果を生じる場合、例外的に違法性の承継が認められる。
考慮要素 内容 先行行為の手続保障 先行行為を争う機会が実効的に保障されていたか 行為の結合性 先行行為と後行行為が一連の手続を構成するかまとめ
- 公定力は行政行為の最も基本的な効力
- 当然無効は重大かつ明白な瑕疵がある場合(重大明白説)
- 瑕疵の治癒は軽微な瑕疵に限り認められる
- 違法性の承継は原則否定だが例外あり(最大判平21.11.18)
- 公定力は国家賠償請求を妨げない